YA Up-to-Date Vol.5 [[同志社の教育理念×YA 哲学 3]] ~国際主義~

YA Up-to-Date
Vol.5
[[同志社の教育理念×YA 哲学 3]]
~国際主義~
「外国語を話せるだけでなく、異なる価値観を受け入れ、そこから「何か」を見出せる人を育む」
Vol.4 でもご紹介しましたが、校祖新島は個性を尊重した学びを大切にしていました。それは異
なる価値観を受ける入れることに他なりません。相違の「相」も「違」も普段の生活にはつきも
のです。
「この人と気が合うわ」と思っていたら「あれ、そこはちょっと違う」と思うこともある
でしょうし、
「この人のやり方は意味がわからない」と思っていても「あれ、ここは同じだ」と思
うこともあるでしょう。
「相」も「違」もある意味表裏一体です。だからこそ、それぞれの個性か
ら学び合えばいいのです。
YA の唱える教育のあり方に「オズモーシス」というのがあります。人から人へ伝播していく学
びのことで、ミルトンは「All About The Young Americans」で次のように説明しています。
「子どもたちはあなたから学ぶ。あなたが幸せなら、子どもも幸せになる。あなたが笑えば、子
どもも笑う。あなたが悲しんで泣けば、子どもたちも泣く。あなたが皮肉屋なら、あなたの思い
込みが激しければ、あなたがネガティブなら.
.
.。子どもたちはいいことも悪いこともあなたから
学び、それが人から人へ伝わり、成長し、何倍にも広がることになるだろう。」(YA には)「誰一
人として同じ人はいない。素晴らしいソプラノの隣には、素晴らしいダンサー、その隣には面白
いコメディアン、その隣にはチェリスト、その隣には器械体操が得意な子。彼らはお互いの長所
から学びあう。何もせず、座っているだけでも吸収し合う。」
YA は確かに英語を話します。しかし、コミュニケーションは英語(言語)によってのみなされ
ているのではないのです。日本語でも同じです。お互いに感じ取る何か目に見えない感覚。それ
こそがコミュニケーションの根底にあるのではないでしょうか。子どもたちには互いを感じあう
という本質を踏まえて、言語力も磨いていってもらいたいですね。
以下、YA の総責任者であり、音楽監督のビル・ブローリーのエッセイです。ご覧ください。
言葉以上に伝わるもの
by
Bill Brawley
東ドイツに行ったとき、ある女性から教えてもらったのは、
「言葉なんていらない」ということ
です。彼女は私たちのホストファミリーでした。彼女はショーをバルコニー席で見ていました。
終わったときに両手を振りながら私の妻に向かって「ロビーン、ロビーン」と、こっちに来てく
れと呼びました。私たちは上に行って、テーブルを挟んで座りました。彼女は一生懸命、ショー
で何を感じたか伝えようとしてくれていました。でも英語が出てこなくて喋れず、その喋れない
ことが悔しくて泣いていました。そこで彼女は周りを見回して、テーブルに爪楊枝があるのを見
つけ、それを二本取り出しました。爪楊枝を竹のスティックに見立てて、ライオンキングのステ
ィックの振り付けを全て再現しました。そして胸に手を置いて、目から溢れる涙を指差しました。
言葉は何一つありませんでした。でも私たちには、彼女が何を感じてくれたのか、全部わかりま
した。だから僕は言葉はいらないんだと思ったんです。僕らは彼女の気持ちがわかった。彼女に
も僕らの気持ちは伝わったのです。
「All About The Young Americans」より