前治療歴のある多発性骨髄腫の患者さんにおいて、 「ファリーダック®」が

ノバルティス ファーマ株式会社
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MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2015年7月7日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2015年6月12日(現地時間)に発表したものを日本語に翻
訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先され
ます。英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。
前治療歴のある多発性骨髄腫の患者さんにおいて、
「ファリーダック®」がさらなるPFSの延長を示すデータを
欧州血液学会で発表
新しいサブグループ解析結果を公表
•
パノビノスタットの併用は、ボルテゾミブおよびIMiDを含む2種類以上の治療を受け
ていた患者さんにおいて、PFSの中央値を2倍以上、7.8カ月間延長1
•
多発性骨髄腫は、骨髄内の白血球の一種である形質細胞ががん化する治療が困難な疾
患であり、全世界で10万人中約1~5人が発症2,3
•
「ファリーダック」(一般名:パノビノスタット乳酸塩)は2月にFDAによって承認
された、前治療歴のある多発性骨髄腫患者さんのための、エピジェネティクスに影響
を与える初のHDAC阻害剤4,5
2015年6月12日、スイス・バーゼル発-ノバルティスは本日、第III相臨床試験の探索的な
サブグループの解析結果から、過去にボルテゾミブおよび免疫調節剤(IMiD)など2種類
以上の治療薬を使用したことのある再発又は難治性多発性骨髄腫の患者さんにおいて、
「フ
®
ァリーダック 」(一般名:パノビノスタット乳酸塩、開発コード:LBH589)をボルテゾ
ミブおよびデキサメタゾンと併用した場合、無増悪生存期間(PFS)の中央値が7.8カ月延
長したことを発表しました1。解析結果はウィーンで開催された、第20回欧州血液学会議
(EHA)で発表されました。
治験統括医で、スペイン・パンプローナのナバラ医科大学で臨床・トランスレーショナル
メディシンの責任者を務めるジーザス・サン・ミゲル医師(Jesus San-Miguel, MD, Director
of Clinical and Translational Medicine, Clínica Universidad de Navarra)は次のように述べ
ています。「私は今回の解析結果から、『ファリーダック』とボルテゾミブおよびデキサ
メタゾンとの併用療法によって、過去に2種類以上の治療薬を使用し、IMiDおよびボルテ
ゾミブによる治療を受けた経験のある多発性骨髄腫患者さんのPFSが有意に延長(7.8カ月
間)することが明らかとなり、勇気づけられました。またこれらのデータによって、ヒス
トン脱アセチル化酵素阻害剤で、治療が難しくアンメットニーズの高い患者さんにとって
有望な新規作用機序を持つ薬剤である『ファリーダック』の臨床における使用について、
医療従事者の理解を深めることができると考えています」
これらのデータは、PANORAMA-1(PANobinostat ORAl in Multiple MyelomA)と呼ば
れる無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同の国際共同第 III 相臨床試験で実施さ
れた、ボルテゾミブおよび IMiD を含む 2 種類以上の治療を受けた経験を持つ、再発又は
難治性多発性骨髄腫患者さん 147 名のサブグループ解析から得られたものです。 過去に
受けた治療が 1 剤のみの患者さんはこのサブグループ解析から除外しました。解析の結果、
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このサブグループでは、PFS の中央値が、パノビノスタット治療群では 12.5 カ月まで延長
されたのに対し、プラセボとボルテゾミブおよびデキサメタゾンの併用群では 4.7 カ月の
延長でした(ハザード比 0.47、[95%信頼区間 CI、0.31~0.72])。パノビノスタット
とボルテゾミブおよびデキサメタゾンの併用療法とプラセボ群の完全寛解/完全寛解に近
い状態に達した割合ならびに全奏効率は、それぞれ 21.9%対 8.1%、58.9%対 39.2%とパ
ノビノスタット治療群で高くなりました 1。
このサブグループにおいて、パノビノスタット群に多く認められたグレード3/4の非血液
学的有害事象は、プラセボ群と比較すると、下痢(33.3%対15.1%)、無力症/疲労(26.4%
対13.7%)および末梢性ニューロパシー(16.7%対6.8%)などでした。また、パノビノス
タット群にもっとも多く認められたグレード3/4の血液検査値異常は、プラセボ群と比較
すると、血小板減少症(68.1%対44.4%)、リンパ球減少症(48.6%対49.3%)および好
中球減少症(40.3%対16.4%)でした。このサブグループにおける治験治療中の死亡率は
パノビノスタット群とプラセボ群でほぼ同じでした(6.9%対6.8%)1。
ノバルティス・オンコロジー事業部のプレジデントであるブルーノ・ストリジニ(Bruno
Strigini)は次のように述べています。「先頃のFDAによる『ファリーダック』の承認に加
え、これらの結果は、多発性骨髄腫という疾病の管理を最適化するために役立つこの新た
な治療薬の価値について、臨床医の方に更なるエビデンスを提供するものです。多発性骨
髄腫は、治療に対して反応しなくなる、あるいは治療抵抗性を持つ患者さんにとって、治
療の選択肢が限られているために悪化することが多い疾患です。したがって、そのような
患者さんには『ファリーダック』のような治療薬が有益であると考えられます」
2015年2月、パノビノスタット(海外における製品名:Farydak)は、過去にボルテゾミブ
およびIMiDを含む2種類以上の治療経験を持つ多発性骨髄腫患者さんに対し、ボルテゾミ
ブとデキサメタゾンとの併用下で使用することが、米国食品医薬品局(FDA)によって承
認されました4。この適応症は、PANORAMA-1試験において別途実施された患者さん193
名の解析で報告されたPFSに基づき、迅速承認制度の下で承認されました。この適応症に
