不動産のお役立ち情報 2015 年 4 月 14 日 建物に潜んだリスク ~外壁の落下事故を防ぐには~ オフィスや店舗など、建物を良好な状態に保つには、適正な「管理」 や「修繕」の実施が欠かせません。専門的知識が必要で敬遠されそう な設備や法律の規制がなく見逃しがちな建物も、日頃から意識して建 物や設備をみることで、故障や事故の兆候の発見や、安心安全な建物 につながるメンテナンスを行うことも可能となるのです。 今後 「不動産のお役立ち情報」では、こうしたちょっとした気づ きや工夫をシリーズで、不動産を所有・管理、または使用しているテナントの方々にご紹介します。初 回の本編では『外壁』を取り上げます。 外壁落下事故と国の対策 モルタルやタイルの外壁は、剥離による落下事故が多く、数枚のタイルから数㎡の壁がまとまって落 ちることもあります。落ちた外壁で駐車車両が損傷、歩行者が負傷、最悪死亡に至ったケースもありま す。自治体から国土交通省に報告された外壁落下の事故のうち、負傷者の出た事故は 4 割にも達してい ます。相次ぐ落下事故から、国交省は 2008 年に法を改正し、タイルの浮きを調べて不具合箇所があれ ば補修するとした全面打診調査を、定期報告を要する特殊建築物等(*)に義務付けました。 外壁落下のメカニズムは同じ モルタルやタイルの剥離は、地震などの振動のほかに、温度や湿度による建築材の膨張、浸水、鉄筋 が腐食しコンクリートを押し出す爆裂や施工不良などの影響により、躯体と仕上げ面にずれや隙間が生 じることでおこります。面積や用途により調査義務の対象から外れた建物も、外壁の剥離に至るメカニ ズムは全く同じで、点検・補修などのメンテナンスをしないで放置すれば落下事故は起こり得ます。劣 化の進度は建物の立地や環境により異なりますが、法的な義務のない建物の外壁も、定期的なメンテナ ンスは必要です。 外壁落下防止の対策 ●専門家による診断 タイル張仕上げの耐用年数とされる 10~15 年毎に、専門家による劣化診断を行うことをお勧めしま す。調査の方法としては、足場やゴンドラを使いタイルを打診する方法や、タイルの温度変化を赤外線 カメラで測定・比較して浮きを推定する方法などがあります。1 枚 1 枚打診する方法は、赤外線の調査 に比べ費用は多くかかりますが、精度は高くなります。まずは、1F など手の届く範囲での調査を試して みてはいかがでしょうか。 ●日常の点検 日常の点検やメンテナンスも落下事故を未然に防ぐためには重要です。専門家でなくても兆候の発見 は可能になります。例えば、目視点検で、浸水が懸念されるタイルのひび割れや目地の欠損、コンクリ ートに雨や結露が浸透して変色したタイルの白華、浸水や振動を吸収する機能が低下したシール材の硬 ※当リリース記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。 当社の事前の了承なく、複製、引用、転送、配布、転載等を行わないようにお願いします。Copyright©XYMAX corporation. All rights reserved 1 化など剥離の原因となる兆候が見つけられます。そして、不具合タイルの貼り替えや、シールの打ち替 えなど速やかな対処を行うことで剥離・落下を未然に防ぐことができるのです。 以上のように、点検やメンテナンスが、建物の寿命を延ばし、資産価値維持を保ち、また、建物を利 用する人たちや歩行者に安心安全を提供することにもつながります。外壁の落下は、人身事故を引き起 こすおそれのある、リスクの高い事故です。日頃の点検から心掛けてみませんか? タイルの割れ タイルの白華(エフロレッセンス) シールの硬化 (*)定期報告を要する特殊建築物等及び建築設備:建築基準法第 12 条第 1 項に基き、用途や規模(面積・階数)により適合する建物 で、対象となる対象設備は、特定行政庁により異なる。 例: 【用途:事務所】東京都:5F 以上で延面積 2,000 ㎡を超え、事務所用途が 1,000 ㎡以上の建築物 名古屋市:5F 以上で 3F 以上に事務所用途が 3,000 ㎡を超える建築物 以上 本件に関するお問い合わせ先 ㈱ザイマックス不動産総合研究所 TEL:03-3596-1477 [email protected] ※当リリース記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。 当社の事前の了承なく、複製、引用、転送、配布、転載等を行わないようにお願いします。Copyright©XYMAX corporation. All rights reserved 2
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