グローバルな ERM 資格認定に関する協定書への署名について - 日本

平成 21 年 11 月 25 日
各
位
社団法人
日本アクチュアリー会
グローバルな ERM 資格認定に関する協定書への署名について
社団法人日本アクチュアリー会(理事長:五十嵐
勉)では、「グローバルな ERM 資格
認定に関する協定書」に署名しましたのでお知らせいたします。
アクチュアリーは、確率・統計などの手法を用いて不確定な事象(=リスク)を取り扱う
数理のプロフェッショナルです。その活動分野は伝統的な保険・年金分野を超えて、ERM
(エンタープライズ・リスク・マネジメント)にも広がりつつあります。
このたび日本アクチュアリー会を含む世界の 12 カ国の 14 のアクチュアリー会が「グロ
ーバルな ERM 資格認定に関する協定書」に署名し、統一された基準で ERM 資格“CERA
(Chartered Enterprise Risk Actuary)”を相互に認定することになりました。詳細は別紙
をご参照願います。
日本アクチュアリー会もこの協定書に従い、早ければ 2011 年度に CERA 資格を付与でき
るよう準備を進めてまいります。
以
上
本件に関する問い合わせは以下にお願いします。
社団法人
日本アクチュアリー会
TEL:03-5548-6033
別紙
社団法人日本アクチュアリー会
“ハイデラバード協定書が新たなリスク・マネジメント資格をグローバルに立ち上げ”
社団法人日本アクチュアリー会は本日、特に金融業界において、高い品質のリスク専門
職の必要性が世界的に急速に高まっていることに対応して、グローバルなリスク・マネジ
メント資格、CERA(Chartered Enterprise Risk Actuary)の立ち上げを発表しました。
立ち上げは、インド・ハイデラバードで開催された国際アクチュアリー会(IAA)の会議期
間中に多国間の協定書に署名することにより開始されました。協定書は、世界経済におけ
る多くの主要国を含む 12 カ国の 14 の IAA 会員組織により署名されました。
ピッツバーグでの G20 会議以来、行動規範と強力な専門的技術を結び付けるという概念
は支持されてきています。この資格とそれが代表する規律は、その必要性に直接に取り組
んでいくものとなります。
この資格は、認定された各国アクチュアリー会により付与され、現在米国アクチュアリ
ー会(SOA)により発行され尊重されている CERA の名称を取り込み、その名称をそのま
ま採用します。また、エンタープライズ・リスク・マネジメント(ERM)における厳格な
教育要件を満たし、強力な専門職の行動規範により統制されるアクチュアリーを明確化し
ます。
グローバル CERA 運営グループの議長である Fred Rowley 氏は次のように語ります。
“この分野での質の高い専門職の需要は、経営者や取締役会がリスク・マネジメントの実
質的な改善の必要性を認識するにつれて、急速に高まっています。市場および監督官は、
質・量ともにより高いレベルの情報に基づく意思決定とリスク・コントロールを求めてい
ます。”
“SOA の CERA 資格はその資格に対する強い需要を立証し、新しいグローバルな資格称
号の方向性と実例について強固な基礎を提供するものでした”と Rowley 氏は言います。
“この協定書への署名は、アップデートされるシラバスと参加者の教育制度の認定に関す
る同意を採用することを通じて、この需要に基づいて強固に打ち立てられています。”
SOA 会長の S. Michael McLaughlin 氏は“この資格の技術的な基準により、厳格さと品
質保証に対するベンチマークが確立されます。シラバスは包括的であり、すべての主要な
分野にわたって、現在の厳しい金融環境から生じる重要な課題に対応しています。世界中
で企業と公衆のリスク・マネジメントの需要が満たされるものと確信しています。”と言っ
ています。
立ち上げにあたり、IAA 会長日笠克巳氏は次のように語りました。“IAA では、IAA の
14 の正会員組織によるこの提案を喜ばしく考えています。専門的技術と専門職としての統
制がこのように結びつくことにより、この資格称号を付与されたすべてのアクチュアリー
は、現在の課題に応えていくための十分な能力を確実に有することになります。
”
協定書に署名したアクチュアリー会のリストは以下のとおりです。
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2009 年 11 月 16 日
The Institute of Actuaries of Australia (オーストラリア)
Canadian Institute of Actuaries / Institut Canadien des Actuaires
Institut des Actuaires (フランス)
Deutsche Aktuarvereinigung e.V. (ドイツ)
Israel Association of Actuaries (イスラエル)
日本アクチュアリー会 (日本)
Colegio Nacional de Actuarios A.C. (メキシコ)
Het Actuarieel Genootschap (オランダ)
Actuarial Society of South Africa (南アフリカ)
