第3学年2組 社会科 学習指導案 平成27年7月2日(木)5限 指導者 村松 利雄 1 単元名 現代社会をとらえる見方や考え方 2 題材名 決まりの見直しと評価の視点 3 指導に当たって (1)単元観(題材観) 本単元は現行の中学校学習指導要領社会科の内容、 「イ 現代社会をとらえる見方や考え方」をおこなう。 私たち人間は社会的存在であり、社会生活の中では様々な立場の人々が利益を得るような物事の決定の仕方 きまりが必要である。また、そのような社会で生きる私たちは、 「対立と合意」「効率と公正」といった視点 から多面的に社会を見る力、考える力が必要である。本題材では、対立が起きた場合、それを回避して合意 を形成していく過程において、各意見の背景にある立場を理解・尊重しながら、多面的な視点から課題解決 をしていかなければならないということを学ばせたい。 (2)生徒観 3年2組は大半の生徒が真面目な授業態度で、授業も意欲的に取り組む。女子を中心に発言も積極的であ る。憲法改正の是非を問う歴史学習の討論では、自らの立場を明らかにしながら、教科書の記述や資料、最 近のニュースなどをもとに発言する生徒もいた。また一部の生徒には相手の意見を聞いた上で、さらに意見 をぶつけるなど思考の深まりも見られた。多様な意見が練り上げられることを期待したい。 (3)指導観 子どもたちは、地域社会や学校などの社会集団の中で多様な価値観と出会い、社会の多面性を理解する。 しかし、近年はコミュニケーションをとることが苦手で、子どもたち同士で多様な意見に出会うことやそれ らを対立させて課題を解決するという経験が少ない。また、地域社会の中で活動する機会も大幅に減ってい る。そこで、本教材では自治会での溝掃除に関する対立を解決する中で、資料と共有ワークシートを用いた 話し合い活動の中で様々な立場からの意見があることを認識し、それぞれの意見について、その背景となる 立場から理解しようとする態度を身に着けさせたい。 4 研究主題との関わり 研究テーマ 焦点化・視覚化・共有化を視点にした教育活動 (授業改善・集団づくり)の実践 ~ 東中を学ぶ喜びに満ちあふれた学校に ~ 仲間を大切にしながら、生徒が学ぶ喜びや楽しさを実感する授業する授業づくりをめざして設定された。 そして、 「全員がわかる・できる授業」を実現するため、授業のユニバーサルデザインの3つの視点 シンプル(焦点化) ・ビジュアル(視覚化) ・シェア(共有化) を研究している。 そこで、本時の授業では次のような工夫を行う。 (S)焦点化(シンプル) ・本時の目標を、自治会での溝掃除に関する対立の解決というわかりやすい課題に精選し、他者理解・多面的 な考察の態度を身につけさせる。 ・本時のめあてを授業冒頭に明確に提示する。 (V)視覚化(ビジュアル) ・ワークシートを用い、小課題ごとに、目標に向かって活動させる。 ・A地区の風景や登場人物 4 人の様子を黒板に貼る。 ・パワーポイントを活用し、本時の課題について興味関心を持たせる。 ・付箋と共有ワークシートを用い、多面的に考察することの必要性・難しさを理解させる。 ・各立場についてのイラストを見せ、各立場の思いを理解させる。 (H)共有化(シェア) ・異なる意見の資料を分担して読ませ、読み取った内容を説明させる。 ・共有ワークシートを用いて、きれいな溝をみんなで維持するための新たなルールを、話し合い活動の中で 考えさせ、異なる考え方や価値観を共有させる。 ・効率、公正の観点からきまりの評価し、見直しをさせる。 5 単元の目標 ・社会集団における物事の決まり方やルールを守ることの意義について理解し、「対立と合意」、 「効率と公正」の視点から多面的に考察し,その過程や結果を説明することができる。 6 単元の評価規準 関心・意欲・態度 思考・判断・表現 資料活用の技能 知識・理解 社会集団における物事の 決まり方やルールを守る ことの意味に対する関心 を高め、実生活に結びつ けて意欲的に追究するこ とができる。 社会集団の中の様々な問 題の解決策を、「対立」 と「合意」、「効率」と 「公正」の視点から多面 的に考察し、その過程や 結果を説明することがで きる。 様々な立場に関する情報 を資料や図表から読み取 ることができる。読み取 った情報や自分の意見 を、図表にまとめること ができる。 ルールの意味や、合意の 妥当性の基準を理解する とともに、社会の中では 合意に至るための様々な 努力がなされているとい うことを理解できる。 7 指導計画 学習内容 1 社会における私たちときまりの意義 2 契約の意義と個人の責任 指導目標 自分たちは社会的存在であり、ともに生きていく ためのきまりを、私たち自身が作っていかなけれ ばならないということを説明することができる。 私たちが契約を守らなければいけないのは、契約 とは互いの権利を保証するものであり、そのため には義務を果たす責任を負うからであるというこ とを説明することができる。 