対する継続的な承認には、検証試験において臨床的有益性の確認および説明が必要となる
場合があります。FDAは、「ファリーダック」に関するリスク評価・緩和戦略(REMS)
を承認しました。REMSプログラムは、医療従事者の方に「ファリーダック」の治療に伴
う可能性があるリスクを伝え、認識を促すものです。「ファリーダック」は多発性骨髄腫
に使用可能な、初のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤です5。HDAC阻害剤とし
て、そのエピジェネティクス活性は多発性骨髄腫患者さんの細胞機能の修復に役立つと考
えられます6。日本では、7月3日に再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として承認され
ています。
PANORAMA-1サブグループ解析について
PANORAMA-1(PANobinostat ORAl in Multiple MyelomA)は再発又は難治性の多発性
骨髄腫の患者さんを対象に、ボルテゾミブとデキサメタゾンの併用下でのパノビノスタッ
トの追加投与と、プラセボとボルテゾミブおよびデキサメタゾンの併用を比較評価するこ
とを目的とした無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同の国際協同第III相臨床試
験で、768名の患者さんを対象に、世界215の施設で実施されました。EHAで発表された
探索的試験では、ボルテゾミブおよびIMiDを含む2種類以上の治療を受けた経験を持つ再
発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さん147名のサブグループの転帰と安全性が解析され
ました。なお、過去の治療が1種類のみの患者さんはこのサブグループから除外されまし
た1。
試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)です。試験の主な副次評価項目である全生
存期間の最終データはまだ得られていません。他の副次評価項目には、全奏効率、奏効期
間および安全性が含まれます1。この試験には、日本からも34名の患者さんが参加しました。
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多発性骨髄腫について
エピジェネティクスとは、DNAの遺伝情報における変異以外での遺伝子発現の変化により、細
胞や生体に変化を与えることを指します。多発性骨髄腫では、正常なエピジェネティクスのプ
ロセスが阻害されることから、がん化した形質細胞が増殖したり、既存の治療法に抵抗性を示
したりすることで、最終的には疾患が進行します7,8。
多発性骨髄腫は全世界で10万人中約1~5人が発症する疾患です3。骨の中心にある柔らか
い造血組織を骨髄と呼びますが、多発性骨髄腫は、この骨髄中の白血球の一種である形質
細胞のがんです。形質細胞ががん化して骨髄中に増殖すると、正常な骨髄細胞の産生や働
きが妨げられます9。多発性骨髄腫は、現存の治療法では再発および難治性となることが多
く、治癒が困難な疾患です2。60歳以上で発症することが多く、40歳以下での発症は稀で
す10。
「ファリーダック®」に関する重要な安全性情報
「ファリーダック」は下痢や心臓障害を含む、重篤な副作用を引き起こすことがあります。
下痢は「ファリーダック」の使用に伴って多く認められ、重度となる可能性があります。
腹部(胃)疝痛、軟便、下痢または脱水症状が出たと感じた場合には、担当の医療従事者
に速やかに報告しなければなりません。医療従事者はこれらの副作用の予防または治療に
有効な医薬品を処方することができます。便軟化剤や下剤の服用または使用は下痢を悪化
させることがあるため、患者さんはそのような薬剤を服用または使用する前に、医療従事
者に相談する必要があります。
「ファリーダック」は死に至りうる、重度の心臓障害を引き起こすことがあります。心臓
障害のリスクは「QT延長症候群」と呼ばれる病態や他の心疾患によって上昇することが
考えられます。次のような心臓障害の症状が認められた場合には、患者さんは医療従事者
に連絡し、速やかに応急処置を受ける必要があります:動悸(心臓が激しく鼓動している
ような感覚)、立ちくらみまたは失神 、浮動性めまい、青色の唇、息切れまたは下肢の
むくみ。
「ファリーダック」は死に至りうる、重度の出血を引き起こすことがあります。「ファリ
ーダック」の服用中は、出血が止まるまでの時間が延長する可能性があります。次のよう
な出血の徴候が認められた場合には、患者さんは担当の医療従事者に速やかに報告しなけ
ればなりません:血便または黒色便(タール状)、ピンク色または褐色の尿、予期せぬ出
血または重度もしくはコントロール不能の出血、血液の吐出またはコーヒーの出し殻のよ
うに見える吐出物、喀血または血餅の喀出、あざの増加、目まい感または無力感、錯乱、
言語障害または長時間続く頭痛。
「ファリーダック」は他のタイプの治療を2種類以上受けたことがある多発性骨髄腫と呼
ばれる型のがんの患者さんを治療するために、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの併
用下で用いる医療用医薬品です。小児における「ファリーダック」の安全性および有効性
は不明です。
患者さんは医療用医薬品および一般用医薬品、ビタミン剤および漢方薬など、服用してい
る医薬品すべてを医療従事者に伝えなければなりません。
患者さんは「ファリーダック」を、医療従事者から教えられた通り、正確に服用しなけれ
ばなりません。医療従事者はどのくらいの量の「ファリーダック」をいつ服用するかを患
者さんに指導します。患者さんが副作用を経験した場合には、医療従事者は用量を変更す
る、あるいは投与一時的に中止することがあります。患者さんは最初に医療従事者に相談
することなく、「ファリーダック」の用量を変更したり、服用を中止してはなりません。
「ファリーダック」の服用中は、スターフルーツ、ザクロまたはザクロジュースおよびグ
レープフルーツまたはグレープフルーツジュースの摂取を控えなければなりません。これ
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らの食品は血中の「ファリーダック」の量に影響を及ぼす可能性があります。
