特 集 どうする 格差社会ニッポン 髙坂 勝 「もうすぐ楽 「会社を精算するんです」 に な れ ま す ね ぇ!」/「 ウ ツ で 休 職 し て 嬉しそうにも無愛想にもみえる表情で応 道に迷ってか、人生に迷ってか、やっ と辿り着いて語り始めたお客に、店主は たのは。 しかしいつからだろう。格差が所以の 悩みで人が次々と訪ねて来るようになっ 格差の底から 革命 が生まれる ダウンシフターズとして愉快に生きよう いるんです」 「 人 間 に お か え り な さ い!」 える。 (写真1) 。 その店主、実は私である 違う生き方を示す 実践発信基地として して、当時から疑問を持ち始めた。 私自身、前年まで小売大手の最前線で 実績主義のもとで働いていて行き詰まり、 年 前 の 2 0 0 4 年 に 開 業 し て 以 来、 様 々 な 人 々 が 来 て は 通 り 過 ぎ て 行 っ た。 退社がドロップアウトなのか夢追いなの 価 値 観 が 当 然 と 思 っ て 生 き て 来 た か ら、 会社を辞めた。出世や名誉やカネのため、 社会に問題意識を持ったジャーナリスト、 とまでは言わないまでも、それに准じた して就職できるでしょうか」 「自給か生 ず に 気 楽 で 自 由 じ ゃ ん!」/「 大 学 卒 業 業すればいいんじゃない?」 かわからなかった。 向が強かった。 社会活動家、環境活動家、NPO/NG Organic O関係者、政治家などが訪ねてくれる傾 正規で将来が不安です」 「カネに魂売ら 奴 隷 に な る 必 要 も な い で し ょ!」/「 非 「会社を辞めるんです」「拍手! 拍手!」 /「仕事が見つからないんです」 「好 ん で 決めずとも辞められておめでとう!」/ /「会社をクビになったんです」 「自 分 で こうさか・まさる 年に自民党小泉政権が発足して新自 由主義的政策が進められて行くことに関 緑の党グリーンズジャパン前共同代表、NPO SOSA PROJECT 理事、ナマケモノ倶楽部世話 人、 「ダウンシフト」提唱者、Organic Bar 店主。 1970 年生まれ。30 歳で脱サラし、一年の旅を 経て、様々な社会的アクションを始める。 池袋で小さな Organic Bar を一人で営む傍ら、 千葉県匝瑳市でお米と大豆を自給し、のちに NPO SOSA PROJECT を立ち上げる。 著書に『減速して自由に生きる ダウンシフ ターズ』 (ちくま文庫)他。 東京池袋、駅から十数分も歩く町外れ、 店主1人で切り盛りする小さな で夜ごと交わされる会話。 Bar 1 2014.11 01 しかし旅や学びを経ながら、明確な理 由を確信した。経済成長至上主義が、社 10 会を環境を人々を、そして私を、追 い 込 んでいると。 よって小泉政権の新自由主義的政策が、 のちのちに更に酷い巨大格差を生ん で ゆ くことが予見できた。それでやっと 、 退 である。 Oraganic Bar 陰に陽に巨大産業界が利益誘導で政 治を操っている。働く人々は薄々と気づ き始めた。自分の仕事で頑張ることが社 会も他人も自分も幸せにしないと。そこ なった。 者切り捨て、マイノリティーの排除……。 地方切り捨て、第一次産業切り捨て、弱 今、安倍政権の成長戦略の名の下、武 器と原発の輸出、大企業優遇と庶民冷遇、 来てくれるのは、だからこそ私の本望な 悩 み 人 が「 生 き る 道 」を 具 体 的 に 求 め て 分探しのアリ地獄に陥る。次々とそんな 闇の境がわからなくなり、後ろ向きな自 悲観や文句だけでは 何も変わらない におのおの個人的問題が重なり合うの やがてくる格差社会でこぼれ落ち う る 方々に、違う生き方を示そう。