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4 月
2 0 1 5
運用レポート
米国投資適格社債
米国投資適格社債の
市場レビュー
図表1
バークレイズ米国クレジット・ボンド・インデックスのリターン
2015年4月のバークレイズ
米 国クレジット・ボンド・
年初来トータル・
リターン
当月
超過収益
年初来
超過収益
イールド・トゥ・ ワースト(YTW)
オプション調整後
スプレッド(OAS)
-0.59%
1.56%
17 bps
35 bps
2.90%
122 bps
2015年4月
インデックスのリターンは
-0.59%となり、同等年限の
当月トータル・
リターン
出所:バークレイズ 2015年4月30日現在
図表2
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米国債を17ベーシス・ポイン バークレイズ米国クレジット・ボンド・インデックスのオプション調整後スプレッド
ト(bp)アウトパフォームし
140
た。4月末の同インデックス
ド(OAS)は前月末から2bp
縮小し、122bpとなった。一
方、発行体による期限前償
還等を考慮した最低利回り
であるイールド・トゥ・ワース
ト(YTW)は、米国債利回り
が概ね上昇したことを主因
135
ベーシス・ポイント
のオプション調整後スプレッ
130
125
120
115
110
12/31/2014
1/31/2015
2/28/2015
3/31/2015
4/30/2015
出所:バークレイズ 2015年4月30日現在
に、前月比7bp上昇の2.90%
となった。10年物米国債利回りは3月の1.93%から、4月は
が続き、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ時期に
2.05%に上昇した。こうした中、当月の米国投資適格社債
対する市場予想が、今秋またはそれ以降に後ずれしたにも
は米ハイ・イールド債(リターンは1.21%)とS&P500種株
かかわらず、意外にも金利は上昇した。
価指数(同0.96%)をアウトパフォームする一方、エマージ
ング市場(同1.82%)をアンダーパフォームした。
投資適格社債は年明けから比較的好調な滑り出しを見せ
たが、記録的な新規発行額を背景に、当資産クラスの良好
4月に発表された米国経済指標は期待外れの雇用統計か
なパフォーマンスは頭打ちになったとみられる。4月の総
ら始まり、月間を通して低調な傾向が続いた。雇用統計に
発行額は、2014年の記録的な新規発行ペースを12%上回
続いて、小売売上高、鉱工業生産、住宅着工件数、耐久財
っている。新規発行は以前にも増して、過去最高額の株
受注、第1四半期(1-3月期)GDP成長率が発表されたが、
式買い戻しやM&A活動の資金調達に充てられている。債
いずれも低調な内容だった。中古住宅販売件数だけは市
券発行が記録的な水準となっているため、その結果レバレ
場予想を下回らなかったものの、3月の伸び率は2014年の
ッジ比率は上昇し、投資適格債市場のグロス・レバレッジ
全般的水準を大きく下回った。このように低調な経済指標
比率は2015年第1四半期に2.17倍に達し、2003年第2四半
© Western Asset Management Company 2015. 当資料の著作権は、
ウエスタン・アセット・マネジメント株式会社およびその関連会社(以下「ウエ
スタン・アセット」
という)に帰属するものであり、
ウエスタン・アセットの顧客、その投資コンサルタント及びその他の当社が意図した受取人のみを対
象として作成されたものです。第三者への提供はお断りいたします。当資料の内容は、秘密情報及び専有情報としてお取り扱い下さい。無断で当資料
のコピーを作成することや転載することを禁じます。
米国投資適格社債
期(4-6月期)のピーク2.38倍こそ下回っているものの、2011
投資適格社債の市場見通しおよび戦略
年第1四半期にサイクルの底を付けた1.87倍を大きく上回っ
現在、信用サイクルの中盤以降の段階にあるのは間違い
た。ネット・レバレッジの比率については、企業が保有する
ないが、いつ終了するかは定かではない。6カ月後か1年後
キャッシュ比率は高止まりしているものの、過去平均であ
か、あるいはさらに先になる可能性もある。結局のところ、
る1.82倍を下回っている。
クレジットの強気の市場サイクルに終止符を打つのは企業
の行動だろう。企業は配当や買収に関連する資金調達の形
米国金融取引業規制機構(FINRA)の一部門で、日次で出
でレバレッジを増やしてきたが、バランスシート全般は比
来高を集計しているTRACE(Trade Reporting and Compli-
較的健全で、流動性指標は過去最高水準に近い。確かに
ance Engine)によると、4月の投資適格社債のセカンダリ
2、3年前に比べてファンダメンタルズは弱いが、特に当社
ー取引額は2,900億ドルだった。ちなみに、前月は3,258億ド
は社債ポートフォリオの銘柄やサブセクターの選定、資産
ル、前年同月の2014年4月は2,848億ドルだった。また、4月
配分を厳格に管理しているため、現時点で懸念する理由
の過去12カ月間の月間平均出来高は2,791億ドルとなった。
はない。株主価値の最大化という共通の目的を達成する
バークレイズによると、2015年4月の投資適格社債の新規
ための計画についての経営陣からの回答を当社は注視し
発行額は1,190億ドルで、過去12カ月間の月間平均新規発