「対立と合意」 対立が起こるのは、個人によって意見や利害が異 なるからであり、多様な意見を活かす「合意する方 法」を選ばなければならないということを説明す ることができる。 4 「効率と公正」 合意形成を行う際には、「手続き」「結果」の段階 で「効率」「公正」の両方が満たされたものでなけ ればならないということを説明することができ る。 5 きまりの見直しと評価の視点(本時) 合意形成を行う際には、様々な立場について理解・ 尊重し、多面的な視点から取り組まなければなら ないということを説明することができる。 3 8 本時の目標 合意形成を行う際には、様々な立場について理解・尊重し、多面的な視点から取り組まなければならないとい うことを説明することができる。 【課題の焦点化】 自治会での溝掃除に関する対立を解決する際、様々な意見をそれぞれの立場になって考え、尊重し、 「効率」「公正」の視点から評価し、説明することができる。 評価 【資料活用の技能】 9 【社会的な思考・判断・表現】 本時の評価基準 十分に満足できる生徒の状況 おおむね満足できる生徒の状況 努力を要する生徒の手だて 溝をきれいに維持するための解決 溝をきれいに維持するための解決 気づきのキーワードだけでも付箋 策を、他人の意見も分析しながら 策を考え、 「効率」「公正」の観点 に記入するよう助言する。 よりよい提案ができるよう練り上 から評価し、提案することができ 自分や他人の解決策が「時間のむ げている。 る。 だ」「お金のむだ」がないか、「み んなの苦労は同じか」など具体的 な視点を与えることで多面的な見 方を促す。 10 準備物 テレビ パソコン 共有ワークシート 付箋 11 学習過程 学習活動 ○主な発問 ・指導上の留意点 ・予想される生徒の反応 ○評価【観点】 *手だて 〇どうして自治会には清掃のきま ・ルールが住民たちにとって効率的では と溝掃除に関する りがあるのに汚くなってしまって ないということに気付かせる。 ルールを見て、溝 いるのだろう。4人の登場人物を (V)A 地区の風景、登場人物4人の様 がキレイに維持さ 見て予想してみよう。 子を黒板に貼る。 れているかどうか ・忙しいから ・高齢だから (H)なぜ溝が汚れているのか、という 考える。 ・家族の事情 予想を発表させ、各生徒の予想を共有す 1、 A 地区の風景 時間 5/5 る この溝をみんなでキレイに維持するめには、どのようにルールを変えればよいだろう?(S) 2、全員で4つの資 〇資料をもとに各立場の思いを読み取り、 料を分担して読み 付箋に記入することができる。 各立場の思いを読 10/15 【資料活用の技能】 み取って、付箋に 書きだす。 *読み取りが少し遅い生徒には机間巡視 の際に資料の写真についての補助発問を 投げかける。 Ex)「土日も仕事があるってことは、掃 除の日が決まっている方がいいのな?」 3、共有ワークシー トを用い、新たな ・机間巡視の際、少しでも各立場の思い ① ルールを根拠とと もにグループで考 ② える。 ③ 各立場の思いを共有ワークシ の欄の付箋を少なくするよう声かけを行 ートに貼りだそう。 う。 新しいルールを考え記入しよ Ex)「これだと A さんはまた参加出来な う。 くなるよね。」 貼った付箋を[根拠]に貼り替え (H)異なる意見の資料を分担して、読 よう。 み取った内容を説明させる。 (H)共有ワークシートを用いた話し合 い活動の中で、生徒間同士の異な る考え方や価値観を共有させる。 (V)旧ルールをテレビに映し出してお く。 (V)付箋を移動させることで、各立場 への配慮を目で見て理解させる。 〇新たなルールについて、各立場の意見に 着目して、工夫して考察し、適切にワーク シートに表している。 【思考・判断・表現】 15/30 4、新たな解決策を 〇各グループの解決策を発表し、 ・コの字型の座席隊形にして、互いに表 「効率」 「公正」の それぞれの解決策を評価しよう。 情を見ながら発言することで対話活動を 視点から見直す。 効率チェックポイント 促進する。 □問題を解決できるか (H)共有ワークシートを用いた話し合 □お金はどれ位かかるか い活動の中で、生徒間同士の異な □手間や時間はどれ位かかるか る考え方や価値観を共有させる。 公正チェックポイント □参加できない人はいるか □立場が変わっても受け入れられるか 15/45 〇よりよいきまりを練り上げようと「効率」 「公正」の視点から意見を述べている。 【思考・判断・表現】 *チェック表を元に評価して少しでも自 分の意見を持てるように助言する。 5/50 5,本時のまとめを 行う。 ・合意形成を行う際には、様々な立場に ついて理解・尊重し、多面的な視点から 取り組まなければならないということを 説明してまとめとする。
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