EDUCATIONAL COURSES of JUA 2015 in KANAZAWA 日本泌尿器科学会 2015年卒後教育プログラム 2015年4月18日(土)〜21日(火) 金沢市:ホテル金沢 第103回日本泌尿器科学会総会における「卒後教育プログラム」の担当講師のご紹介と内容の概説(シラバス)をお届けいた します。多くの会員の皆様方のご参加をお待ちいたしております。 この度の卒後教育プログラムは14の専門部会すべてにおいて企画され、全部で17コース開設しております。プログラム内容を 充実させ、なるべく多くの方が受講できるように日時を設定しております。 本プログラムの実施にあたりましては総会会長の金沢大学、並木幹夫教授および教室の先生方より全面的にご支援とご協力 を頂いておりますことを申し添えるとともに、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。 原 勲(教育委員会委員長) 開 催 概 要 1.日 時 4月18日(土) 9:30-11:00[1]小児における腎・尿路機能の評価法 小児泌尿器科 10:00-11:30[2]免疫抑制剤と免疫抑制療法 腎不全・腎移植 13:30-15:00[3]泌尿器科領域における周術期感染予防ガイドライン2015 尿路性器感染症 14:10-15:40[4]オフィスウロロジーにおけるマネジメントとマーケティング Part4 ~血尿の診断の進め方~ 16:00-17:30[5]泌尿器がんの病理診断の基礎知識 オフィスウロロジー 泌尿器科腫瘍 4月19日(日) 8:30-10:00[6]研究入門コース4)「男子不妊症研究の最前線」 基礎研究 9:10-10:40[7]尿路結石の改訂版ガイドライン 尿路結石 13:30-15:00[8]泌尿器科外傷 13:50-15:20[9]泌尿器腹腔鏡手術の基本手技 外傷・救急医療 エンドウロロジー・腹腔鏡 15:40-17:10[10]筋層非浸潤性膀胱癌の診断と治療 ─「膀胱癌診療ガイドライン」の改訂を踏まえて─ 泌尿器科腫瘍 4月20日(月) 8:30-10:00[11]夜間頻尿の診断と治療 9:10-10:40[12]前立腺肥大症の手術的治療 14:40-16:10[13]進行性前立腺がんの治療 15:40-17:10[14]医療保険制度「保険診療の概要と DPC/PDPS の今後」 排尿機能・神経泌尿器科 老年泌尿器科・前立腺肥大症 泌尿器科腫瘍 医療制度・保険等 4月21日(火) 8:30-10:00[15]間質性膀胱炎の診断と治療 9:10-10:40[16]副腎腫瘍診療の実際 13:30-15:00[17]小径腎がんの診断と治療 女性泌尿器科 内分泌・生殖機能・性機能 泌尿器科腫瘍 2.会 場 ホテル金沢 2F・4F 第12会場(ダイヤモンドBC) 4月18日(土) [1]・[3]・[5] 4月19日(日) [6]・[8]・[10] 4月20日(月) [11]・[14] 4月21日(火) [15]・[17] 第13会場(エメラルドAB) 4月18日(土) [2]・[4] 4月19日(日) [7]・[9] 4月20日(月) [12]・[13] 4月21日(火) [16] 3.定 員 各コース 400名 ・定員になり次第、チケット販売は締め切りますのでご注意ください。 4.受講料 1コース 2,000円 5.テキスト 1冊 2,000円(17コース収録) ・ 「卒後教育プログラムテキスト販売デスク」にて販売いたします。 6.研修単位 1コース 5点 ・単位登録には会員カードが必要ですので、忘れずにご持参ください。 ・各コースとも、会場入口にて会員カードとチケットを提示しバーコードチェックを受けて入室し、講座終了 後の退室時には会場出口において必ずバーコードチェックを受けてください。 ・入退室両方のバーコードチェックのないものは、単位登録されませんのでご注意ください。 7.受講申込み ・事前オンライン販売を利用なさらなかった方は、受講される前にチケットをご購入ください。 詳細は、後日アップいたします。 ・販売場所は、もてなしドームの「卒後教育プログラムチケット販売デスク」です。 ※受講会場ではご購入できませんので、ご注意ください。 ・表の通り、当日開催されるコースのチケットのみご購入いただけますが、各コースとも定員に達した時点で 販売終了とさせていただきますので、ご了承ください。 【チケットおよびテキスト販売日時】 開催日時 コース No. 販売日時 9:30~11:00 [1]* 7:30~ 9:55 10:00~11:30 [2]* 7:30~10:25 4/18(土) 13:30~15:00 [3]** 4/18(土) 7:30~13:55 14:10~15:40 [4]** 7:30~14:35 16:00~17:30 [5] 7:30~16:25 8:30~10:00 [6]* 7:30~ 8:55 9:10~10:40 [7]* 7:30~ 9:35 4/19(日) 13:30~15:00 [8]** 4/19(日) 7:30~13:55 13:50~15:20 [9]** 7:30~14:15 15:40~17:10 [10] 7:30~16:05 8:30~10:00 [11]* 7:30~ 8:55 9:10~10:40 [12]* 14:40~16:10 [13]** 15:40~17:10 [14]** 7:30~16:05 8:30~10:00 [15]* 7:30~ 8:55 4/21(火) 9:10~10:40 [16]* 4/21(火) 7:30~ 9:35 4/20(月) 13:30~15:00 4/20(月) [17] 7:30~ 9:35 7:30~15:05 7:30~13:55 ※「*」または「**」の付してあるコース(下記)は、講義時間が重なっているため、両方のコースを 受講することはできません。 4月18日(土) [1]と[2] [3]と[4] 4月19日(日) [6]と[7] [8]と[9] 4月20日(月) [11]と[12] [13]と[14] 4月21日(火) [15]と[16] ※卒後教育テキストは会期中に開催される卒後教育プログラム全17コースが掲載されています。 テキスト販売時間はチケット販売時間に準じます。 