「ファリーダック」を服用中の血球数減少は一般的であり、それは重度となることがあり
ます。血小板数の低値(血小板減少症)は異常な出血や皮下のあざの原因となることがあ
ります。白血球数の低値(好中球減少症)は感染症を引き起こすことがあります。赤血球
数の低値(貧血)は患者さんに無力感や疲労をもたらし、疲れやすさ、蒼白または息切れ
の原因となることがあります。
「ファリーダック」服用中は、感染のリスクが上昇します。発熱、また発汗または悪寒、
咳嗽、インフルエンザ様症状、息切れ、血痰、身体の痛み、身体に熱いまたは痛む部位が
ある、または疲労感が強いなどの感染の徴候が認められた場合には、患者さんは速やかに
医療従事者に報告しなければなりません。
次のような肝臓障害の症状が認められた場合には、患者さんは速やかに医療従事者に報告
しなければなりません:疲労感または無力感、食欲減退、暗琥珀色の尿 、上腹部痛、皮
膚または白眼の黄色化。
「ファリーダック」に最も多く認められる副作用は疲労感、悪心、四肢のむくみ、食欲減
退、発熱および嘔吐などです。厄介な、または解消しない副作用があれば、患者さんは医
療従事者に通知する必要があります。
Farydak® (パノビノスタット)カプセルについては下記医療従事者向け添付文書をご覧
ください。
http://www.pharma.us.novartis.com/info/products/brands/Farydak.jsp
「ファリーダック」(パノビノスタット)は、米国、チリおよび日本において使用が承認
されています。それ以外の国では、パノビノスタット(LBH589)は治験薬であり、規制
当局はその使用を承認していません。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その
内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに
より、現在の予想と異なる場合があることをご了解下さい。なお、詳細につきましては、
ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照下さい。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼
科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅
広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の2014年の売上高は580
億米ドル、研究開発費は99億米ドル(減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。スイ
ス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは、約120,000人の社員を擁しており、世界150
カ国以上で製品が使われています。詳細はホームページをご覧ください。
http://www.novartis.com/
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参考文献
1.
Einsele H, Richardson P, Hungria V, et al. Subgroup Analysis by Prior Treatment Among Patients with
Relapsed or Relapsed and Refractory Multiple Myeloma in the PANORAMA 1 Study of Panobinostat or
Placebo Plus Bortezomib and Dexamethasone. Abstract #S102. 20th Congress of the European Hematology
Association (EHA) Vienna, Austria, 2015.
2. The Leukemia and Lymphoma Society. Myeloma. Revised 2013;1:48.
3. Parkin M, et al. Global Cancer Statistics, 2002. CA Cancer J Clin. 2005;55:74-108.
4. Farydak (panobinostat) US Full Prescribing Information.
5. Grønbæk K, Treppendahl M, Asmarand F, Guldberg P. Epigenetic Changes in Cancer as Potential Targets
for Prophylaxis and Maintenance Therapy. Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology.
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6. Maes K, et al. Epigenetic Modulating Agents as a New Therapeutic Approach in Multiple Myeloma.
Cancers. 2013;5:430-461.
7. Smith EM, Boyd K, Davies FE. The Potential Role of Epigenetic Therapy in Multiple Myeloma. Br J
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9. American Cancer Society. Multiple Myeloma. Available at:
http://www.cancer.org/acs/groups/cid/documents/webcontent/003121-pdf.pdf. Accessed July 2014.
10. National Cancer Institute. SEER Stat Fact Sheets: Myeloma. Available at:
http://seer.cancer.gov/statfacts/html/mulmy.html. Accessed July 2014.
以上
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