【平成27年2月の経済報告】 平成27年2月18日 本稿は、マイクロマシン/MEMS 分野を取り巻く経済・政策動向のトピックをいろいろ な観点からとらえて発信しています。 立春、2月の経済報告をお届けします。 1.経済の状況 ◎ 第2回経済財政諮問会議 平成27年2月12日に第2回経済財政諮問会議が開催されました。テーマは、中長期 の経済財政の展望と財政健全化について及び経済の好循環の強化に向けての2つです。 【中長期の経済財政の展望財政健全化について】 1.経済に関するシナリオ マクロ経済に関する異なる2つのシナリオの下、試算を実施。 (1)経済再生ケース 日本経済再生に向けた、①大胆な金融政策、②機動的な財政政策、③民間投資 を喚起する成長戦略(「日本再興戦略」1)の「三本の矢」の効果が着実に発現。中長 期的に経済成長率は実質2%以上、名目3%以上となる。消費者物価上昇率(消費税率引 上げの影響を除く)は、中長期的に2%近傍で安定的に推移。 (2)ベースラインケース 経済が足元の潜在成長率並みで将来にわたって推移。この場合には、中長期的に経済成長 率は実質1%弱、名目1%半ば程度となる。 2.財政面における主要な想定 年度については、予算政府案等に基づく。 消費税率(国・地方)が 2017 年4月 1 日より 10%へ引き上げられること及び社会保 障制度改革の実施などにより一定の歳出増が生じることを想定。 年度以降の期間については、社会保障歳出は高齢化要因等で増加、それ以外の一 般歳出は物価上昇率並に増加すると想定。 「復興財源確保法」2 等を踏まえ、復旧・復興対策の実施、復興特別税の実施、復興 債の発行を想定。 3.主な試算結果 年度の国・地方の基礎的財政収支(復旧・復興対策の経費及び財源の金額を 除いたベース、以下同じ。)の対 GDP 比は、▲3.3%程度となり、2010 年度の水準か らの対 GDP 比赤字半減目標(対 GDP 比▲3.3%)を達成する見込みとなった。 年度の国・地方の基礎的財政収支の対 GDP 比はベースラインケースの場合は ▲3.0%程度、デフレ脱却・経済再生を達成する経済再生ケースの場合は▲1.6%程 度となる。2020 年度の財政健全化目標達成のためには更なる収支改善努力が必要。 年度における公債等残高の対 GDP 比(復興債を除く。)は、ベースラインケー スの場合は 206.4%程度となり、その後も 2023 年度にかけて増加し続けることが見込 まれる。経済再生ケースの場合は 186.0%程度となり、その後も 2023 年度にかけて横 1 ばい圏内で推移することが見込まれる。公債等残高の対 GDP 比を安定的に低下さ せるためには更なる努力が必要。 【経済の好循環の強化に向けて】(有識者資料) 1.所得格差の現状について • 経済成長を追求しながら、その中で格差是正に取り組むことが重要である。成長が止ま れば、格差が固定する。 • 近年、我が国では、高齢化、単身世帯化の中で、ジニ係数でみると緩やかに格差が拡大 してきたが、高齢者への所得再分配が機能し、再分配後の格差はほぼ横ばいとなっている。 ただし、2010 年と 2004 年を比較すると、若年層のジニ係数は若干上昇している。 • 生活の程度に関して中流と考える割合は、ほとんど変化しておらず、また、役員と従業 員の報酬の差異もほとんど拡大していない。 • 格差の状況については、捕捉できるデータが古いこともあり、引き続き幅広く検証して いく必要がある。 2.効果的な再分配機能の拡充に向けて • 我が国の社会保障給付は先進諸国に比べて、現役世代への支出が相対的に少ないという 特徴がある。母子世帯、若年失業者・無業者等への就業支援、子育て世帯に対する税制・ 給付面からの支援措置等により、自助自立を支援し、格差の固定を是正すべき。 • 一般に、社会保障支出が大きいほど、政府の規模は大きくなる傾向がある。ただし、日 本では、経済再生と財政健全化を両立していく必要があり、政府の規模拡大を通じて再分 配機能を強化するには限界がある。高齢者中心から現役世代を含めたバランスのとれた資 源配分へとシフトすべき。 3.地域特性を活かした地域格差の是正に向けて • 地域ごとに、置かれた環境の違いがあり、所得面からのみ地域格差を議論するのは適切 ではない。むしろ、地域の多様性を活かした独自の発展を遂げていくことが重要である。 特色ある観光や農業がカギとなる。 • 企業がそうした特色ある地域の取組を支援するため、国の再分配によらず、ふるさと納 税のように、企業自ら地方に貢献できる仕組みを拡充すべき。 (例)地方自治体等に対する寄附の活用促進に向けた官民連携の取組など • 地域の教育や文化、コミュニティの再生に個人の資産を還元する税制や寄附の仕組みを 検討すべき。 • 対日投資・国内投資の促進や産業活性化に向けて、地域ごとのワンストップサービスを 実現すべき。 ◎ 月例報告(内閣府)(平成27年1月23日公表)※最新のデータで作成 【日本経済の基調判断】 <現状> ・景気は、個人消費などに弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 ・消費者物価は、横ばいとなっている。 <先行き> 先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、原 油価格下落の影響や各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。た だし、消費者マインドの弱さや海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクに 2 留意する必要がある。 ※ なお、月例報告(内閣府)の詳細は、以下のHPをご参照下さい。 http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2015/01kaigi.pdf ◎ 設備投資 ★平成 26 年 12 月実績および平成 27 年 1~3 月見通し:機械受注統計調査報告 (平成 27 年 2 月 12 日公表 内閣府経済社会総合研究所) 機械受注総額(季節調整値)の動向をみると、26 年 11 月前月比 10.4%減の後、12 月は 同 8.6%増の 2 兆 1,960 億円となった。 需要者別にみると、民需は前月比 17.5%増の 1 兆 14 億円、官公需は同 10.8%増の 2,756 億円、外需は同 6.9%減の 7,973 億円、代理店は同 16.9%増の 1,154 億円となった。 民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、26 年 11 月 前月比 1.3%増の後、12 月は同 8.3%増の 8,536 億円となった。このうち、製造業は同 24.1%増の 3,969 億円、非製造業(除く船舶・電力)は同 7.2%増の 4,770 億円となった。 10~12 月をみると、受注総額は前期比 3.1%減の 6 兆 4,745 億円となった。需要者別に みると、民需は同 3.0%減の 2 兆 8,071 億円、官公需は同 2.9%増の 7,931 億円、 外需は同 9.3%減の 2 兆 5,644 億円、代理店は同 3.6%増の 3,258 億円となった。 また、「船舶・電 力を除く民需」は同 0.4%増の 2 兆 4,196 億円、製造業は同 0.8%増の 1 兆 605 億円、非製 造業(除船舶・電力)は同 0.7%減の 1 兆 3,645 億円となった。 平成 27 年 1~3 月見通しをみると、受注総額は前期比 2.5%減の 6 兆 3,127 億円の見通 しになっている。 需要者別にみると、民需は同 0.2%増の 2 兆 8,134 億円、官公需は同 10.1%減の 7,134 億円、外需は同 4.0%増の 2 兆 6,680 億円、代理店は同 17.1%減の 2,702 億円の見通しになっている。また、「船舶・電力を除く民需」は同 1.5%増の 2 兆 4,552 億円、製造業は同 2.1%減の 1 兆 378 億円、非製造業(除船舶・電力)は同 4.9%増の 1 兆 4,310 億円の見通しになっている。 平成 26 年実績をみると、受注総額は前年比 8.9%増の 27 兆 8,919 億円になっている。 需要者別にみると、民需は同 5.7%増の 11 兆 6,034 億円、官公需は同 6.6%減の 3 兆 830 億 円、 外需は同 17.9%増の 11 兆 9,862 億円、代理店は同 4.9%増の 1 兆 2,193 億円になって いる。 また、「船舶・電力を除く民需」は同 4.0%増の 9 兆 6,920 億円、製造業は同 11.3%増の 4 兆 1,036 億円、非製造業(除船舶・電力)は同 0.8%減の 5 兆 6,284 億円にな っている。 3 ※ なお詳細は以下のHPをご参照下さい。 