平成27年度 信濃教育会教育研究所

■第3分科会
平成27年度
教師と子どもの関係づくりをどうすすめるか
信濃教育会教育研究所
一人一人が満たされながら 友とつながり合える学級
宮澤 武志(東御市立 北御牧小学校)
1年次研究では、授業記録を振り返る中で、自分勝手な子と捉えていたA男が、教師の顔色をうかがい本音を言わない姿に気づかされ、
これまでの私の指導を問い直したいと考えるようになった。事例の考察を進める中で、目の前の子どもと同じことを夢中になってしたとき、自
分の力を存分に発揮しようとしている子どもの姿に「すごい」と思わされている私に気づかされた。その子の「すごい」を共に喜べる教師で
あることが、関係づくりの第一歩であると考えるようになってきた。2年次研究では、子どもたちと川遊びに夢中になる中で、最初は友と距離
を置き川に入り込めなかったG子が、川下りに没頭しながら、友の輪の中で自分の遊びに夢中になっていった姿から、願いをかなえようと真
っ直ぐ進むG子のすごさを感じられた。子どもたちは、魅力ある対象に出会い、友とかかわりながら、手応えや喜びを感じられたとき、自分自
身に満たされながら、場や活動を共にする友・教師と自ずとつながり合うのではないかということが見えてきた。
以上のことについて報告させていただき、一人一人が満たされる活動の創造と、友とつながり合える学級について、一緒に考えさせてい
ただきたいと思います。
学校をベイスとする教育課程研究、教材の開発、授業づくりをどうすすめるか
その子なりの思いを深め合える文学的文章の授業づくり
目黒 哲朗(飯綱町立 飯綱中学校)
1年次、文学的文章「盆土産」を取り上げた授業の振り返りから見えてきた、子どもが自分なりの思いを深め合っていける文学
的文章の授業づくりという課題のもと、何度もくり返し作品を読んだり、作品の舞台となった地を訪ねてみたりして、体験を通し
て作品をとらえ直す素材研究を始めた。すると、作品の主題や叙述のとらえが自分の中で少しずつ変わってくることを感じられる
ようになってきた。
2年次研究では、
「<この人はなんでこんな行動をしたのか>をみんなで考え合いたい」という願いをもって入学してきたD子らの
読み深めの姿を見つめた。登場人物の姿に自分との重なりを感じた子どもたちは、
「作者になろう」と仲間に語りかけ、叙述にこだ
わろうとする姿を見せた。また、教師が作品や子どもの学びの深まりをとらえ・とらえ直しを続け、子どもに出会わせたい叙述を
見出して授業に臨み、作者の思いを問うていくことが、その子なりの思いを深めながら、作者にそして作品そのものに迫っていく
原動力となることが見えてきた。子どもが自己と向き合い、自分の生き方を探る文学的文章の授業づくりについて、ご意見をいた
だければありがたいと思います。
■第4分科会
教師と子どもの関係づくりをどうすすめるか
この研究発表会は、研究所で学んだ研修員(第67 期)が研究成果を報告する会です。報告をきっかけとして参
会の先生方と共に、互いの実践を交流し合い、子どもの目線から授業のあり方を求め合う会でもあります。
学力が問われ、学校での実践にゆらぎが懸念される昨今、私たちは何を見据えて実践に取り組んでいったらよ
いでしょうか。皆さんと共に大いに語り合えたらと願っております。ご参加をお待ちしています。
その子の願いの実現に向けた教師の支援はどうあったらよいか
浦野 紫(中野市立 平岡小学校)
1年次研究では、
「仲がよく気持ちのいい学級」を作ろうとしていた私と友とケンカが絶えないA男とのかかわりを振り返ると、
本当にA男が伝えたいことは何なのかを受け止められない私が見えてきた。私は、保育園実習やA男の授業参観を通して、
「こうさ
せなければ」と決めつけて見るのではなく、その子の行為や言葉の意味をとらえながらその子の願いを大事に受け止め、かかわり
たいと思った。2年次研究では、言語からの理解が難しく、自分の思いをうまく伝えられずもどかしさを感じているG男と出会っ
た。私は、自分を受け止めてほしいと願うG男だと捉え、夢中になって自分を発揮することが必要と考えた。G男は、
「イチゴを育
てたい」と願い、友とかかわりながら夢中になって活動した。私は、いきいきと活動するG男の姿から、その子が夢中になって自
分を発揮したいことをくみとり、それに丁寧に向き合い後押ししていくことが教師の支援ではないかと考えるようになった。
以上のことについて事例をもとに報告させていただき、その子の願いの実現に向けた教師の支援について一緒に考えていただけ
るとありがたいです。
総合的学習と教科・基礎基本の学習をどう統一するか
子どもの思いから問いが生まれ、学びを深めていく総合的な学習
宮澤 昭二(飯田市立 座光寺小学校)
1年次で、総合的な学習の実践を振り返ることを通して、私は自らが考えた展開の中で子どもを学ばせようとしていたため、子
