Energy and Climate Change - Executive Summary

Energyand
Climate
Change
World Energy Outlook Special Report
エグゼクティブ.サマリー
Japanese translation
国際エネルギー機関
その主な使命はこれまでも、そして今日も次の二つである。石油供給の物理的途絶に対して
加盟国が集団的に対処することで、エネルギー安全保障を促進すること。加盟29か国、および
その他の国々に対し、信頼できる、手頃な価格の、かつクリーンなエネルギーを確保するための
方策について、権威ある調査分析を行うこと。IEAは、加盟国間のエネルギー協力に関する包括的
プログラムを実施している。各加盟国は、石油純輸入量90日分に相当する備蓄を義務づけられて
いる。IEAの目的は次の通りである:
n あ
らゆる種類のエネルギーにつき、特に石油供給が途絶された場合に効果的な緊急対応を行う能力を
維持することによって、加盟国に確実かつ十分な供給へのアクセスを確保すること。
n 特に気候変動の要因となる温室効果ガスの削減を通じ、
グローバルな経済成長および環境保護を向
上させる持続可能なエネルギーを促進すること。
n エネルギーデータの収集および分析を通じ国際市場の透明性を向上させること。
n エネルギー効率の改善や低炭素技術の開発及び活用等を通じ、 将来のエネルギー供給
を確保し、環境への影響を軽減するエネルギー技術に関するグローバルな協力を支持
すること。
n 非加盟国、産業界、国際機関、その他の関係者との取り組みや対話を通
じ、
グローバルなエネルギーの課題への解決策を見出すこと。
© OECD/IEA, 2015
International Energy Agency
9 rue de la Fédération
75739 Paris Cedex 15, France
IEA加盟国:
オーストラリア
オーストリア
ベルギー
カナダ
チェコ
デンマーク
エストニア
フィンランド
フランス
ドイツ
ギリシャ
ハンガリー
アイルランド
イタリア
日本
韓国
ルクセンブルク
オランダ
ニュージーランド
ノルウェー
ポーランド
ポルトガル
スロバキア
スペイン
スウェーデン
スイス
トルコ
英国
米国
本出版物の使用および配布は
制限されている。利用条件はオ
ンライン上に公開されている。
www.iea.org/t&c/
欧州委員会もIEA
の活動に参加している。
エグゼクティブ・サマリー
気候変動に対する取り組みの節目が目前に迫っている。2015 年 12 月にパリで開催
される第 21 回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)の重要性は、新たな削減
目標における具体的な成果という点だけではなく、そこで定められる今後の方向性
にもある。すでにいくつかの明るい兆しが現れている。例えば、気候変動に関する
歴史的な米中共同声明が出されたことや、COP21 に向け自主的約束草案が広範囲な
国から提出されており、さらに多くの国においても策定されつつあることなどであ
る。全体として COP21 の成功は、各国政府が、世界平均気温の上昇を産業化前か
ら 2℃以内に抑えるという既決の目標の達成に必要な行動を最大限に取るという決
意を、伝えられるかどうかにかかっている。
エネルギーが議論の核心になる。世界の温室効果ガス(GHG)排出量の 3 分の 2 は、
エネルギーの生産及び使用によるものである。これは、COP21 でなされる誓約は、
世界経済の成長持続、世界的なエネルギー安全保障の強化、未だに近代的エネルギ
ーを利用できない何十億人もの人々への近代的エネルギーの提供とともに、GHG
排出量を大幅に削減するものでなければならないことを意味する。COP21 で達する
合意は、地理的に包括的である必要がある。つまり、合意には各国の責任と主要状
況を反映し、公平なものでなければならないということである。このようなエネル
ギー部門の重要性を受けて、このワールドエネルギーアウトルック特別報告書は、
エネルギー部門のためエネルギーと気候変動の詳細な分析を提示し、COP21 の成功
の土台となる 4 つの柱を提言している。
© OECD/IEA, 2015
エネルギーと排出量:乖離しつつあるのか
低炭素エネルギー源の使用は急速に増加しており、世界経済の成長とエネルギー関
連排出量の関係が弱まりつつある可能性を示す兆しが見られる。2014 年は、世界
経済が約 3%成長したにもかかわらず、エネルギー起源二酸化炭素(CO2)排出量
は横ばいにとどまった。経済危機の時期を除けば、少なくとも過去 40 年は見られ
なかったことである。再生可能エネルギーは、中国、米国、日本、ドイツでの増加
が牽引し、2014 年の新設の総発電容量の約半分を占め、投資が高水準(2,700 億ド
ル)を維持する一方で、コストは引き続き低下している。世界経済のエネルギー原
単位は、中国など一部の国々におけるエネルギー効率の向上と構造的変化により、