こっ ち の 次々と非民主的に進められる格差拡大政 のだ。 が現代人の心の闇だ。社会の闇と自分の ほうが幸せになれることを示そう。 微 力 策。アリバイづくり程度の地方再生や弱 社は夢追いのためと正当化できるよ う に たりとも社会を変えよう。 者救済に騙されてはいけない。 3年に1度の小さいバブルを興しなが ら格差拡大を作ってゆく今の経済。小バ ブルの後には、そのバブル前よりももっ と酷い状態に陥るので、均せば右肩下が りになってゆく。 正確に言い換えれば、中間層と低所得 層の僅かな富を吸い上げることによって しか成長もバブルも起こらない。かつて いわれた、大企業や富裕層をもうけさせ、 その効果が働き手や地方へとしずくのよ うに落ちていく「トリクルダウン」 (今の 安倍政権も有り得ないトリクルダウン効 果を未だに嘯いている)の真逆たる富の 逆流によって経済を潤わそうとするので あるから、格差を意図的に作ることで経 特集 どうする 格差社会ニッポン 格差の底から「革命」が生まれる ダウンシフターズとして愉快に生きよう マークを文末につける 済成長を目指していると言ってもいい。 ※ 2 そのための実践発信基地たる小さな 写真1 オーガニック・バー「たまには TSUKI でも眺めましょ」の前に立つ 店主の髙坂勝さん=東京・池袋 年のサラ リ ー 国税庁データによると マン平均年収は409万円で、 年 の 最 ウンシフター(ズ) 」なのである。 実践し、後ろ姿を見せることで、苦しい 人や悩んでいる人を幸せな生き方に変え て行けばいい、というものである。 う こ と。 な ん と 3 0 0 万 円 の 開 き! ボリュームゾーンは300→200→ 働者全体の約4割)が168万円だとい をとり、もっとゆっくりなペースで生活 「 過 度 な 消 費 主 義 か ら 抜 け 出 し、 も っ と余暇を持ち、スケジュールのバランス アメリカ社会学者のジュリエット・B・ ショアはこう書いている。 ダウンシフターとはどんな定義か。 けではない。しかし、組み合わせると暮 X」 。どちらをも実践する必要があるわ 業/小商い」 。 ひ と つ は「 自 給 / 半 農 半 カネを稼がねばと怯え使われていた時 間を自分に取り戻したダウンシフターズ 100万円台で全体の6割を占める 。 し、もっと意義のある仕事をし、もっと らしがとっても豊かになる。 ダウンシフターの定義と 私のタクラミ 男女別で見たらもっと酷い。ひと り 親 家 庭( 殆 ど が 女 性 親 と 思 わ れ る )の 子 ど も深い価値観に合った日々を過ごすこと 「生業/小商い」について。 機構(OECD)加盟国 では、ダウンシフターの実践要素を二 つに分けてお話ししよう。ひとつは「生 から社会を変えてゆく力になってゆく。 は、たいていが社会活動を始める。地域 %を超え、経済協力 開 発 を 選 ん で い る 人、 も し く は 人 々 を 言 う 」 もの貧困率は ( 『浪費するアメリカ人』 、森岡孝二訳) カ国で最下 位 、 弱いものを飢えさせる国として独走中だ。 起業というと盲目的にいつかは規模を 大きくしようと考える。しかし、拡大し しかし悲観したり文句を言ったり し て いるだけでは何も変わらない。 しずつ自給したり、モノや家を自分で手 びとの区別がない。自分の食いものを少 や収入だが、好きや得意を仕事にして遊 長モデルから降りたヤカラ。小さな生業 には惑わされないことだ。 のは、果てしない物欲を始めとした欲望 算する。