「学び続け、学びの実感が得られる課題作り」

【研修部より】
1 研修組織
(1) 研修推進委員 ◎山口、遠藤、教頭
(2) 研修部会
・時間割の中に位置づけ、週に1度実施する。
・全体研修の進め方や内容の検討と準備
(3)研修組織
研 修 部 会 で 話 し 合 わ れた こ と を 学 年 に 伝 え 、ま た 学 年 の 意 見 を 吸 い上
げ、研修部会に伝える。
内容の連絡
研修部会
学年、個人
意見の伝達
(4) 全体研修及び
グループ研修
2
・研修は年9回(うち1回は小中合同研修会)
・開始は15:10から(後期は15:00から)
・主な内容は授業参観→研修とする
・研修を深めるために必要に応じて外部講師を迎える
・授業研修以外に教育課程研修を5回行う
研修テーマについて
「学び続け、学びの実感が得られる課題作り」
設定理由
人は寄り添うことで、一人のときより多くのことを学ぶようになる。どの子も一人残らず学習に参加
し、仲間と協同することでいろいろなことを学び、自分の力を伸ばしていってほしい、という思いから、
昨年度まで「ともに創る ともに伸びる」という研修テーマを掲げて研修を行ってきた。
授業では生徒同士がひびき合い、ともに学びやすくなる環境を整えるため、座席の配置はコの字形を
基本とし、グループ学習の場面をできるだけ1回は授業の中に取り入れることで、「協同的な学び」が
成立する場面を設定した。
この「協同的な学び」が成立するためには、学び合いが成立できるような導入や学習課題、単元構成
を工夫する必要がある。昨年度の振り返りには、授業の中でグループ学習を取り入れていても、生徒の
知的好奇心が持続せずに学びが停滞してしまうグループがあったり、その時間の中で何を学んだのかと
いう学びの実感が得られずに授業が終わってしまったりしたという意見があった。生徒達の学び合いが
生じるような魅力ある課題が重要である。
そこで今年度は、昨年度までのテーマを生かしつつ、より具体的に授業改善に取り組めるよう、研修
テーマを「学び続け、学びの実感が得られる課題作り」とし、1年を通して「課題」を意識した研修を
行っていく。
具体的には、授業内で思考が持続する課題、知的好奇心を刺激する課題作りを教員が意識し、授業改
善を行っていく。その中で、思考の持続状態を見取ることや、知的好奇心を刺激し続けるような教師の
関わりについても研修を広げていく。研修の方法としては、公開授業と研究協議(1人年1回)を行い、
事後研修では「課題」について、また、課題に対して生徒達がどう動いたかについて検討していく。
3
重点目標について
27年度の重点目標が「学びの実感」「やわらかい関係」に変更になったのに伴い、研修の重点目標
を「生徒:仲間の発言や疑問に誠実に向き合おう」
、
「教師:ひとりひとりを見取り、関わろう」にした
いと考える。
設定理由
「生徒:仲間の発言や疑問に誠実に向き合おう」
わからないことを「教えて」ということは勇気がいることである。仲間が勇気を出して「教えて」
という一声を発したら、敏感に気づいて、その勇気に誠実に向き合い、「教える」という動きに出る
態度を育てたい。また、仲間に訊かれたらただ答えるだけではなく、仲間の態度や表情から「何か困
っていない?」
「大丈夫?」と他を思いやり、仲間のために、人のために動ける態度を育てたい。
さらに、自分の思いをみんなの前で述べるのも勇気がいることである。「いまの○○さんの発言の
~がいいと思う」「自分は~と思うんだけど、あなたはどう思う?」など仲間の発言をつなぐ言い方
や、思いを認める言動が見られるようにしたい。
「教師:ひとりひとりを見取り、関わろう」
ある生徒は「分からない」顔をしているかもしれない。ある生徒は「これについて自分の思いを伝
えてみんなと話し合いたい」という顔をしているかもしれない。生徒の姿から、教師は生徒の思いを
見取ることが大切である。生徒ひとりひとりの目を見て、その子の感じていることに思いを馳せ、個々
