基 本 的 な 会 計 処 理 に 関 す る 共 通 点 と 相 違 点

適用範囲、未実現損益の処理など
基本的な会計処理に
関する共通点と相違点
岡田 紳一郎
える。
新日本有限責任監査法人
公認会計士
計基準、連結会計基準および関連す
る他の基準等が改正され、連結会計
表原則において連結子会社の会計処
に係る持分法の適用は、連結財務諸
わが国では、従来、連結財務諸表
計処理等の内容に変更はなされてい
ず、持分法実務指針についても、会
会計基準の改正は特段なされておら
た。しかし、当該改正に伴う持分法
企業集団の財務諸表を作成するの
定科目ごとに合算することによって
連結は、連結会社の財務諸表を勘
はじめに
理とあわせる形で取扱いが定められ
ない。
このため、従来表裏一体であっ
で、完全連結(ライン・バイ・ライン・
に係る複数の会計処理等が見直され
年3月に企
た 連 結 会 計 と 持 分 法 会 計 に つ い て、
コンソリデーションまたはフル・ラ
連結会計と
持分法会計の基礎
業会計基準委員会
(ASBJ)
より持
乖離が広がることとなった。
資会社
(以下、「持分法適用会社」
とい
社」
という)
、持分法を適用する被投
社および連結子会社
(以下、
「連結会
扱いが整備された。この結果、親会
て、持分法に関する会計処理等の取
務諸表原則とは別の会計基準とし
り、国際的な会計基準同様、連結財
いの相違や、基準改正による乖離に
相違点について解説し、両者の取扱
会計の基本的な会計処理の共通点・
する。本稿では、持分法会計と連結
理の違いは把握しづらい部分も存在
しているものが多く、両者の会計処
は、連結会計基準等他の基準を参照
持分法会計基準の規定について
被投資会社の純資産および損益に対
基 準 4 項 )。 持 分 法 に よ る 処 理 は、
に修正する方法をいう
(持分法会計
て、その投資の額を連結決算日ごと
資会社に帰属する部分の変動に応じ
投資会社の資本および損益のうち投
一方、持分法とは、投資会社が被
ていた。これが、平成
分法会計基準が公表されたことによ
う )の 会 計 処 理 の 原 則 お よ び 手 続 に
ついてあらためて整理したい。なお、
する投資会社の持分相当額を、原則
25
れる(持分法実務指針2項)
。
イ ン・ コ ン ソ リ デ ー シ ョ ン )と い わ
ついては原則として統一することと
文中の意見に係る部分は筆者の私見
なった。
年9月に企業結合会
と し て、 貸 借 対 照 表 上 は「 投 資 有 価
20
である旨、あらかじめお断り申し添
また、平成
証券」
の修正、損益計算書上は
「持分
法 に よ る 投 資 損 益 」に よ っ て 連 結 財
務諸表に反映することから、一行連
結(ワン・ライン・コンソリデーショ
ン )と い わ れ る( 持 分 法 実 務 指 針 2
項)。
両 者 の 連 結 財 務 諸 表 へ の 影 響 は、
設例1のとおりである。
連 結 会 計 と 持 分 法 会 計 の 趣 旨 は、
両者とも投資会社の被投資会社に対
する持分を投資会社の財務諸表に反
項 目
連 結
持分法
平成25年改 被投資会社の資産およ 全面時価評価法
部分時価評価法
正 以 前 から び負債の評価
(関連会社の場合)
の相違点
段階取得
支配獲得日の時価と、投資日ごとの原価と、対
獲得までの個々の取引 応する被投資会社の資
ごとの原価合計額との 本との差額を、のれんま
差額を、段階取得に係 たは負ののれんとして
る損益として処理
処理
平成25年改 取得関連費用
費用として処理
投資原価に含める
正 により新 追加取得、一部売却等 資本剰余金として処理 のれんまたは負ののれ
た に 生 じた における追加取得
(売
んとして処理
相違点
却)
持分と追加取得
(売
却)
額との差額
(図表1) 純資産、親会社株主に帰属する当期純利益に与える影響に差異が生じる場合
Ⅰ
36
経理情報●2015.4.20(No.1411)