ノバルティスファーマ株式会社〒105-6333 東京都港区虎ノ門1丁目23番1号虎ノ門ヒルズ森タワー http://www.novartis.co.jp/ MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG 2015年6月24日報道関係各位ノバルティスファーマ株式会社 ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの治療薬としてセリチニブを国内で承認申請ノバルティスファーマ株式会社（代表取締役社長：ダーク・コッシャ）は、本日、経口 ALK（Anaplastic lymphoma kinase：未分化リンパ腫キナーゼ）阻害剤であるセリチニブ（開発コード：LDK378）について、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの治療薬として、国内における製造販売承認申請を行いました。肺がんは、国内外でがんによる死亡原因の第一位であり、国内の統計では年間約7万人が肺がんにより亡くなっています1。この肺がんの中で、85％の割合を占めるとされているのが非小細胞肺がん（Non-small cell lung cancer：NSCLC、以下NSCLC）です2。このNSCLC 患者さんのうち約2～5％3は、ALK遺伝子の変異（ALK融合遺伝子）によって、がん細胞の増殖が促進されることが明らかにされています4。日本国内での肺がんの新規罹患患者数は年間約11万人5であることから、このALK融合遺伝子が発現するALK融合遺伝子陽性（以下、ALK+）のNSCLCの国内での新規患者数は年間約2～5千人と推計されます。このALK+ NSCLCの患者さんは、一般的なNSCLC患者さんと比べて若く、非喫煙者であることが多いといわれています6。 ALK+ NSCLC治療の選択肢のひとつには化学療法がありますが、治療成績は十分とは言えず7、現状では化学療法よりも治療効果が高いとして上市された複数のALK阻害剤が主に治療に用いられています。しかし、ALK+ NSCLC患者さんの中には、それらのALK阻害剤に不耐容であったり，効果が十分ではない8、または一旦効果が見られても耐性により再発する方もいます8。またALK+ NSCLC患者さんでリスク増加が示唆されている脳転移の治療には効果が不十分な場合もあることなどから9,10、こうした患者さんに対する新たな治療選択肢が期待されています。セリチニブは、ALKの自己リン酸化を阻害することで、下流のシグナル伝達蛋白質のリン酸化を阻害してがん細胞の増殖を抑制する、強力かつ選択的な経口ALK阻害剤です。セリチニブは、既存のALK阻害剤の治療歴があるALK+ NSCLC患者さんと、ALK阻害剤未治療のALK+ NSCLC患者さんを対象とした第II相臨床試験（日本人を含む国際共同治験）において、統計学的に有意なORR（奏効率）が認められ、高い抗腫瘍効果を示しました。また同様に、脳転移を有するALK+ NSCLC患者さんにおいても、ALK阻害剤の治療歴の有無にかかわらず高いOIRR（頭蓋内病変の奏効率）を示し、脳転移に対するセリチニブの抗腫瘍効果が示唆されています。セリチニブは、2013年3月に米食品医薬品局（FDA）より「画期的治療薬（Breakthrough therapy）」の指定を受けて、2014年4月に米国で「クリゾチニブによる治療後に疾患が進行したかクリゾチニブ不耐容のALK+ NSCLC」の治療薬として承認されたほか、アジアを含む各国でも承認され、本年5月にはEUにおいても承認を取得しました。日本では、本年6 月15日に厚生労働省より希少疾病用医薬品（オーファンドラッグ）として指定されました。 1/2 ノバルティスについてノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア（眼科用医療機器、コンタクトレンズなど）、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅広い分野の製品を提供しています。ノバルティスグループ全体の2014年の売上高は580億米ドル、研究開発費は99億米ドル（減損・償却費用を除くと96億米ドル）でした。スイス･バーゼル市に本拠を置くノバルティスは、約120,000人の社員を擁しており、世界150カ国以上で製品が販売されています。詳細はインターネットをご覧下さい。 http://www.novartis.com 参考資料 1. 厚生労働省人口動態統計 2013 2. American Cancer Society. Lung Cancer - Non-Small Cell Detailed Guide. Available at: http://www.cancer.org/Cancer/LungCancer-Non-SmallCell/DetailedGuide/non-small-cell-lung-cancer-what-is -non-small-cell-lung-cancer. Accessed on March 31, 2014. 3. 日本肺癌学会バイオマーカー委員会 2011 4. Soda et al. 2007 5. がん情報サービス最新がん統計「がん罹患」2011年 6. Shaw A, et al. Targeting Anaplastic Lymphoma Kinase in Lung Cancer. Clin Cancer Res2011;17:2081-2086. 7. Shaw et al. 2009 8. Choi et al. 2010，Ou 2011，Katayama et al. 2012，Doebele et al. 2012，Shaw and Engelman 2013 9. Yang et al. 2012，Camidge and Doebele 2012，Camidge et al. 2012 10. Zimmermann et al. 2014 以上 2/2