平成27年度 千曲坂城消防組合重点施策

平成27年度 千曲坂城消防組合重点施策
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消防 行政の 状況
近年の消防行政を取り巻く環境は、災害事故の大規模化及び都市構造の複
雑化に加えて住民ニーズの高度化等により、消防機関としても迅速かつ的確
に対応することが求められており、住民の生命及び財産を守る責務の重要性
を 認 識 しているところです。
こういった現状の中、当消防組合では、限られた人員、機材の有効活用を
図り、実情に応じた消防体制の確立に努めてきましたが、今後も今まで以上
に 効 果 的・効率的な消防体制の整備を図ることが求められています。
昨年の県内での災害状況を顧みると、2月の記録的な豪雪に始まり、南木
曽町の土石流災害、御嶽山噴火災害、長野県神城断層地震などが相次いで発
生 し た 一年でありました。
防災・減災に対する住民の関心が高まるなか、 風水害や地震などの自然災
害、危険物火災などの特殊な災害や事故、さらには、国際的なテロ災害、 新
型インフルエンザやエボラ出血熱など、あらゆる事態への対応とその備えが
強 く 求 められるようになってい ます。
特に、今後想定される南海トラフ巨大地震、首都直下地震等の大規模災害
への対応のため、消防団、自主防災組織等の関係機関・団体とも連携を図り
な が ら 、震災等大規模災害の対策を早急に推進する必要がある。
また、我が国の社会経済は回復の兆しは見えるものの、依然として景気低
迷 が 続 いており、地方財政運営も引き続き厳しい状況に置か れており ますが、
消防組合の大きな課題でありました戸倉上山田消防署庁舎建設整備事業が昨
年度から始まり、今年度より本格的な工事に着手し平成28年度完成を目指
します。また、通信指令装置高機能化整備と救助工作車更新整備事業を計画
し ま し た。
財 政 状 況 が厳しさを増す 中で の事業であるが、創意工夫を重ねながら事業を
進 め 、 経 費 節減に努めていく必 要 がある。
こ の よ う な状況下で はあるが、千曲市民 、坂城町民の安心・安全の確保を図
り 、 災 害 に 強いまち づくり の実現に向け て、防災広報活動等 を積極的に行い、
事 故 及 び 自 然災害発生時の総合 的な防災力を市民、町民と共に高めることが喫
緊 の 課 題 で あることを念頭に置 き、以下の事項を平成27年度千曲坂城消防組
合 重 点 施 策 と位置づけ、業務の 達成を図るものとする。
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重点 的に 行 う 施 策
(1) 火 災予防対策の推進
ア
住宅火災と焼死者防止を図るため、住宅用火災警報器の設置率の向上
を 目指すとともに、防災機器の設置や防炎製品の普及を推 進する 。
イ
防火対象物及び危険物施設等の火災、事故の防止対策として、予防査
察と違反是正を強化するとともに、一般家庭に対しても少量危険物、家
庭用ガスの事故防止と危険意識の喚起を促すための広報及び指導を行う。
ウ
医療機関・社会福祉施設 等、災害弱者を収容する施設の関係者に 対し、
日常の危機管理意識、火災発生時の非難誘導体制の確立と遵法意識の涵
養 を図る。
エ
放 火 に よ る 火 災 が 増 加 し て い る こ と か ら 、 地 域 及 び 消 防 団 等 の 関 係団
体 と連携し 、放火されない環境づくりを 推進する。
オ
防 災 推 進 制 度 を 活 用 し 、 市 民 ・ 町 民 に 対 し て 地 域 を含 め た 災 害 予 防対
策 及び災害対応 の徹底を 図 る。
ま た、独居老人家庭への防火指導を推進する。
(2) 防 災 力の充実強化
ア
首 都 直 下 地 震 、 東 海 ・ 東 南 海 地 震 を 含 む 南 海 ト ラ フ 地 震 な ど 巨 大 地震
の発生に備え、市民・町民に防災訓練などへの参加を働きかけるととも