2014 年に 2.3%低下したが、これは過去 10 年間の平均的な低下率の 2 倍以上である。
世界のエネルギー起源 CO2 排出量の約 11%は炭素市場が形成されている分野(平
均価格は CO2 1 トン当たり 7 ドル)で発生し、13%は化石燃料消費への補助金(平
均で CO2 1 トン当たり 115 ドル相当のインセンティブ)が支給されている市場で発
生している。しかし、この双方の市場でいくつかの有望な兆しが見られる。すなわ
ち欧州連合(EU)域内排出権取引制度の改革が視野に入ってきているほか、イン
ド、インドネシア、マレーシア、タイなどの国が石油価格の下落を機に化石燃料向
エグゼクティブ・サマリー
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け補助金を減らし、エネルギーの不要な消費へのインセンティブを削減する方向に
動いていることなどである。
COP21 へのエネルギーの貢献
各国の自主的約束が COP21 の基礎になる。COP21 に先立って各国から提出される
「各国が自主的に決定する約束草案(Intended Nationally Determined Contributions,
INDC)」は、範囲は異なるものの、明示されているかどうかにかかわらずエネル
ギー部門に関係する取り組みを含んだものになっている。2015 年 5 月 14 日時点で、
世界のエネルギー関連排出量の 34%を占める国々が新たな誓約を提出している。こ
れらの INDC や(中国などによる)関連する政策声明が将来のエネルギー動向に及
ぼす影響に関して一時的な評価を、本報告書に「INDC シナリオ」として提示して
いる。それによると、例えば、2025 年までに GHG 純排出量を 26~28%(2005 年水
準比)削減するという米国の誓約は、経済が現在の水準より 3 分の 1 以上伸びても、
排出量の大幅削減をもたらす。2030 年までに GHG 排出量を少なくとも 40%(1990
年水準比)削減するという EU の誓約は、エネルギー起源 CO2 排出量を 2000 年以
降における実績のほぼ 2 倍のペースで削減することになり、EU は炭素原単位が最
も低い地域のひとつとなる。ロシアのエネルギー関連排出量は 2013~2030 年に小
幅減少し、2030 年の目標を余裕をもって達成できる。メキシコの場合は、経済が急
成長を遂げる中で、エネルギー関連排出量は経済のペースを大幅に下回って緩やか
な増加にとどまる。中国はまだ INDC を提出していないが、(遅くとも)2030 年前
後には CO2 排出量を減少に転じさせる意向を示している。同国の CO2 排出量の
2000 年以降の平均的な増加ペースを考えると、これは重要な方向転換である。
© OECD/IEA, 2015
INDC シナリオでは、世界のエネルギー関連 GHG 排出量の伸びは鈍化するものの、
2030 年までに排出量の増加傾向が止まることはない。世界の経済産出量とエネル
ギー関連 GHG 排出量の関係は大幅に弱まるものの、完全に切れるわけではない。
経済は 2013~2030 年に 88%伸び、エネルギー起源 CO2 排出量は 8%伸びる(348 億
トンに達する)。水力以外の再生可能エネルギーへの投資が年平均で 2000 年以降
の水準を 80%上回り、再生可能エネルギーが 2030 年までに第一の電力源となるが、
非効率なタイプの石炭火力発電容量はわずかしか減少しない。これまでに提出され
た INDC および未提出の国々のエネルギー政策案に基づくと、気温の上昇を 2%以
内に抑えられる可能性が 50%あるとされる世界の炭素予算(許容される累積排出量
の上限)の推定残存分は、INDC がない場合の予測よりは 8 カ月遅いが、2040 年頃
までに使い切られることになる。このことは、全ての国が COP21 に野心的な INDC
を提出すること、および共同・協調行動のための機会や(技術や資金などの)資源
の移転によって可能となる機会などを活用して、これらの INDC を将来にさらに断
固たる行動を講じるための基礎として認識することの必要性を浮き彫りにしている。
INDC シナリオでは、2030 年以降に強化された行動を取らない場合、平均気温の上
昇は 2100 年までに約 2.6℃、2200 年以降は 3.5 ℃まで上昇する軌道にある。
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World Energy Outlook | Special Report
エネルギー部門は COP21 から何を必要としているか
COP21 に提出される各国の誓約は、目標レベルを引き上げる「好循環」の基礎と
なる必要がある。COP21 では、最大限に明確な目的と最大限に確実な行動を伴う計
画を政治指導者がエネルギー部門に対し示して、世界及び各国の低炭素発展に対す
る明らかな期待を醸成する必要がある。その達成を支える 4 本の柱がある。
1.
