平成27年度事業計画

平成27年度事業計画
自 平成27年4月 1日
至 平成28年3月31日
公益社団法人日本バス協会
Ⅰ
バス事業を巡る諸情勢と重点取組事項
我が国経済は、政府による各種経済対策等により緩やかに回復してきているが、全
国あまねく景気回復が実感されているという状況には未だ至っていない。バス事業に
ついても大都市部を中心に経営改善の動きが見られるが、人口減少と少子高齢化の進
展等を背景に、地方部の乗合バスは依然厳しい経営状況が続いている。また、貸切バ
スは、過当な市場競争の下で、健全な経営基盤の確立が大きな課題となっている。
そのような中で、交通政策基本法に基づく交通政策基本計画が本年 2 月閣議決定さ
れ、また、地方自治体が中心となって地域公共交通ネットワークの維持、改善を進め
るための法制度も昨年 11 月から動き出した。さらに国の重要施策である「地方創生」
に関連して“まち、ひと、しごと創生法”が昨年 11 月に成立し、今後、各地方自治
体が総合戦略の構築を進めることになる。これらの政府の取組に対応し、バス事業が
引き続き地域公共交通の中で重要な役割を果たし、地域の方々の期待に応えられるよ
う、都道府県バス協会や会員バス事業者と連携してバス事業に対する利用者、国、地
方自治体の理解を深め、支援の拡充等各種課題に取組むこととする。
また、貸切バスについては、安全で安定した輸送サービスの提供に不可欠な新運
賃・料金制度の定着が大きな課題となっている。貸切バス事業者自らがこの制度の順
守に努めることは勿論であるが、あわせて、旅行業者、地方自治体等の利用者に制度
の内容や趣旨をよく理解していただけるよう引き続き業界として取組むこととする。
また、国土交通省には監査等を通じて制度の徹底を要請するとともに、新制度の実施
状況を踏まえ、関係者により必要な対策を検討することとする。
これらの取組の前提として、安全の確保はバス事業の最重要の課題である。事業者
の努力により車内事故をはじめバスに係る交通事故は減少傾向にあるが、高齢者が関
係する事故が目立っており、また、死亡事故件数は横ばいの状況である。バス利用者
が安心してバスを利用できるよう各般の安全輸送対策を進めるとともに、道路交通の
模範となるべき交通事業者として交通事故防止に努めることとする。
以上のことを前提に、平成 27 年度は、次の事項に重点的に取組むこととする。
(重点取組事項)
○ 交通政策基本計画や改正された地域公共交通活性化再生法の趣旨を踏まえ、地方自
治体等の十分な理解の下に、乗合バス路線の維持、再編、合理化等が円滑に進むよう
に努める。
○ 貸切バスの新運賃・料金制度の定着を進め、安全確保と健全な経営基盤の確立に努
める。
○ バス輸送の安全対策に最大限取組む。
バス輸送は、地域住民の生活の足として、また、観光等の団体輸送に必要不可欠な
交通手段として、我が国の経済、社会活動に大きな役割を果たしている。本年度は、
上記重点取組事項を踏まえ、以下の事業計画のもとでバス事業の振興と輸送サービス
の改善向上、安全の確保に努め、利用者の期待に応えることとする。
Ⅱ
事業計画
1.乗合バス路線の維持、再編と良質な輸送サービスの提供
(1)新たな制度、枠組みの下で乗合バス路線の維持、再編等に取組む
本年 2 月 13 日に交通政策基本計画が閣議決定された。また、地域公共交通の活性
化及び再生に関する法律の一部改正法が昨年 11 月に施行され、市町村が中心となっ
て地域の公共交通ネットワークの全体計画を作成し、バス事業者等の協力の下これを
実施していく制度が動き出している。本年度は、これらの計画、制度を活用して、バ
ス路線の維持、確保、再編と地域交通の効率化を具体的に進める年となる。
地方自治体が地域公共交通ネットワーク全体についてのビジョンのもと、バス事業
者との必要な調整や支援措置を講じることにより、路線の維持、再編等が図られるこ
とが重要となる。このため、地方交通委員会ワーキンググループにおいて地方自治体
との協議の進め方等について検討しているが、優良な事例等を取りまとめ、各バス事
業者の参考に供することとする。また、本年 7 月から地方運輸局に交通政策部が設け