の学びを保障するために、今、必要な手立てを教師が打っていこうとする姿勢でありたい。また、終
わったあとも「今日はあの子は何を学んだのだろうか」
「今日の授業で満足のいく学びは出来たのか」
と自分の授業を振り返り、次に生かすことで、生徒の思いに応えたい。ただここでいう「満足」とは、
もちろん簡単なことを理解してそれでよし、とする態度のことを意味していない。理解が遅い子も速
い子もその子なりに伸びる、そういうチャレンジングな課題をやりとげることを通しての満足感を感
じてほしいと思う。生徒の目を見て、いつもそこを意識する(=見取る)ことが、自然にひとりひと
りの学びを保障していく授業につながっていくと考える。
しかし、教師側の思い込みにならないようにするために、学習の主体である生徒の声を聴かなければ
ならない。生徒の思いや満足度などを知るために、授業の終わりや各単元の終わりに振り返りなどを
実施し、生徒がその時間に身に付いたことはなんだったのかを把握し、フィードバックするために、
気づいたことや学んだことを自分の言葉で表現させるような時間を設けたい。また、「授業について
語る会」「生徒による授業評価」を定期的に行い、授業改善に生かしたい。その積み重ねは表現力の
向上にもつながっていくであろう。生徒一人一人の思いや理解度を受け止め、「ひとりひとりの学び
を保障する」指導に生かしていきたい。
4
研修の方向性について
研修テーマ「学び続け、学びの実感が得られる課題作り」を柱とし、生徒の学力向上を目指す。
⇒重点目標「学びの実感」を具体的にイメージできるように、以下のことを全ての教科で取り組む。
①生徒ひとりひとりを見取り、その子の感じていることに思いを馳せ、個々の学びを保障するた
めに今、必要な手立てを教師が打っていこうとする姿勢で臨む。
②聴き合う生徒を育てるために、まず教師が生徒の話を聴く。
③単元全体もしくは本時の授業について、到達レベルを「~できる」という形で具体的に示す。
学習内容によっては、複数の到達レベルを示すこともある。
④「課題解決型学習」を授業に多く取り入れ、知的好奇心をもって思考や意見交換が持続するよ
うな学習課題の開発を意識して授業改善に取り組む。
⑤「定着したことが授業に活きる家庭学習」を目指す。例えば、繰り返し練習したことが次の授
業で発揮され、仲間の賞賛を浴びることで自信につながる、といったケースが考えられる。
⑥学力が着実に身についたことを生徒自身が実感できるよう、振り返りの場を必ず設定する(「~
がわかった」「~ができるようになった」など)。
⑦「授業を語る会」
、「生徒の授業参観」を実施し、生徒の声を授業改善に生かす。
⑧生徒による授業への生の声を聴くための授業評価を学期ごとに実施、検証し授業改善に活かす。
5.「学びの実感を得られる」授業を目指して
具体的な研修の手立てを以下に示す。
Ⅰ【やわらかい関係】・・・人間関係作りのために
(1)
「授業のマナー」について
全教師が授業改善を図り、「学びの実感を得られる」授業を推進していくためには共通して押さえ
ていかなければならないことがある。これを26年度は「授業のマナー」として、生徒に守るべきル
ールではなく当たり前のマナーとして意識させてきた。本年度も、以下の内容で「やわらかい関係を
つくる」ためのマナーとして、年間を通して意識させ、「学びの実感」を得られる授業つくりを目指
したい。生徒には年度当初に「学びの実感を得られる」授業のための大事な心得として、以下のこと
を伝える。
ア
4 人グループでの話し合いは全員が参加し、発言しよう
イ
分からなかったら「ここどうするの?」と訊こう
ウ 聞かれたら相手がわかるように丁寧に説明しよう
エ 聴くときはうなずくなど、聴いていることを態度で示そう
オ ともに学んで、伸びていくために、安心してつぶやける雰囲気にしよう
教師は、このマナーが浸透するように、様々な場面で声を掛けていく。
・グループ学習では、友達の意見を聴くだけでなく、必ず自分の意見を述べる。
・課題について自分の意見をもち、根拠を示して発表する。
