INTERVIEW 名工大 春日教授に訊く 綿状人工骨の

INTERVIEW
名工大 春日教授に訊く
綿状人工骨の開発
I
Rebossis は名古屋工業大学の研究グループで開発された画期的な綿状の骨補填材です。 そのグループの中心的存在で
ある春日敏宏教授に Rebossis 開発のポイントを伺いました。
綿状にする発想はどんなところから生まれたのですか。
「どのような骨補填材にしたらよいのか、医師をはじめとしていろいろな人たちと話し合いました。ディスカッシ
ョンを重ねていった末、骨の欠損部分がどのような形であっても、加工することなしに埋めることのできる扱いや
すいものにしたいという結論に至ったのです。であれば綿状の骨補填材を作ってみようと考えたのです。」
とはいえ、綿状にするのはたいへんだったのでしょうね。
「試行錯誤の連続でした。一般的な綿というものは繊維の集合体です。繊維はからまっていますが、繊維どうしが
独立しているのでフワフワしています。つまり繊維どうしがくっつかないように、繊維がくっつく成分を蒸発させ
てやればいいわけです。炭酸カルシウム、ケイ素、ポリ乳酸を混ぜ合わせた溶液を繊維状にするのはエレクトロス
ピニング製法によるものですが、いかにうまく蒸発させるか、また繊維の太さをどのくらいにするかが問題でした。
溶液の抵抗率を変化させるなど、さまざまなやり方を試しています。繊維の太さをコントロールでき、いまのよう
な綿状にするまではけっこう時間が掛かりましたね。」
繊維は細ければよいというものではないのですか。
「重なり合った繊維と繊維には繊維の太さぶんの隙間ができます。隙間は狭すぎても広すぎてもいけない。骨芽細
胞が増殖しやすい最適な隙間が 10 ~ 15 μ m なのです。これは実験によっても確かめられました。ですから繊維
の太さは細すぎても太すぎてもだめなのです。それで繊維の直径が 10 ~ 15 μ m になるように設計しました。こ
れは Rebossis の大きな特徴のひとつです。
」