北里大学付属動物病院 X 線検査報告書 ー Radiology Report ー 読影日:平成 フィルム評価 Technique E/ G/ F/ P Positioning E/ G/ F/ P 21 年 Fat (BCS) 1/ 2/ 3/ 4/ 5 1月 某日 Respiratory Ex / In 読影所見 肝臓の鎌状間膜に多量の脂肪が存在し、外側左葉の陰影が明瞭となっている。また、色調補正 で脊椎背側に多量の脂肪が存在しているのが分かる。 <腹部 RL> 高度の脂肪蓄積。 両側大腿骨の頭側面、皮質骨より外側に均一な透過性を持つ、石灰化の顕著な骨膜反応が認め られる。画面の解像度の問題から、反応様式ははっきりしないが、境界明瞭な皮質骨の破壊を 伴わない骨膜反応と考えられる。 <腹部 VD> 腹部において特記すべき異常所見は認められない。消化管内の食渣は皆無。 胸部に腫瘤を認めるが、詳細は胸部読影の項目に譲る。 <胸部 RL> T6-7 椎体腹側、T8-10 肋間に 2 つ、周辺との境界がやや明瞭な、軟部組織様の腫瘤陰影を 認める。 片側の上腕骨(尾側に位置する側)の尾側面に、大腿骨と同様の骨膜反応を認める。 <胸部 VD> 右第 6-7 肋間に肋間と同等の径を持つ軟部組織様の腫瘤。 心尖部と重なるように、左第 7-10 肋間に軟部組織様の腫瘤。 T9-10 椎体に重なるように、境界やや明瞭な軟部組織様の腫瘤。 以上 3 箇所に、マス陰影が認められた。 <前肢 RL> (通常、片側ずつ ML 像を撮影すべき。また、上腕、前腕あるいは関節など、部位を決め、そ れぞれに適した露出条件で撮影すべきであり、この写真は診断価値が低い。さらに、首輪[金属] をせめてはずしてほしかった。) 上腕骨から橈骨、尺骨に至るまで、骨皮質外周に境界明瞭な、石灰化を伴う、皮質骨への侵襲 性が低い、均質な骨膜反応を認める。 <右前肢 ML> 基本的に前項の前肢 RL の所見に等しい。尺骨の尾側において、層板状の骨膜反応であること が認められる。 北里大学付属動物病院 <右前肢 CrCd> (一般的な CrCd 像の撮影方法ではない。上腕から橈尺骨にかけて、斜位になっている。診断 的価値は低い) 上腕骨内側に、本来の上腕骨々幹と同等の厚さをもつ、均質な内容の骨膜反応が生じている。 <左前肢 ML、CrCd> (左前肢 CrCd において、ローラーの不調か、フィルム充填の際に袋から手荒に抜き取ったせ いか、引っかき傷がついている。CrCd 像において、一般的な撮影を行っていないどころか、 体幹部と重複してしまい、読影が困難になっている。) 右前肢とほぼ同様の所見を呈している。 <手根 DP> (指の末端が含まれておらず、前腕を撮影しているようなポジショニングとなっている。) 右第 5 中手骨の右側に、上腕骨や橈尺骨と同様の骨膜反応が認められる。コントラストをあげ ると、全中手骨から基節骨にわたって、骨膜反応が生じていることがわかる。 左手根部では、右側ほどではないが、中手骨に内容均質な骨膜反応が認められる。 診断的印象 診断・鑑別診断名 研修医 胸腔内に大きな腫瘍性病変が認められることから、四肢に肥大性骨症が生 じていると考えられる。 肺野の腫瘍は、個々では境界明瞭だが、多発性であり、悪性度は高いと考 えられる。 原発の腫瘍と考えられるような結節は、腹腔内において認められず、胸腔 (肺)原発の可能性が高い。 原発あるいは転移性肺腫瘍、肺性肥大性骨症 担当獣医師 柿崎竹彦
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