その際、気を付けねばならない まず、自分がどんな暮らしをしたいの かを考え、その暮らしに必要な月額を計 ないと決めることがダウンシフターとし 私自身、政治活動や社会活動、そ し て 微々たるものだが貧困問題への支援 な ど がけるなど、器用貧乏。なぜかツレが多 と、状況はもっと厳しいはずである 。 もしているが、政治も経済システム も す く、幸せなやつが多い」 私のタクラミは、収入が少なくたって 健康で文化的でクール(かっこいい/お 時間が減る。余暇時間が少ないと、買い 支払いのために働く時間が増して、余暇 て必要だ。 ぐには変わらない。政府の救済措置 な ど だとしたら、小さな革命を興そう じ ゃ な い か。 そ れ が 私 の タ ク ラ ミ、 「ダウン しゃれ)な暮らしと仕事ができることを 当てにも出来ない。 人が生きるのに必要なモノは、実は少 ない。モノが多くなればなるほど、その 私は更にこう定義する。 〝 社 会 を 降 り て 社 会 を 変 え る 〟な ん 「 て屁理屈を抜かし、過度な消費や経済成 そもそも国税庁のデータに反映さ れ て いない不遇の方々も多いことを考慮 す る 468万円に対して、非正規雇用者(労 だ。驚くべきは、正規雇用者の平均 年 収 高値467万円以来ずっと右肩下がり 97 シフト」やその生き方を実践する人々「ダ 3 2014.11 13 34 50 分小さく収まる。 4万円の売上があれば成り立つ計算に 4千円を使ってくれるお客さんが6人 来てくれればいい。6人だけでいいなら、 そろえたモノたちを使う時間がなくなり、 要な額を出す。それを私は「ライフスタ 販促などほとんど要らない。結婚で少々 なった。 イル基準金額」と名付けた。 年を経るにして来店者と売上が増えたの いずれゴミに出すか、でかい家に引 っ 越 小さくなったライフスタイル基準金額 を 稼 ぐ の に い く ら の 売 上 基 準 が 必 要 か、 で、6年目に週休を2日にし、8年目か らは週休3日にした。 売 上 基 準 を 上 げ て 一 日 7 ~ 8 人 に し た。 逆算していけば確定できる。 その生活費に、趣味や余暇や子育てや 将来への少々の貯蓄を加え、一ヶ月に必 すしかない。 ライフスタイル基準金額 とは何か そんな悪循環を知れば、自ずと所 有 物 を適度に減らすことが幸せへの道と わ か けば、また純正蜂蜜などがあれば、 虫 さ 自然に茂っているヨモギ・ドクダミ草・ ビワの葉などを焼酎に浸けて保管し て お 少食・断食などで治せるようになる 。 気をしても、食べ物の組み合わせや咀嚼・ ジャンクなものが体に合わなくなる 。 病 とする。すると体が健康になり、徐 々 に 頼できる生産者からのものを食卓の 中 心 ていないもの、オーガニックのもの 、 信 質を高めることが大事だ。添加物が 入 っ 費/変動費/人件費が3分の1ずつであ 当店の開店当初を例にしよう。 万円に ライフスタイル基準金額が なった。飲食店は大まかに言って、固定 模拡大を目指すだろうが、ここが違う。 普通のビジネスでは当然のこととして規 基準に戻すべく売上を下げる対策をとる。 だ ろ う。 一 方、 売 上 基 準 を 上 回 っ た ら、 売上基準に足りないなら普通のビジネ スと同じで様々な対策をする必要がある 加えて大切なことがある。 例えば、1日に2人だけ来ればいい整体 知った人たちが、どんどん起業してゆく。 んなビジネス論を私の姿や書籍や講演で まり、値下げ競争などに巻き込まれない。 粗利率が高まり、付加価値と希少性も高 らないし、お薦めしたいものに特化でき、 いるからこそ、必要以上の設備投資も要 くした。なんていい加減な! と怒られ るかもしれないが、拡大しないと決めて その額をどう稼げばいいのかを考えれ ば、生業/小商いを始めやすい。 