昔は女人禁制だった酒蔵で 女性社長として幅広く活躍

福井の女性活躍
低アルコールの炭酸入り日本酒
「ドラゴンキス」。女性に人気です。
かし、アルコール度数 ∼
小さな自社栽培の山田錦を活
こだわりの酒米づくり。社長、蔵人など全員で
手塩にかけて作ります。
りに挑戦しました。甘い味わ
いや炭酸の入り方など試行錯
誤を重ね、ロゴマークやパッ
ケージ、リーフレットのデザ
イン&イラストなども女性を
イメージしたものを制作。発
売以来、お洒落で気軽に楽し
める日本酒として、女性から
高い支持を集めています。
﹁正統派の大吟醸の品質を
守ることと、技術を磨く新商
品に挑戦すること、どちらも
大事。いろんな工夫を施して
いくことで、日本酒という伝
統産業を未来につなげていけ
るのかなと思っています﹂と
語ります。
﹁地酒一貫造り﹂を掲げ
旨い地酒を国内外に発信
貫造り〟の信念を理解してく
れる小売店を探し、首都圏を
年前に始めたインター
はじめ全国で営業活動を展
開。
の輸出も伸び、現在、イギリ
ネット販売も好調で、海外へ
女 性 が 社 長 を 務 め て い ま す。
スや中国など世界中に﹃白龍﹄
﹁ で も ね、 日 本 酒 は お い し い
るもの。後から﹃女性の社長
だったんですね﹄と驚かれる
ことはありますが、基本的に
男女はあまり関係ないんです
社。地元で作られる完全熟成
〝旨い酒造りは良い米作り
から〟という信念を掲げる同
えるのが、
ます。その代表作とも言
も積極的に取り組んでい
よ﹂と吉田氏は語ります。
堆肥の有機肥料を使い、歳月
した発泡性清酒﹃ドラゴ
年前に開発
をかけて土壌改良を重ね、高
ンキス﹄です。
くなど、地域と連携した酒米
と作付けの仕方を共有してい
の方が来られているんで
に行くと、けっこう女性
﹁日本酒の酒蔵見学や
飲み比べのイベントなど
一緒に冬は酒蔵で酒造り、夏
就任と同時期に入社。蔵人と
井尾光洋氏は、吉田氏の社長
社の大きな特徴です。杜氏の
して年間雇用しているのも同
また、杜氏を仕込みの期間
だけの契約ではなく、社員と
ような炭酸が入った日本
目指したのは、低アル
コールで、シャンパンの
れないかと考えました﹂
て、飲みやすいものを作
気軽に手に取ってもらえ
に、通常の仕込みでは規
定外となってしまう粒の
語 り ま す。﹁ 男 女 を 平 等 に 受
け入れてくれる男性がいない
と、女性の活躍はない﹂と断
言。伝統と変化をミックスさ
に 決 断 し、 責 任 を 負 う こ と。
くことのできる環境づくりを
そのまま男女が共に笑顔で働
せ た 同 社 の 酒 造 り の 姿 勢 は、
女性であることに甘えず、き
物語っているようでした。
ります。
った﹃蔵女性サミット﹄があ
意見交換をする場として始ま
つに、全国の蔵元の女性達が
その重責を支えるもののひと
す ね ﹂ と 姿 勢 を 正 す 吉 田 氏。
ちんとしていかないとダメで
伝統的な日本酒造りの世界
で、﹁ 社 長 の 仕 事 は、 最 終 的
女性が活躍するためには
受け入れる男性が不可欠
吉田氏はそうした〝地酒一
います。
酒です。井尾杜氏と一緒
す。そこで若い女性でも
作りを目指しています。
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は田んぼで酒米作りに励んで
功しました。今後、近隣農家
品質な山田錦の自社栽培に成
吉田氏は営業活動だけ
に留まらず、商品開発に
女性を対象に、お洒落な
低アルコール商品を開発
ファンが広がっています。
福 井 県 内 の 地 酒 の 蔵 元 は、
全部で 蔵。そのうち 蔵は、
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からお客さまが選んでくださ
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る 女 性 の 方 も い る の で す が、
昼夜を問わない作業に苦労さ
れています。酒蔵で働く女性
ならではの悩みや苦労を語
り、みんな頑張っていこうね
って励ましあっています﹂と
笑顔を見せます。
女人
古い風習から長い間
禁制だった酒蔵で、多くの女
性が活躍する時代。日本酒を
愛好する女性消費者も徐々に
増え、女性の視点を活かした
取り組みがますます期待され
ています。こうした酒造業界
の画期的な変化に欠かせなか
っ た の が、﹁ 女 性 を 受 け 入 れ
る男性の存在﹂だと吉田氏は
吉田 由香里 氏
「和醸良酒」の心で造られる「白龍」は世界中の人
の心をつかんでいます。
九頭竜川の恵みに感謝し、ブランドのシンボルとし
てドラゴンのイラストが描かれています。
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﹁ 酒 蔵 の 仕 事 は、 男 も 女 も
同じ。杜氏として活躍してい
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文化3(1806)年から伝わる『白龍』銘柄の酒造りを200年以上守り伝えてきた吉田
酒造有限会社。酒造好適米の最高峰と言われる山田錦を自社栽培し、米作りから酒造り
まで手がける「地酒一貫造り」にこだわっています。2年前に前社長の吉田智彦氏が会
長に就任すると、その後を受け、奥様の由香里氏が代表取締役社長に就任。女人禁制の
風習があり、長く男社会だった酒造りの現場で活躍する吉田氏に話を伺いました。
度という低アルコールの酒造
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vol.12
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酒蔵/女性経営者
昔は女人禁制だった酒蔵で
女性社長として幅広く活躍
吉田酒造有限会社
吉田酒造有限会社
所 在 地:吉田郡永平寺町北島7−22
電話番号:0776−64−2015
代 表 者:吉田 由香里 氏
資 本 金:800万円
従業員数:10名
事業内容:清酒製造および小売
全国から「白龍」ファンが蔵見学に来るとのこと。