小児泌尿器科 4/18(土)9:30〜11:00 [1]小児における腎・尿路機能の評価法 小児の腎尿路機能評価を行う際には、小児の発達・成長や成人とは異なる生理学的特徴を考慮して対応する必要があります。 以下の3項目について3名の講師が解説します。 1.小児の腎機能評価(担当講師:上村 治) 小児の腎糸球体機能は、 生下時には未熟ですが、 2歳頃にかけて成熟していきます。 血清クレアチニンの値は月齢、 年齢によって変化し、 思 春期には男女で差が開いてきます。 そのため成人と同列に評価することは不可能で、 月齢・年齢別および性別の正常値設定が必要です。 また、 年齢、 性差や体格に影響を受けにくい血清シスタチン C も腎機能評価に有用とされます。 さらに臨床的指標として eGFR がひろく用いられ るようになりました。 2014年に発表された小児 CKD 研究グループの手引き書の内容を中心に、 小児の腎機能評価法を基礎から解説します。 2.小児上部尿路の機能評価(担当講師:坂井清英) 上部尿路の機能評価において中心的役割を果たすのは核医学検査です。 おもに VUR 症例における腎瘢痕および分腎機能評価と先天性水腎 症や巨大尿管に対する尿路閉塞の評価について、 検査の理論と施行に際しての注意点や問題点を含めて、 臨床症例を呈示しながら解説します。 3.小児下部尿路の機能評価(担当講師:竹本 淳) 脊髄髄膜瘤や脊髄脂肪腫を代表とする二分脊椎においては小児の下部尿路の機能評価は極めて重要であり、 その結果に基づいて出生後早 期から管理を開始すれば、 尿路感染や腎機能障害を阻止することが可能になってきました。 しかし、 検査への協力が得られにくいことから、 時 には鎮静をかけなくてはならず、 年齢にともなう神経系や膀胱の発達も考慮する必要があるなどの特殊性があります。 出来る限り低侵襲で、 より有益な情報を得るために様々な工夫が必要とされます。 臨床の場における実践的な評価方法について代表症例を中心に解説します。 坂井 清英 昭和58年 東北大学医学部医学科卒業 同 58年 同 泌尿器科入局 平成7年 同 泌尿器科助手 同 14年 同 講師 同 15年 宮城県立こども病院泌尿器科科長 上村 治 昭和51年 京都大学理学部(数学)卒業 同 57年 名古屋市立大学医学部医学科卒業 平成22年 あいち小児保健医療総合センター 副センター長 竹本 淳 平成10年 東北大学医学部卒業 同 12年 公立気仙沼総合病院泌尿器科医員 同 19年 東北大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野修了 宮城県立こども病院泌尿器科医員 同 26年 同 部長 腎不全・腎移植 4/18(土)10:00〜11:30 [2]免疫抑制剤と免疫抑制療法 本邦の腎移植成績は向上し5年生着率90% 以上、10年生着率80% 以上になり、世界のトップクラスにある。年間移植数は1,600件以 上となった。このような移植成績の向上は、急速に進歩する免疫抑制薬の開発と免疫抑制法の改良によるところが大である。しかし、 免疫抑制薬は副作用も多々あり、なかには適正治療域が狭い薬剤もある。したがって、個々の免疫抑制薬の特性を理解し、各種の免 疫抑制法を駆使することは、腎移植の成績を向上させる根幹のひとつである。 本プログラムでは、日本 TDM 学会と日本移植学会が編集した「免疫抑制薬 TDM 標準化ガイドライン2014」を中心とした個々の免 疫抑制薬の特性を紹介するとともに(担当:佐藤 滋)、最近使用例が増加している mTOR 阻害薬の特性と使用法(担当:原田 浩)、 さらには ABO 血液型不適合移植や抗 HLA 抗体陽性移植における免疫抑制法(担当:齋藤 満)について3人の講師が解説する。 このプログラムが専門医を目指す先生方はもちろん、指導医の先生にも最近の情報確認にお役立ていただけることを願っている。 佐藤 滋 昭和56年 岩手医科大学医学部卒業 平成2年 ClevelandClinic泌尿器科FellowDoctor 同 4年 岩手医科大学医学部泌尿器科講師 同 9年 秋田大学医学部泌尿器科講師 同 23年 同 附属病院腎疾患先端医療センター センター長・教授 原田 浩 昭和62年 北海道大学医学部卒業 平成11年 市立札幌病院腎移植科副医長 同 13年 米国マサチューセッツ州ボストンチルドレ ンズホスピタル研究員 同 20年 市立札幌病院腎移植科副部長 同 21年 同 腎臓移植外科部長 齋藤 満 平成12年 秋田大学医学部卒業 同 17年 同 大学院卒業 同 18年 同 大学院医学系研究科腎泌尿器科学講座 助手(現:助教) 同 22年 SydneyUniversityChildren’sHospitalatWestmead 同 25年 秋田大学医学部附属病院血液浄化療法部講師 尿路性器感染症 4/18(土)13:30〜15:00 [3]泌尿器科領域における周術期感染予防ガイドライン2015 日本泌尿器科学会(JUA)より2006年に発表された「泌尿器科領域における周術期予防ガイドライン」以後、準清潔手術・消化管 利用手術における術前単回投与、術後血糖値管理、皮膚消毒、院内感染対策などについてのエビデンスか着実に蓄積され、現在でも 抗菌薬投与法のみならず周術期管理全般が大きく変わりつつある。さらには、密封小線源療法、骨盤底再建手術(TOT、 TVM、TVT)、 経尿道的前立腺核出術(HoLEP、TUEB)、軟性鏡による経尿道的結石破砕術(fTUL) 、腹腔鏡手術、ロボット支援下腹腔鏡手術な ど、次々と導入される新規術式に対する周術期感染症対策の検証も必要になってきている。このたび9年ぶりに改訂された「泌尿器 科領域における周術期感染予防ガイドライン2015」をダイジェストで紹介する。 