されや多少の怪我も消毒して治せる 。 良 る。ひとり経営者である私にとっては人 院、500冊だけの季刊誌を出す出版社、 る。食費は増やしても減らしてもいいが、 いものを買うことで一単品の単価は高 件費が自分の給料となる。すると給料= 他にも、酒や料理のメニューを減らし てきた。最近でいえば、肉料理を全て無 まっても、健康になり、自ずとジャ ン ク ライフスタイル基準金額 万円の3倍の 25 人しか受け入れない塾、1日数人だけ もし当店を多店舗化していたら、ワタ ミにでも買収されていたことだろう。こ 品や加工食品や外食が減り、病気や 通 院 25 同じような同志も集まって来る。ひと りでこなせるクライアント数しか受けな 泊まれるゲストハウス……。 15 20 万円が必要な売上基準になる。 20 日営業すると 週休1日で1ヶ月に して、 万円÷ 日にすると、1日2・ 60 の費用が減り、総コストが減る。 美味しく健康で自作力の高まる充 実 の 暮らしなのに、生活費は一般家庭よ り 随 特集 どうする 格差社会ニッポン 格差の底から「革命」が生まれる ダウンシフターズとして愉快に生きよう 4 60 い税理士、1日2~3万円の売上が あ れ ばいい自作手作りカバンの自転車引 き 売 り、限定個数しかランチを売らない キ ッ 農作業は土木作業とも言える。鍬や鎌 だけでなく、鉈やノコギリやスコップも 使 い 始 め る。 部 材 に 竹 が 必 要 で あ れ ば、 ればいい。 例えば、都会で 万円稼いで生活のす べてを消費で賄って 万円使う生活。田 らいは自分で作れるようになり、家のリ ノコも採れるだろう。そのうちに小屋く ちらが安心で幸せか一目瞭然だ。 残るお金は 足りないものを消費で 万 円 使 う 生 活。 万 円 稼 い で、 自 作 生 活 を 謳 歌 し、 土建屋……。 フォームや壁や門や水回りや電気回りま 舎で 「小さな商売を始めました」 週 に 数 件、 と手紙、ソーシャルメディア、メー ル な でできるようになってしまう人もいる。 里山に入り切り出し、ついでに山菜やキ どで連絡が届くごとに、とっても嬉 し く ついでに付け加えると、田舎では貨幣 経済以外にも贈与経済が存在する。 割以上の人たちが潰れずに試行錯誤 し な がらも持続している。楽しく幸せそうだ。 総額 万円で同じだとしても、ど 「穫れ過ぎちゃったからこれ食べて!」 とどっさりの野菜を日々貰える。朝起き はよくある当たり前の話だ。 ると玄関に野菜が置いてある、なんて話 万、夫婦+子どもの3人家族でも しいだろう! との声も聞こえてきそう だ。しかし、都心に住んでいる私でも実 言うは易しで、実際に実行するのは難 すると先にも述べたように、生業/小 商いの収入が小さくても充分余裕を持っ 際にできている。お米は全て自分で作業 万円で大丈夫。 て暮らせるようになるのだ。 余った時間を起業へ向けたり自給に充て 分の味噌と7㍑の醤油を作る。里山の竹 田 ん ぼ の 畔 に 大 豆 も 植 え て い る の で、 秋に枝豆で食べ、冬に残った大豆で一年 一年分の量が150㌔である。 私 の 場 合 は 店 で 使 い、 家( 夫 婦 2 人 ) で食べ、たまに息子に送って、ちょうど いだろう。日本人平均の米消費は約 ㌔ 日くら し て( 農 家 さ ん に 頼 ら ず )毎 年 1 5 0 ㌔ 収穫している。作業日数は年間 自分や家族が食べるものを幾分か で も 自 給 で き た ら、 美 味 し く て 健 康 な 上 に 、 よう。 「 半 農 半 X 」の「 X 」と は、 こ の「 生 業 /小商い」を示している。 だから、家族2・5人分だ。 