日本の石炭利用技術とJCOALの役割 - 東京大学

日本の石炭利用技術とJCOALの役割
日時:平成26年2月25日(火)
場所:東京大学生産技術研究所
一般財団法人石炭エネルギーセンター
原田 道昭
最近の石炭をめぐるトピックス
米国オバマ大統領の発言(2013年6月25日)
(1)オバマ大統領の気候変動行動計画
・2013年6月25日、オバマ大統領はジョウジタウン大学で今後の地球温暖化対策
に関し、「大統領気候変動行動計画(The President’s Climate Action Plan)(以下、
オバマアクションプラン)を発表した。
・オバマアクションプランは、①国内排出削減、②気候変動の影響に対する米国
の備え、③気候変動の挑戦に対し米国が世界をリード、という3つの柱で構成さ
れている。
・「気候変動の挑戦に対し米国が世界をリード」の中に、「海外の石炭火力新設に
対する米政府公的金融支援の終了。但し、経済的な代替手段がない最貧国にお
ける最高効率の石炭火力技術、もしくは、二酸化炭素分離・回収・貯留(CCS)技術
を導入する場合は除く)としており、「他国や多国間開発銀行に対し、早急に同様
の措置を取るよう求めていく。」としている。
最近の石炭をめぐるトピックス
(2)オバマアクションプランの影響
・米輸銀ー2013年6月26日、ホッチバーグ総裁は、大統領のイニシアティブに沿っ
た取り組みを進める旨表明(7月17日、ホッチバーグ総裁再任)
・米財務省ー米財務省は、オバマアクションプランに則し、「途上国での石炭火力
におけるMDB(Multilateral Development Bank)の関与についての米国の立場に関
するガイダンスを発表(10月29日)。新設石炭火力への融資用件にCO2排出規制
値500gCO2/kWhの設定(9月にEPAが発表した新設火力発電所に対するCO2排出
規制案と同水準)、CCSの導入等を求めるものとなっている。
・世銀グループは、7月26日、エネルギーセクターの支援方針に係る新たな方針
「Toward a Sustainable Energy Future for All /Directions for the World Bank Group’s
Energy Sector」で、新設石炭火力への融資を石炭以外に経済的な選択肢がない
場合に限るなど、厳しい融資方針を発表。
・EIB(欧州投資銀行)、EBRD(欧州復興開発銀行)などもほぼ同調。
最近の石炭をめぐるトピックス
新しいエネルギー基本計画に向けて
①石炭の位置付け
• 温室効果ガス排出量が大きいが、供給安定性、低価格に優れており、ベース電源として
重要性が再認識されている。環境負荷を低減しつつ活用してゆく。
• 老朽火力のリプレース、新増設ならびに最新技術で発電効率を大きく向上する。国内の
みならず、海外でも導入促進を推進する。
②高効率石炭火力発電の有効活用の促進
• 石炭火力は温室効果ガスの排出を抑制する最新技術を活用することで環境負荷の低減
という課題と両立した形で利用してゆくことが可能。環境アセス期間の短縮を図る。
• 加えて、次世代高効率発電技術(IGCCなど)の開発・実用化を推進するとともに、現在取
り組んでいるCCSの研究開発も継続し、環境負荷の一層の低減に配慮した石炭の有効
活用を進める。海外においても環境負荷の低減と両立した形で石炭の利用が行われる
ようにわが国の先端的な高効率石炭火力発電の輸出を促進する。
国民から寄せられた1万9千件以上の声や自民・公明の意見を反映して、
2月に閣議決定される模様
内 容
1.石炭利用とは
2.石炭の特色
3.世界の石炭生産・消費
4.日本の石炭の現状
5.日本の石炭利用技術
6.世界におけるJCOALの活動
5
1.石炭利用とは
6
1.石炭利用とは
石炭の分類、性状、成分
化石燃料は主に炭素、水素、酸素で構成されるが、石炭は固体で、10~15%程度の灰分を含む。
石炭は、石油や天然ガスに比べて、酸素が多く水素が少ない。その結果、重量当たりの熱量が