どもの願いの背景や意図、求める学びが見えなくなっていたことに気づいた。子どもが求める学びは、確かな願いを持ち、自らの
問いを自分らしいやり方で納得できる追究をすることであり、その連続こそが学びの深まりにつながるのではないかということが
見えてきた。2年次では、学校近くの本沢井に住むカナヘビに見せられたC男は、除草剤から生き物を守りたいと願い、除草剤を
かけた草の比較実験や友と協力し生き物の追跡調査を行ったことで枯れた草には生き物が寄りつかなくなるが、生き物は新たな草
会場・日時
南信会場(担当:上伊那教育会)
日 時:6月13日(土)9:20~12:25
場 所:南箕輪村立 南箕輪小学校 (〒399-4511 上伊那郡南箕輪村 4804-1 TEL:0265-72-3304)
東信会場(担当:佐久教育会)
日 時:6月20日(土)9:20~12:25
場 所:小諸市立 坂の上小学校 (〒384-0015 小諸市紺屋町 3-2-1 TEL:0267-22-0224)
北信会場(担当:上高井教育会)
日 時:6月27日(土)9:20~12:25
場 所:須坂市立 森上小学校 (〒382-0099 須坂市墨坂 3-1-1 TEL:026-245-0236)
中信会場(担当:北安曇教育会)
日 時:7月11日(土)9:20~12:25
場 所:池田町立 会染小学校 (〒399-8602 北安曇郡池田町会染 5663-1 TEL:0261-62-2023)
地を求めて移動し子孫を増やそうとする事実をつかんだ。私は毎日のように本沢井で教材研究を行い、C男と共に追究することで、
C男は生き物の営みやつながりを実感としてわかろうとしているではないかと思えた。教師は子どもと共に追究する存在となった
とき、子どもの求めるものや求めていきそうなところが見えてくるのだと実感するようになった。事例をもとに報告させていただ
き、子どもの思いから問いが生まれ、学びを深める総合的な学習のあり方について、共に考えさせていただきたいと思います。
当日の日程
受付:9:00~9:15
全体会:9:20~9:35
分科会:9:45~12:25
■第1分科会
分科会のテーマと発表者
第
1
分
科
会
学校になじめない子どもをどう支援するか
その子にとって本当に必要なかかわりを考える
第1テーマ「学校になじめない子どもをどう支援するか」
個人テーマ: その子にとって本当に必要なかかわりを考える
市川 忠志(坂城町立坂城小学校)
1年次、振り返りから、不登校経験という先入観にとらわれA子とかかわること自体が消極的な私や、苦手なことに挑戦し自分な
市川 忠志 (坂城町立 坂城小学校)
りに歩むA子に気づけない私が見えてきた。私は、
「子どもをとらえる」ことについて考えるため保育の場で実習を行い、園児や保育
士の姿から「子どもをとらえる」とは、姿や行為から「その子の伸びようとする思いを汲み取ること」だと考えた。また、その子自
第3テーマ「総合的学習と教科・基礎基本の学習をどう統一するか」
個人テーマ: 子どもの豊かさを感じられる教師を目指して ~生活科を窓口として~
身が踏み出そうとする思いを支える働きかけこそ、その子にとって本当に必要なかかわりだと考えた。
2年次、友とのかかわりから、昨年度教室に入れずにいたE男と出会った。先入観にとらわれず、E男を、自分を変えていく力の
織茂 幸子 (松本市立 開明小学校)
第
2
分
科
会
あるE男として見たいと思った私は、E男が葛藤する場面に、E男が自分で問題を乗り越えることを信じて待った。するとE男は自
第1テーマ「学校になじめない子どもをどう支援するか」
個人テーマ: その子の思いを共にできる教師を目指して
分なりの結論を出してきた。E男との生活を通して私は、E男自身が「自分でできた」と満たされ自信を持つことと、E男が自分を
信じてくれる存在を感じ安心することが、E男が自分の力で歩んでいくために必要であると考えた。その子にとって本当に必要なか
篠原 郁子 (佐久市立 佐久平浅間小学校)
かわりとはどのようなものなのか、皆さんと一緒に考え合いたいと思います。
総合的学習と教科・基礎基本の学習をどう統一するか
第4テーマ「理数の力をどのように充実させるか」
個人テーマ: 体験をもとにその子なりの追究を深めていく理科学習
子どもの豊かさを感じられる教師を目指して
~生活科を窓口として~
織茂 幸子(松本市立 開明小学校)
佐藤 祥充 (飯山市立 泉台小学校)
第
3
分
科
会
「子どもがいきいきとする生活科とは?」と疑問を持った私は、
「ものとかかわる子どもの思いをわかりたい」と思い、1年次では
第2テーマ「教師と子どもの関係づくりをどうすすめるか」
個人テーマ: 一人一人が満たされながら 友とつながり合える学級
実践の振り返りと並行してあさがおを育てた。その過程で、あさがおが私に応えてくれる感覚が生まれた。子どもはその子なりのこ