弁当屋……。私で言えば「半農半呑みや 「 X 」に は 何 を 入 れ て も い い。 半 農 半 ジャーナリスト/半農半歌手/半農半お ~ 10 食費が減らせる。 暮らしの多くを 自給自足できれば 10 のオヤジ」か。 まだ起業できないとしても、コンビニ や 農 業 関 係 の 仕 事 は た く さ ん あ る か ら、 れば、味噌・醤油・納豆なども手作 り す るようになるだろう。梅の木があれ ば 梅 月 万 円 程 度 を 適 度 な 労 働 時 間 で 稼 ぎ、 干しも自作するだろう。柿の木があ れ ば 干し柿や柿酢も作るだろう。 60 15 もうひとつのダウンシフターの実 践 要 素「 自 給 / 半 農 半 X 」に つ い て お 話 し し 田舎で古い家を自分で直す条件で借り ると一ヶ月1~3万円。一人暮らしなら なる。この厳しい時代にも関わらず 、 9 チンカー、決まった数しか引き受け な い 30 20 要は、暮らしの多くを自作自給できる ようになって生活費全体を減らせる。 20 お米や野菜を作り始めると、手作 業 が 付随的に増えて行き、例えば大豆を 育 て 20 10 5 2014.11 15 10 がテーマのNPOを創設した。毎年 組 の農の初心者を受け入れている。 を切ったり、リフォームしたり、生 き る 知恵と技が増えて行く。そんな都市 と 田 そう さ 舎( 千 葉 県 匝 瑳 市 )の 往 還 暮 ら し が も う 6年になった(写真2) 。 してもらう。 税理士、不動産屋、飲食店経営者、医療 従事者、整体師、カウンセラー、和裁職 人……。 田んぼでさまざまな人々が横の関係で 出会い、人間多様性と生き方多様性を互 いに知り、交わる。 空、雲、太陽……それらに出会い、感じ、 出会いはヒトだけでない。微生物、虫、 魚、貝、鳥、小動物、土、樹々、水、風、雨、 である。 とに気づく。 小 さ な 電 気 自 給 を 促 す 仕 事、 ア ー ス バ ッ ク ハ ウ ス と い う 土 の 家 を 作 る 仕 事、 生業/小商いも生まれている。 学び、感動し、全てに生かされているこ 1年目に味をしめて2年目以降も自給 したい人には田んぼを斡旋する。その約 組は、私の目を離れて勝手に自給して もらっているが、みな毎年満足ゆく収穫 をしている。田んぼ近辺への移住者も 経験者、元自衛隊員、職と住まいを奪わ NPOに参加し自給を試みる人々は多 様。聴覚障がい者、ゲイ、パワハラ被害 ている。 が、北は北海道から南は西表島に至るま き、自給/生業/小商いを始めた人たち この匝瑳での自給の経験を自信にし て、都会暮らしを離れ、田舎に散って行 つの方が社会復帰した例もたくさんある。 ゲストハウス、お弁当ケータリング。う れた初老前の男性……などが移住し、現 で、 人を超えそうだ。 地スタッフとしても何人かが活動する。 自立支援会社に通う人々、フリースクー 都心から通うメンバーも、知的障がい 者、無職者、ニート、フリーター、うつ 今、NPO代表は聴覚障がいの女性が 担っている。 を募集し、従業員を 社を東京から徳島に移し、 「半IT半X」 ズを知り、営んでいた数人規模のIT会 田んぼを経験し、オーガニック化粧品 会社を立ち上げて 人規模の会社にした 30 それはあなたが能力があるからだ! とまたもや声が聞こえてきそうだ。 今 ま で 延 べ 組 以 上 受 け 入 れ て 来 て、 お 米 と 大 豆 が 穫 れ な か っ た 人 は い な い。 10 しかも、たかだか経験6年の私が教えて 90 人を超え、みな家をセルフリフォームし 10 自給がテーマの NPOを創設した 4年前から田んぼのある匝瑳市に 自 給 50 30 ルの子どもたち、サラリーマン、弁護士、 人に増やし、会社 人もいる。 