開発経済学入門 - 名古屋大学 大学院国際開発研究科

2015/05/18
開発経済学入門 第5章
渡辺利夫「開発経済学入門」
【第3版】 東洋経済新報
第5章 工業発展Ⅰ
工業化はいかにして開始されるか
国際開発学 GSID藤川清史担当
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開発経済学入門 第5章
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ペティ―=クラークの法則
 産業構造
 第1次産業 Primary industry
 第2次産業 Secondary industry
 第3次産業 Tertiary industry
 ペティ―=クラークの法則
 最初は第1次産業
 次第に第2次産業のシェアが増加
 続いて、第2次産業のシェアが減少して、
第3次産業のシェアが増加
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開発経済学入門 第5章
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開発経済学入門 第5章
図5-1a アジアの工業(製造業)化率
(1950-2005年)
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図5-1b アジアの工業(製造業)化率
(1950-2005年)
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表5-1 産業分類
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需要の弾力性
 需要の所得弾力性
 1%所得が変化すると、何%需要が変化するか
 %と%の比率だから、単位が関係ない
 1.0を超えると弾力的、1.0を下回ると硬直的と
いわれることが多い。
 需要の価格弾力性
 1%価格が変化すると、何%需要が変化するか
 %と%の比率だから、単位が関係ない
 1.0を超えると弾力的、1.0を下回ると硬直的と
いわれることが多い。
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開発経済学入門 第5章
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なぜ、産業構造は変化するのか
 需要の弾力性は財によって差
 食品の所得弾力性は小さい
 工業製品の所得弾力性は大きい
 サービスの所得弾力性はもっと大きい
 サービス消費は時間の余裕も大きな要素
 水道や電気製品の普及➔家事労働の軽減
 家事労働の軽減➔時間の余裕ができる
 時間の余裕➔外出、趣味、娯楽 への需要
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エンゲル法則
 エンゲルの法則
 所得の低い人は、食糧費の比率が高い
 所得の高い人は、食糧費の比率が低い
 これは、一国ベースでも成立




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低所得国では、食料需要が多い
➔食料生産の比率が高い
➔食料生産への就業者の比率が高い
=言い換えれば、食料生産に手がかかる状態
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図5-2 農業部門就業者比率変化の模式図
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図5-3 アジアの産業部門別就業者比率
(2008年)
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図5-4 日本の産業就業者別比率の推移
(1950-2008年)
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産業間の所得の格差
 産業構造の変化の要因
 前節の説明は需要面の変化
 供給面の変化も重要
=労働者が高い所得を求めて移動く
 労働生産性の産業間格差
 農業の技術進歩は緩慢
➔収穫逓減の法則から自由になれない
 製造業の技術進歩ははるかに速い
 製造業の生産性は農業より高くなる
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第5章
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図5-5 韓国の産業別就業者比率の推移
(1963-2008年)
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工業部門の雇用
 工業部門の原則は、利潤の最大化
 利潤の最大
 財の販売価格と生産要素の価格は所与
 利潤が最大になるように生産量を決定




生産関数 Q  g ( K , L )
利潤関数   pQ  ( rK  wL )
利潤最大:労働投入で微分した係数が0
労働の限界生産性=(実質)賃金
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図5-6 台湾の産業別就業者比率の推移
(1952-2008年)
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労働供給
 農村では余剰労働力がある
➔低い賃金(分け前)の労働が多い
 都市労働者の賃金が、その分け前より多け
れば、農村を離れる誘因がある
 都市工業は、農村に余剰労働がある限り、
低賃金を維持できる➔労働供給は水平
 しかし、それは永遠には続かない
➔やがて、農村でも労働不足になる
➔賃金を上げなければ吸収できない=転換点
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図5-7 中国の産業別就業者比率の推移
(1952-2008年)
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産業高度化
 産業の高度化
 労働集約財から資本集約財(技術集約財)
 言い換えれば、軽工業から重化学工業へ
 ホフマン比率(軽工業比率)の低下
 1期:5.0~3.5、2期:3.5~1.5、3期:1.5以下
 NIESはその段階を「圧縮」
 アジアのサービス化の特殊性
 インフォーマルサービス:露天、行商、修理業
 フォーマルサービス:製造業補完 (運輸、金融)
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図5-8 産業部内別にみた相対所得の
模式図
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図5-9 アジアの相対労働生産性(2008年
)
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図5-10 農工2部門モデルの論理構造
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図5-11-a 雇用量の決定メカニズム
生産関数
限界生産性=生産関数の傾き
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図5-11-b 雇用量の決定メカニズム
限界生産性=生産関数の傾き
労働供給
限界生産性=労働需要
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図5-12-a近代部門拡大再生産のメカニズム
生産関数が上方シフトすると
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図5-12-b近代部門拡大再生産のメカニズム
限界生産性も上方シフト=賃金上昇
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図5-13 ホフマン比率の国際比較
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