られる予定であり、この交通政策部や運輸支局等の協力により、地方自治体とバス事
業者との協議調整が円滑に進むように努め、地方自治体との連携のもとでバス輸送の
維持改善を推進する。その際、地方自治体の運行するコミュニティバスやデマンドバ
ス、また、自家用有償旅客運送と乗合バス路線との調整が十分図られるよう努める。
(2)輸送サービスの改善向上等
① 走行環境の改善
都市部における道路渋滞の解消及びバスの走行環境の改善を図るため、公共車
両優先システム、バス優先対策の拡充及び幹線道路における違法駐車対策の強化
について、関係行政機関に働きかけを行う。
② 関係施設の整備
バスターミナル、駅前広場、パークアンドバスライド駐車場等交通結節点の施
設整備について、地域整備と一体となって取組むよう関係行政機関に働きかけ、
推進する。
③ BRT等の推進
都市交通分野のみならず、地域間交通、空港アクセスバス等の分野においてB
RTシステム(連節ノンステップバス等)の活用促進に努める。
④ バスロケーションシステム、ICカードシステムの導入等
バス利用者の利便向上のため、スマートフォン等新たな情報技術を活用したバ
スロケーションシステムの導入等を促進する。また、運賃収受の利便や消費税率
引上げの対応等に資するICカードシステムの普及を図る。
⑤ 空港リムジンバスの利用促進
東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、空港需要の増加が見込まれ
るため、「全国主要空港リムジンバスのご案内」リーフレットを作成し、利用者
の空港アクセスの利便性向上とリムジンバスの利用促進を図る。
2.貸切バスの健全な経営基盤の確立と安全対策の推進
(1)新たな運賃・料金制度定着に向けた取組
貸切バスの新たな運賃・料金制度が発足してから 1 年が経過し、貸切バスの運送契
約も順次新しい運賃制度に切り替わってきている。この間、安全コストを含んだ運賃
の適用により経営基盤の改善がみられる一方、色々な課題も出てきている。本年度は、
この新運賃・料金制度の定着に向けた重要な年となる。このため、制度の内容はもと
より、安全なサービスを安定的に提供する基盤となる本制度の趣旨について、引き続
き関係者の理解が進むよう努める。
また、国土交通省は本制度の順守について取組んでいるが、必要な監査の実施と制
度の趣旨に沿った適切な運用を要請することとする。なお、国土交通省は、新運賃・
料金制度の制度設計に当たった運賃ワーキンググループを再開し、フォローアップを
進めているので、貸切委員会においても新運賃・料金制度の実施状況について調査、
審議し、ワーキンググループの作業に反映するよう努める。
新運賃・料金制度については、貸切バス事業者の努力、業界としての取組に加え、
国土交通省の指導により制度の定着を目指し、安全な輸送サービスの提供と健全な経
営基盤の確立を図ることとする。
(2)安全の確保
高速・貸切バスの安全・安心回復プランに基づく各種安全対策の徹底を図るととも
に、プランのフォローアップ会議等において健全な市場環境確立のための参入規制の
厳格化、規制緩和の見直し等に努める。また、日本バス協会及び各都道府県バス協会
の取組として次の事業を推進する。
① 貸切バス事業者安全性評価認定制度の推進
安心して利用できる貸切バスを目指して「貸切バス事業者安全性評価認定制
度」の適正な運用と認定取得事業者の拡大を進め、また、旅行業界等に対する「セ
ーフティバス」のさらなる周知による認定事業者の利用促進に努める。これらの
取組により、貸切バス事業の安全性向上を進め、また、安全性評価認定取得のイ
ンセンティブ向上を図る。
② 貸切バス事業の適正化コンサルティング事業の推進
高速・貸切バスの安全・安心回復プランに基づき事業者団体が行うこととされ
た適正化コンサルティング事業について、平成 25 年度、26 年度に引き続き都道
府県バス協会での事業の実施を推進する。また、これまでの事業の実施内容や課
題を整理し、今後の事業を予定している都道府県バス協会の参考に供し、事業の
拡大と円滑な推進に努める。