・友達の意見は、発言者の方に顔を向けて聴く。
・わからないことは訊く。
・訊かれたら、相手が分かるように丁寧に説明する。など前述事項参照。
(2)教室の生徒の机の配置はコの字形を基本とする。
学校全体として、「対話」を基本としたイメージを生徒や教師がもてるように、各教室でコ
の字形を基本とする。
机の配置の・・・
よい例
よろしくない例
男
女
男
女
男
女
女
男
女
男
男
女
女
男
女
男
(3) グループ学習の場面をできるだけ1回は授業の中に取り入れる。
・
「協同学習」の場として、グループ学習の場面をできるだけ1回は授業の中に取り入れる。
また、全員が話し合いに参加でき、様々な視点から意見交換ができるように、各グル
ープの人数は3~4人程度で、男女混合とする。座席は男女ジグザグ(市松模様)とする。
・生徒の人間関係を考慮し、特別教室での授業においても、基本的に教室の学習班は崩さ
ない。
(4) 互いに意見を聴き合える集団づくり
・互いの意見を聴き合い「対話」のできる学級づくり
「学び」を促進するコミュニケーションにおいて、重要なのは聴き合う関係である。 「学び」に
おいては、
「話す」行為の以前に、
「聴く」ことができることが前提とされる。更に「訊く」ことが
できる関係をつくる。また、誰とでも「対話」ができるように、席順を短期間で変えていくことも
考えていく。
・しっとりとしていて、じっくりと学びに挑戦する雰囲気の授業づくり
教室でいくら「はい」「はい」と手があがって活発な意見が出ようとも、その子どもたちが教師
や他の子どもの言葉に耳をすまし合う関わりを築いていなければ、自らを変容させるような学びを
体験することはない。教師はテンションを下げ、挙手している生徒以外の、言いたそうだなという
生徒を感じて指名することも行う 教師はしゃべりすぎず、
「聴く」
「つなぐ」
「戻す」ことを心がけ
る。
(5)聴き合う生徒を育てる授業づくり
生徒が安心してかかわり合い、学びを深めるためには、重点目標「やわらかい関係」を意識した
集団づくりが重要である。
その関係をつくるには、まず教師が子どもの発言に耳を傾けなければならない。話し手の目を見
て、身体を傾けてうなずきながら聴く。話し手の表情を受け入れてやる。聴いたことを、他の生徒
につなげて掘り下げていく。教師が一方的に話すのではなく、生徒の発言が授業の中心にある・・・
そういうイメージを教師が共通してもつことが大事だと思われる。「聴き合う場面」を意識して授
業の中に取り入れていく。
また、もちろん聴く姿勢も大事である。授業だけでなく、短学活などの際にも、誰かが発言して
いるときには、その人の方に身体を向け、まず聴く体勢をつくるように全教師が意識して声を掛け
ていきたい。
Ⅱ 【 学 び の 実 感 】・ ・ ・ ひ と り ひ と り の 学 び を 保 障 す る た め に
(6) 学び合いが成立し、ひとりひとりの学びの環境を保障するような導入や学習課題、単元構成
を工夫する。
・生徒の知的好奇心を揺さぶる導入の工夫
導入を生徒にとって魅力のある教材との出会いとすることで、生徒の知的好奇心を
揺さぶり、学習課題に対する追究意欲を高める。
・やや高いレベルの学習課題を設定する。
すべての子どもの学びを保証するために、やや高いレベルの学習課題を設定し、同時に
わからない子の疑問やつまずきを積極的に取り上げる。そして、わからない子の課題と
のギャップは教師と子どもたちが協同で埋めていく。また、より生徒の意見がつながる
ような、意見の交流を生む課題を考えていく。
・生徒達が「今日何をやったのか」がわかるような課題の提示、授業展開を工夫する。
授業が終わったときに、
「今日の時間で何を学んだのかがわからない」
「何となく終わっ
てしまった」ということがないように、どの生徒も本時の課題を共通理解できるような
課題の提示や、授業の展開を工夫する。
・板書の工夫
授業の中で、課題や授業の流れを生徒が確認できるような板書を工夫する。
・プロジェクト型(登山型)のカリキュラムを設定する。
