開発経済学入門 第4章 2015/05/18 渡辺利夫「開発経済学入門」 【第3版】 東洋経済新報 第4章 緑の革命 農業の技術進歩はいかにしておこるか 国際開発学 GSID藤川清史担当 2015/05/18 開発経済学入門 第4章 1 増加する人口と消滅する耕地 1キロ平方メートル当たりの「人口扶養力」 焼畑: 17~25人 陸稲: 20~30人 水稲: 600~700人 水稲生産により人口増加が可能➔実際そう しかし一方で農地は増えない(中国で深刻) 都市への人口移動による農地の荒廃 砂漠化の進行 一人当たりの農地減少➔人口圧力増加 2015/05/18 国際開発研究科 藤川清史 開発経済学入門 第4章 2 1 開発経済学入門 第4章 2015/05/18 表4-1 アジアの1人当たり可耕地面積 (1961-2007年) 2015/05/18 開発経済学入門 第4章 3 土地生産性の上昇 「生産量」と「生産性」 土地の量を一定としても、労働者の数が増えれば、 生産量は増加する しかし、その生産量の増え方は減少 ➔言い換えると、(労働)生産性は低下する ➔一人当たりの分け前は減少 だが、生産関数を上方にシフトさせられれば、一人 当たりの分け前を減らさずにすむ ➔これがアジアの農地でおこったこと 2015/05/18 国際開発研究科 藤川清史 開発経済学入門 第4章 4 2 開発経済学入門 第4章 2015/05/18 図4-1 収穫逓減線と技術進歩 2015/05/18 開発経済学入門 第4章 5 緑の革命 高収量品種(high yielding variety)の導入は、 生産関数を上方シフトさせる インディカ種の特徴(草丈が高い)はアジア的 灌漑設備が不十分なので、深水地での栽培 雑草との競合に打ち勝つ必要 しかし、藁の量が多くなり非効率 フォード・ロックフェラー財団による研究 国際稲作研究所 IRRI IR品種の開発に成功➔緑の革命の一つ 2015/05/18 国際開発研究科 藤川清史 開発経済学入門 第4章 6 3 開発経済学入門 第4章 2015/05/18 表4-2 アジアの米の単収(1960-2008年) 2015/05/18 開発経済学入門 第4章 7 図4-2 米の在来種と高収量品種 2015/05/18 国際開発研究科 藤川清史 開発経済学入門 第4章 8 4 開発経済学入門 第4章 2015/05/18 図4-3 アジアの米の高収量品種導入面積 2015/05/18 開発経済学入門 第4章 9 緑の革命の経済学 投入財が2種類の生産関数 土地(R)と労働力(L)の投入で農産物を生産 「規模に関する収穫逓減」と「限界生産力逓減」 原点に凸な等量曲線(Isoquant) ∵ 限界生産力が逓減 経済学でいう合理的な行動 利潤が最大になるよう、生産量と投入量を決定 生産量が決められているなら、かかる費用が最小に なるように、投入量を決定➔(結果的に利潤最大) 2015/05/18 国際開発研究科 藤川清史 開発経済学入門 第4章 10 5 開発経済学入門 第4章 2015/05/18 化学肥料の投入 緑の革命の背景 何もしないで技術進歩が起こるわけではない 高収量品種=「多肥多収性改良品種」 肥料を投入すると収量が増えやすい品種 日本の経験 明治期:農家の試行錯誤「老農技術」 大正期:農事試験場で硫安対応を研究 アジアでは肥料の有効利用のための変化 氾漑水による在来農法から灌漑農法へ 2015/05/18 開発経済学入門 第4章 11 表4-3アジアの化学肥料投入量 (1961-2005年) 2015/05/18 国際開発研究科 藤川清史 開発経済学入門 第4章 12 6 開発経済学入門 第4章 2015/05/18 図4-5 高収量品種の持続的な開発・普及・ 拡大の模式図 開発経済学入門 第4章 2015/05/18 13 誘発的な技術進歩 費用最少点(最適生産点) 等量曲線と費用曲線の接点 人口の増加 人口増加は相対地代(対賃金)を高くする 縦軸が土地なので、費用曲線は平になる 費用最少点は右に(土地節約的) 誘発的な技術進歩 生産関数そのものが土地節約的にシフトする 2015/05/18 国際開発研究科 藤川清史 開発経済学入門 第4章 14 7 開発経済学入門 第4章 2015/05/18 図4-6 等生産量曲線 2015/05/18 開発経済学入門 第4章 15 図4-7 等費用線 2015/05/18 国際開発研究科 藤川清史 開発経済学入門 第4章 16 8 開発経済学入門 第4章 2015/05/18 図4-8 最適生産点 2015/05/18 開発経済学入門 第4章 17 図4-9 農業技術進歩 2015/05/18 国際開発研究科 藤川清史 開発経済学入門 第4章 18 9 開発経済学入門 第4章 2015/05/18 農村貧困は解消されるか アジアの人口圧力は依然としてつよい 一人当たり可耕地面積:インド、パキスタン、バング ラディシュはタイ、マレーシアより一段とひくい 農民層の下方分解 自作農➔小作農➔土地なし労働者 絶対的貧困者の発生 (一日1800KCal以下、一日2ドル以下) 工業の発展がカギ 2015/05/18 国際開発研究科 藤川清史 開発経済学入門 第4章 19 10
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