情報論理学 第3回講義 復習問題

2015 年 4 月 28 日
情報論理学 第 3 回講義 復習問題
問題 1 (¬(P → R)) ∧ (Q ∨ R) は充足可能か ? 真理値表を 用いて 調べよ .
問題 2 ¬((¬P) → P) は充足可能であ る こ と を (真理値表を 使わず) 解釈の定義を
使っ て 示せ.
問題 3 P → Q と ¬P ∨ Q は論理的同値か, 真理値表を 書いて 調べよ .
問題 4 P ∧ (P ∨ Q) ∼
= P を (真理値表を 使わず) 解釈の定義を 使っ て 示せ.
問題 5 以下の論理的同値性を 同値変形を 用いて 示せ. (変形に 用いた 規則の名前
も 記入する こ と . )
(1) P → Q → S ∼
=P∧Q→S
(2) (P → Q) → Q ∼
=P∨Q
(3) (P → Q) ∧ (Q → P) ∼
= (P ∧ Q) ∨ (¬P ∧ ¬Q)
問題 6 以下の証明図の足り な いと こ ろ を 補足せよ .
[Q]2
[
]3
→I1
R
2
Q → R →I
→I3
((P → Q) → R) → Q → R
問題 7 以下は (P → Q) → (Q → R) → P → R の証明図であ る . 空いて いる と こ ろ
を 埋めよ .
[
]3 [P]1
2
Q
[Q → ]
→E
1
→I
P→R
→I
→P→R
→I
(P → Q) → (Q → R) → P → R
問題 8 以下は (P → Q ∧ R) → P → R ∧ Q の証明図であ る . 空いて いる と こ ろ を 埋
めよ .
[
] [ ]
[
] [ ]
→E
→E
Q∧R
Q∧R
∧E
∧E
1
P → R ∧ Q →I
→I2
(P → Q ∧ R) → P → R ∧ Q
1
問題 9 足り な い箇所を 補な っ て , 次の命題論理式の証明図を 完成さ せよ .
]2
[
∧E
]2
[
Q→R
P
∧E
∧I
((P ∧ Q) ∧ R) → (P ∧ (Q → R))
→I2
問題 10
次の命題論理式の証明図を 書け.
(1) (P → P → Q) → R → P → Q
(2) P → Q → P ∧ Q
(3) (P ∧ Q → R) → (Q → P → R)
問題 11
以下の命題論理式の証明図を 書け.
(1) (P → Q) ∧ (Q → R) → P → R
(2) (P → Q) → P ∧ R → Q
(3) R → P ∧ Q → Q ∧ (R ∧ P)
問題 12 論理的同値性 ∼
= が同値関係と な る こ と を 証明せよ .
2
情報論理学 第 3 回講義 復習問題解答
問題 1
P
T
T
T
T
F
F
F
F
Q
T
T
F
F
T
T
F
F
R P → R ¬(P → R) Q ∨ R (¬(P → R)) ∧ (Q ∨ R)
T
T
F
T
F
F
F
T
T
T
T
T
F
T
F
F
F
T
F
F
T
T
F
T
F
F
T
F
T
F
T
T
F
T
F
F
T
F
F
F
ゆえ に , 充足可能.
問題 2 v(P) = F と な る 解釈 v を 考え る . こ のと き , [[P]]v = F, [[¬P]]v = T. よ っ て ,
[[¬P → P]]v = F. 従っ て , [[¬(¬P → P)]]v = T. よ っ て , ¬(¬P → P) は充足可能.
問題 3
P
T
T
F
F
Q P → Q ¬P ¬P ∨ Q
T
T
F
T
F
F
F
F
T
T
T
T
F
T
T
T
ゆえ に , P → Q と ¬P ∨ Q は論理的同値.
問題 4 v を 任意の付値と する . v(P) の値で場合分け する .
• v(P) = T のと き . こ のと き , [[P]]v = T であ る から , [[P ∨ Q]]v = T. よ っ て , [[P ∧
(P ∨ Q)]]v = T = [[P]]v と な る .