ている。2008∼2011年には、経営陣の回答はほぼ一様に
行額は999億ドルだった。
バランスシートの強化であった。2012年になると増配をあ
げる回答が増えた。2013年半ばには、買収に関心を示す
投資適格社債のパフォーマンス・レビュー
企業が一段と増えるようになり、特に医薬品、テクノロジ
4月の米国投資適格社債コンポジットのリターンは-0.76%
ー、石油・ガス、通信業界にそうした回答が多かった。し
となり、主要ベンチマークであるバークレイズ米国クレジ
かし、当社はこのような業界について、バリュエーション
ット・ボンド・インデックスを17bpアンダーパフォームした。
が買収戦略の不確実性に見合わないとの見方に基づき、
相対パフォーマンスは、
下記のアクティブなリスクポジショ
過去18カ月間アンダーウエイトしてきた。実際、このよう
ンの影響を受けた。
な業界では大型買収により買収側の企業のバランスシー
•
銘柄選択はパフォーマンスにプラスに寄与した。オー
トのレバレッジが大幅に高まっている。例えば、米医薬品
バーウエイト上位10銘柄のうち7銘柄がアウトパフォー
メーカーのアクタビス(同業のアラガンを660億ドルで買
ムしたことに加え、最もアンダーパフォームした10銘柄
収)、英・オランダ系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル
のうち7銘柄をアンダーウエイトしていたことが主な要
(英エネルギー企業BGグループを700億ドルで買収)、
因。
•
米通信大手ベライゾン(ベライゾン・ワイヤレスの英ボー
ダフォン所有分45%を1,300億ドルで取得)などがあげら
サブセクター配分は、非社債セクター(-0.15%)および
れる。当社は買収の発表前にこれらの発行体をアンダー
エネルギーセクター(-0.20%)をアンダーウエイトしてい
ウエイトしていたため、発表後に発行体の債務のスプレッ
たため、相対リターンにマイナス寄与した。
ドがそれぞれ拡大した結果、当社の社債ポートフォリオの
•
格付配分はベンチマークと同様だったことから、相対
価値は高まった。当社のクレジットチームは、新発債が買
パフォーマンスに対して中立的な寄与となり、格付別
収のためだという理由だけで、投資について検討を取り止
カテゴリーによるパフォーマンスの違いはほとんどみ
めたりはしない。その後の社債発行に参加するか否かは
られなかった。
複数の要因によって判断する。バリュエーション、当該企
ウエスタン・アセット
2
2015年4月
米国投資適格社債
業の事業の見通しが明るいこと、今後の債務削減計画に
今後3∼6カ月にかけてクレジット・スプレッドは縮小傾向
ついて経営陣が明確に説明できるかどうか、この3点が当
を示すとの見方に加え、当社のクレジットチームは、クレ
社の投資判断のカギを握る要因である。
ジットカーブの長期セクターに妙味があり、金融セクター
の中ではリスク・リターンの観点からシニア債より劣後債が
過去数カ月間、企業とアナリストは企業利益のガイダンス
魅力的な投資機会を提供していると考えている。社債市場
や予想を下方修正してきた。両者とも悪天候とドル高が
の長期セクター選好について、社債市場が信用サイクルの
第1四半期の利益の主な押し下げ要因だと指摘している。
後半にあるという当社の見方と矛盾していると思うかもし
この間の経済指標は低調で、特に最近公表された指標の
れない。しかし、信用サイクルの終了が近づいていることを
弱さが目立つ。これらの要因は今まで金利低下の追い風
多くの投資家が同じように懸念しており、このためスプレッ
となってきたが、10年物米国債利回りは過去5週間で40bp
ドの拡大に備えて、カーブで最も影響を受けやすい部分の
上昇していることから、数多くの悪材料が市場に織り込ま
エクスポージャーを抑えるために長期セクターを回避してき
れているようだ。インフレと経済活動に関する指標からみ
た。その結果、クレジットカーブはスティープ化している。同
て、FRBが利上げを開始するのは早くても9月で、さらに先
じ発行体の10年債と30年債のスプレッド格差は2015年1月
送りされる可能性もあると当社はみている。そうなれば、
には平均で約30bpだった。同スプレッドは4月までに50bp
引き締めサイクル開始まで市場はさらに長い期間を乗り
に拡大し、同期間に米国債の10年と30年のイールドカーブ
切らねばならない。当社は、実際の企業業績が下方修正
は12bpスティープ化した。換言すると、例えば、現在投資家
後の予想を上回るか、少なくとも予想通りとなり、社債市
がGEの10年債からGEの30年債に乗り換えた場合、僅か4カ
場の懸念は和らぐとみている。急激な金利上昇にもかか
月前と比べて利回りピックアップが32bp増える可能性があ
わらず、クレジット・スプレッドは概ね横ばいで推移した。
るということだ。当社はFRBの利上げ開始時期が2016年ま
金利が急激に上昇する局面では、クレジット・スプレッド
で先送りされる可能性があり、またインフレはFRBの目標を
は縮小することが多いが、スプレッドが事実上横ばいだっ
下回る水準に留まり、従って長期金利はレンジ内で推移す
たのは恐らく、前述の通り、大量の新規発行が予定されて
るとみている。これを踏まえると、投資家は長期セクター
おり、市場がこれらを消化しなければならなかったためと
へのシフトに伴う信用リスクと金利リスクの上乗せに見合う
みられる。過去数週間に、医療機器メーカーのボストン・
以上の利益を得られるだろう。市場見通しに変化がないと
サイエンティフィックがアメリカン・メディカル・システムズ
して、社債または米国債のカーブがフラット化した場合、当
