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講習会の感想文を絵日記形式で書いてもらうこと
宮鹿野充1、安行由美子 2、金子満 3
1
裾野市消防本部、2 関東甲信越地区着衣泳指導員、3 さいたま市消防局
1.緒言
これまで着衣泳講習後のアンケート調査は、記述式や選択式で行ってきた。幼児講習においては、親に「子
供はどのように捉えたと思うか?」を回答してもらっていた。今回、文字の読み書きができない子でも生の感
想を表現できるよう、絵日記式の感想文を取り入れた。その結果、幼児の感想を知るだけではなく、様々な利
点があることが分かったので報告する。
2.方法
平成 24 年に開催した青梅着衣泳講習会、裾野着衣泳講習会において、絵日記式の感想文用紙(図 1)と色
鉛筆、クレヨンなどの文房具を準備し、講習会終了後に、受講者全員に自由に記述してもらうよう依頼した。
完成した感想文は、スキャナでパソコンに取り込み、原本は持ち帰ってもらうこととした。指導員が感想文を
利用する際には、個人情報の保護を遵守する旨の了解を得た。
3.結果と考察
参加者のほとんどが、感想文記述に応じてくれた。子供は学校で書き慣れているのか、すらすらと書きあげ
る子が多かった(図 2)。大人は童心に返り楽しんで書いている様子であった。絵日記式の感想文は、記載し
やすい印象であった。着衣泳講習会での出来事を思い出し、それを言葉や絵にすることは、受講生自身の復習
に繋がり、知識の定着に繋がるのではないかと考える。
更に、感想文をスキャナに取り込み、原本を持ち帰ってもらう事で、家庭での話し合いの材料となり、また、
そのまま学校の宿題の提出物とできる効果もあることが分かった。ただ、絵日記の内容は家庭や学校での話題
となりえるため、受講者が誤った認識をしていた場合、着衣泳を知らない人にエラーメッセージが伝わってし
まうことも考えられる。これを防ぐため、今後は、指導員のコメントを付けて返却することを検討したい。
さらに指導員にとっては、受講者が一番印象に残ったことを即座に把握でき、講習の効果、改善点を抽出し
やすいことが分かった。絵日記の枚数が集まれば、背浮き・救助対応・災害対応・
釣り具救助・チェーンオブサバイバルの劇など、項目ごとに分け検討することも
できる。受講者が、
【浮いて待つこと】、背浮き時に【大声を出さない、手を大き
く水から出さない】、救助対応では【救助
者は励まし、浮く物を渡して助けを呼ぶ】
などのキーワードを感じ取り、絵日記に残
すことができれば、その講習会は成功だっ
たと言える。
今後も絵日記式感想文を継続し、受講者
のみならず、受講者の周囲の人々に【命を
守る着衣泳】を理解してもらえるよう検討
や改善を行い、正しい知識・技術の普及に
図1
図2
活用していきたい。