山本 新吾 石川 清仁 安田 満 東郷 容和 昭和62年 京都大学医学部卒業 平成7年 アラバマ大学客員研究員 同 14年 京都大学大学院泌尿器科学分野講師 同 17年 兵庫医科大学泌尿器科准教授 同 21年 同 泌尿器科主任教授 平成5年 岐阜大学医学部卒業 同 9年 同 大学院博士課程修了 同 10年 同 医学部附属病院泌尿器科助手 同 14年 同 大学院泌尿器科学分野助手 同 18年 同 医学部附属病院泌尿器科講師 昭和61年 藤田保健衛生大学医学部卒業 平成8年 スウェーデン・カロリンスカ研究所研究員 同 10年 藤田保健衛生大学腎泌尿器科学講師 同 16年 同 准教授 平成14年 兵庫医科大学医学部卒業 同 14年 同 泌尿器科学入局 同 17年 宝塚市立病院泌尿器科医員 同 23年 兵庫医科大学医学部泌尿器科学助教 オフィスウロロジー 4/18(土)14:10〜15:40 [4]オフィスウロロジーにおけるマネジメントとマーケティング Part4~血尿の診断の進め方~ 「保険の基礎知識(2012)」、「在宅医療(2013)」、「画像診断(2014) 」といったテーマで、オフィスウロロジーにおけるマネジメン トを解説してきた本プログラムにおいて、本年は血尿について取り上げる。 泌尿器科医にとって血尿は最もポピュラーな主訴の一つである。しかし、高度の貧血を伴い緊急処置を要する場合からわずかな顕 微的血尿に至るまで、その程度は様々である。さらに、尿色の異常や不正性器出血など、血尿ではないが鑑別を要する場面にもよく 遭遇する。また、検診の普及や診療科間の連携強化が進んできた昨今、他科の医師からより専門的な解説、分析を求められることも 少なくない。 これらの要求に対し私たちは、尿路悪性疾患の鑑別さえすればよいと、ともすればエコー、CT スキャン、MRI などの画像診断に 頼りがちである。極端な話、検尿結果を記した検査課からの伝票は見るが、肝心の尿そのものを観察しない、などということはない だろうか。 今回、腎臓内科医を講師にお招きし、血尿の定義やテステープ法の原理を初めとして、血尿の性状と成因、尿細胞診などの関連検 査、さらには、小児や妊婦、抗凝固剤服用時の尿変化についても、今一度検証、解説する。聴講される方々の知識の整理、日常診療 の実践に少しでもお役にたてば幸いである。 長谷川 徹 昭和63年 信州大学医学部卒業 平成6年 金沢大学大学院卒業 同 10年 同 大学泌尿器科助手 同 11年 長谷川病院副院長 同 13年 医療法人社団長谷川病院院長 山田 和徳 平成10年 新潟大学医学部医学科卒業 同 10年 金沢大学医学部附属病院第2内科 同 21年 ジュネーブ大学医学部PathologyandImmunology 留学 同 22年 金沢大学医学部附属病院リウマチ・膠原病内科 同 26年 同 大学院医薬保健学総合研究科 先進的地域医療研究講座特任准教授 泌尿器科腫瘍 4/18(土)16:00〜17:30 [5]泌尿器がんの病理診断の基礎知識 泌尿器科診療、特に泌尿器腫瘍において病理学的所見が不可欠であることは論を待たず、また昨今の日常診療では、益々きめ細か い対応を求められるようになってきています。例えば前立腺癌のグリーソンスコアに代表されるように、病理組織学的所見は治療方 針を決定する際の極めて重要な情報で、その患者さんの予後をも左右すると言っても過言ではありません。一方で、病理側の種々の 変遷も泌尿器科医を戸惑わせることがあり、古くは腎がんにおける granularcellsubtype の消滅、ISUP2005における前立腺癌グリー ソンスコアの改訂、尿路上皮癌における grade 分類の消滅・・・などなど、診療現場でも対応に少し混乱を来すこともありました。 このような状況を改善する目的で、泌尿器科医と病理医の双方向の情報共有を目的に、2010年に「日本泌尿器病理研究会(Japanese SocietyofUrologicalPathology:JSUP:http://www.jsup.org) 」を設立し、泌尿器科の病理学的疑問の解決をはかってきました。 そのような中でまた、現在 WHO の組織分類が改訂中であり、その内容が近日中に発表される予定です。これらの内容はまたまた 臨床現場にも大きな影響を及ぼすことが予想されます。実臨床で遭遇する機会の多い改訂項目を中心にレクチャーしていただく予定 です。さらに、特に尿路上皮がんの診断と治療において欠かすことのできない尿細胞診については、その報告様式に実のところ国際 的・国内的にも統一されたものがありません。国内では日本臨床細胞学会の WG で数年にわたって議論され、先頃統一された報告様 式の最終案が報告されました。ほぼ時期を一にして、国際的な新基準(ParisSystem)も構築され、2016年には運用が開始される見 込みです。この尿細胞診についての基礎知識、新しい報告様式の概略についてもレクチャーしていただく予定です。 本教育プログラムでは泌尿器病理学につき国際的にも活躍され、常に最新の情報を泌尿器科医に提供いただいている名古屋第二赤 十字病院病理診断科の都築先生と、泌尿器科医として細胞診専門医(日本臨床細胞学会)をもっておられる佐賀大学泌尿器科の徳田 雄治先生と一緒に、腎がん、尿路上皮がん、前立腺がんの3つの泌尿器がんについて、泌尿器科臨床医として備えておくべき基礎知 識の整理をしていただきます。本プログラムが明日からの泌尿器がん診療の質の向上に寄与するものと確信しております。 賀本 敏行 昭和62年 京都大学医学部卒業 平成7年 同 医学研究科第一病理助手 同 13年 同 泌尿器科講師 同 15年 同 助教授(准教授) 同 21年 宮崎大学医学部泌尿器科教授 都築 豊徳 平成元年 名古屋大学医学部卒業 同 5年 名古屋第二赤十字病院検査部 同 13年 同 病理診断科部長 同 13年 米国 JohnsHopkinsHospital, Researchfellow 德田 雄治 平成4年 佐賀医科大学卒業 同 11年 同 大学院卒業 同 泌尿器科助手 同 13年 唐津赤十字病院泌尿器科副部長 同 16年 佐賀大学泌尿器科講師 同 18年 MemorialSloan-KetteringCancerCenter研究員 基礎研究 4/19(日)8:30〜10:00 [6]研究入門コース4)男子不妊症研究の最前線 男子不妊症は泌尿器科臨床の中で特異な専門領域であるかもしれない。外科学としての泌尿器科学と生殖内分泌学を主体に発展し てきたこの領域は、泌尿器科学の重要な柱の一つである。しかも1992年に開発された顕微授精法(ICSI)の普及により、それ以前に は挙児が全く期待できなかった乏精子症や無精子症の男性にもその可能性がもたらされている現状になっている。