PDF冊子はこちらから - 社会福祉法人 善光会

社会福祉法人の
社会貢献活動のススメ
社会福祉法人
善光会
はじめに
昨今、社会福祉法人の存在意義が議論されています。国から多くの補助を受
けているにも関わらず、その役割を全うしていないのではないかと。
社会福祉法人は公益法人です。法人の利益や一部の個人のために存在してい
るのではありません。
世の中をもっと良くするため、行動を起こす。リーダーシップをとって人々を
それらの活動に巻き込んでいく。それが 社会福祉法人の使命。存 在意義。
ではないでしょうか。
日本には様々な社会的問題があります。問題を解決する方法は一つしかあり
ません。行動を起こすことです。
その一例がこの『社会福祉法人の地域活動のススメ』です。
社会福祉法人が限界集落と言われる過疎地に住まう独居老人への生活支援
と、そこから発展した地域との連携についての一連の活動をまとめたもの
です。
この活動に共感し、行動を起して頂ける社会福祉法人が増えていくことを願っ
ています。
ii
目 次
1. 限界集落とは
2
2. なぜ限界集落となってしまったのか
3
3. 限界集落に住まう住民の問題
4
4. 限界集落の構造のまとめ
5
5. 限界集落問題に対する打ち手
6
6. 事例集
9
7. 活動のポイント
12
1
1. 限界集落とは
限界集落とは、65 歳以上の人口比率が 50% 以上を占めている村落のことで、全国で 7,873
存在しています。それは全集落の 13% におよびます。
2
集落の状態
定 義
存続集落
・55 歳未満人口 50% 以上
・跡 継ぎが確保されており、共同体の機能
を次世代に受け継いで行ける状態
準限界集落
・55 歳以上人口 50% 以上
・現 在は共同体の機能を維 持しているが、
将来的に維持が難しい状態
限界集落
・65 歳以上人口 50% 以上
・高 齢 化が 進み、共同体の機能(医 療・福
祉等の行政サービス、冠婚葬祭など)維
持が限界に達している状態
消滅集落
・か つて住民が 存在していたが、既にゼロ
人となった状態
全集落数の
13%
2. なぜ限界集落となってしまったのか
経済発展とともに、農業や林業など地方で盛んな第一次産業は衰退の一途を辿り、仕事を求
める地方の人々の多くは都市部へと流出しました。また、少子化問題が地方の人口減少に拍車
をかけました。そのような中、高齢者は、地元への愛着から地元を離れられず、結果として限
界集落を生む構造となっているのです。
産業別労働人口比率および出生率
3
3. 限界集落に住まう住民の問題
限界集落が発生することにより、限界集落の住民は、十分な自治体サービスを受けることはで
きず、家族関係・近所付き合いの希薄化から孤独死を迎えてしまうケースが発生しています。
4
4. 限界集落の構造のまとめ
限界集落問題は、下記のような負のループ構造となっており、国家全体の問題と繋がっている
ことから、解決が非常に困難な問題となっています。
5
5. 限界集落問題に対する打ち手
■ 限界集落問題に対する取組み
限界集落問題に対する 1 つの打ち手として、限界集落でのボランティア活動によって、自治体・
行政の役割を一部担うことが考えられます。そして、その活動への参加を広く積極的に呼びか
け、
「ボランティアムーブメント」をおこし、国家財政を圧迫することなく限界集落問題の解決
を図りたいと考えました。
ボランティアムーブメントのイメージ図
6
■ ボランティアムーブメント
ボランティアムーブメントを起こし、限界集落へのボランティア活動が広まることで財政負担が
軽減され、ひいては限界集落の発生を抑制することに繋がります。
7
■ アクションプラン
この活動は、個人の生活をボランティア活動によってサポートするものですが、個人へ直接コ
ンタクトするのではなく、その地域の自治体・行政を窓口とし、個人が安心して受け入れられ
る体制をつくります。そのために、まずはその地域の自治体・行政に活動を理解・共感して頂
くことからはじまります。
8
6. 事例集
■ 高齢者世帯の生活支援
場所:群馬県南牧村、群馬県神流町、栃木県茂木町
実施時期:6 月〜 10 月
独居又は高齢者のみの世帯を対象に、粗大ごみ出し、
高い部分の清掃、雑草除去等の高齢者には負担の大
きい体力仕事の手伝いや、公民館等のコミュニティス
ペースでリハビリ体操、レクリエーション等を実施。
2010 年〜 2014 年の 5 年間でおよそ 800 世帯へ訪
問。活動を通したコミュニケーションも高齢者の楽し
みへと繋がっています。
地域住民と共同で畑仕事
住民とのコミュニケーション
障子張り等の細かなお手伝い
活動写真と感想をまとめたアルバムは各世帯の楽しみとなっている
9
■ 都市部での地域物産店の開催
場所:東京都内の介護施設
時期:施設イベント(夏祭り、秋祭りなど)
施設の利用者や家族だけでなく、地域住民等も訪れ
るイベントの機会に、
過疎地物産品ブースを開催。ブー
スでの販 売には、各地域の道の駅の方々が 商品を沢
山持って来て頂き、施 設職 員と一 緒に販 売して頂き
ます。
直接商品の良さを伝えて頂けるので、毎年商品はほぼ
完売します。
自治体盆踊りや太鼓などのイベントも開催
群馬県神流町のゆるキャラさうるす君は地域の子供達に大人気
栃木県茂木町の道の駅で大人気の商品群
10
群馬県南牧村の新鮮な野菜
■ 地域資源や特性を活かしたプロジェクト
場所:群馬県南牧村
時期:2014 年 6 月〜 2015 年 3 月 31 日
高齢者に働く機会やコミュニケーションの機会を提供
することで、住み慣れた地域で生きがいをもって暮ら
せる地域社会の実現を目的にした地域支援プロジェク
ト(独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事
業)。群馬県南牧村のきれいな水と澄んだ空気と、土
壌マネジメント農法で、地域の高齢者が特色のある農
作物を栽培・加工・販売することを実現しました。
群馬県南牧村の道の駅人気商品、
「シソ巻」を年中通
して販売できることを目指し、また、新しい商品開発
を目指しました。
廃館となった村所有施設がファームの場所(群馬県南牧村)
地域の方と一緒に、なれない農作業
栽培環境を管理しているため、室内で安全な野菜を作ることができる
地域交流会では、村長をはじめとした地域の方々と交流
東京都銀座の群馬県アンテナショップでイベントブースを開催
11
7. 活動のポイント
◎継続すること
一過性の活動では、活動に参加した者はその時の達 成感を
大きく感じられるが、本来の目的である問題 解決にはなら
ない。
また、継続して行うことで活動の問題点がクリアになったり、
信頼関係が構築され、更なる発展やアイデアが生まれる。
◎一方通行にならないこと
一部の者だけに大きな負担になったり、遠慮してしまうよう
な状態にならないよう、それぞれがそれぞれに与え合い、協
力し合える、もちつもたれつの関係をつくることを意識する。
◎イベント性を持たせること
楽しさや有意義だと感じられる活動は自然と人が集まり、ま
た続けていくこともできる。
イベント性を持たせ、関係者全員が参加したいと思える工夫
を、常に試行錯誤していくことが大切である。
12
おわりに
これからもこの活動を続けていきます。
活動の場所や内容を充実させていきます。
この活動が認知され、賛同者を増やすため、
広報活動に力を入れて取り組みます。
社会福祉法人 善
光会
〒14 4-0033 東京都大田区東糀谷六丁目 4 番17 号
電話:03-5735-0123 / ファックス:03-5735-0300