Svenska Aktuarieföreningen (スウェーデン)
Faculty of Actuaries (英国)
Institute of Actuaries (英国)
Casualty Actuarial Society (米国)
Society of Actuaries (米国)
(カナダ)
以
-2-
上
補足
グローバルな ERM 国際資格(CERA 注1)認定の概要
ERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント)とは、企業等が業務遂行上のすべての
リスクに関して、組織全体の視点から統合的・包括的・戦略的に把握・評価し、企業価値
等の最大化を図る収益・リスク管理のための戦略的アプローチです。
近年、アクチュアリーはその専門性と実績を活かして、ERM 分野での積極的な貢献が必要
との認識が国際的にも高まり、今般の協定書の署名が行われました。協定書に記載の国際
資格認定の概要は以下のとおりです。
・協定書に参加した各国のアクチュアリー会は、協定書理事会(Treaty Board)を組織す
る。
・協定書理事会は CERA 資格付与を希望する各国のアクチュアリー会に対し、そのシラバ
ス注2の内容や試験、教育制度等が所定の基準を満たしているか等確認の上、協定書理事会
に資格付与署名者(Award Signatory)としての認定を行うとともに品質保証のための定
期的なレビューを行う。
・各国のアクチュアリーは、認定された各国アクチュアリー会(または認定された教育提
供者等)の実施する教育・試験を受け、所定の基準を満たした場合、CERA 資格を取得す
る。
・CERA 資格を取得した各国のアクチュアリーは、他のアクチュアリー会においても CERA
資格保持者として取り扱われる。
協定書理事会
CERA 資格付与の可否の認定
および品質保証のための
定期的なレビュー
CERA 資格を付与する
各国アクチュアリー会
教育の提供
資格の
資格の
試験の実施
申込
付与
各国のアクチュアリー
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注1:CERA(Chartered Enterprise Risk Actuary)
CERA 資格は 2007 年に米国で米国アクチュアリー会(SOA)により、Chartered Enterprise Risk
Analyst として創設され、これまでに SOA により 500 人以上に資格付与されている。今回署名さ
れた協定書を通じて、CERA は米国に止まらず、協定書に加盟し認定された世界各国のアクチュ
アリー会により付与されるグローバルな資格となる。
注2:シラバス(講義等実施要綱)
協定書は、金融リスクを定量化するのに必要な数学的技法の多くをカバーしている IAA のアクチ
ュアリーのコア・シラバスに加えて、次のものを含む包括的な CERA のシラバスを規定している。
:
・ERM の概念、枠組およびプロセス
・リスクのカテゴリーと識別
・リスク測定
・リスクモデル及びリスクの総計
・リスク・マネジメントのツール及び技法
・エコノミック・キャピタル
また一貫した品質を確保するために、各シラバスの目標がカバーされるべき深度が協定書にお
いて特定されている。
ニュース・リリース(英文)については、「参考1」をご参照願います。
アクチュアリーおよび日本アクチュアリー会については、
「参考2」をご参照願います。
国際アクチュアリー会(IAA)については、「参考3」をご参照願います。
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参考1
Global CERA credential –Announcement
'Hyderabad Treaty launches new risk management credential globally'
The Institute of Actuaries of Japan announced today the launch of a global risk
management credential, the CERA (Chartered Enterprise Risk Actuary), to address the
urgent need for highly-qualified risk professionals globally, especially in the financial
sector. The launch was marked by the Institute of Actuaries of Japan signing of a
multilateral treaty in Hyderabad, India, during the meetings of the International
Actuarial Association (IAA). The treaty was signed by fourteen IAA member
associations based in twelve countries around the world, including many of the major
world economies.