しかしながら、 個々の患者の病態を論理的に解明してゆく検査法や診断技術が確立され、合理的な治療法を複数提案し、選択できるようになること が成熟した臨床医療であるとするならば、残念ながら男子不妊症の臨床はまだそのレベルに達していないのではないか。すなわち、 男子不妊症の基礎研究には未開拓の分野が多く残っているのである。 本教育プログラムでは、男子不妊症研究の基礎研究に関して、3名の講師に解説して頂く。岡田には男性不妊症の基本である精子 学について概説して頂き、さらに男性不妊に付随する遺伝子異常の最新データを自験例も含めて紹介してもらう。小川は自ら開発し て精巣組織の培養法と in vitro 精子形成研究の現状と将来について解説する。最後に辻村は性機能障害についての独自の研究成果を 解説し、男性不妊症への対応を展望する。 本プログラムが、若い泌尿器科医の皆さんのチャレンジ精神を刺激し、今後の研究に有益な指針となることを期待する。 小川 毅彦 昭和60年 横浜市立大学医学部卒業 平成元年 同 大学院医学研究科修了(病理学専攻) 同 附属病院泌尿器科助手 同 17年 同 医学部泌尿器病態学准教授 同 24年 同 生命医科学研究科プロテオーム科学教授 岡田 弘 昭和55年 神戸大学医学部医学科卒業 同 60年 NewYorkMedicalCollege 留学 平成14年 神戸大学医学部助教授 同 15年 帝京大学医学部泌尿器科助教授 同 19年 獨協医科大学越谷病院泌尿器科主任教授 同 25年 同 副院長 辻村 晃 昭和63年 兵庫医科大学卒業 平成10年 ニューヨーク大学泌尿器科および 細胞生物学臨床研究員 同 17年 大阪大学医学部泌尿器科学講師 同 22年 同 准教授 同 26年 順天堂大学医学部泌尿器科先任准教授 尿路結石 4/19(日)9:10〜10:40 [7]尿路結石の改訂版ガイドライン 尿路結石は多因子疾患であり、さまざまな要因が重なり合って発症する。しかし、残念ながら尿路結石の成因はまだ完全には解明 されてはいない。そのなかで、基礎研究の積み重ねから、尿路結石と動脈硬化の発症には極めて類似点が多く「尿路結石はメタボリッ クシンドロームの1疾患である」という概念が提唱されるようになってきた。 実際、 結石関連物質の尿中排泄量と肥満度の関係をみる と、結石形成の促進因子である高 Ca 尿症、高尿酸尿症、高シュウ酸尿症の割合は肥満度と相関すると報告されており、メタボリックシ ンドローム全体の予防法と尿路結石症の予防法はほぼ共通している。比較的若い人たちに多い尿路結石の発症はメタボリックシンド ローム発症の警鐘とも捉えることができ、泌尿器科医と一般内科医が連携して尿路結石の再発予防に取り組むことが求められている。 また、尿路結石の診断・治療も、CT による画像診断の進歩、内視鏡的砕石に関わる機器の改良など、日々、変化している。さら に、本年は、10年に1度の全国疫学調査の年でもあり、これまでの尿路結石の疫学についての理解も重要となってくる。 2013年に改訂された尿路結石症診療ガイドライン(第2版)はよりわかりやすく、との考えで CQ 方式を採用し、尿路結石症診療 の最新の課題が、EBM の手法で考察されている。「疫学」 「診断・治療」 「再発予防」の3領域に38の CQ を設定し、疾患の基礎知識、 最新の治療から生活指導のポイントまで、尿路結石症診療のあらゆる領域の疑問に回答している。個々の CQ について推奨グレード が銘記され、より実臨床に役立つ内容となっている。 本プログラムでは、ガイドライン改訂の中心となった委員の先生方に、より具体的なエビデンスを記載したガイドラインの内容を 概説いただく。尿路結石症の診療に携わっておられる先生方に最新の情報を学んでいただき、臨床現場でお役立てていただければ幸 いです。 戸澤 啓一 安井 孝周 諸角 誠人 辻畑 正雄 昭和62年 名古屋市立大学医学部卒業 同 63年 豊川市民病院泌尿器科医員 平成2年 愛知県厚生連更生病院泌尿器科医員 同 12年 名古屋市立大学泌尿器科講師 同 19年 同 大学院医学研究科腎・ 泌尿器科学分野准教授 昭和57年 筑波大学医学専門学群卒業 同 57年 順天堂大学医学部泌尿器科助手 平成13年 琉球大学医学部泌尿器科講師 同 15年 文部科学省在外研究員 フロリダ大学医学部病理学教室 visitingassistantprofessor 同 18年 埼玉医科大学総合医療センター泌尿器科准教授 平成6年 名古屋市立大学卒業 同 12年 同 助手 同 19年 同 講師 同 21年 愛知県厚生連海南病院部長 同 22年 名古屋市立大学大学院医学研究科講師 平成元年 鳥取大学医学部医学科卒業 同 13年 大阪大学医学部泌尿器科助手 同 16年 大阪府済生会千里病院泌尿器科部長 同 17年 大阪大学医学部泌尿器科講師 同 24年 大阪労災病院泌尿器科部長 外傷・救急医療 4/19(日)13:30〜15:00 [8]泌尿器科外傷 泌尿器科医が日常臨床で外傷疾患に遭遇することは比較的稀ではあるが、その機会は必ずやってくる。外傷はまさしく救急であり、 待ったなしの対応が求められる。外傷患者は比較的若年者に多く、近年のわが国の少子高齢化という社会問題を鑑みると、外傷医療 はわが国の貴重な生産人口を守る医療とも言える。仮に外傷の初療および全身管理が、その施設の救急専門医、外傷外科医の手に委 ねることができたとしても、泌尿器科外傷が存在すれば泌尿器科専門医として損傷臓器への適切な対応・意見が求められる。 本講座では、臓器として腎・尿管・膀胱・尿道・性器の外傷を扱う。腎外傷は泌尿器科外傷の中で最も頻度が高く、腹部実質臓器 損傷の中でも肝、脾に次いで多い。現在、学会では日本外傷学会および日本 IVR 学会の協力を得て診療ガイドラインを作成中である。 緊急手術となることは少ないが、出血や尿漏に如何に対処するのか把握しておかねばならない。尿管外傷は稀であるが、泌尿器科医 として扱いが慣れているダブル J カテーテルで常に対応できるわけではなく、緊急手術が必要な場合もある。膀胱外傷は原則的に損 傷タイプにより治療方針が異なり、いかなる場合に手術を選択するかを知っておく。尿道外傷は致命的な損傷ではないが、初療およ び待機的治療法を誤ると、合併症として患者の QOL を大きく損なう難治の尿道狭窄を引き起こす。陰茎、精巣などの性器外傷は、性 機能や妊孕性とも係わってくるため、適切な対応法を会得しておく必要がある。 