小さく、熱量当りのCO2発生量が多い。、
石炭の中でも、褐炭は埋蔵量が豊富で安価であるが、水分が多く、自然発火しやすいので、輸送が
困難。
100%炭素
原油
高熱量の液体
石炭
CnH2n+α
精製することで輸送用燃料、化学
原料に使用
天然ガス
CH4,C2H6,C3H8,,
無煙炭
・熱量が低い固体
・炭化が進んでいない石炭は水を
多く含み輸送が困難
瀝青炭
10500kcal/kg
6000kcal/kg
石油
・高熱量の気体
・LNGにして輸送
・我が国に運び発電
・産炭国で使いやすい液体・
気体燃料に転換
・低品位炭の積極的活用
都市ガスあるいは発電に
13000kcal/kg
使用
天然ガス
褐炭
油母頁岩
メタン
亜炭
(代替天然ガス)
30%水素
低品位炭
4000kcal/kg
工業分析値(%)
固定炭素 揮発分
灰分
瀝青炭 30~60% 25~45% 5~15%
70%炭素
水分
5~8%
30%酸素
参考;Forsman & Hunt, 1958
7
2.石炭の特色
8
2.石炭の特色
化石エネルギー価格の推移(カロリー当り)
石炭は、原油、LNGに比べ価格は低位で安定。
12
原油
C重油
一般炭
LPG
LNG
(円/1,000kcal)
10
8
6
4
2
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
9
2.石炭の特色
石炭利用における環境対策の必要性
石炭は単位当たりのCO2発生量が、他の化石燃料に比べ多いことから、
クリーンな利用が求められる。
NOx、SOx、ばいじんの排出削減も必要。
[熱量当たりのCO2発生量]
(g/kWh)
4.0
(g-C/1000kcal)
120
100
3.5
80
60
3.4
3.3
3.1
硫黄酸化物(SOx)
3.2
窒素酸化物(NOx)
3.0
40
5 : 4 : 3
20
2.5
0
石 炭
LNG
石 油
石 炭
石 油
2.0
1.6
1.4 1.4
LNG
出典: 「気候変動に関する国際連合枠組
条約」に基づく日本国政府報告書
[kWh当たりのCO2発生量]
1.5
1.2
0.7 0.8
1.0
0.8
0.6
0.48
0.2 0.2 0.21
0.5
0.01 0.05
(g-CO2 /kWh)
0.0
1,200
米国
(2005)
1,000
カナダ
(2005)
英国
(2005)
フランス
(2005)
ドイツ
(2005)
イタリア
(2005)
日本
(2010)
J-POWER
(2011)
磯子
(2011)
800
出典) 電気事業連合会資料より。日本は10電力とJ‐POWERの合計。
600
その他
400
J-POWER及び磯子は2011年度実績値
燃料の燃焼
200
0
微粉炭火力
IGCC
重油火力 LNG火力
出典: 第2回石炭火力発電の将来像を考える研究
会資料「IGCC実証機プロジェクトについて」
わが国の石炭火力からの排ガスは、
ガス及び石油火力の排出基準以下である。
10
3.世界の石炭生産と消費
11
世界の確認可採埋蔵量(2010年) 8,609億3,800万トン
7%
ロシア
ヨーロッパ
1,470億トン
31%
(17.1%)
19%
34%
(27.6%)
16%
30%
53%
13%
1,145億トン
(13.3%)
46%
41%
54%
7%
3%
100%
87%
66億トン
(0.8%)
中国
606億トン
(7.0%)
アメリカ
2,373億トン
13%
インド
その他
アフリカ
14億トン 中東 12億トン
(0.1%)
(0.2%)
カナダ
62%
17%
64%
1,570億トン
(18.2%)
97%
日本
3.5億トン
(0.04%)
93%
46%
52%
2%
49%
100%
100%
モザンビーク
2.1億トン
(0.02%)
南アフリカ 302億トン
(3.5%)
48%
20% 27%
その他アジア・オセアニア
88億トン(1.0%)
オーストラリア
53%
インドネシア
44%