Since the G20 meetings in Pittsburgh, the concept of combining strong technical skills
with professional standards of conduct has been gaining ground. This credential, and
the discipline it represents, address that need directly.
The credential will be awarded through qualified participating associations, and will
incorporate and adopt the name of the highly respected CERA currently issued by the
Society of Actuaries (SOA) in the United States. It will identify actuaries who meet
stringent education requirements in Enterprise Risk Management (ERM) and are
governed by a strong code of professional conduct.
Fred Rowley, Chairman of the Global CERA Steering Group said “The demand for
highly qualified professionals in this field is growing rapidly as management and
boards recognise the need for substantially improved risk management. Markets and
regulators are demanding better and more informed decision making and risk
controls.”
“The SOA CERA qualification has confirmed a strong demand for the qualification and
provides a firm foundation of insights and experience for the new global credential,” Mr.
Rowley said. “The signing of this treaty builds strongly on this demand through the
adoption of an updated syllabus and agreements on the recognition of the participants’
education systems.”
S. Michael McLaughlin, SOA President, said “The technical standards of the
qualification establish a benchmark for rigour and quality assurance. The syllabus is
comprehensive and addresses the important challenges posed by the current financial
pressures, across all major sectors. We are confident that it will satisfy the risk
management needs of enterprises and the public they serve, around the world.”
-5-
Speaking at the launch, IAA President Mr Katsumi Hikasa said “The IAA is pleased to
see this initiative on the part of fourteen of its full member associations. This
combination of technical skills and professional governance will ensure that all
actuaries awarded the credential are fully equipped to face current real-world
challenges.”
A full list of participant associations is attached.
16 November 2009
The Institute of Actuaries of Australia (Australia)
Canadian Institute of Actuaries / Institut Canadien des Actuaires
Institut des Actuaires (France)
Deutsche Aktuarvereinigung e.V. (Germany)
Israel Association of Actuaries (Israel)
Institute of Actuaries of Japan (Japan)
Colegio Nacional de Actuarios A.C. (Mexico)
Het Actuarieel Genootschap (Netherlands)
