アメル S ゲルの生物学的同等性試験に関する資料(抜粋) −薬効薬理比較試験− 大阪市淀川区西中島 5-13-9 共和薬品工業株式会社 改訂年月日:06.08.01 AMO-D-1(1) Ⅰ.処方変更にかかわる生物学的同等性試験(旧処方品) 1 はじめに アメル S ゲルは、副腎エキス、ヘパリン類似物質、サリチル酸を主成分とする経皮複合 消炎剤である。本品と同一の主成分を含有する軟膏剤として、モビラートゲル(マルホ株式 会社)との生物学的同等性を比較検討することとしたが、血液中に吸収されることによって 効果を発揮する医薬品でないため、成分の血中濃度を測定する方法での比較は無理である と判断された。 そのため、共和薬品工業株式会社製「アメル S ゲル」とマルホ株式会社製「モビラートゲ ル」の生物学的同等性について、Ⅰ.カラゲニン足浮腫抑制作用、Ⅱ.毛細血管透過性亢進抑 制作用、Ⅲ.肉芽増殖抑制作用(コットンペレット法)の 3 種の実験系を指標として検討し た。この試験は 1 度目の処方変更時のものであるので、既承認品及び当時の新処方品(現 旧処方品)を検討している。 Ⅰ.カラゲニン足浮腫抑制作用 1.試験試料 1)試験薬:新処方(申請処方)アメル S ゲル(共和薬品工業株式会社製造 Lot 444-1031) 2)対照薬:モビラートゲル(マルホ株式会社製造 Lot 73504) 3)コントロール:新処方アメル S ゲル基剤(共和薬品工業株式会社製造の副腎エキス、ヘ パリン類似物質、サリチル酸無添加のプラセボ品) 2.試験動物 Wistar 系雄性ラット 30 匹(SPF、5 週齢、体重 120g 前後) 3.試験方法 試験薬、対照薬及びコントロール群の 1 群 10 匹の 3 群に無作為に割り付けた。 浮腫は注射用水に懸濁した 1%カラゲニン溶液 0.1mL を右後肢足蹠皮下に投与するこ とにより作成した。検体はそのままをカラゲニン注射の 2 及び 1 時間の合計 2 回、50mg ずつ右後肢足全体に塗布後、プラスチックフィルムで被覆した。 足容積は、カラゲニン投与 1、3 および 5 時間目に測定して、検体塗布前の容積よ り浮腫率を算出した。 浮腫率 = (%) カラゲニン投与後の足蹠容積―検体塗布前の足蹠容積 検体塗布前の足蹠容積 2 ×100 4.結 果 カラゲニン注射 1、3 及び 5 時間後の各測定時間での浮腫率を表1及び図1に示した。 コントロール塗布群に比して、試験薬塗布群及び対照薬塗布群ではカラゲニンにより 惹起される足浮腫をいずれも抑制した。 Tukey の多重比較により各塗布群間の群間比較を行ったところ、コントロール塗布群 と試験薬塗布群及び対照薬塗布群の各群間に危険率 1%で統計学的な有意差(P<0.01) が認められた。しかし、両薬剤塗布群間には統計学的な有意差は認められなかった。 表1.ラットにおけるカラゲニン足浮腫抑制効果 群 用量 浮腫率(%) 抑制率(%) 試験薬と対照薬の (mg/site) n mean±S.D. Inh.% コントロール 50×2 10 68.758±20.210 0.0 アメルSゲル 50×2 10 25.637±15.576 62.7 モビラートゲル 50×2 10 25.994±13.338 62.2 コントロール 50×2 10 115.834±32.735 0.0 アメルSゲル 50×2 10 46.366±21.064 60.0 モビラートゲル 50×2 10 49.809±15.512 57.0 コントロール 50×2 10 89.359±33.167 0.0 アメルSゲル 50×2 10 31.253±23.313 65.0 モビラートゲル 50×2 10 35.984±14.553 59.7 差 率(%) Tukey の多重比較 vsコントロール vs 試験薬 《投与 1 時間後》 ** -0.357 -1.37 ** N.S. 《投与 3 時間後》 ** -3.443 -6.91 ** N.S. 《投与 5 時間後》 **:P<0.01 *:0.01≦P<0.05 +:0.05≦P<0.10 3 ** -4.731 -13.15 ** N.S.:no-significant N.S. 