【平成27年5月の経済報告】 平成27年5月20日 本稿は、マイクロマシン/MEMS 分野を取り巻く経済・政策動向のトピックをいろいろ な観点からとらえて発信しています。 平成27年度、風薫る5月の経済報告をお届けします。 1.経済の状況 ◎ 月例報告(内閣府)(平成27年4月20日公表)※最新のデータで作成 【日本経済の基調判断】 <現状> ・景気は、企業部門に改善がみられるなど、緩やかな回復基調が続いている。 ・消費者物価は、横ばいとなっている。 <先行き> 先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、原油価格下落の影響や各種 政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外景気の下振れな ど、我が国の景気を下押しするリスクに留意する必要がある。 ※ なお、月例報告(内閣府)の詳細は、以下のHPをご参照下さい。 http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/kaigi.html 1 ◎ 設備投資 ★平成 27 年 3 月実績および平成 27 年 4~6 月見通し:機械受注統計調査報告 (平成 27 年 5 月 18 日公表 内閣府経済社会総合研究所) 機械受注総額の動向をみると、27 年 2 月前月比 0.0%減の後、3 月は同 1.8%増の 2 兆 4,820 億円となった。需要者別にみると、民需は前月比 24.9%増の 1 兆 2,524 億円、官公 需は同 19.3%減の 2,196 億円、外需は同 13.5%減の 9,225 億円、代理店は同 8.2%減の 950 億円となった。 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、27 年 2 月 前月比 1.4%減の後、3 月は同 2.9%増の 8,694 億円となった。このうち、製造業は同 0.3% 増の 3,638 億円、非製造業(除く船舶・電力)は同 4.7%増の 4,978 億円となった。1~3 月をみると、受注総額は前期比 12.0%増の 7 兆 3,570 億円となった。需要者別にみると、 民需は同 18.2%増の 3 兆 3,474 億円、官公需は同 4.4%増の 8,286 億円、外需は同 10.9%増 の 2 兆 9,894 億円、代理店は同 4.7%減の 3,004 億円となった。 また、「船舶・電力を除 く民需」は同 6.3%増の 2 兆 5,713 億円、製造業は同 2.3%増の 1 兆 911 億円、非製造業 (除船舶・電力)は同 8.5%増の 1 兆 4,733 億円となった。 4~6 月見通しをみると、受注総額は前期比 1.4%減の 7 兆 2,524 億円の見通しになって いる。 需要者別にみると、民需は同 7.9%減の 3 兆 818 億円、官公需は同 4.9%増の 8,689 億円、外需は同 2.4%減の 2 兆 9,173 億円、代理店は同 5.9%増の 3,181 億円の見通しにな っている。また、「船舶・電力を除く民需」は同 7.4%減の 2 兆 3,810 億円、製造業は同 9.4%減の 9,886 億円、非製造業(除船舶・電力)は同 4.8%減の 1 兆 4,022 億円の見通し になっている。 2 平成 26 年度実績をみると、受注総額は前年度比 8.4%増の 28 兆 5,756 億円になってい る。 需要者別にみると、民需は同 4.5%増の 12 兆 172 億円、官公需は同 1.6%減の 3 兆 1,481 億円、外需は同 15.7%増の 12 兆 1,835 億円、代理店は同 7.4%増の 1 兆 2,267 億円 になっている。また、「船舶・電力を除く民需」は同 0.8%増の 9 兆 7,805 億円、製造業 は同 7.0%増の 4 兆 1,620 億円、非製造業(除船舶・電力)は同 3.3%減の 5 兆 6,510 億円 になっている。 ※ なお詳細は以下のHPをご参照下さい。 http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/1503juchu.html 2.関係する産業動向 ◎鉱工業指数調査 【最新プレス情報 平成 27 年 3 月分】(平成 27 年 5 月 18 日発表) 3 <生産・出荷・在庫・在庫率指数概況> 概 況 (1) 生産は、前月比▲0.8%の低下であった。 業種別にみると、食料品・たばこ工業、電気機械工業、金属製品工業等が低下し、はん 用・生産用・業務用機械工業、情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業等が上昇した。 出荷は、前月比▲0.6%の低下であった。業種別にみると、電子部品・デバイス工業、鉄鋼 業、石油・石炭製品工業等が低下し、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業、情 報通信機械工業等が上昇した。 在庫は、前月比 0.4%の上昇であった。業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械工 業、化学工業、鉄鋼業等が上昇し、輸送機械工業、非鉄金属工業、石油・石炭製品工業等 が低下した。 (2) 確報と速報を比べると、生産、出荷は下方修正、在庫、在庫率は上方修正であった。 生産の下方修正は、航空機用機体部品(プロペラ・回転翼を含む)、コーヒー・茶系飲料 等による。 4 5 ※ なお詳細は以下のHPをご参照下さい。 http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2010_201503kj.pdf 3.その他の動向 ◎ 「ロボット革命イニシアティブ協議会創立記念懇親会」開催される。(2015.5.15) (首相官邸HP転載) 平成27年5月15日、安倍総理は、都内で開催された「ロボット革命イニシアティブ 協議会創立記念懇親会」に出席しました。総理は、挨拶の中で、次のように述べました。 「ロボット革命イニシアティブ協議会の創設に際し、心からお祝いを申し上げたいと思 います。