• v(P) = F のと き . こ のと き , [[P]]v = F であ る から , [[P ∧ (P ∨ Q)]]v = F = [[P]]v と
なる .
よ っ て , いづれの場合も [[P ∧ (P ∨ Q)]]v = [[P]]v と な る . ゆえ に , P ∧ (P ∨ Q) ∼
= P が成立.
問題 5
(1)
(2)
P→Q→S ∼
= ¬P ∨ (Q → S) (含意)
∼
= ¬P ∨ (¬Q ∨ S) (含意)
∼
= (¬P ∨ ¬Q) ∨ S (結合律)
∼
(ド ・ モルガン の法則)
= ¬(P ∧ Q) ∨ S
∼
(含意)
= P∧Q→S
(P → Q) → Q ∼
(含意)
= ¬(P → Q) ∨ Q
∼ ¬(¬P ∨ Q) ∨ Q
(含意)
=
∼
(ド ・ モルガン の法則)
= (¬¬P ∧ ¬Q) ∨ Q
∼
(二重否定)
= (P ∧ ¬Q) ∨ Q
∼
= (P ∨ Q) ∧ (¬Q ∨ Q) (分配律)
∼
(⊤ 規則)
= (P ∨ Q) ∧ ⊤
∼
(⊤ 規則)
= P∨Q
3
(3)
∼
=
∼
=
∼
=
∼
=
∼
=
∼
=
∼
=
∼
=
∼
=
(P → Q) ∧ (Q → P)
(¬P ∨ Q) ∧ (¬Q ∨ P)
((¬P ∨ Q) ∧ ¬Q) ∨ ((¬P ∨ Q) ∧ P)
((¬P ∧ ¬Q) ∨ (Q ∧ ¬Q)) ∨ ((¬P ∨ Q) ∧ P)
((¬P ∧ ¬Q) ∨ ⊥) ∨ ((¬P ∨ Q) ∧ P)
(¬P ∧ ¬Q) ∨ ((¬P ∨ Q) ∧ P)
(¬P ∧ ¬Q) ∨ ((¬P ∧ P) ∨ (Q ∧ P))
(¬P ∧ ¬Q) ∨ (⊥ ∨ (Q ∧ P))
(¬P ∧ ¬Q) ∨ (Q ∧ P)
(P ∧ Q) ∨ (¬P ∧ ¬Q)
(含意 ×2)
(分配律)
(分配律)
(⊥ 規則)
(⊥ 規則)
(分配律)
(⊥ 規則)
(⊥ 規則)
(交換律 ×2)
問題 6
[Q]2
1
[(P → Q) → R]3 P → Q →I
→E
R
2
→I
Q→R
→I3
((P → Q) → R) → Q → R
問題 7
[Q → R]2
[P → Q]3
Q
[P]1
→E
→E
R
1
→I
P→R
→I2
(Q → R) → P → R
→I3
(P → Q) → (Q → R) → P → R
問題 8
[P → Q ∧ R]2 [P]1
[P → Q ∧ R]2 [P]1
→E
→E
Q∧R
Q∧R
∧E
∧E
R
Q
∧I
R∧Q
1
→I
P→R∧Q
→I2
(P → Q ∧ R) → P → R ∧ Q
問題 9
[(P ∧ Q) ∧ R]2
[(P ∧ Q) ∧ R]2
∧E
∧E
P∧Q
R
1
∧E
→I
P
Q→R
∧I
P ∧ (Q → R)
→I2
((P ∧ Q) ∧ R) → (P ∧ (Q → R))
問題 10
(1)
(2)
Q]3
[P → P →
P→Q
[P]1
→E
[P]1
→E
Q
1
→I
P→Q
2
R → P → Q →I
→I3
(P → P → Q) → R → P → Q
4
[P]2 [Q]1
P ∧ Q ∧I 1
Q → P ∧ Q →I 2
P → Q → P ∧ Q →I
(3)
[P]1 [Q]2
[P ∧ Q →
P ∧ Q ∧I
→E
R
1
→I
P→R
2
Q → P → R →I
→I3
(P ∧ Q → R) → Q → P → R
R]3
問題 11
(1)
[(P → Q) ∧ (Q → R)]2
∧E
P→Q
[(P → Q) ∧ (Q → R)]2
∧E
Q→R
Q
→E
R
1
→I
P→R
→I2
(P → Q) ∧ (Q → R) → P → R
(2)
[P]1
→E
(3)
[P ∧ Q]1
∧E
[P ∧ Q]1
P
[R]2
∧E
∧I
Q
R∧P
∧I
Q ∧ (R ∧ P)
→I1
P ∧ Q → Q ∧ (R ∧ P)
→I2
R → P ∧ Q → Q ∧ (R ∧ P)
[P ∧ R]1
∧E
[P →
P
→E
Q
1
P ∧ R → Q →I
→I2
(P → Q) → P ∧ R → Q
Q]2
問題 12 以下, (* *) で囲ま れた部分はコ メ ン ト である .