(AMS)の買収資金の一部に充てるために19億ドルの債
社はこの期間延長取引の反転を検討する方針だ。戦略的に
券を発行し、アクタビスはアラガンの買収資金の一部を
は、引き続き金融セクターをオーバーウエイトし、産業セク
調達するため210億ドルの起債を行い、またシェルはBGグ
ターと公益セクターをアンダーウエイトとする。このアンダ
ループの買収資金の一部を事前調達するために100億ド
ーウエイトは、産業セクターのバランスシートのレバレッジ
ルの債券を発行した。年初来の急速な新規発行ペースは
拡大に対する懸念と、公益セクターの規制面の悪材料が浮
続かないだろう。こうした逆風(大量の発行予定、決算を
上する可能性を反映している。金融セクターでは、レバレッ
巡る懸念、ドル高)は弱まり始め、クレジット・スプレッド
ジを増やす取引が実行されるリスクはほとんどなく、銀行
は縮小すると当社はみている。
ウエスタン・アセット
を取取り巻く規制環境は債券投資家に有利である。規制
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2015年4月
米国投資適格社債
要件を踏まえると、銀行業界のリスク特性は極めて低く、
踏まえると、銀行業界のリスク特性は極めて低く、加えて
加えて資本構造の下位にシフトすることで50bp∼75bpの
資本構造の下位にシフトすることで50bp∼75bpの利回り
利回りの上昇を得られることから、一部の金融機関の劣
の上昇を得られることから、一部の金融機関の劣後債は
後債はシニア債よりさらに魅力的な投資機会を提供して
シニア債よりさらに魅力的な投資機会を提供している、と
いる、というのが当社のクレジットに対する見方である。
いうのが当社のクレジットに対する見方である。産業セク
産業セクターや公益セクターの大半の企業が利益のガイ
ターや公益セクターの大半の企業が利益のガイダンスや
ダンスや予想を下方修正しているのに対して、金融セクタ
予想を下方修正しているのに対して、金融セクターではガ
ーではガイダンス、予想、そして特に重要な点として2015
イダンス、予想、そして特に重要な点として2015年第1四半
年第1四半期決算は堅調だった。金融セクターの前年同期
期決算は堅調だった。金融セクターの前年同期比の増益率
比の増益率は10%以上の改善を示している。一方、増配
は10%以上の改善を示している。一方、増配は規制当局の
は規制当局のレビューが条件であり、自社株買いはない。
レビューが条件であり、自社株買いはない。
り巻く規制環境は債券投資家に有利である。規制要件を
ウエスタン・アセットの詳細は、当社ウエブサイトwww.westernasset.
co.jpをご覧ください。
ウエスタン・アセット
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2015年4月
パフォーマンス・ディスクロージャー
2014年12月31日現在
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概要:ウエスタン・アセットの米国投資適格社債は、アクティブ運用の投資アプローチを採用し、リスクが管理された戦略です。トップダウンのマクロ
経済の見通しに加え、ボトムアップのクレジット・アナリストによる業界・銘柄のファンダメンタル分析およびレラティブ・バリュー分析を融合させてポ
ートフォリオを構築・維持し、リスク調整後リターンの向上を目指します。米国クレジット債券市場の全サブセクターおよび全業種から投資適格銘柄を
活用してポートフォリオを構築し、リスクを最小限に抑えながら付加価値を追求します。
運用目標:市場サイクルを通じて年率で50から75ベーシス・ポイント以上の対ベンチマーク超過収益の獲得を目指します。トラッキング・エラーは100
から150ベーシス・ポイントとします。
ベンチマーク:バークレイズ米国クレジット・インデックス
基本通貨:米ドル ¦ コンポジット最低運用資産規模:2,500万ドル
料率:1億ドル以下の部分:年率 0.30%(税抜き)、1億ドル超の部分:年率 0.15%(税抜き)
上記は、一社で最低運用金額以上の個別契約を締結される投資家向けの標準的な報酬体系です。
検証期間:当コンポジットは2012年1月1日から2013年12月31日の期間で検証済みです。
Western Asset claims compliance with the Global Investment Performance Standards (GIPS®) and has prepared and presented this report in
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the firm’s policies and procedures are designed to calculate and present performance in compliance with the GIPS standards. The verification and performance
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ウエスタン・アセット
リスク・ディスクロージャー
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米国投資適格社債
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