浮腫率 (%) 測定時間(hr) **:P<0.01 *:0.01≦P<0.05 −●−:コントロール +:0.05≦P<0.10 −■−:アメル S ゲル 無印:no-significant −▲−:モビラートゲル 図1.ラットにおけるカラゲニン足浮腫抑制効果 4 Ⅱ.毛細血管透過性亢進抑制作用 1.試験試料 1)試験薬:新処方(申請処方)アメル S ゲル(共和薬品工業株式会社製造 Lot 444-1031) 2)対照薬:モビラートゲル(マルホ株式会社製造 Lot 73504) 3)コントロール:新処方アメル S ゲル基剤(共和薬品工業株式会社製造の副腎エキス、ヘ パリン類似物質、サリチル酸無添加のプラセボ品) 2.実験動物 ddy 系雄性マウス 30 匹(SPF、6 週齢、体重約 27g 前後) 3.試験方法 試験薬、対照薬及びコントロール塗布群の計 3 群とし、試験動物は 1 群 10 匹を無作為 に使用した。 マウスの毛刈りした腹部 1 箇所に検体 100mg ずつを塗布した。検体は所定の時点で塗 布し、起炎剤(ヒスタミン)0.05mL を、検体を塗布した中心部に皮内注射した。色素液 は、ヒスタミンの投与直後に 1mL/100g 体重の割合で尾静脈内に投与した。動物はヒス タミン投与 30 分後に放血致死させて皮膚を剥離し、デジタルプラニメーターを用いて 色素の漏出部面積(mm2)を測定した後、直径 19mm の皮革用ポンチで打ち抜き細切して、 0.3%硫酸ナトリウム溶液 1.5mL とアセトン 3.5mL を加えて 25℃で 24 時間抽出後、遠 心分離して上清をとり、620nm における吸光度(O.D.)を測定した。 4.結 果 表 2 及び図 2 に漏出色素斑面積を、表 3 及び図 3 に漏出色素濃度を示した。 コントロール塗布群に比して、試験薬及び対照薬塗布群ではヒスタミン注射により惹 起される毛細血管透過性亢進に起因する色素漏出面積をいずれも抑制した。 Tukey の多重比較により各塗布群間の群間比較を行ったところ、コントロール塗布群 と試験薬及び対照薬塗布群の各群間に危険率 1%で統計学的な有意差(P<0.01)が認め られた。しかし、試験薬塗布群と対照薬塗布群との群間には統計学的な有意差は何ら 認められなかった。 また、コントロール塗布群に比して、試験薬及び対照薬塗布群ではヒスタミン注射に より惹起される毛細血管透過性亢進に起因する色素漏出濃度をいずれも抑制した。 Tukey の多重比較により各塗布群間の群間比較を行ったところ、コントロール塗布群 と試験薬及び対照薬塗布群の各群間に危険率 1%で統計学的な有意差(P<0.01)が認め られた。しかし、試験薬塗布群と対照薬塗布群との群間には統計学的な有意差は何ら 認められなかった。 5 表 2.毛細血管透過性亢進抑制作用における漏出色素斑面積の比較 漏出色素斑面積(mm2) 用量 群 (mg/site) n 抑制率 試験薬と対照薬の Tukey の多重比較 2 (mm ) (%) mean±S.D. Inh.% コントロール 100×3 10 70.970±19.187 0.0 アメルSゲル 100×3 10 29.830±11.263 58.0 モビラートゲル 100×3 10 29.770±12.483 58.1 **:P<0.01 *:0.01≦P<0.05 差 率(%) vsコントロール vs 試験薬 ** 0.41 1.13 +:0.05≦P<0.10 ** N.S. N.S.:no-significant コントロール アメル S ゲル モビラートゲル 漏出色素斑面積(mm 2) **:P<0.01 *:0.01≦P<0.05 +:0.05≦P<0.10 無印:no-significant 図2.マウスにおける毛細血管透過性亢進抑制作用における漏出色素斑面積の比較 6 表3.毛細血管透過性亢進抑制作用における漏出色素濃度の比較 用量 漏出色素濃度 抑制率 試験薬と対照薬の Tukey の多重比較 (μg/mL) 群 (mg/site) n (%) mean±S.D. Inh.