に、有事の活動等について関係者間との連携を再確認及び強化を図り、
地 域の 防災力を高める。
イ
地 球 環 境 の 変 化 等 に よ る 台 風 や 豪 雪 、 梅 雨 前 線 の 停 滞 に よ る 豪 雨 、急
速に発達する爆弾低気圧、予測不可能なゲリラ豪雨、これらの風水害等
の対応策として、情報収集と伝達体制の向上に努め、住民の避難、安全
確保に万全を期すため、防災推進制度の推進と関係者間の連携を 強化す
るとともに、災害時の被害軽減を期し、消防団等関係機関を含めた初動
体 制及び現場情報の共有一元化策の確立を図る。
ウ
消 防 の 広 域 化 が 先 送 り さ れ た こ と か ら 、 消 防 相 互 応 援 体 制 を 強 化 し大
規 模災害時の応援、受援態勢の充実を図る。
エ
統 括 指 揮 隊 は 、 現 場 の 映 像 中 継 シ ス テ ム を 活 用 す る と と も に 、 災 害現
場での出動部隊及び消防団員の指揮、安全管理、現場広報等を組織的に
運 用 するため、現場指揮体制の効率化を図る。
(3) 救 急 救命の 高度化 及び 救助体制の充実強化
ア
高度化する救急処置に対応するため、救急救命士の高度化研修と救急
隊員の医療及び人的教育などを行い、傷病者の救命率の向上と症状の軽
減 化を図る とともに、信頼される救急行政を推進する 。
イ
迅 速 に 傷 病 者 を 医 療 機 関 へ 搬 送 、 収 容 を す る た め 、 医 療 情 報 の 収 集、
ド クターヘリの 活用 及び 医療機関との 信頼関係の醸成に努める 。
ま た 、 ド ク タ ー ヘ リ 運 用 要 領 に キ ー ワ ー ド 方 式 が 導 入 さ れ 、 ド ク ター
ヘリを要請する事案が増加していることから、指揮隊、救急隊、消防隊
は 連携し 、消防防災ヘリを含めた 、 ヘリ運用 の対応を図る。
ウ
誰 も が 抵抗 感 な く 救命 処置 が行 える 環境づ くり を目 指し て、 A ED 講
習をは じめ 、 応 急手 当の普 及啓 発 を 推進 する と とも に、 救急 車の適 正 利
用 の周知を図る 。
エ
業務継続計画に基づき、関係機関と連携しながら適切な救急業務提供
体 制を確立する。
オ
複 雑 多 様化 する 救助事 象に 備え るた め 、迅 速か つ安 全確 実 な救 助 体 制
の 確立 を図 る と とも に、 若 年隊 員に 対し ては、 知識 及び 技術 の習得 の 徹
底 を図る。
3 取り組むべ き課 題
(1) 熟 練 職員の退職増に伴う組織力及び消防力低下の防止対策 の強化
(2) 経 費縮減の徹底を図るため、業務内容及び 効果の精査と効率化の推進
(3) 将 来 的な消防 広域化の実現を視野に消防体制の基盤強化等について調査
研究
(4) 更 埴消防署の 耐震診断結果 から、 庁舎 整備に関する調査 研究
(5) 職 員資質の研鑽及び職場環境の整備
ア
消防人の自覚及び目的意識の 涵養 並びに積極的な自己研鑽
イ
健康管理と公務災害及び各種事故防止の徹底
ウ
服務管理の徹底及び人材育成に伴う評価の取り組み
エ
消防職員委員会の適時開催と要望事項等の適正実施
オ
メン タルヘルス対策の取り組み
(6) 今年度 、千曲市で開催される 長野県総合防災訓練及び長野県消防相互 応
援 隊 合同訓練に向けて の計画 及び関係機関との綿密な調整と打合せ
(7) 戸 倉上山田消防署庁舎改築整備事業 関係
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むす び に
職 員 は 、千 曲 市 民 と 坂 城 町民 の 奉 仕 者 と し て 、 職 務 の 遂 行 に 当 た って は 全
力 を あ げてこれに専念する義務がある 。
更に、消防は、地域住民の生命、身体、財産を災害等から守るという崇高
な使命と責任を十分に自覚し、掲げた重点施策の達成度等を日々確認しなが
ら業務を進め、安心して暮らせる安全な、まちづくりを実現するために、職
務 に精 励するものとする。