排出量のピーク-世界のエネルギー関連排出量を早期に頭打ちさせる状況
にする。
2.
5 年ごとの改定-成果を定期的に見直し、目標レベルの引き上げ余地を点検
する。
3.
ビジョンの確定-長期的ビジョンと整合性のとれたより短期的な諸約束
で、定められた気候目標を、全体の長期排出量目標に結びつける。
4.
推移の捕捉-エネルギー部門の目標達成に向けた実績を継続して捕捉する
効果的なプロセスを確立する。
排出量のピーク
国際エネルギー機関(IEA)は、世界のエネルギー関連排出量が 2020 年までにピ
ークを迎えるよう、(将来への)橋渡し的な役割をする戦略を提言している。こうし
た早期にピークアウトさせることを目標とする取り組みは、気温上昇を 2℃以内に
抑えようとする政治的決意を示す明確なメッセージを送ることになる。このピーク
アウトは、どの地域の経済発展の見通しも変えることなく、実証済みの技術と政策
だけで達成できるものであり、「ブリッジ(橋渡し)シナリオ」として提示されて
いる。ブリッジシナリオに反映される技術と政策は、エネルギー部門の長期的な脱
炭素化を確実にする上で欠かせないものであり、それを早期に採用することで 2℃
目標達成の可能性が維持される。すでに INDC を提出している国にとっては、提案
されている戦略は目標を上回る達成が可能な分野を明らかにするものとなる。未提
出の国にとっては、実際的な目標基準を設定するものである。
© OECD/IEA, 2015
ブリッジシナリオは 5 つの措置にもとづく。

産業、民生、運輸の各部門のエネルギー効率の向上

最も非効率なタイプの石炭火力発電所の段階的な使用削減と建設禁止

電力部門における再生可能エネルギー技術向け投資を 2014 年の 2,700 億ドルか
ら 2030 年には 4,000 億ドルへと増加

最終利用者向けの化石燃料補助金を 2030 年までに段階的に廃止

石油及びガス生産時に発生するメタン排出の削減
これらの措置は世界のエネルギー構成に極めて大きな影響を及ぼすもので、今後 5
年以内に石油及び石炭の使用量の伸びに歯止めをかけるとともに、再生可能エネル
ギーをさらに増加させる。ブリッジシナリオでは、石炭使用量は 2020 年までにピ
ークに達した後減少に転じ、他方石油需要は 2020 年まで増加した後横ばいとなる。
エネルギー関連の GHG 排出量は全体で 2020 年前後にピークに達する。世界経済の
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エネルギー原単位も発電の炭素原単位も、2030 年までに 40%改善する。中国は、
主に産業用モーターと家電や照明の基準設定を含む民生部門のエネルギー効率改善
によって、そうでない場合よりもかなり早い 2020 年頃までに経済成長を排出量の
増加から切り離す。現時点においてすでに排出量が減少している国々では、経済成
長と排出量の切り離しは大幅に加速される。このデカップリングのペースは、EU
(エネルギー効率の改善による)と米国(2030 年には再生可能エネルギーが排出削
減量の 3 分の 1 に寄与する)の場合、近年の実績よりほぼ 30%加速することになる。
他の地域でも経済成長と排出量増加の関係は大幅に弱まるが、各措置の相対的な重
要性は異なる。インドでは、エネルギー利用の効率化により、エネルギー部門に関
する目標が達成されるとともに排出量の伸びが緩和され、中東とアフリカでは石油、
ガス生産から排出されるメタンの削減と(最貧困層を対象とした支援を提供しつつ)
化石燃料向け補助金を改革することが主要な措置となり、東南アジアでは様々な選
択肢の組み合わせで排出量を削減できる。ブリッジシナリオでは、誰もが近代的エ
ネルギーを活用できる状況までは達成されないものの、エネルギー関連の排出量を
削減する取り組みは、2030 年までに 17 億人が電力を、そして 16 億人が衛生的な料
