奈良県立医科大学 シーズ 奈良県立医科大学 シーズ 技術分野/ ライフサイエンス (テーマ名)がん転移促進因子 HMGB1 の吸着除去 (キーワード)癌治療、磁性体、マイクロ粒子 (シーズ概要) HMGB1 の血液浄化法による除去に必要 な吸着材を開発した。本技術では、DNA 結合鉄磁性体マイクロ粒子により、高効 率かつ高用量依存性に HMGB1 を吸着可能 である。この吸着特性は in vitro(左 図)においてもマウス腹膜透析モデルに おいても良好に保たれ(右図)、動物に も生体への応用が容易である。先行技術には、抗体などの結合蛋白を用いた HMGB1 の中和・ 不活性化する方法や硫酸セルロファイン粒子カラムによる血液透析法があるが、それらの HMGB1 吸着率は 60-70%以下であった。本技術の DNA 結合鉄磁性体マイクロ粒子では、96%とい う高い HMGB1 吸着効率が得られ、さらに、投与量により吸着量の調節も可能であり、血液吸 着や腫瘍内局所投与による計画的な定量的吸着が可能と考えられる。 (研究成果の産業への応用可能性) HMGB1 は癌細胞から分泌され、癌転移を促進し抗癌剤抵抗性を誘導するため、がん患者の 血中 HMGB1 を除去することは、癌転移の抑制に役立つと考えられる。とくに、抗癌剤による 化学療法と HMGB1 血液吸着との併用により抗癌剤の抗腫瘍効果を促進し同時にその副作用を 減じることが期待される。 (論文・特許) 1) 2) 3) Luo Y, et al: HMGB1 attenuates anti-metastatic defense of the liver in colorectal cancer. Eur J Cancer 46(4):791-799, 2010. Ohmori H, et al.: Non-histone nuclear factor HMGB1 as a target in colorectal cancer. Expert Opin Ther Tar 15(2):183-193, 2011. Luo Y, et al.: High mobility group box 1 released from necrotic cells enhances regrowth and metastasis of cancer cells that have survived chemotherapy. Eur J Cancer 49(3):741-751, 2013. 研究者データ ■氏名:國安 弘基(くにやす ■メッセージ: HMGB1 による胃癌・大腸癌・前立腺 癌などの進展促進や抗癌免疫力低下 をこれまで報告してきた。HMGB1 標 的治療はがん治療に大きな進歩をも たらすと期待される。 ひろき) ■講座:分子病理学 ■役職:教授 ■関連ホームページ: 20
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