% コントロール 100×3 10 83.550±21.890 0.0 アメルSゲル 100×3 10 36.610±11.924 56.2 モビラートゲル 100×3 10 36.200±14.279 56.7 **:P<0.01 *:0.01≦P<0.05 差 率(%) vsコントロール vs 試験薬 ** -0.13 -0.37 +:0.05≦P<0.10 ** N.S. N.S.:no-significant コントロール アメル S ゲル モビラートゲル 漏出色素濃度(μg/mL) **:P<0.01 *:0.01≦P<0.05 +:0.05≦P<0.10 無印:no-significant 図3.マウスにおける毛細血管透過性亢進抑制作用における漏出色素濃度の比較 7 Ⅲ.肉芽形成抑制作用(コットンペレット法) 1.試験試料 1)試験薬:新処方(申請処方)アメル S ゲル(共和薬品工業株式会社製造 Lot 444-1031) 2)対照薬:モビラートゲル(マルホ株式会社製造 Lot 73504) 3)コントロール:新処方アメル S ゲル基剤(共和薬品工業株式会社製造の副腎エキス、ヘ パリン類似物質、サリチル酸無添加のプラセボ品) 2.試験動物 Wistar 系雄性ラット 30 匹(SPF、6 週齢、体重 160g 前後) 3.試験方法 試験薬、対照薬及びコントロール塗布群の計 3 群とし、試験動物は 1 群 10 匹宛無作為 に使用した。 エーテル麻酔下にて頸背部を毛刈り後、正中線に沿って皮膚を約 1.5cm 切開し、高圧 蒸気滅菌した重量約 30mg のローラコットンを切開部から両側肩甲骨皮下に合計 2 個挿 入し、切開部を縫合した。検体はコットン挿入部位 2 箇所の周囲の皮膚に、片側につ き 100mg の割合で、所定の時点に塗布適用した。8 日目に動物をエーテル麻酔下で致 死させ、コットンを取り巻いて増殖した肉芽組織を摘出した。肉芽組織は、直ちに湿 重量を測定し、その後、65℃で 24 時間乾燥後、コットン重量を差し引いて増殖した肉 芽重量を測定した。 4.結 果 表 4 及び図 4、5 に肉芽湿重量及び肉芽腫乾燥重量を示した。 コントロール群に比して、試験薬及び対照薬塗布群では平均肉芽湿重量は軽く、コッ トンペレット移植に起因する肉芽形成をいずれも抑制した。 Tukey の多重比較により各塗布群間の群間比較を行ったところ、コントロール塗布群 と試験薬及び対照薬塗布群の各群間に危険率 1%で統計学的な有意差(P<0.01)が認め られた。しかし試験薬塗布群と対照薬塗布群との群間には統計学的な有意差は何ら認 められなかった。 また、試験薬及び対照薬の各塗布群の平均肉芽乾燥重量は、コントロール群に比して 軽く、コットンペレット移植に起因する肉芽形成をいずれも抑制した。 Tukey による多重比較により各塗布群間の群間比較を行ったところ、コントロール塗 布群と試験薬塗布群及び対照薬塗布群の各群間に危険率 1%で統計学的な有意差 (P<0.01)が認められた。しかし試験薬と対照薬塗布群との群間には統計学的な有意差 は何ら認められなかった。 8 表4.コットンペレット法肉芽形成抑制作用における肉芽重量の比較 群 用量 肉芽腫重量(mg) 抑制率 試験薬と対照薬の Tukey の多重比較 (mg/site) n mean±S.D. Inh.% 差 率(%) vsコントロール vs 試験薬 《正味肉芽湿重量》 コントロール 100×7 10 735.20±78.47 0.0 アメルSゲル 100×7 10 521.10±87.11 29.1 モビラートゲル 100×7 10 523.40±95.87 28.8 ** -2.3 -0.44 ** N.S. 《正味肉芽乾燥重量》 コントロール 100×7 10 159.80±72.27 アメルSゲル 100×7 10 55.10±20.22 65.5 モビラートゲル 100×7 10 54.00±19.90 66.2 **:P<0.01 0.0 *:0.01≦P<0.05 ** 1.1 2.04 +:0.05≦P<0.10 ** N.S. N.S.:no-significant コントロール アメル S ゲル モビラートゲル 湿重量(mg) **:P<0.01 *:0.01≦P<0.05 9 +:0.05≦P<0.10 無印:no-significant 図4.