田んぼで3年自給し、 そのニー 30 25 特集 どうする 格差社会ニッポン 格差の底から「革命」が生まれる ダウンシフターズとして愉快に生きよう 6 30 平方㍍の田んぼと 平方㍍の大豆畑 を「 マ イ 田 畑 」と し て 責 任 を 持 っ て 作 業 写真 2 千葉県匝瑳市にある髙坂さんの田んぼで は 黒 字 化 し、 今 や 地 域 お こ し で 話 題 の キーマンになっている人もいる。 みな、地域で社会活動などをし、 活 躍 している。様々なメディアでたまに 見 か ける彼らを見るたびに、とっても嬉 し く なる。 田舎で主役に なってほしい ひと昔前の白物家電が普及し始めた頃、 お年寄りは孫にこう語っただろう。 の方が社会的意義のある生業/小商いが なれない。一方、高度経済成長とバブル 皮肉なことに本当に仕事がなくなった。 先にも述べたように4割の人が正社員に れるようになるかもね~」 側面が強調される。 という接頭語がつく成功者物語としての こ こ 数 年、 メ デ ィ ア で「 田 舎 暮 ら し 」 や「 生 業 / 小 商 い 」の 露 出 も 増 え た。 し 成り立ちやすい。 を経て、そこらじゅうに遊休資産が使わ だ が 実 は み な、 エ ネ ル ギ ー や 食 や 人 の本来の在り方など、社会的意義をもっ 「 便 利 な も の が 次 々 で き て、 お 前 達 が 大きくなるころは仕事しなくても生きら れずじまいで問題化している。空家は日 て 向 か う 先 が、 自 給 や 起 業 や 移 住 な の かし、貧乏節約ネタか、 「憧れ」や「夢の」 %、更に増える。ビルも学校 本中で約 格 差 で 振 り 落 と さ れ る 人 こ そ、 そうしたものたちを活かし、出費 こんな生き方も素敵さ!って〝下から目 イド喪失の彼らに、ダウンシフターなる だ。メディアの時間的空間的制約の中に を下げ、人のお役に立つ小さな生 線〟で哀れんで教えてあげよう。 も空いてきた。買い替え需要で常に新し 業/小商いで収入を得て、できれ ダウンシフターズに限らず、日本中世 界中の各地で、リーダーなき革命がジワ あっても、その思想をしっかり伝えて欲 ば自給して、経済成長システムに ジワと動き始めている。剥き出しの大地 いものは古くなり、使えるものが よって失ってきた大切なものを取 に一輪の花が咲き、また離れたところに しい。 り戻してゆくような懐かしくて新 一輪の花が咲き……いつの間にやら荒野 捨てられている。農地は有り余っ しい革命の先を生きるチャンスと がお花畑に変わってゆくだろう。 〝 上 か ら 目 線 〟の 嫌 な 輩 も 次 々 と 上 か ら 落 ち て 来 る 時 代 で あ る。 絶 望 と プ ラ して捉えて欲しい。事実、そうな Welcome, Downshifters !! そんな革命が格差の底から生まれて い る の だ。 気 づ い た あ な た か ら、 Yes, のだから。 田舎では人を欲している。都会 で そ の 他 大 勢 で い る く ら い な ら、 田舎で主役になってほしい。田舎 7 2014.11 14 ている。 写真3 Organic Bar 店内で、ある NPO 主催の「ダウンシフターズになろう講座」 に参加した悩み人たちに、髙坂さん自ら「Your Life is Your Message」と いう応援歌をギターで歌っている光景
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