http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/1412juchu.html 2.関係する産業動向 ◎鉱工業指数調査 【最新プレス情報 平成 26 年 12 月分確報】(平成 27 年 2 月 16 日発表) <生産・出荷・在庫・在庫率指数概況> 生産は、前月比 0.8%の上昇であった。 業種別にみると、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、化学工業等が上昇し、食 料品・たばこ工業、金属製品工業、鉄鋼業等が低下した。 出荷は、前月比 1.0%の上昇であった。 業種別にみると、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、情報通信機械工業等が上昇し、 輸送機械工業、食料品・たばこ工業、石油・石炭製品工業等が低下した。 在庫は、前月比▲0.7%の低下であった。 業種別にみると、鉄鋼業、電気機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業等が低下し、電 子部品・デバイス工業、窯業・土石製品工業、輸送機械工業等が上昇した。 確報と速報を比べると、生産、出荷、在庫、在庫率とも下方修正であった。 4 <製造工業生産能力・稼働率指数概況> 製造工業稼働率指数は、101.8 で前月比 2.0%の上昇であった。 製造工業生産能力指数は、95.0 で前月比 0.1%の上昇であった。 【概 況】 (1) 生産は、前月比 0.8%の上昇であった。 業種別にみると、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、化学工業等が上昇し、 食料品・たばこ工業、金属製品工業、鉄鋼業等が低下した。 出荷は、前月比 1.0%の上昇であった。 業種別にみると、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、情報通信機械工業等が上昇 し、輸送機械工業、食料品・たばこ工業、石油・石炭製品工業等が低下した。 在庫は、前月比▲0.7%の低下であった。鉄鋼業、電気機械工業、はん用・生産用・業務用 機械工業等が低下し、電子部品・デバイス工業、窯業・土石製品工業、輸送機械工業等が上 昇した。 (2) 確報と速報を比べると、生産、出荷、在庫、在庫率とも下方修正であった。生産の下 方修正は、コーヒー・茶系飲料、医薬品等による。 (3) 製造工業稼働率指数は、101.8 で前月比 2.0%の上昇であった。製造工業生産能力指 数は、95.0 で前月比 0.1%の上昇であった。 5 6 ※ なお詳細は以下のHPをご参照下さい。 http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2010_201412kj.pdf 3.その他の動向 【SEMIプレスリリース】 2014 年のシリコンウェーハ出荷面積は過去最高水準に到達 SEMI(本部:米国カリフォルニア州サンノゼ)は 2 月 9 日(米国時間)、SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)が 2014 年末に実施したシリコンウェーハ業界の分析結果を もとに、2014 年の世界シリコンウェーハ出荷面積が前年比 11%増となったことを発表しま した。また、2014 年の世界シリコンウェーハ販売額は、前年比 1%増でした。 2014 年の世界シリコンウェーハ出荷面積は、総計 100 億 9,800 万平方インチとなり、 2013 年の出荷面積 90 億 6,700 万平方インチから増加しました。これまでの年間出荷面積 の最高値は、2010 年に記録された 93 億 7,000 万平方インチでした。販売額は、2013 年の 75 億ドルから 76 億ドルへと微増となりましたが、2007 年に記録された最高額からは 37% 下回ります。 SEMI SMG 会長の株式会社 SUMCO 技監 片浜 久(カタハマ ヒサシ)氏は次のように述べ ています。「半導体用シリコンウェーハの年間出荷面積の水準は、これまで 3 年間にわた り横ばいでしたが、昨年は相当な成長を遂げ過去最高に到達しました。しかし、販売額に ついては、出荷面積ほどの回復はありませんでした。」 7
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