マウスにおけるコットンペレット法肉芽形成抑制作用における肉芽湿重量の比較 コントロール アメル S ゲル モビラートゲル 乾燥重量(mg) **:P<0.01 *:0.01≦P<0.05 +:0.05≦P<0.10 無印:no-significant 図5.マウスにおけるコットンペレット法肉芽形成抑制作用における肉芽乾燥重量の比較 10 結 論 アメルSゲルとモビラートゲルの両薬剤は、カラゲニン足浮腫抑制作用、毛細血管透過性 亢進抑制作用及び肉芽増殖抑制作用(コットンペレット法)のいずれの試験においても、概 ね騒動する効果を示し、しかも、両薬剤塗布群間の平均値の差は対照薬のそれの 20%以内 であり、且つ、両薬剤塗布群間には有意差はなんら認められなかったことより、アメル S ゲルと対照薬モビラートゲルの両薬剤は、本試験条件下において生物学的に同等であると 結論した。 11 Ⅱ.処方変更にかかわる生物学的同等性試験(現処方品) 12 はじめに 前述の試験にもあるように、アメル S ゲルは、副腎エキス、ヘパリン類似物質、サリチ ル酸を主成分とする経皮複合消炎剤である。今回、厚生労働省からの通知に伴い、ウシ由 来である副腎エキスをブタ由来の副腎エキスに処方変更することとした。 そのため、既承認品(前述の試験での「新処方品」、本試験では「既承認品」とする)及 び処方変更品の生物学的同等性を証明すべくⅠ.毛細血管透過性亢進抑制作用、Ⅱ.カラゲ ニン足蹠浮腫抑制作用、Ⅲ.肉芽増殖抑制作用(コットンペレット法)の 3 種の実験系を指 標として検討した。 Ⅰ.毛細血管透過性亢進抑制作用 1.試験試料 1)処方変更品基剤:処方変更品から有効成分を除いたもの(Lot.試作 4) (共和薬品工業株式会社製造) 2)処方変更品:共和薬品工業株式会社製造(Lot. 試作 1) 3)既承認品:共和薬品工業株式会社製造(Lot. 0067) 2.実験動物 ddy 系雄性マウス 30 匹(SPF、6 週齢、体重 28g 前後) 3.試験方法 エーテル軽麻酔下に背部を除毛し、左腹側部に 1 箇所約 2cm×2cm の部位を設け、そ こに被験物質 100mg 起炎剤投与の 60 及び 30 分前並びに投与 1 分後の合計 3 回丹念に 塗布した。起炎剤は 50μL を被験物質塗布部位の中央部に皮内投与した。 起炎剤投与直後に色素液を 1mL/100g 体重の割合で尾静脈内投与し、30 分後に屠殺 して瀉血し、被験物質塗布部位の皮膚を剥離した。デジタルプラニメーターを用いて、 被験物質塗布部位の青染部(漏出色素)面積(mm2)を測定した後、直径 19mm の皮革用ポ ンチで打ち抜き細切りして、0.3%硫酸ナトリウム溶液 1.5mL とアセトン 3.5mL を加え 25℃で 24 時間抽出後、遠心分離して上清をとり、620mm における吸光度を測定した。 4.結 果 青染部面積を表 1 及び図 1 に、漏出色素量を表 2 及び図 2 に、また、供試動物体重を 表 3 に示した。青染部面積及び漏出色素量ともに、処方変更品基剤群と処方変更品群及 び既承認群では統計学的な有意差(P<0.01)が認められた。処方変更品群と既承認群との 間には統計学的な有意差は認められなかった。また、供試動物体重の群間に統計学的な 有意差は認められなかった。 13 表 1.毛細血管透過性亢進抑制作用における青染部(漏出色素)面積 青染部面積(mm2) 抑制率(%) Mean±S.D. Inh.% 処方変更品基剤 75.5±13.8 0.0 処方変更品 31.9±11.9 57.7 既承認品 33.5±13.4 53.2 群 処方変更品と既承認品の 差 -3.4 率(%) -9.63 Tukey の多重比較 vs 処方変更品基剤 vs 処方変更品 - - ** - ** N.S. **:p<0.01、*:p<0.05、N.S.:no significant 図 1.