保健体育の授業(剣道)における 地域スポーツ人材の活用のあり方 事業

学校名
保健体育の授業(剣道)における
地域スポーツ人材の活用のあり方
喜多方市立第二中学校(福島県)1.2年
全校生徒数
種
目
電話番号
338名(男子168名 女子170名)
武
道( 剣 道 )
0241(22)0799
学校メールアドレス [email protected]
1
研究のねらい
(1)学習指導要領の改訂に伴い、武道が必修となったため、専門的な技能を有する地域スポー
ツ人材を武道の授業に招聘し、保健体育科の教員と連携のもと授業の充実を図る。
(2)武道の経験の浅い教師が、豊富な指導経験を有する外部スポーツ人材と連携して授業を進
めることで、武道の指導力を高める。
2
研究の取組体制
(1) 武道等指導推進委員会を設置し、人材リストに基づき外部スポーツ人材を派遣するととも
に、学校と連携した授業の在り方について事業成果の検証等を行う。
(2)外部スポーツ人材と学校関係者との連絡協議会を設置し、派遣開始前に生徒の実態及び授
業構想について、密な情報交換をするとともに、授業の実施前後で体育担当者と打合せを行
うなど、授業の充実と安全確保に努める。
3
研究の概要
(1)地域の指導者の協力を得た学習指導の推進
外部指導者は、剣道七段の腕前で、県や会津の剣道連盟の理事、さらには市の理事長を務
めるなどの人材である。また、数年前まで、高校教員として、剣道の授業や部活動を第一線
で教えていた極めて優れた指導者である。縁あって、一昨年よりこの制度を利用し、指導を
いただいている。丁寧で分かりやすい指導で、指導者自身も中学生の授業を楽しみにしてい
る。授業においては、外部指導者がT1、本校教員がT2として指導を行っている。
(2)具体的な取組内容・方法、取組を進める上での工夫点
①
勤務する時間数が限られ、1.2年生、計9クラスの男女共習の授業を担当するため、1
クラスあたり2時間程度の指導機会であった。昨年度は、剣道の歴史、礼法、素振り、防具
の着脱中心の指導で終了してしまったので、今年度は、防具を身につけての打突を指導いた
だけるようお願いした。
②
授業では、ねらい、特性、学び方や基礎・基本を整理・板書し、外部指導者をサポートで
きるよう心がけた。必要に応じて、大切な用語を書き加えた。
③
指導は、外部講師を中心に進め、体育担当は、全体の流れを見ながら個別指導を中心にサ
ポートした。また、習得しきれなかった内容を引き継ぎ指導に生かした。
(3) 生徒の安全を確保するために配慮・工夫したこと
①
オリエンテーションや毎時間の授業において、健康観察、服装、竹刀の安全確認、打突部
位の確認、準備運動の内容などを行った。
②
2人組で練習する場面が多く、特に、後ろに下がった者どうしの追突に気をつけた。また、
防具を身につけると視野が狭くなり、声や音も聞き取りにくくなるので、左右前後でぶつか
らないようにするため、一斉指導をしたり、目印になる線を決めたりして練習させた。
○事業成果と今後の課題
○
木刀などの実物による説明、防具の着脱時の説明など、日本や剣道の伝統・文化、歴史、礼
法について、より専門的に学習することができた。
○ 面打ちを中心とした打突の師範では、見事な踏み込みと美しい太刀筋で、気・剣・体の一致
についてイメージが焼き付けられた。
○ 3年目であるので、外部指導者のサポートをよりスムーズに行うことができた。また、習得仕
切れなかった部分を引き継いで指導できた。
● 前半に、剣道の歴史、礼法、素振りを1時間程度、後半に防具を身につけての打突を1時間
程度お願いしたが、外部指導者が担当できる時数が少なく、剣道の本来の楽しさや醍醐味まで
は至らなかった。次の機会には前半部分は本校教諭が行い、後半の防具を着けての打突中心に
お願いしたい。
防具の着脱とその礼法を学ぶ
防具を身につけての打突
防具の着脱と防具の置き方、さらには物見の位置の説
打ち方と打たせ方を代表者に師範させながら説明をし、
明はじめ、専門的に学習できた。
稽古に生かした。
安全確保のための配慮
板書の工夫の例
バスケのサイドと制限区域のラインに向かい合い、男
学習のねらい、学び方、基礎・基本となるキーワード
女がぶつからないよう工夫した。
をまとめ板書した。
事後のアンケート(各質問に思う・思わない・どちらとも言えないより選択)
※
%は思うと答えた割合。(1.2年男女231名回収)
全
体
1年男
2年男
1年女
2年女
1 意欲は、高まったか。
56.3%
52 %
45 %
74 %
37 %
2 技能は高まったか。
53.2%
58 %
42 %
64 %
35 %
3 伝統的行動、基本動作は身についたか。 59.3%
63 %
43 %
77 %
44 %
4 指導力は優れていたか。
75.8%
65 %
75 %
84 %
79 %
5 言葉づかい・態度は適切であったか。
81.4%
71 %
79 %
90 %
81 %
6 授業は活性化されたか。
68.0%
65 %
62 %
78 %
60 %
・事後のアンケートでは、5の項目が昨年よりも6ポイント、6の項目が26ポイントほど上
回り、その他は、昨年とほぼ同じであった。特に数値の高かった1年女子は、明るく積極的な
生徒が多く、授業も良い雰囲気で進めることができたことが、数値に表れたと思われる。
・4.5の項目は、かなり高い数値であり、「思わない」と回答した生徒は、ほとんど見られな
かった。ゆえに、生徒からの評価や信頼も高いと推測される。
本事業終了後の取組の方向性と内容
・3年目でもあり、外部指導者の指導の仕方も概ね理解でき、T2としての関わり方も見えて
きた。また、専門的に直接指導いただいたり、指導法を教師が共有することにより、授業や指
導力のレベルアップが図られた。次年度も、ぜひ、できれば時数を増やしお願いしたい。