理用レンジを利用できるようにする取り組みと連動するものである。
5 年ごとの改定
より高い気候目標の達成に向けて長期的に取り組むには、緩和目標を 5 年ごとに見
直す必要がある。多くの低炭素技術の費用と性能が改善していくとともに、各国で
低炭素政策の成果が出始めるため、気候目標の設定をめぐるエネルギー状況は急速
に変化していく。ブリッジシナリオで打ち出されている戦略は、2℃目標を維持可
能な範囲に短期的にとどめるが、2025 年以降の目標については追って強化する必要
がある。5 年ごとに目標レベルを見直すことを認めるメカニズムを COP21 で合意す
ることで、進捗状況に定期的に関心を集めることになり、必要な脱炭素化の完遂に
長期的に取り組んでいく決意を示す明確なメッセージを投資家に送ることになる。
© OECD/IEA, 2015
ビジョンの確定
2℃目標を、明瞭でかつ共同の長期排出量目標などの付随的な目標へとつなげるこ
とで、長期的な目標と整合性のある将来の政策をより容易かつ確実に打ち出せるよ
うになる。このような付随的な目標は、エネルギー部門が低炭素下での長期的な発
展の道筋を採用する必要性を高めることになる。究極的な気候目標の達成には新技
術の開発促進が必要だが、450 シナリオが明らかにするとおり、ブリッジシナリオ
で示す施策をさらに越える措置によって、必要な技術が、広範な普及が必要になる
時までに十分な進歩水準に達することが可能になりうる。風力発電と太陽光発電の
技術に対する支援を早期に始めたことは、コストを下げ、大規模な普及を実現させ
る上で、極めて重要な役割を果たしている。出力の変動が大きい再生可能エネルギ
ーの貢献が高まる一方で(エネルギー貯蔵などを通じて)電力供給の信頼性を確保
し、電力部門と産業における追加的な排出削減(炭素回収・貯留など)をもたらし、
道路輸送に占める代替燃料自動車のシェアを高める技術の開発と普及を図るには、
同様のアプローチが必要である。450 シナリオにおける投資額は他のシナリオより
わずかに多いだけであるが、これは低炭素のエネルギー供給とエネルギー効率化に
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World Energy Outlook | Special Report
重点的に投資するものであり、(特にこの種の資金調達手段がまだ存在していない
国では)こうした投資資金を調達する効果的な手段の必要性を際立たせている。
推移の捕捉
各国が自主的に決めた緩和目標への進捗状況を捕捉する強力なプロセスがなくては
ならない。目に見える成果を示す根拠が示されることによって、全ての国やエネル
ギー部門関係者が、全てのプレーヤーが協調して行動しているという確信を得られ
る。いずれにしても、それに関連するエネルギー・データのシステムは、国内の意
思決定を支えたり、取り組みに苦慮する人々や助力を必要とする人々を特定したり
する上でも欠かせないものである。COP21 では、2020 年以降における報告及び算
定の枠組みの詳細までは決まらないかもしれないが、少なくとも、排出量の計測及
び報告に関するルールの必要性や、各国により推進されるであろう様々な種類の緩
和目標に関する算定のルールを整備する必要性など、いくつかの高次の原則につい
ては合意すべきである。エネルギー部門の脱炭素化への進捗状況を継続して捕捉す
るというのは複雑な作業であり、現在多くの国で収集やモニタリングされているも
のより幅広い計測手段が必要とされる。この必要性に照らして、この報告書ではエ
ネルギー部門の脱炭素化を追跡するための、一連の適切な高次の指標が提案されて
いる。
エネルギー変革という財産を確固たるものに
2015 年は、政策当局が、必要な変革機運を確立できる年になるだろうか。答えは
まだ分からない。しかし、本報告書に盛り込まれた提言以降のプロセスを支援すべ