その他
南北アメリカ
139億トン
(1.6%)
56%
764億トン(8.9%)
3%
褐炭
55億トン(0.6%)
※ヨーロッパはロシア以外の旧ソ連諸国を含む。瀝青炭は無煙炭を含む。
出典: 世界エネルギー会議(WEC2010)
瀝青炭
亜瀝青炭
世界の石炭生産量の推移
7,831
(100万トン)
7,608
8,000
7,210
7,000
その他
6,011
6,000
4,668
5,000
4,000
424.4
325.0
570.4
4,649
3,787
370.6
996.1
437.3
3,000
306.7
335.7
2,000
971.6
0
1980
1,005.9
934.9
1,039.8
1,353.8
1990
2000
ポーランド
ドイツ
南アフリカ
ロシア
豪州
インドネシア
3,140.2
3,418.8
3,549.1
インド
米国
2,299.7
753.0
620.2
420.7
442.8
595.0
1,038.6
933.6
1,000
402.2
360.3
582.3
中国
2005
 順調に増加
 米国生産減、インドネシアが第4位に
13
2010
2011
2012e
出典:IEA Coal Information 2013
※1980のロシアは旧ソ連の値
世界の石炭消費量(2012)
豪州 137.3
1.8%
韓国 127.3
1.7%
ポーランド
139.7 1.8%
日本 183.8
2.4%
南アフリカ
187.2 2.5%
ドイツ 241.4
3.2%
ロシア251.1
3.3%
その他
1,188.2
15.4%
2012年石炭消費量
世界計
76億9,690万トン
インド
753.2
9.8%
中国
3,665.9
47.6%
単位:100万トン
米国
821.9
10.7%
出典:IEA Coal Information 2013
 中国が世界の約半分
 中国、米国、インドで世界の3分の2以上
14
世界の石炭消費量の推移
(100万トン)
8,000
その他
7,000
トルコ
豪州
6,000
韓国
ポーランド
5,000
日本
4,000
南アフリカ
ドイツ
3,000
ロシア
2,000
インド
米国
1,000
中国
0
2000
2005
2006
2007
2008
(出典:IEA Coal Information 2012)
2009
2010
2011
世界の石炭輸出入
石炭輸出量
(100万トン)
(100万トン)
1,400
1,400
1,200
1,200
その他
ベトナム
モンゴル 1,000
カザフスタン
800
カナダ
74.3
82.2
1,000
114.1
800
134.2
600
301.5
400
200
382.6
石炭輸入量
44.8
45.2
64.5
南アフリカ
コロンビア 600
米国
400
ロシア
豪州
インドネシア 200
125.5
159.6
183.8
288.8
0
0
2005
2010
2011
2012e
2005
2012年石炭消費量(推計) 7,831 Mt
輸出
1,255Mt
(16%)
出典:IEA Coal Information 2013
国内消費 6,575Mt (84%)
2010
2011
2012e
その他
トルコ
ロシア
英国
ドイツ
台湾
韓国
インド
日本
中国
コールフロー
その他欧州
10Mt
7 Mt
ロシア
5 Mt
カナダ
124Mt
34Mt
OECD欧州
232Mt
7 Mt
ウクライナ
14Mt
カザフスタン
中国
日本
191Mt
175Mt
32Mt
その他アフリカ・
中東 23Mt
5 Mt
5 Mt
米国
97Mt
韓国
インド
106Mt ベトナム
24Mt
129Mt
台湾
コロンビア
66Mt
その他アジア・
オセアニア 67Mt
85Mt
インドネシア
南アフリカ
75Mt
310Mt
豪州
その他南米
33Mt
285Mt
輸出国
輸出量
輸入国・地域 出典:IEA Coal Information 2012よりJCOAL作成