def
(* 同値関係 ⇐⇒ 反射的かつ対称的かつ推移的な 関係, であ る から , “(∼
= は反射的) かつ
∼
∼
(= は対称的) かつ (= は推移的)” を 示せばよ い. ∧ の導入規則から , こ れに は, “(∼
= は反
射的)” と “(∼
= は推移的)” を そ れぞれ示せばよ い. *)
= は対称的)” と “(∼
(証明)
(1) 反射性
A を 任意の命題論理式と する . 任意の付値 v に ついて , [[A]]v = [[A]]v が成立する . よ っ て ,
論理的同値性の定義よ り , A ∼
= A.
(2) 対称性
(* 対称性は, 任意の A, B について , “A ∼
= B なら ば B ∼
= A” が成立する と いう 性質. 従っ
∼
∼
て , → の導入規則よ り “A = B” を 仮定し て , “B = A” を 導け ばよ い. *)
A, B を 任意の命題論理式と する . A ∼
= B と 仮定する . する と , 論理的同値性の定義よ り ,
任意の付値 v について , [[A]]v = [[B]]v . よ っ て , 任意の付値 v について , [[B]]v = [[A]]v . 従っ
て , 論理的同値性の定義よ り , B ∼
= A.
(3) 推移性
(* 推移性は任意の A, B, C について , “(A ∼
= B かつ B ∼
= C) な ら ば A ∼
= C” が成立する と
∼
∼
いう 性質. 従っ て , → の導入規則よ り “A = B かつ B = C” を 仮定し て , “A ∼
= C” を 導け
∼
∼
∼
ばよ い. ま た, ∧ の除去規則よ り , “A = B かつ B = C” があれば, “A = B” も “B ∼
= C”
も 使っ て よ い. *)
A, B, C を 任意の命題論理式と する . A ∼
= B, B ∼
= C と 仮定する . する と , 論理的同値性
の定義よ り , 任意の付値 v に ついて , [[A]]v = [[B]]v かつ [[B]]v = [[C]]v . ゆえ に , 任意の付
値 v に ついて , [[A]]v = [[C]]v . よ っ て , 論理的同値性の定義よ り , A ∼
= C.
(* 証明中では, 推論を 表わすのに , “する と ” や “ゆえ に ”, “よ っ て ”, “従っ て ” な ど , さ
ま ざま な 言い方を 用いる が, こ れは文章が単調に な る のを 避け, 読みやすく する ためであ
る . 証明において はこ れら に意味の違いはな い. “, ” も , 文脈に応じ て “かつ ” と 読む. *)
5
(* 実は, 上の証明では, ま だ学習し て いな い述語論理や等号に 関する 推論を 用いて いる .
述語論理では, こ のよ う な 証明が完全に 証明図で書け る よ う に な る . *)
6