当日は、外傷医療の経験豊富な専門医が実際の症例画像を示しつつ、わかり易い講義を行う予定である。本プログラムを通じて、 若手の泌尿器科医が外傷の正しい管理法を学び、外傷・救急医療に少しでも興味を持っていただければ幸いである。 中島 洋介 昭和57年 慶應義塾大学医学部卒業 平成3年 ニューヨーク医科大学泌尿器科研究員 同 7年 慶應義塾大学伊勢慶應病院泌尿器科部長 同 11年 済生会神奈川県病院泌尿器科部長 同 19年 同 横浜市東部病院副院長・泌尿器科部長 堀口 明男 平成6年 慶應義塾大学医学部卒業 同 6年 同 泌尿器科学教室研修医 同 15年 防衛医科大学校泌尿器科学講座助手 同 16年 米国コーネル大学泌尿器科リサーチフェロー 同 20年 防衛医科大学校泌尿器科学講座講師 八木橋 祐亮 平成11年 帝京大学医学部卒業 同 11年 沖縄県立中部病院外科 同 13年 京都大学泌尿器科医員 同 21年 田附興風会北野病院副部長 同 24年 沖縄県立中部病院泌尿器科 エンドウロロジー・腹腔鏡 4/19(日)13:50〜15:20 [9]泌尿器腹腔鏡手術の基本手技 泌尿器腹腔鏡技術認定制度は2004年に始まったが、その発足にはベンチマークとなる標準術式の確立が不可欠であった。このため、 日本 Endourology・ESWL 学会では日本泌尿器科学会と協力して、1996年から毎年泌尿器腹腔鏡ワークショップを開催し、泌尿器腹 腔鏡手術各術式の標準術式の確立を目指して、解剖の理解、基本手術手技、手順ならびに器具の選択と安全な使用方法などについて 議論を重ねてきた。同時に、日本 Endourology・ESWL 学会総会時の教育プログラムでもその成果の普及に努め、制度発足の準備を 進めた。そして現在、泌尿器腹腔鏡技術認定制度発足後10年が経過し、2013年度の審査終了時点で技術認定取得医は1051名を数える に至った。平均合格率は約58.6%で、技術認定取得医の数は日本泌尿器科学会員8,088名の13.0%、日本泌尿器内視鏡学会(日本 Endourology・ESWL 学会から2011年5月学会名変更)員3,785名の27.8%に当たる。さらに技術認定制度が始まってからは、無編集ビ デオによる泌尿器腹腔鏡ビデオ講習会を開催し、上記内容に関するコンセンサスの獲得と普及に努めてきた。本卒後教育プログラム でも、技術認定制度から見た泌尿器腹腔鏡手術の基本手技、さらに腎副腎摘除術における解剖の理解、手術手順、基本手術手技、様々 な止血器具の安全な使用法などについて、秋田大学の羽渕友則先生、北里大学の岩村正嗣先生、ならびに東海大学の寺地敏郎で解説 する予定である。この教育プログラムが、現在泌尿器腹腔鏡技術認定取得を目指して学んでおられる先生方、あるいはこれから取り 組もうと考えておられる先生方にとって、有益なものとなれば幸いである。 寺地 敏郎 昭和53年 京都大学医学部卒業 同 63年 米国 ClevelandClinicFoundation 尿路癌学 特別研究員 平成11年 京都大学大学院医学研究科助教授 同 12年 天理よろづ相談所病院泌尿器科部長 同 14年 東海大学医学部泌尿器科教授 羽渕 友則 昭和61年 京都大学医学部卒業 平成6年 英国マリーキューリー研究所研究員 同 10年 秋田大学医学部助教授 同 13年 京都大学大学院医学研究科助教授 同 15年 秋田大学医学部教授 (現:秋田大学大学院医学系研究科) 岩村 正嗣 昭和58年 北里大学医学部卒業 平成元年 米国ロチェスター大学 Researchfellow 同 8年 北里大学医学部泌尿器科講師 同 16年 同 診療准教授 同 25年 同 教授 泌尿器科腫瘍 4/19(日)15:40〜17:10 [10]筋層非浸潤性膀胱癌の診断と治療 ─ 「膀胱癌診療ガイドライン」 の改訂を踏まえて─ 「膀胱癌診療ガイドライン」 (日本泌尿器科学会編)が約5年ぶりに改訂されつつある。 (本プログラム実施時には発刊されていると 思われる。)海外においては、EAU、AUA、NCCN などから本疾患の診療ガイドラインが発刊され、頻回に改訂作業も重ねられてい る。実際、海外で推奨された治療指針のすべてが国内で馴染むものでなく、また膀胱癌に対してはわが国でも多くの臨床試験が実施 され、日本発のエビデンスも蓄積されている。以上の現状を踏まえ、国際的な治療指針を出来る限り踏襲しつつ、国内のエビデンス も取り入れた診療ガイドライン改訂版が誕生した。 本プログラムでは「膀胱癌診療ガイドライン」の改訂作業において筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)の担当者が、NMIBC の診断・ リスク分類と治療指針を総括的に解説するとともに、リスク分類別に抗癌剤と BCG 注入療法の治療指針を各論的に解説し、NMIBC 診療の現況を概説する予定である。 大園 誠一郎 昭和51年 奈良県立医科大学卒業 同 57年 米国 Northwestern 大学留学 同 61年 奈良県立医科大学泌尿器科講師 平成9年 同 助教授 同 15年 浜松医科大学泌尿器科教授 樋之津 史郎 昭和62年 筑波大学医学専門学群卒業 平成12年 東京大学医学系研究科薬剤疫学講座助手 同 14年 筑波大学臨床医学系腎泌尿器外科講師 同 20年 京都大学医学研究科薬剤疫学分野准教授 同 25年 岡山大学病院新医療研究開発センター教授 菊地 栄次 平成6年 慶應義塾大学医学部卒業 同 13年 米国メモリアルスロンケタリング癌センター に留学 同 17年 慶應義塾大学医学部泌尿器科助手 同 21年 同 専任講師 排尿機能・神経泌尿器科 4/20(月)8:30〜10:00 [11]夜間頻尿の診断と治療 夜間頻尿は、夜間に排尿のために1回以上起きなければならないことをいうが、臨床的には夜間の排尿回数が2回以上になると QOL の障害の原因となり治療の対象となる。夜間頻尿の頻度は、若年者で10−30%、高齢者で40−80%と決して稀な病態ではなく、 QOL の障害はもちろんのこと、特に高齢者では転倒や骨折の原因になることや生命予後に影響を与えることから、夜間頻尿の治療を 行うことが望まれている。