毛細血管透過性亢進抑制作用における青染部(漏出色素)面積 14 表 2.毛細血管透過性亢進抑制作用における漏出色素量(濃度) 群 漏出色素良(μg/mL) 抑制率(%) Mean±S.D. Inh.% 処方変更品基剤 86.0±20.2 0.0 処方変更品 38.6±11.7 55.1 既承認品 37.4±8.2 56.5 処方変更品と既承認品の 差 1.2 率(%) 3.21 Tukey の多重比較 vs 処方変更品基剤 vs 処方変更品 - - ** - ** N.S. **:p<0.01、*:p<0.05、N.S.:no significant 図 2.毛細血管透過性亢進抑制作用における漏出色素量(濃度) 表 3.毛細血管透過性亢進抑制作用における供試動物体重 群 供試動物体重(g) 抑制率(%) Mean±S.D. Inh.% 処方変更品基剤 35.6±2.6 0.0 処方変更品 33.3±1.5 6.5 既承認品 34.5±2.5 3.1 処方変更品と既承認品の 差 -1.2 率(%) -3.48 Tukey の多重比較 vs 処方変更品基剤 vs 処方変更品 - - N.S. - N.S. N.S. **:p<0.01、*:p<0.05、N.S.:no significant 15 Ⅱ.カラゲニン足蹠浮腫抑制作用 1.試験試料 1)処方変更品基剤:処方変更品から有効成分を除いたもの(Lot.試作 4) (共和薬品工業株式会社製造) 2)処方変更品:共和薬品工業株式会社製造(Lot. 試作 1) 3)既承認品:共和薬品工業株式会社製造(Lot. 0067) 2.試験動物 Wistar 系雄性ラット 30 匹(SPF、5 週齢、体重 90g 前後) 3.試験方法 予め右後足の容積を測定し初期値とした。右後足に被験物質 50mg を、起炎剤投与の 2 及び 1 時間前の合計 2 回丹念に塗布し、塗布部位をプラスチックフィルムで被覆し た。浮腫は起炎剤 100μL を右後足蹠皮内に投与することにより作成した。足容積は、 起炎剤投与 1、2、3、4 及び 5 時間目に測定した。 4.結 果 各製剤毎のカラゲニン投与後 1∼5 時間の浮腫率とコントロール群に対する各薬剤の 浮腫抑制率を表 4 に示した。更に、各製剤毎の浮腫率を図 3 に示した。また、供試動 物体重を表 5 に示した。 処方変更品及び既承認品の足蹠浮腫抑制率は、いずれも著明な抑制効果が認められた。 有意差検定の結果は、処方変更品群及び既承認品群は処方変更品基剤群に対し各時間 とも有意な抑制効果を認め、その有意水準は同様なものであった。なお、処方変更品 群及び既承認品群間において、各時間とも有意差は認められなかった。また、供試動 物体重の群間に統計学的な有意差は認められなかった。 16 表 4.カラゲニン足浮腫抑制における浮腫率及び抑制率 投与後 群 経過時間 1hr 2hr 3hr 4hr 5hr 浮腫率(%) 抑制率(%) 処方変更品と既承認品の Mean±S.D. Inh.% 処方変更品基剤 58.41±22.49 0.0 処方変更品 30.61±18.11 47.6 既承認品 31.17±17.83 処方変更品基剤 差 率(%) Tukey の多重比較 vs 処方変更品基剤 vs 処方変更品 - - * - 46.6 * N.S. 50.20±25.40 0.0 - - 処方変更品 24.58±18.00 51.0 * - 既承認品 24.69±12.30 50.8 * N.S. 処方変更品基剤 99.79±19.84 0.0 - - 処方変更品 36.93±21.50 63.0 ** - 既承認品 38.06±14.12 61.9 ** N.S. 処方変更品基剤 82.08±37.31 0.0 - - 処方変更品 30.80±26.26 62.5 ** - 既承認品 28.00±18.91 65.9 ** N.S. 