ファイバージェルLCの全卵拡張物への応用 目的: ファイバージェルLCの卵拡張物への応用における評価 原材料と方法: この研究では米国のA等級特大卵が使用された。卵の増量には脱イオン水が使用され、硫酸カルシウムと 炭酸カルシウムで評価をした。ゲル形成でファイバージェルLCが使用され、アナトー色素で着色した。 ファイバージェルLCの2種類の添加方法を評価した。ファイバージェルLCを脱イオン水に分散させた後に卵 に加えて、 もう一つは卵拡張物に直接加えた。カルシウム塩は卵拡張物に直接加えた。原材料の分散には ハンドヘルド ホモジナイザー(M 133.1281‐0, Bamix of Switzerland)を使用した。混合物をビニールバッ グに入れて 79.4℃のウォーターバスの中に20分間置いた。調理された卵は室温で冷まし、バッグから取り 出して評価した。TA-XT Plusテクスチャーアナライザーでゲル強度を測定した。 写真 1: ウォーターバスで調理される卵 コントロールの結果: コントロールは卵70%と水30%を含む卵拡張物。この配合では 267.5gの平均ゲル強度を持つ結合力のあ るゲル(写真 2)であった。 写真 2: 調理されたコントロールの卵拡張物(卵70%、水30%) 次に水50%にした時はとても弱いゲルとなった。そして、卵をスライスすると水の浸出が見られた。 (平均ゲ ル強度:50ℊ以下) 写真 2: 卵拡張物(卵50%、水50%) ;右側に離漿が見られた。 カルシウム塩の効果: 同じ濃度の炭酸カルシウムと硫酸カルシウムにおいて、2つの異なる添加量のファイバージェルLC で試験 が行われた。この研究では、 ファイバージェルLCとカルシウム塩を卵と水の混合物に加えた後、せん断を使 って分散した。炭酸カルシウムは硫酸カルシウムと比較してより良いゲルの結果となった。炭酸カルシウム と比較した場合、硫酸カルシウムでは粒状でドロドロしたテクスチャーであった。より高い添加量のファイバ ージェルLC(3%) と硫酸カルシウム(0.5%)の場合では、 ドロドロしたテクスチャーに加えて離漿が観察され た(データには記載されていない)。そのようなテクスチャーはファイバージェルLC(3%) と炭酸カルシウムで は観察されなかった。2%のファイバージェルLCと比較して、ゲル強度の改善は観察されなかったが、3%のフ ァイバージェルLCの場合では、乾いて壊れやすいゲルに加えて色に悪影響を受けた。炭酸カルシウムと比較 した場合の硫酸カルシウムのより高い水溶性が、 この反応に起因する可能性がある。 表1:卵拡張物のゲル強度に関するカルシウム塩の効果 コントロール 炭酸カルシウム‐1 炭酸カルシウム‐2 硫酸カルシウム‐1 硫酸カルシウム‐2 卵(%) 70 50 50 50 水(%) 30 50 50 50 ファイバージェルLC(%) 0 1.5 2.0 1.5 炭酸カルシウム(%) 0 0.3 0.4 硫酸カルシウム(%) 0 50 50 2.0 0 0 0 0 0.3 0.4 ゲル強度(g) 267.5 132.7 159.6 97.5 117.6 原材料の添加方法による効果: (a) (b) 写真3:(a) 2%のファイバージェルLCを卵と水の混合液に添加、(b) 2%のファイバージェルLCを 水に分散させてから卵に添加 ゲル強度: ファイバージェルLCを卵と水の混合液に添加:161.6ℊ ファイバージェルLCを最初水に分散させた場合:212ℊ 最初にファイバージェルLCを水に分散させた場合には、ゲル強度がより高くなったけれども卵の混合液 はとてもどろどろしていて、全卵の代表的な特性に類似していなかった。 卵 50% / 水 50% 卵 50% / 水 50% ファイバージェルLCを ファイバージェルLC:2% 最初に水に分散させた 炭酸カルシウム:0.2% 場合のもの。 コントロール 卵 70% / 水 30% 卵 50% / 水 50% ファイバージェルLCを ファイバージェルLC:2% 卵と水の混合液に添加 炭酸カルシウム:0.2% した場合のもの。 写真4:ファイバージェルLCの添加順序による効果 卵拡張物の外観 写真5:左側がコントロール、右側は2%のファイバージェルLCに0.2% の炭酸カルシウム、そして色の強調の為にアナトーを添加 天然色素アナトーの添加で、 ファイバージェルLCを含む卵の外観が改善された。 まとめ: ファイバージェルLCは卵拡張物の原材料として有望であった。50%の水を含む卵のゲル強度は、 コントロー ル(30%の水を含む) よりも有意に低かったが、それはファイバージェルLCの存在で結合力のあるゲルを形 成して、離漿なしで形を保持した。卵の色調はファイバージェルLCの添加によりほんの少し暗かったが、それ は天然色素アナトーの添加により容易に調整することが出来た。ファイバージェルLCと他のハイドロコロイ ドの組み合わせによる更なる試験により、卵拡張物の出来を改善することが出来るだろう。
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