だわりややり方で「もの」にはたらきかけ、さらに「もの」からもはたらきかけられているということが見えてきた。
宮澤 武志 (東御市立 北御牧小学校)
2年次研究では、校地にある森での活動を中心にしながら、
「もの」との双方向のかかわりを見てきた。I男は棒という一つの「も
の」に心ゆくまでかかわることで、棒から手応えやおもしろさを感じ、さらに棒屋さんをすることで「もの」を介して友だちや教師
第5テーマ「学校をベイスとする教育課程研究、教材の開発、授業づくりをどうすすめるか」
個人テーマ: その子なりの思いを深め合える文学的文章の授業づくり
とつながり合っていった。また、あさがおと対話しながらあさがおの思いを語る子どもは「もの」と一体化していた。私はこれらの
ことが子どもの豊かさではないかと感じられるようになってきた。
目黒 哲朗 (飯綱町立 飯綱中学校)
第
4
分
科
会
今回は以上のことについて具体的な事例を報告させていただき、子どもの豊かさについてみなさんと一緒に考え合いたいと思いま
第2テーマ「教師と子どもの関係づくりをどうすすめるか」
個人テーマ: その子の願いの実現に向けた教師の支援はどうあったらよいか
浦野
す。
■第2分科会
紫 (中野市立 平岡小学校)
学校になじめない子どもをどう支援するか
その子の思いを共にできる教師をめざして
第3テーマ「総合的学習と教科・基礎基本の学習をどう統一するか」
個人テーマ: 子どもの思いから問いが生まれ、学びを深めていく総合的な学習
篠原 郁子(佐久市立 佐久平浅間小学校)
1年次研究。児童施設に入所するA男に、躾けるような指導をしていた私は、A男を支える子どもたちとの向き合いの違いに気づ
宮澤 昭二 (飯田市立 座光寺小学校)
いた。また、実習では、私は、価値観やものの見方を子どもに与えていた過ぎず、A男にとって本当の学びの機会を奪っていたこと
に気づいた。そこで私は、その子と行為を共にし、その子が自ら伸びようとする思いを支えることで、思いを共にできる教師に近づ
けるのではないかと考えた。
分科会推進委員と司会者
2年次研究では、より良い関係をつくりたいと願うH男、学校に行きたいと願いながらも向かうことができないS男と出会った。
分
南信会場
東信会場
北信会場
中信会場
H男は自身が友だちを受け入れることで自ら関係を作り出そうとしていた。また、S男はクラスの仲間から受け入れられることで、
科
会
1
推進委員
司会者
推進委員
司会者
推進委員
司会者
推進委員
司会者
学校に次第に足が向くようになっていた。
参観の先生方に、たくさんのご意見をいただき、教えていただきたいと思います。
林
臣彰
(豊田小)
小林 俊子
(四賀小)
伴野
健
(立科小)
白鳥
郷史
(小海中)
児玉
淳子
(更級小)
武井
茂登
(治田小)
梶原
博雄
(上松小)
秋山
昇
(三岳中)
理数の力をどのように充実させるか
体験をもとにその子なりの追究を深めていく理科学習
佐藤 祥充(飯山市立 泉台小学校)
2
飯澤
隆
(赤穂小)
山内 伸治
(伊那東小)
滝澤 俊明
(田口小)
大西
孝一
(小諸東中)
今井 陽二
(永田小)
守屋
守
(山ノ内中)
横山
卓朗
(塩尻東小)
小澤 弘明
(塩尻東小)
理科の専門でない私は、理科の授業で、教科書にあるやり方に子どもたちをあてはめて学ばせようとしていた。しかし、子どもは、
自分の気づきや疑問を持ち追究しようとしていたことが、振り返りから見えてきた。私は、子どもの学びをとらえるためには素材研
究が必要だと感じ、実際に対象に触れる素材研究を始めた。そして、3視点「自分が考えたことを試す楽しさ」
「繰り返すことで見え
3
林
司
(松尾小)
宮島
豊
(阿智第二小)
髙橋
聡
(第五中)
中村
雅司
(丸子中央小)
小林
暢
(常盤小)
橋澤
宏文
(木島小)
髙橋いづみ
松尾
修
(穂高西小)
(穂高西小)
てくる新たなこと」
「気になることを次々と試すおもしろさ」を得た。同時に、私は素材研究の楽しさを感じた。
2年次、私が素材研究で感じ、子どもたちに伝えたいことをもとにした授業を、3視点を柱に行った。子どもたちの追究を授業や
記録から見返すと、自分の予想に反した事実への驚きや事象への疑問から、自分の考えを伝え合いながら追究を深め合い、対象の仕
4
下井 早苗
荻原 敏樹
吉澤 修一
(松川北小)
(松川中央小)
(青木小)
金田
(長
達成
栗田喜美江
小)
(三水第二小)
高田
幸子
(山王小)
杉山 佐俊
奈良井範久
(島内小)
(高綱中)
組みに迫っていく子どもの追究が見えてきた。それは、私が素材研究を徹底したからこそとらえられてきた子どもの学びの姿だと思
えた。
以上のことについて報告させていただき、素材研究、教材化、子どものとらえについて一緒に考え合いたいと思います。
※ゴシックは研究所運営委員
※参加申込みについては5月15日(金)までに学校を通して、郡市研究所運営委員へお願いします。