しかし、夜間頻尿の診断・治療を行う際には、その病因や発生機序が多尿や夜間多尿、前立腺肥大症や過 活動膀胱による膀胱蓄尿障害、睡眠障害など多岐にわたり、さらにその背景に泌尿器科以外の疾患が存在することが少なくない。そ のため、そのことを念頭におきながら診断を行わなければならない。また、このように多岐にわたる夜間頻尿の原因に応じて、適切 な治療を行う必要がある。 本プログラムでは、2009年発刊の夜間頻尿診療ガイドラインに基づいて、まず⑴多岐にわたる夜間頻尿の病因、発生機序について 理解を深め、より系統的な診断アプローチの方法ついて概説する。続いて、⑵夜間頻尿の病因・発生機序に応じた治療法について最 新の知見を含めて概説する。それぞれのセッションでは、可能な範囲でより多くの具体的な症例を提示し、日常診療で役に立つよう な内容にできたらと考えている。 最後に、次世代の泌尿器科を担う若い先生方はもちろんのこと、すでに第一線で日常診療にあたられている先生方にも、最新の知 見を含めた夜間頻尿の診断と治療について少しでも理解を深めていただき、日常診療ですぐに実践できるようなプログラムにしたい と考えている。 三井 貴彦 平成5年 北海道大学医学部卒業 同 5年 在日アメリカ海軍病院(横須賀市)インターン 同 14年 米国ドレクセル大学博士研究員 同 18年 北海道大学病院助手 同 19年 同 助教 小林 英樹 平成5年 山梨医科大学卒業 同 医学部泌尿器科入局 同 13年 諏訪中央病院泌尿器科医長 同 20年 山梨大学医学部泌尿器科助教 老年泌尿器科・前立腺肥大症 4/20(月)9:10〜10:40 [12]前立腺肥大症の手術的治療 前立腺肥大症は男性下部尿路症状(Male-LUTS)をきたす代表的な疾患であり、2011年には前立腺肥大症診療ガイドライン(泌尿 器科専門医向け)が出版され、診療の標準化が図られてきており、この中でも手術療法に対する記載が行われている。 BPH に対する手術治療は、①薬物治療の効果が不十分、②中等度から重度の症状、③尿閉・尿路感染症・血尿・膀胱結石などの合 併症がある(または危惧される)場合に、適応が考慮される。また、手術適応の評価には、患者希望や全身的評価と併せて、下部尿 路閉塞の評価を行うことが推奨されている。閉塞の判定は内圧尿流検査所見が基準であるが、他の検査所見を組み合わせることで代 用可能な場合もある。 手術治療の標準術式は経尿道的前立腺切除術(TURP)であるが、そのほかにも多数の術式がある。これらは、A)組織の切除や 蒸散を主体とする術式と、B)組織の熱凝固・変性を主体とする術式、C)その他の術式に大別される。一般に、組織の切除や蒸散の 術式は効果が高いが周術期の合併症がある。一方、組織の熱凝固・変性を主体とする術式は合併症が少なく安全ではあるが、効果は 同等ないしは劣り、術直後の症状の増悪期間や留置カテーテル期間が長く、病理検査用の組織が得られないことが多いなどの欠点も ある。また、手術治療の術式選択は、前立腺肥大症の特性、前立腺以外の患者特性、医療施設の設備、術者の習熟度などを考慮して 行う必要があり、どの術式が適切かは種々の要因による影響が大きい。 本プログラムでは、手術術式の中から、最近増えてきている光選択的レーザー前立腺蒸散術(PVP) 、ホルミニウムレーザー前立腺 核出術(HoLEP)、経尿道的バイポーラー電極前立腺核出術(TUEB)を取り上げ、その手技、特徴、有用性や問題点などについて 解説する予定である。 吉田 正貴 田中 國晃 山口 秋人 中川 健 昭和56年 熊本大学医学部卒業 平成元年 米国 Yale 大学医学部泌尿器科教室に留学 同 8年 熊本大学医学部泌尿器科助(准)教授 同 21年 熊本労災病院医療情報部部長 同 24年 国立長寿医療研究センター手術・ 集中治療部部長 昭和48年 九州大学医学部卒業 同 48年 同 泌尿器科教室入局 同 48年 三信会原病院(現 原三信病院)就職 同 62年 原三信病院泌尿器科部長 平成11年 同 副院長兼泌尿器科主任部長 昭和57年 名古屋大学医学部卒業 同 62年 同 泌尿器科 平成元年 社会保険中京病院泌尿器科 同 13年 刈谷豊田総合病院泌尿器科 同 14年 同 部長 昭和63年 慶應義塾大学医学部卒業 平成8年 英国オックスフォード大学移植外科 リサーチ・クリニカルフェロー 同 14年 慶應義塾大学医学部泌尿器科学専任講師 同 21年 同 准教授 同 26年 東京歯科大学市川総合病院泌尿器科教授 泌尿器科腫瘍 4/20(月)14:40〜16:10 [13]進行性前立腺がんの治療 進行性前立腺がんではホルモン療法がその治療の中心となるが、骨転移や去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)などへの対応も重要で ある。わが国でも2014年から CRPC に対するエンザルタミド、アビラテロン、カバジタキセルが保険適応となり、多くの施設で使用 されるようになった。しかし、まだ十分な使用経験が無く、日本人に対する最適な治療戦略を示すには至っていない。 このような背景の中で本卒後教育プログラムでは、ホルモン療法、骨マネジメント、CRPC への対応について、この領域で活躍さ れている先生方にわが国における進行性前立腺がんの治療についてその最先端の情報をまとめていただくことにした。まず神戸大学 三宅秀明先生にホルモン療法の要点を薬剤および投与法別に概説していただき、理解しておくべき事項を整理していただく。ホルモ ン療法による有害事象の理解もより重要となっており、これについても言及していただく。進行性前立腺がんに多く見られる骨転移 は、骨関連事象をもたらし、特に骨折などは生存期間にも影響してくる。ホルモン療法では骨塩量低下も含めた骨マネジメントが必 要であるが、東邦大学 鈴木啓悦先生にはこれらについて各種ガイドラインや各薬剤のエビデンスを含めて整理していただく。また、 CRPC に対する新規治療薬についても骨マネジメントの視点からそれぞれの特徴に言及してもらう予定である。最後に帝京大学ちば 総合医療センター 小島聡子先生に CRPC に対する治療について解説していただく。まだ十分なエビデンスがない状況ではあるが、 新規治療薬を中心に海外のデータなども参考にしながらそれぞれの特徴を解説していただく。