Actuarial Society of South Africa (South Africa)
Svenska Aktuarieföreningen (Sweden)
Faculty of Actuaries (UK)
Institute of Actuaries (UK)
Casualty Actuarial Society (USA)
Society of Actuaries (USA)
-6-
(Canada)
参考2
日本アクチュアリー会について
1.目的
本会は、アクチュアリー学の総合的調査研究活動を通じ、アクチュアリーの専門職とし
ての職務遂行能力の維持向上を図り、保険事業・年金事業等アクチュアリーが関与する事
業の健全な発展に寄与することを目的としています。
2.アクチュアリーとは
アクチュアリー(Actuary)は、確率・統計などの手法を用いて、不確定な事象(=リス
ク)を扱う数理のプロフェッショナルです。アクチュアリーの多くは保険会社や信託銀行
などに所属し、保険や年金の料率設定、決算などに関わる保険数理・年金数理業務を行っ
ています。また、規制緩和や金融の国際化の進展に伴い、より多様化・複雑化する保険や
年金の開発、さらにリスク管理といった分野においても、アクチュアリーの果たす役割は
ますます重要になってきており、広く海外でも知られる国際的な専門職として、グローバ
ルな活動を行っています。
3.概要
本会は、明治 32 年 (1899 年)に創立され、100 年を超える歴史を持つ伝統ある団体であ
り、会員には資格試験の合格状況などに応じて、正会員、準会員、研究会員などの区分が
あります。現在は社団法人の法人格を有し、上記目的に沿って、アクチュアリー学の研究
調査、アクチュアリーの教育・育成、資格試験の実施、海外のアクチュアリー団体との交
流など幅広い活動を行っております。
本会は、従来から、わが国の保険行政に関して、行政機関からの諮問を受け、答申する
など、積極的な活動を行っております。現在では、本会は、保険業法第 122 条の 2 の規定
に基づく指定法人として指定されており、金融庁より、保険会社の保険計理人の実務基準
ならびに標準責任準備金の計算の基礎となる係数である標準生命表の制定および必要な改
正を行う業務の委託を受けております。
4.会員数
平成 21 年 9 月末日現在の会員数は次のとおりです。
個人会員
正会員
(うち、名誉会員)
準会員
研究会員
合計
賛助会員
1,236 名
(6 名)
929 名
2,137 名
4,302 名
121 法人
日本アクチュアリー会 ホームページアドレス
-7-
http://www.actuaries.jp
参考3
国際アクチュアリー会(IAA)について
1.目的
IAA は、世界各国のアクチュアリー会および個人のアクチュアリーを会員とする、国
際的な専門職団体・教育調査機関であり、以下を目的としております。
・ 世界中のアクチュアリー会および個人のアクチュアリーの役割を広げ、その評価と認識
の向上を図ること。
・ 世界中のアクチュアリー会およびアクチュアリーが高い水準の専門性を保つように努
め、確実に公共の利益が満たされるようにすること。
・ アクチュアリアルサイエンスの知識体系とその応用の発展を図ること。
・ 世界中で個々のアクチュアリーの専門職としての成長の促進を図ること。
・ アクチュアリー同士での相互の尊重と敬意の促進を図ること。
・ 世界中のアクチュアリー会およびアクチュアリー間の議論の場を提供すること。
・ 国際的な団体との議論において、会員の各アクチュアリー会を代表すること。
2.概要
IAA は、世界各国のアクチュアリー個人を会員として、1895 年に設立された団体であ
り、各国のアクチュアリーに議論の場を提供することを通じ、アクチュアリーの資質の
向上およびアクチュアリアル・サイエンスの発展を目指す学術団体でした。
その後、経済・金融の急速なグローバル化により、国際的なレベルでアクチュアリー
専門職を代表する団体を設立することが必要となってきたことを受けて、1998 年 6 月に
組織改正が行われ、基本的に各国のアクチュアリー会を会員とする組織に生まれ変わり
ました。
現在 IAA では、保険会計、保険監督、年金・従業員給付、社会保障、教育など多くの
委員会が設置され、多岐に渡る範囲で活発な活動が行われております。
特に、各国のアクチュアリー会を代表する国際的な組織として、IASB(国際会計基準
審議会)、IAIS(保険監督者国際機構)、ISSA(国際社会保障協会)等の他の国際組織に
対してアクチュアリアルな観点からさまざまな協力やアドバイスを行っており、国際的
なレベルで、保険制度や年金制度の健全な発展に貢献しております。
一方で、IAA 内には、従来どおり個人アクチュアリーを会員とする、生命保険、損害
保険、医療保険、年金、金融リスクなどを研究するための学術セクションも設置されて
おり、それぞれの分野でアクチュアリアル・サイエンスの発展に資する活動が行われて
おります。
日本アクチュアリー会は、IAA の主要なメンバーであり、日本アクチュアリー会会長
の日笠克巳が 2009 年度の IAA 会長を務めているほか、IAA の多くの委員会に積極的に
委員を派遣して、IAA の活動に大きく関与しています。
3.会員数
2009 年 9 月末現在の会員数は次のとおりです。
・正会員 62 団体
準会員 23 団体
・日本からの IAA 正会員は、日本アクチュアリー会および日本年金数理人会の 2 団体。
IAA ホームページアドレス
http://www.actuaries.org/
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