数値は2011年推計値、500万トン以上のフローのみ記載
輸入量
17
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年09月
2011年08月
ヘンリーハブ価格
2011年07月
2011年06月
2011年05月
2011年04月
2011年03月
2011年02月
2011年01月
2010年12月
2010年11月
2010年10月
2010年09月
2010年08月
2010年07月
2010年06月
原油・祖油価格(JCC)
2010年05月
2010年04月
2010年03月
2010年02月
2010年01月
2009年12月
2009年11月
2009年10月
LNG輸入価格
2009年09月
2009年08月
2009年07月
2009年06月
2009年05月
2009年04月
22
21
20
19
18
17
16
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
2009年03月
2009年02月
2009年01月
2008年12月
過去3年間のわが国が輸入した原油及びLNG価格と
ヘンリーハブ価格
我が国における過去3カ年のLNG平均輸入価格(単位:$/MMBTU)
19.34$/MMBTU
16.59 $/MMBTU
3.244$/MMBTU
この1年間のヘンリーハブにおける天然ガスの
スポット価格
出典:Power Engineering News Letter, February 4, 2014
4.日本の石炭の現状
20
日本の石炭生産
生産量(千トン)
第二次世界大戦
60,000
炭鉱数
1,000
石油ショック
生産量(千トン)
50,000
40,000
900
1961年 5,541万トン
炭鉱数
1940年 5,630万トン
800
1952年 949炭鉱
700
2011年度
生産量 120万トン
(自給率0.6%)
稼働炭鉱数 8
30,000
600
500
400
20,000
300
1945年 2,234万トン
200
10,000
100
0
0
1900
1910
出典:石炭生産月報他
1920
1930
1940
1950 1960
年度
1970
1980
1990
2000
2010
21
日本の石炭消費(産業別)
紙・パルプ
3.0%
その他
10.6%
窯業土石
5.5%
2010年度販売量
1億7,655万1,000トン
電力
43.3%
鉄鋼
37.6%
出典:EDMCエネルギー・経済統計要覧2012
22
日本の石炭輸入量
中国からの輸入が激減
200
米国どうなる?
180
輸入量(100万トン)
160
ロシア・カナダは1,000万トン程度で堅調
140
インドネシアからの輸入増大
120
その他
南アフリカ
ニュージーランド
ベトナム
米国
100
中国
80
カナダ
豪州への依存度が極めて高い
60
ロシア
インドネシア
40
豪州
20
0
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
出典:財務省貿易統計
(年度)
2011年度 175,378,617トン
23
5.日本の石炭利用技術
24
日本の石炭の生産、輸入、CCT開発
輸入量、国内生産量(百万トン/年度)
1992 リオサミット(COP3)
1997 京都議定書
200
石炭の国内生産量及び輸入量の変遷
1991資源有効
利用促進法
国内炭
1973 第1次石油危機 (1979 第2次)
輸入一般炭(燃焼用他)
石油代替エネルギーの開発(海外炭輸
輸入原料炭+無煙炭(鉄鋼用他)
入、原子力、再生可能エネルギー等) 、
輸入炭合計
省エネルギー、環境対策の強化、CCTの
150
100
2001循環型
社会形成推
進基本法
2009 CO2
削減中期
目標設定
2011
エネル
ギー基
本計画
見直し
開発
1967 公害対策基本法
50
0
