李良枝(Yi Yang-ji)の「かずきめ」「由熙」を読む - 南島文化研究所

沖縄国際大学 南島文化研究所
第 187 回シマ研究会
李良枝(Yi Yang-ji)の「かずきめ」「由熙」を読む
-沈黙、暴力、そして不在の両義性-
Silence, Violence and Ambiguous Absences in Yi Yangi-ji’s Kazukime and Yuhi
概要
在日朝鮮人として生まれた李良枝は、生国日本と母国韓国との狭間で、言葉、伽倻琴やパンソ
リ(語り歌)の弾き語り、巫俗舞踊(ムソク)などとの出会いと葛藤を通して、みずからのアイ
デンティティを探し求め、鮮烈な作品群を残しながら 37 才で早逝した。
発表では、沈黙、暴力、不在と言った3つのキーワードによって李良枝「かずきめ」「由熙」
を捉える予定である。
李静和の『つぶやきの政治学』では、特に女性やマイノリティーが語ろうとする物語が彼/女
たちの意図されない形で利用(appropriate/着服、横領)される危険性があるため、敢えて語ら
ないというオプションを検証すべき、と指摘されている。「由熙」においても「かずきめ」と同
じく、主人公がいない、声がない、というデバイスが見られる。
自傷行為など、みずからの身体を危険にさらす「かずきめ」に対し、
「由熙」の身体の「なさ」
(幽霊のよう)
、そして彼女が残していく「文体」
(文の体)により可能性があるのではないか。
その中で、ヒステリー症(かずきめ)と翻訳(由熙)という過程の接続を探る。
Young さんは、現在、沖縄の作家崎山多美、ドイツ語と日本語の両方で創作する多和田葉子と
の比較研究を予定している。今回の李良枝と同じく、いずれも複数の言語、文化のはざまで書い
ている作家である。沖縄の研究者、学生にとってもよい刺激になると期待できる。
講
師:ヴィクトリア・ヤング
氏
(Victoria Young),リーズ大学博士課程
コメンテーター:浜川 智久仁氏(琉球大学大学院修士課程)
司 会:黒澤 亜里子 所員(総合文化学部教授)
2014 年 2 月 18 日(火) 16:00~17:30
会場:沖縄国際大学 13 号館 1 階会議室
~無料・申込不要~
日時:
【問い合わせ】
沖縄国際大学研究支援課:098-893-7967
[email protected]