く、IEA は、COP21 に向けて、新たな提出分を取り入れた INDC 分析の更新版を適
宜公表していく方針である。また、本報告書の主要な結論を隔年開催の IEA 閣僚理
事会(2015 年 11 月 17~18 日)に提出し、その承認も求める。COP21 以降も引き続
き、IEA は、豊富なエネルギー関連のデータや指標を駆使して、各国の削減目標と
全体の見通しがさらに策定、精緻化、改定、実施されていくに応じて、それらの影
響を評価していく。
© OECD/IEA, 2015
2℃目標を達成するには、世界のエネルギーシステムの転換が統合的なビジョンに
ならなければならない。課題は厳しい。しかしエネルギー部門の長期的な脱炭素化
の実現性あるビジョンが、より短期の取り組みを支えるために利用可能であり、究
極的には、それを実現する手段も共同で採用することが可能である。我々の世代が
責任を持って次世代にこの世界を受け渡すには、持続可能な形で営むことをすみや
かに学ばなければならない。
エグゼクティブ・サマリー
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本文書の原文は英語である。
IEAは本和訳が原文に忠実であるようあらゆる努力をしているが、
多少の相違がある可能性もある。
This publication reflects the views of the IEA Secretariat but does not necessarily reflect
those of individual IEA member countries. The IEA makes no representation or warranty,
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IEA PUBLICATIONS, 9 rue de la Fédération, 75739 Paris Cedex 15
Printed in France by IEA, June 2015
Cover design: IEA, photo credits: © GraphicObsession
Energyand
Climate
Change
2015年12月にパリで開かれる極めて重要な気候変動枠組み条約締約国会
議(COP21)に向けて、世界が動き始めている。
そこでは、世界を持続可能な
軌道に乗せることを目標に、
「各国が自主的に決定する約束草案(INDC)
‌」
と公式に呼ばれる各国の誓約も踏まえ、交渉が繰り広げられる。
国際エネルギー機関(IEA)は、
その加盟諸国および世界全体に対し、国際的
な環境要件に矛盾するエネルギー生産と利用は持続可能ではなく、エネ
ルギー安全保障の要件を満たさないと、長きにわたり強調してきた。
その
ためIEAは、COP21に対して、気候変動関連とエネルギー部門双方のニー
ズを両立させうるような貢献をする使命を認識している。
それが、
ワールド
エネルギーアウトルックシリーズにおけるこの特別レポートの目的である。
本書に収録されている内容は、以下の通りである。
n C
OP21に向けた各国の自主的約束草案がエネルギー部門に及ぼす影
響の初期的な評価を提示。
n 世界のエネルギー関連温室効果ガス排出量を近い将来に頭打ちさせ
る(将来への)橋渡し戦略を提言。
この戦略は、エネルギー部門を通じ
て、経済成長を停滞させることなく、気候目標に向かわせる5つの実際
的な方策にもとづく。
n 世界のエネルギーシステムを、気候変動目標と整合したものに変革す
るために究極的に不可欠となる新技術につき、それらの開発を加速さ
せることの喫緊の必要性にも焦点。
n エネルギー部門の見地から、COP21成功の足がかりとなる4つの柱を
提案。
詳細な情報と報告書の無償ダウンロードについては、以下のウェブサイトをご参照ください。
www.worldenergyoutlook.org/energyclimate