処方変更品基剤 71.70±31.87 0.0 - - 処方変更品 21.63±13.18 69.8 ** - 既承認品 24.40±13.37 66.0 ** N.S. -0.56 -0.11 -1.13 2.80 -2.77 -1.80 -0.45 -2.97 10.00 -11.35 **:p<0.01、*:p<0.05、N.S.:no significant 図 3.カラゲニン足浮腫抑制作用における浮腫率 17 表 5.カラゲニン足浮腫抑制作用における供試動物体重 群 供試動物体重(g) 抑制率(%) Mean±S.D. Inh.% 処方変更品基剤 162.6±13.1 0.0 処方変更品 164.8±10.1 -1.4 既承認品 163.4±11.3 -0.5 処方変更品と既承認品の 差 1.4 率(%) 0.86 Tukey の多重比較 vs 処方変更品基剤 vs 処方変更品 - - N.S. - N.S. N.S. **:p<0.01、*:p<0.05、N.S.:no significant 18 Ⅲ.肉芽増殖抑制作用(コットンペレット法) 1.試験試料 1)処方変更品基剤:処方変更品から有効成分を除いたもの、(Lot.試作 4) (共和薬品工業株式会社製造) 2)処方変更品:共和薬品工業株式会社製造(Lot. 試作 1) 3)既承認品:共和薬品工業株式会社製造(Lot. 0067) 2.試験動物 Wistar 系雄性ラット 30 匹(SPF、6 週齢、体重 130g 前後) 3.試験方法 エーテル軽麻酔下に背部を除毛し、正中線に沿って皮膚を約 1.5cm 切開し、あらかじ め高圧蒸気滅菌した重量約 30mg のコットンペレットを切開部から両腹側皮下にそれ ぞれ 1 個ずつ、合計 2 個挿入した。切開部は、ミュッヘル縫合創金鎹で縫合した。コ ットン挿入部位 2 箇所の周囲の皮膚に被験物質を、片側につき 100mg の割合でコット ンペレット挿入日より 1 日 1 回 7 日間連続塗布適用した。最終塗布日の翌日(8 日目) にエーテル麻酔下で致死させ、肉芽組織をコットンペレットとともに摘出し、直ちに 湿重量を測定し、更に、65℃で 24 時間乾燥させ、重量を測定した。 4.結 果 コットンペレット法による肉芽正味湿重量を表 6 及び図 4 に、肉芽正味乾燥重量を表 7 及び図 5 に示した。 処方変更品及び既承認品の肉芽形成抑制率は、湿重量、乾燥重量のいずれを指標とし ても著明な抑制効果が認められ、統計学的に有意差であった。 19 表 6.肉芽形成抑制作用における肉芽正味湿重量 群 肉芽正味湿重量(mg) 抑制率(%) Mean±S.D. Inh.% 処方変更品基剤 721±65 0.0 処方変更品 532±70 26.2 既承認品 512±77 29.0 処方変更品と既承認品の 差 20 率(%) 3.91 Tukey の多重比較 vs 処方変更品基剤 vs 処方変更品 - - ** - ** N.S. **:p<0.01、*:p<0.05、N.S.:no significant 図 4. 肉芽形成抑制作用における肉芽正味湿重量 20 表 7.肉芽形成抑制作用における肉芽正味乾燥量 群 肉芽正味乾燥重量(mg) 抑制率(%) Mean±S.D. Inh.% 処方変更品基剤 172±52 0.0 処方変更品 73±33 57.6 既承認品 79±40 54.1 処方変更品と既承認品の 差 -6 率(%) -7.59 Tukey の多重比較 vs 処方変更品基剤 vs 処方変更品 - - ** - ** N.S. **:p<0.01、*:p<0.05、N.S.:no significant 図 5. 肉芽形成抑制作用における肉芽正味乾燥重量 21 結 論 アメル S ゲルの既承認品と処方変更品の生物学的同等性試験において、マウスを対象とし たⅠ.毛細血管透過性亢進抑制作用、ラットを対象としたⅡ.カラゲニン足浮腫抑制作用 及び肉芽増殖抑制作用(コットンペレット法)による抗炎症作用を指標に、薬効薬理試験に より検討した結果、いずれの実験系においても両製剤は生物学的に同等であると判断され た。 22
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