認知科学(認知心理学) 1.態度と偏見 1)態度の形成に影響する要因 2

2015/5/15
1.態度と偏見
認知科学(認知心理学)
http://www.slis.tsukuba.ac.jp/~morita.hir
omi.gm/ug_psychology
6.社会行動
1)態度の形成に影響する要因
ザイオンスの実験
トルコ語の単語リスト(出現頻度1~25回)
良い意味?悪い意味?
• 態度:ある事象をどう評価するか,それに対し
て,どのような行動をとるかを決める要因
– 価値観,イデオロギー,信念,意見,好き嫌い
• 偏見:態度の一つで,非合理的評価に基づく
– 我々は,物事に対して自分なりの価値観をもち,
合理的な態度をとっていると考えているが,実は
意外なほど周囲からの影響を受けている
サブリミナル効果
幾何学的図形を閾下提示
新しい図形と対提示
どちらが好きですか?
どちらが好き?
先行提示した図形を選択する傾向
眼にふれた頻度の高いものを選ぶ傾向
単純接触効果
2)態度変化に影響する要因
• 相手の態度を変化させようと思うなら?
1.
2.
3.
4.
飲食物の効果は有効
極度の恐怖は逆効果
態度変化に対する抵抗力(マクガイアの接種法)
認知的不協和
参考文献「サブリミナル・マインド潜在的人間観のゆくえ」
下條 信輔 著 中公新書
認知的不協和理論
自分の態度と矛盾した行動をとる
認知的不協和
★矛盾を解決で
きるような理由が
あれば問題ない
態度を変えることにより低減する
1
2015/5/15
フェスティンガーとカールスミスの実験
「運動作業実験」という名目の退屈な作業
他人に「とても楽しい実験」と説明
1ドル
謝礼
• 人に,その態度と矛盾する行動をさせること
で態度を変えさせようと思ったら,その誘引(
対価)は最低限でなければならず,強すぎて
はならない
20ドル
実験に肯定的
否定的
何故?
エリオットの実験
3)偏見の形成に影響する要因
小学校3年生の児童を対象とした実験
1. 社会的影響:文化的規範や経済的影響
2. 人格的要因:自信をもっているか,自分の生
活に満足しているか
• 安定した自己像をもち,自分の環境に満足し
ているタイプの人間は偏見をもちにくい
瞳の色でグループに分けるゲーム
熱狂的な差別行動と
行動力の低下
2.同調と関与
• 同調:社会的規範(集団圧力)を個人が遵守
すること
• 65%の被験者が実験者の教示に同調した
ミルグラムの実験
電気ショック発生装置
電気椅子に固定
単語の対連合学習実験
教師役
学習者役
課題提示、罰を与える
電気ショック
(15~450ボルトのスイッチ)
やることを説明中
•
•
•
•
もうこれ以上実験できません!
学習者の姿が見える場合,同調者は40%に減少
実験者が電話などで指示する場合,途中で拒否する被験者が増加する
が,そこで実験者が現れて継続するように言うと同調する
単語を読み上げるだけで良く,他の人がスイッチを押すようにすると,同
調者はほぼ100%に
多くの一般市民は,権力の元に非人間的な行為を行うことから逃れられ
ないのではないか...
2
2015/5/15
• 関与:他人への援助が要請される非常事態
で個人が行動を起こすこと
ラタネとダーレイの実験
小部屋にて質問紙に記入している最中,
通風孔から白煙
単独の実験参加者
複数の実験参加者
– 単独の場合,10人中7人が異常を報告する
• 「危険かどうかはわからないが,異常な事態であると
考えた」
– 複数の場合,10人中9人が煙に悩まされながら
そのまま質問紙に答え続ける
• 「煙はエアコンの蒸気だと思った.」「実験条件だと思っ
た.」「真実を答えさせるガスだと思った.」
• その場に,他人同士複数人が居合わせる場合,社
会的責任のある行為がなされる可能性が低い
– 非常事態に直面した人は,一人でいるときのみ何らかの
行動を起こす
3.集団の力学
アッシュの実験
視覚判断の実験を集団で行う
あなたは,他人の回答に関係なく正しい判断を主張
できますか?
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