1年前、パリで開催された OECD 閣僚理事会において、私は『ロボット革命を起 こす』と世界に向けて宣言しました。 我が国は、これまで『ロボット大国』として、世界をリードし、ロボットの優れた作り 手、使い手として、大規模工場の生産性を飛躍的に高めることに成功しました。 しかしながら、欧米を中心に、ロボットとビッグデータなどITとが融合した、新たな 生産システムの導入により、新たなロボットの主導権を握ろうとしています。この新たな 時代に、このまま手をこまねいていては、欧米の単なる下請けになりかねないわけであり ます。 新たなロボット大国の鍵を握るのは、ロボットを大規模工場から、経済社会の隅々にま で解き放つことであります。中小企業のものづくり、高齢化が進む農作業、腰痛に悩む介 護現場、老朽インフラの点検・補修においても、働く人を支える頼もしいパートナーに姿 を変えてもらわなければならないと考えています。 本日、この場には、農林水産業、食品、医療・福祉、通信、建設など、従来の産業機械 6 としてのロボットのイメージからは想像もつかないような様々な分野の方々に集まってい ただきました。正にオールジャパン。ロボット革命の決起集会にふさわしいと言えると思 います。 ロボットが人々の暮らし、社会を劇的に変える。だからこそロボット革命なのです。既 存の体制で成功させることは夢のまた夢。今こそ大胆に発想を転換する時になります。産 業界の壁、省庁の壁を取り払い、世界を見据えた戦略と道筋を共有して、官民一体となっ て取り組んでいかなければならないと思います。 革命の夜明けは、もう、すぐそこであります。昨年訪問した中小企業では、人と並んで、 細かな組み立て作業を器用にこなしていました。値段は700万円程度であります。中小 企業にでも手が届きます。安価なのに高性能なロボットに私は大変驚きました。このロボ ットの導入により、生産性が大きく改善したことから、海外の生産を国内に戻したそうで あります。 少子高齢化に直面する介護分野でも、ロボットは大活躍しています。アシストスーツは、 介護する側にも、介護される側にも優しく、お互い微笑んでいたのが印象的でありました。 将来の明るい介護を垣間見た次第であります。農業、建設、物流などでの単純、過重、危 険な労働から、人々を解放する力を、ロボットは持っています。 国際協調も忘れてはなりません。先日、ドイツのメルケル首相と会談をし、この協議会 をベースに、ドイツと新たな協力チャンネルを設けたいと提案をしました。メルケル首相 も、この提案に力強く同意をいただきました。日本発の『ロボット革命』により、世界を 新たな姿へと変えていく。私もその実現に向けて全力で取り組んでいきます。 ロボット革命の狼煙は既に上がっています。さあ、皆さん、その一歩を共に踏み出して いこうではありませんか。本日が新たな歴史の1ページを刻むことを祈念いたしまして、 私の御祝いの言葉とさせていただきたいと思います。皆さん一緒に前に進んで行こうと思 います。どうぞよろしくお願いいたします」 【解説】 政府は5月15日、産学官のロボット普及推進組織「ロボット革命イニシアティブ協議 会」を設立しました。東京五輪の2020年に向けて、ロボット開発や導入促進、規制緩 和を加速することが政府方針とされ、協議会がその推進母体となります。同協議会の創設 は政府が1月にまとめたロボット新戦略の中で謳われ、協議会の会長には日本機械工業連 合会の岡村正会長(東芝相談役)が就任しました。 協議会には、主要な業界団体やメーカーなど226社・団体・個人が参加します。 事務局は日機連が務め、ロボット未導入業界とロボット関連メーカーのマッチングや、 国際標準化分野での連携、IoT時代の情報セキュリティー確保といった業界横断的な課 題に主に取り組む予定です。また、ドイツが国家戦略「インダストリー4・0」の国際標 準化を積極的に進めており、これに対抗する方策として「生産システム改革」のWGを先 行して始動させることも予定されています。 ◎【SEMIニュース】(2015.5.19)<転載> シリコンウェーハ出荷面積発表 2015 年第 1 四半期のシリコンウェーハ出荷面積は過去最高水準 SEMI(本部:米国カリフォルニア州サンノゼ)は、5 月 18 日(米国時間)、SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)によるシリコンウェーハ業界の分析結果をもとに、2015 年第 1 四半期 (歴年)の世界シリコンウェーハ出荷面積が 2014 年第 4 四半期から増加したと発表しました。 7 2015 年第 1 四半期に出荷されたシリコンウェーハ面積は 26 億 3,700 万平方インチで、2014 年第 4 四半期の 25 億 5,500 万平方インチから 3.4%増加し、四半期の出荷量では過去最高となりました。ま た、前年同期比では 11.6%増でした。 SEMI SMG 会長の株式会社 SUMCO 営業本部海外営業部第 1 グループ担当部長 矢田銀次氏は次のよう に述べています。 「今年の第 1 四半期の出荷量は、昨年第 3 四半期に記録された過去最高値を超えました。半導体市場 が昨年享受した市場の強い勢いが、この直近の四半期におけるシリコンの出荷面積を押し上げること になりました。」 ■ 半導体用シリコンウェーハ出荷面積四半期毎動向 (百万平方インチ) 2014 年第3四半期 2,597 (百万平方インチ) 2014 年第4四半期 2,550 (百万平方インチ) 2015 年第1四半期 2,637 (百万平方インチ) ※太陽電池用のシリコンは含みません。 シリコンウェーハは半導体の基本材料であり、半導体は、コンピュータ、通信機器、家電をはじめ とするあらゆるエレクトロニクス関連製品のきわめて重 要な部品です。シリコンウェーハは、高度な 技術で作られた薄い円盤状の素材で、様々な直径(1 インチから 300mm まで)で製造されており、殆 どの半導体 デバイス(チップ)の基板材料として使われています。本リリースで用いている数値は、 ウェーハメーカーよりエンドユーザーに出荷された、バージンテスト ウェーハ、エピウェーハを含む ポリッシュドウェーハと、ノンポリッシュドウェーハを集計したものです。 以上 8
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