学びの到達点が目標として定められていて、学びの過程が固定されているプログラ
ム型(階段型)のカリキュラムに対して、特定の主題を中心として教材と学びの活動
が組織されており、多様な道筋が学びの過程に準備されているプロジェクト型(登山
型)のカリキュラムで単元を構成する。生徒が多様な考えをもち、それぞれの考えを
すりあわせながら到達できるような授業でありたい。
(7) 公開授業(一人最低年1回)を実施する。
・授業案は作成しない。全員で参観する中心授業の時は、座席表を裏面に印刷した「授業デ
ザイン」を出す。授業公開日の1週間前までには、いつ、どこで、何時間目に、どのクラス
で、どの教材で授業を行うのか、研修部に知らせる。
・公開授業には、自習体制・時間割変更等で対応し、先生方が必ず参観し、授業中の生徒の
学びを中心に参観することを心掛ける。その際には、授業に立ち入らないことを心がける。
また、公開授業以外でも『誰でも、いつでも、どこででも』参観しあう雰囲気、姿勢を心
掛けていきたい。
【授業を見る視点】(仮)
①生徒同士が関わり合い、学び合うことができていたか。
②教師の発話は少なく、生徒の意見の交流は多かったか。
③進んで活動に参加していない生徒に対し、教師はどのような支援を行ったか。
④その子なりに学ぶことができたか。
⑤授業を通して学んだこと(身についたこと)は何だったのか。
【話し合いの留意点】
・研究協議の場では、自分が授業を通して見取った生徒の姿について述べる。生徒の姿から、
それに対応した教師の関わりはどうだったのか(切り返し、つなぎ、補助発問等)、課題
は適切だったのか、つけたい力がついたのか等について、教師が互いに学び合う場とする
ため、最低限一人一回は発言する。
(8) 「授業を語る会」
「生徒の授業参観」について
・公開授業実施後、事後研修の前半に「授業を語る会」を設ける。
①公開授業実施クラスの生徒数名を残し、帰りの会後、15分ほどで実施する。
②生徒は1グループ4人ほどのグループに分かれ、授業について自由に話しをする。
(話題は研修部で提案)
③教師はその話し合いを聴き、後半の研究協議に生かす。
・公開授業に、他学級の生徒を参観させる。
参観した生徒は、その後の授業を語る会にも参加させる。
6.チャレンジテストについて
基礎学力向上、学習習慣の形成をねらいとし、20点満点のチャレンジテストを行う。
・国・数・英の3教科のテストを毎週木曜日、朝自習の時間に行う。
・問題のレベルは、あくまで基礎学力が向上できるものとする。
・覚えるべき問題や範囲についてはその前の週の木曜日に提示。
・後期に、
「全国学力・学習状況調査」の過去問を実施する。
・教科担任が採点し、テストは担任へ返却。教科担任は、結果をパソコンの表に打ち込む。
・前期、後期の終わりに、成績優秀者に賞状を与える。
7.研修計画について
授業改善を推進するために、一人一公開授業は継続する。また、丸山和彦先生の招聘回数は2回と
する。学活または道徳の研修も取り入れる。この他に課題設定の実践例についても事後研修などで研
修したい。授業後の研修会に生徒も参加する。
○指定公開授業日程
月
日
内
容
授業者
① 4/3(金)
研修の概要の確認と指針
② 4/22(水)
公開授業
③ 6/24(水)
AED研修
④ 7/1(水)
公開授業(丸山和彦先生来校)
⑤ 9/1(火)
評価・評定について
⑥ 10/28(水)
公開授業(学活か道徳)
⑦ 11/25(水)
小中合同研修会(会場:吉永第一小)
⑧ 12/2(水)
公開授業 (丸山和彦先生来校)
※授業者は3年部以外で
遠藤先生
⑨ 2/22(月)
公開授業
橋立先生
藤澤先生
安田先生
山口
※公開クラスは3年以外で
●この他に一斉授業研(社会:11/4)がある。
○一般公開授業
月
一般公開授業は空きの先生方でご参観いただく。
日
内
容
授業者
月
日
柏木先生
月
日
三浦先生
月
日
藤巻先生
月
日
石川先生
月
日
三村先生
月
日
川崎教頭