数合わせやひな型的対応では意味がない 経営戦略に活かす攻めの ガバナンス・コード対応 る。CGコードで示される規範への 武井 一浩 告書 (以下、「ガバナンス報告書」とい 履 行 の 態 様 は、 会 社 の 業 種、 規 模、 西村あさひ法律事務所 弁護士 う )等 を 通 じ て、 C G コ ー ド へ の 対 事業特性、機関設計、会社を取り巻 れるものは、図表1参照)。 法務部門等の有機的な連携」(補充原 則5―1② ( ⅱ )参 照 )を も っ て 対 応 するのが効果的だろう。統合報告に は、その作成作業自体において、社 内の各種機能に横串が刺さるプラス の効果もある。担当部署としては各 原則の趣旨について十分理解したう えで、経営陣幹部に自社の成長戦略 に即した工夫案を創造的に示してい くことがよいのだろう。 ⑶ ここでいう統合報告とは、昨今さまざまな様 式が開示されている狭義の統合報告に限られる ものではない。 ることが重要である。CGコード冒 ついて十分に理解したうえで対応す には、CGコードの各原則の趣旨に 値向上への自律的工夫を行っていく 原則主義のもとで中長期的な企業価 たいわゆる伊藤レポートで「何ら 保 「 昨年8月に経済産業省から公表され 制 が ガ バ ナ ン ス・ シ ス テ ム で あ る。 求められる中長期的なシステム・体 益性・生産性向上のために企業側に 自社の持続的成長、中長期的な収 中長期目線の投資 ( patient capital ) を 促し企業の持続的 成長を支える効果 頭の「経緯及び背景」(序文) 部分にも 「 工 夫 」を、 自 律 的 に 行 う 点 に あ る。 の中長期的企業価値の向上に資する ( ま さ に no size fits all )の で、 C G コード対応のポイントは各社が自社 く環境等によってさまざまに異なる 応状況について開示や説明を行って ド ( 以 下、 「 C G コ ー ド 」と い う )が した原則で いくことになる( comply ガバナンス報告書での開示が求めら 2015年6月1日から上場会社に 。CGコードとは、「実 ⑴・⑵ 重要なことが多く書かれている。 証 の 」 ない株式の保有者である株主 の期待がどのように実現されようと にはCGコードの精神・趣旨を尊重 る」 (コード序文参照) 。各上場会社 寄与することとなるものと考えられ (原則を実 かつ 「 comply or explain 施するか、実施しない場合にはその ベ ー ス・ ア プ ロ ー チ( 原 則 主 義 )」で C G コ ー ド で は「 プ リ ン シ プ ル 担当、経営企画、総務、財務、経理、 リーダーシップのもと、「社内のIR こ と で も あ る の で、 経 営 陣 幹 部 の 報を含む統合的な報告 ⑶を作成する 自社の持続的成長に向けた非財務情 られているとおり、株主・投資家の ス で あ り、 情 報 開 示 で あ る 」と 述 べ ある。それがコーポレートガバナン しているのかは、 保「証 が 」ないだけ に定期的にモニタリングする必要が また今回のCGコードへの対応は することが求められ、証券取引所が 理由を説明するか)」が採用されてい 原則主義/ comply を踏まえ or explain た 「工夫」 57 定めるコーポレート・ガバナンス報 資家、ひいては経済全体の発展にも が図られることを通じて、会社、投 業価値の向上のための自律的な対応 おいて持続的な成長と中長期的な企 践されることは、それぞれの会社に たもの」 であり、 「これらが適切に実 現に資する主要な原則を取りまとめ 効的なコーポレートガバナンスの実 適用される ⑴ CGコードに関する解説として、たとえば、 油布志行=渡邉浩司ほか 『 「コーポレートガバナ ンス・コード原案」 の解説Ⅰ―Ⅳ』( 『旬刊商事法 務』 2062号以下連載) 、佐藤寿彦 「コーポレー トガバナンス・コードの策定に伴う上場制度の 整備の概要」( 『旬刊商事法務』 2065号 頁) など。 ⑵ 本稿で述べていることはすべて、弊職が所属 する事務所・委員会等の意見ではなく、弊職個 人としての意見である。 コ ー ポ レ ー ト ガ バ ナ ン ス・ コ ー ガバナンス・コード の施行 第1章 10 経理情報●2015.5.10・20 (No.1413)
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