地球再生計画‐省エネルギー
の推進、クリーンエネルギーの
導入 、革新的な環境技術の開
発 、CO2吸収源の拡大、革新
的エネルギー技術の開発
2008 リーマ
ンショック
2007“ク
ールアー
ス 50”
1950
1960
1970
1964
東京オリンピック
1980
1990
2000
1987
JAPAC の設立
年度
1970
大阪万博
2010
2009
METI クリーンコールWG
R&D of A-USC
発電
亜臨界
超々臨界
超臨界
Hybrid Gasification
日本にお
けるCC
Tの開発
と普及
ガス化・熱分解
HYCOL
IGFC
IGCC
流動床ガス化
ECOPRO
ARCH、CPX
鉄鋼製造・コー
クス製造
DIOS
成形コークス
CDQ 導入
SCOPE21
NEDOL
石炭液化
BCL
排出削減
湿式・乾式脱硫の開発
DME
湿式・乾式脱硫設備の導入
低Noxバーナー・脱硝の開発
低Nox バーナー・脱硝設備の導入普及
25
震災後の発電構成
○原子力発電所の稼働なし
→電力供給量の約3割が喪失し、需給がひっ迫。
○原子力発電所の停止に伴い、火力発電による代替に伴う燃料費は、2013年度には年間約3.8兆円
増加の見込み(電気料金の約2割に相当)。
震災後の電気事業者(一般・卸)の電源構成の推移
100%
90%
80%
32%
50%
40%
9%
12%
70%
60%
2%
9%
12%
8%
5%
32%
79%
16%
2% 0.7%
2%
3%
3%
9% 10.9%
10% 11% 10%
86% 87% 86% 87% 88% 88%
8.0%
13% 13% 11% 12% 13%
3%
11%
89%
60%
43%
48%
49%
48%
47%
46%
32%
30%
20%
10%
46%
47.6%
23%
23%
25%
12%
0%
石炭火力発電比率
水力等発電比率
火力発電比率
24%
2%
26%
3%
28%
3%
LNG火力発電比率
原子力発電比率
29%
3%
30% 32.7%
2%
2%
1%
石油等火力発電比率
原子力発電比率
原子力停止に伴う燃料コスト増
コスト影響額
電源
種
燃料費
(2012年度)
2012年度
推計
2013年度
推計(※)
原子
力
1円/kWh
-0.3兆円
-0.3兆円
石炭
4円/kWh
+0.1兆円
+0.1兆円
LNG
11円/kWh
+1.4兆円
+1.6兆円
石油
16円/kWh
+1.9兆円
+2.4兆円
合計
-
+3.1兆円
+3.8兆円
※2013年度は、2012年度推計に用いた燃料価格を、直近の為替動向を踏ま
え為替レートを1ドル=100円に補正し、原子力の稼働を2012年度と同等
と仮定して推計。
2
開発目標~高効率発電・低炭素化~その1
ゼロエミッションを目指す我が国の
石炭火力技術
火力発電形態別のCO2排出量
日本の石炭火力の発電効率は世界最高レベル
発電効率(発電端、LHV %)
わが国の発電効率は世界一である。
中国、インドは発電に占める石炭火力の比率が高いが、発電効率は低い。ただし、中国は
ここ数年新設火力が数多く建設されており、効率が高くなってきている。
45
43
41
39
37
35
33
31
29
27
25
日本
ドイツ
米国
豪州
中国
インド
年
29
石炭火力の国際展開(技術移転による低炭素化の推進)
○我が国の石炭火力は、高効率技術(超臨界圧・超々臨界圧)と運転・管理ノウハウによ
り、世界最高水準の発電効率を達成し、運転開始後も長期にわたり維持。
○日本で運転中の最新式の石炭火力発電の効率を米、中、印の石炭火力発電に適用すると、
CO2削減効果は、約15億トン(試算)
○今後も世界で石炭火力発電の需要が増加する見通しの中、相手国の産業構造に合わせた
高効率石炭火力技術の技術移転や、石炭火力の運営管理技術(O&M)もセットにした
システム輸出により、わが国の高効率石炭火力の海外展開を進めるともに技術競争力の
維持を図る。
石炭火力・経年劣化の比較例