また、交差耐性の機序や使用順序など に関する文献を取り上げながら、新規治療薬をどのように使用していくべきか、そのヒントを示していただく予定である。 本卒後教育プログラムで解説する情報を実際の臨床現場に生かしていただければ幸いである。 市川 智彦 三宅 秀明 鈴木 啓悦 小島 聡子 昭和59年 千葉大学医学部卒業 平成元年 ジョンズホプキンス大学オンコロジーセンター 同 10年 千葉大学医学部附属病院講師 同 13年 同 大学院医学研究院助教授 同 16年 同 大学院医学研究院泌尿器科学教授 平成2年 千葉大学医学部卒業 同 8年 ジョンズホプキンス大学オンコロジーセンター 同 17年 千葉大学医学部附属病院泌尿器科講師 同 18年 同 大学院医学研究院泌尿器科学助教授 同 22年 東邦大学医学部泌尿器科学講座(佐倉)教授 平成5年 神戸大学医学部卒業 同 10年 ResearchFellow,VancouverProstateCentre 同 14年 兵庫県立がんセンター泌尿器科医長 同 19年 神戸大学医学部附属病院泌尿器科講師 同 22年 同 大学院医学研究科外科系講座 腎泌尿器科学分野准教授 平成6年 筑波大学医学専門学群卒業 千葉大学医学部付属病院泌尿器科入局 同 15年 Univ.BritishColumbia,TheProstateCentre Researchfellow 同 17年 千葉大学大学院医学研究院泌尿器科助手 同 18年 帝京大学ちば総合医療センター泌尿器科講師 同 19年 同 准教授 医療制度・保険等 4/20(月)15:40〜17:10 [14]医療保険制度「保険診療の概要と DPC/PDPS の今後」 日本で保険診療を行うには、医師免許証に加えて保険医登録がされている保険医の資格を有している必要がある。保険医は健康保 険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律等および保険医療機関及び保険医療養担当規則等に記載されている様々な ルールを順守し、その責務を果たすことが義務付けられている。この理由のひとつとして、日本の社会保障制度としての医療保険制 度の成り立ちや国民医療費の財源の問題が関係していると考えられる。今回、医療費財源の負担割合等を含めて日本の医療保険制度 の概要を説明し、各種法令について基本的内容とポイントを先生方の日常の診療の参考となるように解説する。また、保険請求の根 拠となるカルテについては基礎的知識の要点を、診療報酬明細書(レセプト)については審査支払機関に提出する際の点検・確認な ど保険医として関与すべき事項を説明する。 次いで、2003年に開始された DPC/PDPS(DiagnosisProcedureCombination/Per-DiemPaymentSystem) 制度について、その基 本的事項を概説し、泌尿器科領域事例の定義テーブル、ツリー図を提示して理解を深めていただくとともに、妥当かつ正確な診断群 分類の選択に役立つように解説する。本制度は開始後10年以上経過し、この間診療報酬改定のたびに変更・修正がなされてきた。現 在も診療報酬調査専門組織 DPC 評価分科会、中央社会保険医療協議会等で平成28年改定に向けて診断群分類点数表、医療機関別係 数、算定ルール、DPC 導入の影響評価に係る調査(退院患者調査)等の検討課題や中長期的な課題について議論が続けられている。 平成27年4月の本講演時点での議論の内容や方向性について説明する予定である。 斎藤 忠則 昭和53年 日本大学医学部卒業 平成13年 同 泌尿器科学教室助教授 同 15年 日本私立学校振興・共済事業団東京臨海病院 副院長 同 22年 日本泌尿器科学会保険員会委員長 同 24年 日本大学医学部医学生涯教育センター 臨床教授 井原 裕宣 昭和50年 東京慈恵会医科大学卒業 平成3年 東京都国民健康保険団体連合会審査委員 同 11年 社会保険診療報酬支払基金東京支部 副審査委員長 同 12年 東京都国民健康保険団体連合会 介護給付費審査委員 同 22年 社会保険診療報酬支払基金医科専門役 女性泌尿器科 4/21(火)8:30〜10:00 [15]間質性膀胱炎の診断と治療 間質性膀胱炎(interstitialcystitis:IC)は原因不明の慢性膀胱炎で、間質性膀胱炎診療ガイドライン (2007) では「膀胱の非特異的な 慢性炎症を伴い、 頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱痛などの症状を呈する疾患」としている。 IC は慢性骨盤痛症候群 (chronicpelvicpain syndrome : CPPS)のひとつで、国際禁制学会(ICS)では標準化運営委員会が CPP ワーキンググループを立ち上げ (2011)、CPPS の Terminology を検討している。ヨーロッパ泌尿器科学会 (EAU)では CPP ガイドラインを2014年に up date し、米国泌尿器科学会 (AUA)も2014年9月に「間質性膀胱炎/膀胱痛症候群(IC/BPS) の診断と治療に関するガイドライン (2011) 」の改訂版を発表した。 診断には注意深い問診や除外診断が必要なことは全世界共通であるが、AUAGL では検査としての膀胱鏡は、尿流動態検査ととも に複雑な症例を除いて必要としないことになった。これは費用対効果偏重によるところが大きいと思われ、わが国においては疑わし い症例には膀胱鏡を励行する方針は変えていない。 IC/BPS は原因が解明されていないため、根治的治療はない。しかし膀胱鏡でハンナー病変(Hunner’s lesion)が確認された症例 では経尿道的凝固術は極めて有効であり、ハンナー病変を有する症例を見つけ出すためにも膀胱鏡は必要と考える。 本セミナーでは、間質性膀胱炎診療ガイドライン(2007)を中心に AUAGL(2014)や ESSIC(EuropeanSocietyfortheStudy of IC/PBS)の診断法も含め、南里先生から「症状と診断」 、梶原先生から「治療」を講演していただく。IC/BPS への関心が高まる とともに、明日からの診療に大いに役立つと確信している。 