中学校国語B [PDFファイル/469KB]

平成26年度全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた分析
中学校国語B問題
本市の傾向と課題
○
全体の平均正答率は,全国・県を上回っている。領域別では,出題されている3つのす
べての領域で全国・県の平均を上回っており,知識・技能等を活用し,課題を解決してい
く力が身に付いていることがうかがわれる。また,「選択式」,「記述式」の問題形式の双
方の正答率も全国・県平均を上回っており,全体的に無解答率も低く,良好な結果となっ
ている。
○
領域別では,「読むこと」の設問に対する正答率が全国・県平均と比べて高い。特に,
文章に表れているものの見方について自分の考えをもつ設問では,その正答率は全国平均
を大きく上回っており,読解した内容をもとに自分の考えを広げたり深めたりする学習の
充実が図られてきた結果であると考えられる。
○
今回の調査では,伝統芸能である落語の問題に対する正答率が低く,特に「話の展開を
捉えた上で,登場人物の言動の意味を考え,その姿を想像する」設問が,全設問中で唯一
全国・県の正答率を下回った。教科書に掲載されている古典教材と関連付けて伝統芸能に
ついての理解を深め,資料集や参考資料等を活用して情報を集めたり,時代背景や人物像
を想像したりする学習活動を行っていきたい。
【課題】資料から適切な情報を得て,伝えたい事実や事柄が明確に伝わる
ように書くことができるかどうかをみる
2は,接着剤についての複数の資料(説明的文章)を比較して読み,内容を捉える問題で
ある。その中の設問三は,得た情報をもとに自分の考えをもち,適切に書くことを求めるも
のであるが,全国・県・本市とも大変正答率が低く,無解答率も高い。誤答としては,接着
剤の仕組みを正確に読み取ることができていないものや,事実を明確に書くことができてい
ないもの等が見受けられる。文章を正確に読み取る力と,読み取ったことをもとにして考え
を的確に書く「読解表現力」の向上に努める必要がある。
指導のポイント
授業においては,教科書教材に関連した資料を準備し,複数の資料を比較しながら読解を
させることが効果的である。その際には,それぞれの資料の有効な情報や重要な部分を抜き
出し,それらをつなげていく読み方を身に付けさせることが大切である。また,新聞記事等
を活用し,それらから得た情報について自分の感想や考えを文章として書く活動を継続して
行いたい。その際には,「情報が正確につかめているか」「自分の考えを的確に書くことがで
きているか」を評価させ,個々にフィードバックしていくことが有効である。
関
連
解説資料P62~64,報告書P70~72,授業アイデア例P11
参照
中学校国語B問題
【課題】話の展開を捉えた上で,登場人物の言動の意味を考え,その姿を
想像する
3二は,落語「目黒のさん
ま」に登場する人物(殿様)
の言動の意味を考え,その姿
を想像する設問である。本市
においては全国・県の平均を
やや下回った。
この設問の正答は4である
が,解答類型としては2の誤
答が多かった。
これらの要因としては,ま
ず,古典芸能である落語への
関心の低さがあり,「目黒の
さんま」の話の展開や人物の
設定が捉えられなかったとい
う実態がうかがわれる。小学
校では狂言の教材も学習して
いる。落語や歌舞伎といった
伝統芸能に触れ,興味や関心
を高める機会を設け,古典に
一層親しませることが大切で
ある。
指導のポイント
授業においては,古典に対する苦手意識を軽減するために,古典について解説した文章や
映像メディア等を活用し,その古典作品の世界に浸らせることが重要である。特に落語や歌
舞伎,狂言などは現在も演じられている伝統芸能であるため,機会を捉えて触れさせたい。
また,古典や伝統芸能を含めた文学的文章においては,その展開に沿って場面の様子を捉
えたり,情景や登場人物について想像を広げて読んでいくことが肝要である。授業において
は,場面の描写や会話,せりふなどの文章中の根拠を吟味しながら,的確に読解ができるよ
うに指導していきたい。その上で作品全体に表れた作者のものの見方や考え方について熟考
させ,個人内思考を十分に保障した後に交流させることにより,より深い読みができるよう
にしていくことが大切である。
関
連
解説資料P67~68,報告書P75~76,授業アイデア例P13~14
参照