出典:「IEA World Energy Outlook 2011」、「Ecofys International
Comparison of Fossil Power Efficiency and CO2 Intensity 2012」か
ら作成
10
世界の石炭火力導入見通し(2012年→2035年)
○IEAによると、石炭火力発電の世界市場は、2012から2035年まで、新増設リプレースを合わせ、累
計約129兆円。
○特にアジアでは、約79兆円であり、アジアでの石炭火力の需要が拡大する見込み。
世界全体
計129兆円
(1,649GW ⇒2,250GW)
ロシア
5.9兆円
(52GW→42GW)
欧州
11.6兆円
(311GW→188GW)
東欧
5.5兆円
(57GW→42GW)
北米
16.6兆円
(360GW→272GW)
中国
27.3兆円
(671GW→1,122GW)
中東
0.1兆円
(0GW→1GW)
アフリカ
9.1兆円
(41GW→79GW)
インド
27.7兆円
(101GW→341GW)
アジア太平洋州
(中印除く)
24.0兆円
(159GW→300GW)
※ IEA World Energy Outlook 2012
1ドル=79.97円で計算。(2011年時点の為替レート) 上段:地域、中段:2012年から2035年までの投資額
下段:2010年から2035年への設備容量
新増設、リプレイスを含む。
南米
0.8兆円
(4GW→9GW)
9
開発目標
~高効率発電・低炭素化~その2
現行アミン吸収
高性能アミン吸収
超高性能アミン吸収
膜分離
現行アミン吸収
高性能アミン吸収
超高性能アミン吸収
膜分離
わが国の石炭火力におけるCCS導入によるCO2削減予測
条件
・2050年にかけての総発電需要は一定のまま。
・原子力、火力ともプラント寿命は40年。
・再生可能エネルギ―は2050年に全体の30%。
・新規の発電量ニーズは、石炭火力と天然ガス火力で賄う。
・CCSを2020年から導入。
開発目標~低品位炭利用~
(百万トン)
1400
輸出余力:4億トン
1200
1200
輸出余力:3億トン
955
1000
800
600
400
輸出余力:1.8億トン
680
655
輸出余力:1.2億トン
496
485
361
800
低品位炭改質技術によ
りインドネシア国内で褐
炭を使い、瀝青炭は輸
出に回すと仮定
200
0
2015
2020
2025
輸出量
2030
新輸出量
低品位炭改質
技術の普及
石炭利用技術開発ロードマップ
【中長期開発】
石炭利用技術開発 ロードマップ
【低コスト化】
石炭利用技術開発 ロードマップ
【低品炭チェーンの確立】
国内展開技術
海外展開技術
2014
2020
2030
2050
2040
技術分野と個別技術
(大分類:低品位炭チェーンの確立)
27 水素チェーン確立
28 SNGチェーン確立
水素輸送
試験
低コスト
SNG製造
技術開発
褐炭ガス化
水素製造
試験
小規模
トータル実証
小規模
トータル実証
大規模実証試験
大規模実証試験
商用化
商用化
石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業(大崎クールジェン)
事業の内容
事業イメージ
○ 高効率かつCO2分離・回収が容易な酸素吹石炭ガス化技
術(酸素吹IGCC)を確立する。また、将来の酸素吹ガス
化により得られる水素による燃料電池と組み合わせたトリ
プルコンバインドの発電技術を見越した実証を行う。
① 技術的特徴
○ 発電端効率55%(←現状USC 41%)
○ ガス化し易い亜瀝青炭利用(低品位炭利用)
○ 酸素吹によるCO2分離・回収の容易性(CO2削減)
○ 酸素吹による水素利用(燃料電池)
可燃性ガス H2 CO等
<第1段階
>
H2
石炭ガス化複合発電(IGCC)
蒸気
ガス
タービン タービン
空
気
空気分
離装置
酸
素
<第3段階>
CO
ガス化炉 H2
廃熱回収ボイラ
H2