巴 ひかる 昭和58年 東京女子医科大学医学部卒業 同 62年 同 大学院博士課程修了 平成3年 同 泌尿器科助手 同 11年 東京女子医科大学東医療センター泌尿器科 准講師 同 23年 同 骨盤底機能再建診療部・泌尿器科教授 梶原 充 平成6年 広島大学医学部卒業 同 11年 同 附属病院助手 同 18年 JA 尾道総合病院泌尿器科部長 同 21年 広島大学大学院腎泌尿器科学助教 同 22年 広島大学病院泌尿器科講師 南里 正晴 平成7年 久留米大学医学部卒業 佐賀医科大学泌尿器科学講座入局 同 14年 同 助手 同 16年 医療法人南里泌尿器科医院副院長 同 21年 同 院長 内分泌・生殖機能・性機能 4/21(火)9:10〜10:40 [16]副腎腫瘍診療の実際 近年、副腎腫瘍に対する外科治療においては目覚ましい進歩がある。その進歩に貢献した要因には、新しい疾患概念の確立、診断 技術の向上、周術期管理の確立、および腹腔鏡手術の開発・普及などがある。その中で我々泌尿器科医にとっては腹腔鏡手術の開発・ 普及の意義は非常に大きい。副腎腫瘍はホルモンの過剰産生の有無により、内分泌活性腫瘍と内分泌非活性腫瘍に大別される。内分 泌活性腫瘍による主要な疾患には、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫がある。一方、内分泌非活性腫瘍には 内分泌非活性皮質腺腫、骨髄脂肪腫、神経節細胞腫などがあるが、近年 CT をはじめとする画像診断の進歩・普及により、これら内 分泌非活性腫瘍は副腎偶発腫瘍として発見される機会が増えている。 副腎腫瘍に対する外科治療は、1)診断の確定、2)腫瘍の局在診断、3)術前管理、4)術中管理・手術、5)術後管理という ステップで行われるが、産生されるホルモンの種類により多彩な臨床像を呈する内分泌活性腫瘍においては、それぞれの疾患に合っ た綿密な検査計画を立てるとともに、的確な周術期管理を行わなければならないため、臨床内分泌学の豊富な知識と経験が要求され る。手術術式は良性腫瘍に対しては腹腔鏡手術、悪性腫瘍に対しては開腹手術が基本であるが、最近、腹腔鏡手術の機器・器具の進 歩や手技の向上により、比較的小さい転移性副腎腫瘍に対しても腹腔鏡手術が選択されるようになってきている。しかし、副腎皮質 癌に対する治療においては外科手術以外の治療法はいまだ確立されておらず、腹腔鏡手術の選択については慎重な検討が必要であ る。本卒後教育プログラムでは、各種副腎腫瘍の診断と治療について最新の知見を含めて概説する。 田中 正利 酒井 英樹 海法 康裕 今本 敬 昭和55年 鳥取大学医学部卒業 同 60年 九州大学医学部泌尿器科助手 平成6年 米国国立衛生研究所(NIH)留学 同 10年 九州大学医学部泌尿器科助教授 同 15年 福岡大学医学部泌尿器科主任教授 平成4年 東北大学医学部医学科卒業 同 12年 医学博士取得 同 16年 Pittsburgh 大学泌尿器科研究員 同 18年 東北大学医学系研究科・泌尿器科学分野助教 同 24年 同 講師 昭和58年 長崎大学医学部卒業 平成12年 同 泌尿器科講師 同 19年 同 准教授 同 21年 同 教授 平成8年 千葉大学医学部卒業 同 8年 同 泌尿器科入局 同 16年 同 附属病院泌尿器科助手 同 19年 同 講師 同 21年 AUA/JUAAcademicExchangeProgram, UniversityofCalifornia,SanFrancisco (UCSF) 泌尿器科腫瘍 4/21(火)13:30〜15:00 [17]小径腎がんの診断と治療 小径腎がんの頻度は CT、MRI、エコー等の診断技術の進歩と普及による偶発腎がんの増加に伴い、増加の一途を辿っている。そ のため、日々の実臨床において小径腎がんの診断に苦慮する場合や治療法に迷う機会も増えている。さらに、診断と治療の両方にお いて、新たな考え方や手法がが導入されつつあるので、今回、卒後教育プログラムで取り上げることになった。本プログラムでは小 径腎がんについて、以下の3つのパートに分けて概説する。 1)小径腎がんの疫学、生検及び監視療法(担当:河野吉昭) 小径腎がんを含めた小径腎腫瘍(smallrenalmass:SRM)の疫学と臨床的特徴についてまず述べる。次に SRM に対する生検の 意義と適応、手技と診断能、さらには合併症まで言及する。そして小径腎がんに対する監視療法について、適応、フォローアップ 及び治療介入、そして予後まで概説する。 2)小径腎がんに対する手術的治療(担当:近藤恒徳) 小径腎がんに対する手術においては根治的腎摘除術と腎部分切除術の2つについて、まず、その歴史的変遷を述べた後に、それ ぞれの術式の特徴について最近の腹腔鏡手術やロボット手術の導入も含めて概説する。最後に治療方針の選択に影響する因子につ いても言及する。 3)小径腎がんに対する腎凍結療法(担当:三木淳) 小径腎がんに対する低侵襲治療として、ラジオ波焼却療法や凍結療法などの ablation 療法の有効性も確認されてきており、腎凍 結療法は2011年7月に保険適応となっている。本稿では、ガイドラインにおける ablation 療法の現状、凍結療法を中心とした治療 の実際、過去の臨床研究等について概説する。 江藤 正俊 近藤 恒徳 三木 淳 河野 吉昭 昭和61年 九州大学医学部卒業 平成4年 同 大学院医学系研究科外科系専攻修了 同 11年 米国ピッツバーグ大学外科研究員 (平成13年帰国) 同 15年 九州大学医学部附属病院講師 同 21年 熊本大学大学院生命科学研究部泌尿器科学 分野教授 平成10年 東京慈恵会医科大学卒業 同 16年 CenterforProstateDiseaseResearch 研究員 同 19年 東京慈恵会医科大学泌尿器科助教 同 25年 同 附属柏病院医長 平成2年 北海道大学医学部卒業 同 2年 東京女子医科大学腎臓病総合医療センター 外科入局 同 6年 クリーブランドクリニック泌尿器科 リサーチフェロー 同 20年 東京女子医科大学泌尿器科講師 同 25年 同 准教授 平成7年 熊本大学医学部卒業 同 14年 ImperialCollegeLondon リサーチアソシエイト 同 22年 熊本大学生命科学研究部泌尿器科学分野助教 同 26年 同 講師
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