第5章 外国銀行の進出と役割 蔵内雄大 外国銀行進出のメリット・デメ リット ASEAN諸国 ⇒ 1990年代に入り金融自由化が本格化 外国銀行の市場参入には 厳しい規制 金融危機発生 外国銀行の市場参入規制の緩和 外国銀行進出のメリット・デメ リット 外国銀行進出のメリット ①国内の投資が促進! ②銀行の提供するサービスの質が改善! ③制度インフラのレベルアップ 外国銀行進出のメリット・デメ リット 外国銀行進出のデメリット ①海外への資金流出が悪化する懸念 ②現地の大衆を相手とするリテイル市場にサービスを提供し ない ③市場を支配 ④短期間で取引関係を縮小し、引き上げてしまう懸念 ⑤金融システムの安全性が脅かされてしまう懸念 外国銀行の進出と世銀のシナリオ 世銀の実証研究結果 1990年代の中欧諸国やラ米諸国 外国銀行の進出によっ て・・・ 外国銀行の市場シェアが 高まるほど、地場銀行の 利潤率は低下 貸し倒れ引当金が増加 地場銀行の経営効率性が高まったかどうかは不明 瞭 World Bankは肯定的に評価 外国銀行の進出と世銀のシナリオ World Bankが期待するシナリオ ①地場銀行の効率性を改善させ、その競争力を高める効果 ②地場銀行の経営の透明性が高まり、より厳格な会計基準が導入される ③金融規制の近代化 ④零細顧客に対しても積極的にサービスを提供 外国銀行の参入と地場銀行のモデ ル 外国銀行の進出:世銀のシナリオ 市場競争を通じて銀行の貸出金利に低下圧力 外国銀行と地場銀行との間で顧客企業層の分化 地場銀行の満足度低下 =経営環境悪化 地場銀行の行動が変化し、過剰なリスクテイク 外国銀行の参入と地場銀行のモデ ル 外国銀行が進出先の地場企業情報の収集能力を向上させよ うとすると・・・ ・外国銀行の貸出先が中小企業に も拡大し、零細な企業にも銀行 サービスが提供される ・地場銀行に先進的な審査技能や 資産負債管理技術が導入 ・途上国の金融当局が監督・規制 の能力をレベルアップさせる ・地場企業が情報開示や企業統治 を改善しようとする ・地場銀行の 経営改善 ・貸出金利も低 下 東南アジア諸国における実証研究 財閥グループの存在と外国銀行進出効果(例:フィリピン) 外国銀行の参入が地場銀行の経営に与える影響 ビジネスグループに属する 利鞘への影響 競争激化 ⇒ 縮小 ビジネスグループに属さない やや競合 ⇒ やや縮小 営業費用への影響 やや縮小 縮小 非金利収入への影響 低下 顕著に低下 利潤への影響 特に変化なし 特に変化なし 貸出債権への引当金 増加 増加 重要な示唆 ①地場銀行といっても多様であり、外国銀行の進出による影響の受け方は様々である ②銀行セクター外の産業構造の在り方とも不可分 東南アジア諸国における実証研究 外国銀行の資本参加と買収効果(例:タイ) <資本参加の影響> ・営業経費を増加 ⇒ 収益率を低下 ・預貸金利スプレッドを拡大 <買収効果> 地場銀行の積極的な対応 ※外国銀行支店と地場銀行とは補完的な関係 外国銀行の役割:アジア銀行市場の展 望 外国銀行と地場銀行はそれぞれ特徴ある経営特性を持っている =補完関係 ※外国銀行がリテイル市場に進出する場合 ⇒市場競争の促進を促し、銀行の経営効率のレベルアップに! 金融危機発生の危険性 <重要政策課題> 論点 邦銀のアジア進出の現状と課題
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