H2
燃料電池組込み
CO 2輸送・
貯留へ
CO H2
③期間:H24~H33年度
CO2回収技術
シフト反応器
(総額300億円、事業費総額900億円)※第1段階のみ
今後のスケジュール
第1段階
酸素吹IGCC
実証
第2段階
CO2分離・回収
型IGCC実証
第3段階
CO2分離・
回収型IGFC
実証
適用技術評価
概念設計
CO2回収分離
<第2段階>
完成予想図
2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
酸素吹IGCC詳細設計・建設
煙突
発電
機
② 実施者:大崎クールジェン(電源開発、中国電力)
年度
燃焼器
空気
圧縮
機
ガス精
製設備
石炭ガ
ス化設
備
既設排水
処理設備
実証試験
CO2分離・回収
詳細設計・建設
技術調査
概念設計
実証
試験
CO2回収一体型
IGCC/IGFC
詳細設計・建設
CO2輸送
貯留試験
実証
試験
CO2分離
回収設備
新設排水
処理設備
空気分
離設備
複合発
電設備
実施場所:広島県豊田郡大崎上島町
7
UBC実証事業
 水分60%の市場価値のない褐炭も、瀝青炭同等の発熱量を持つ改質炭になる。
 輸送・貯炭時の安定性が向上し、広範な市場への輸出が可能である。
 低灰分、低硫黄の褐炭の特長を生かし、利用(燃焼)時の環境負荷が小さい。
事業費:74億円(METI 1/2補助) 実施者:神戸製鋼所、JCOAL
1985
1990
1995
2000
2005
2010
2015
褐炭液化事前処理
パイロットプラント
基礎研究
15L A/C
プロセス開発(BSU)
0.1t/d、バッチ式
プロセス開発(2)(PP)
3t/d、連続式、屋内
大規模実証 (DP)
600t/d、連続式、屋外
商業機
3000~5000t/d
設計・建設
運転
適宜運転
39
39
40
41
42
石炭火力発電所からのCO2分離技術
1. 燃焼前回収
Coal (C,H,O,N,S,Ash)
Gasifier
CO shift
N2
Gas Refining
Air
(N2、O2)
O2
CO, H2
ASU
CO2 sequestration
HRSG
GT
H
2
CO2,
H2
Compression/Cooling
2.燃焼後回収
CO2 Storage
Boiler
Coal
(C,H,O,N,S,Ash)
Air
(N2、O2)
Flue gas
treatment
CO2
sequestration
CO2
N2,H2O,O2
Compression/Cooling
CO2 Storage
3. 酸素燃焼
Coal (C,H,O,N,S,Ash) Boiler
N2
Flue gas
treatment
N2,O2
Air
(N2、O2)
CO2 Storage
O2
Oxygen
production
Compression/Cooling
Exhaust gas recirculation (CO2,・・・ ) H2O,SO2
43
豪州との国際共同実証研究:カライド酸素燃焼プロジェクト
豪州クイーンズランド州の既存カライド発電所を、CO2回収が容
易となる酸素燃焼方式に改造し、発生するCO2の回収・貯留まで
を実施する日豪共同の実証プロジェクト。
支援:日本政府、豪州政府
参加企業:CS Energy、ACA、IHI、JPOWER、三井物産(JCO
ALはサポーター)
CO2貯留サイト
カライド発電所
豪
州
ブリスベン
豪州QLD州(ブリスベン周辺)
対象ユニット
燃料
出力
蒸気量
貯留CO2量
CS Energy所有 カライドA発電所 4号機(1968年に建設)
瀝青炭
340MW
136t/h 460℃/4.1MPa
75t/日
44
世界におけるJCOALの活動
2009 2010 2011 2012
MOU
Research and Development
Technical Exchange
Geological Survey
Diagnosis
ご清聴ありがとうございました