(3)国際観光の振興
国土交通省の「訪日外国人旅行者数 2,000 万人に向けた取組について」に沿って、
外国人旅行者受け入れ体制の充実を目指し、貸切バス事業者とインバウンド事業者と
の協議の場を設けるなど、インバウンド輸送の取組を推進する。なお、国土交通省は
訪日外国人旅行者対応のため、貸切バス事業者安全性評価認定を受けた事業者が当該
旅行者を輸送する場合には、営業区域を地域ブロック及び隣接県に拡大する臨時措置
を本年度前半まで講じている。
3.高速バスネットワークの充実
(1) 高速バスネットワーク充実のための規制見直し等
高速バスネットワーク充実のための規制見直しについては、本年 3 月日本バス協会
としての見解を取りまとめ国土交通省に要望している。引き続きこの要望内容の実現
に努めるとともに、新たな規制の見直し等についても検討する。
また、一昨年 7 月末に高速ツアーバスが廃止され、新高速乗合バス制度へ一本化し
てから二年が経過しようとしているが、この新たな制度が適切に運用されるよう実態
把握に努め、脱法的行為についてはその是正を求める。なお、柔軟な運賃設定等サー
ビスの改善、向上が進められており、これらの取組について情報を収集し会員事業者
の参考に供するとともに、利用者の方々へ情報を提供する。
さらに、高速道路の利用料金については、本年度は最大 5 割までの割引が国の予算
措置で認められているが、引き続き高速道路を利用するバスに対する負担軽減に努め
る。
(2)新宿駅南口高速バスターミナルの整備について
新宿駅南口の高速バスターミナルについては、本年度中に国道側による工事が完了
し来年 4 月からの供用が予定されている。本年度は、バス事業者側もこれに対応して
バスターミナル関連施設の整備を進めるとともに基本ダイヤの設定や発売・発券の取
扱い、バスの発着管理の検討を進め、供用に備えることとする。
このため、新宿高速バスターミナル株式会社と新宿高速バスターミナル準備会を車
の両輪として相互連携の下で諸準備を進める。また、乗入れバス事業者全社が参加す
る利用事業者会を立ち上げ基本ダイヤの決定等開業に向けて万全を期すこととする。
4.安全輸送対策の推進
(1)交通事故の減少と安全対策の推進
国の「事業用自動車総合安全プラン 2009」に基づき策定した「バス事業における総
合安全プラン 2009」に基づく取組により、交通事故件数は減少傾向にあるが、死亡事
故件数は横ばいの状況である。高齢者や道交法改正による自転車対策等につき関係機
関と連携協力して取組む等、重大事故の削減に向けて各種安全対策に万全を期す。
また、これまで高速道路で運転者の健康に起因すると思われる事故が発生し、死亡、
重軽傷を負う重大な事故が起こっている。利用者がより安心してバスを利用できるよ
う、運転者の健康管理面での取組の徹底が求められており、この対応策を進める。あ
わせて、衝突被害軽減ブレーキ装着車両の導入促進やASV技術等の車両面での対応
を検討する。
(2)飲酒運転の根絶に取組む
飲酒運転事故の防止については、日本バス協会が作成した「飲酒運転防止対策マニ
ュアル」に基づき、全ての会員事業者が飲酒運転防止のための万全の対策をとるよう
取組む。特に、点呼の際のアルコールチェックの徹底を図ることとするが、その際、
検知器の性能や使用方法が問題となる事案も発生しているので、検知器の性能の維持
や適正使用等に留意するよう努める。また、秋の全国交通安全運動時に合わせ、「飲
酒運転防止週間」を設定する等、業界をあげて飲酒運転の根絶に取組む。
(3)車内事故の防止に努める
バス事故の約 3 割を占める車内事故は、高齢者が被害を受けることが多く、また、
重大な被害を蒙ることもあるため、高齢者を中心に防止に努める。車内事故防止キャ
ンペーンを実施し、利用者に対する「ゆとり乗降」の啓発と運転者に対する「ゆとり
運転」による安全運行の徹底を図る。なお、総合安全プラン 2009 の昨年の見直しに
際し、車内事故の中でも大きな割合を占める発車時の事故防止に重点的に取組むこと
としたので、この取組を強化する。また、高速道路等でのシートベルトの着用につい
て、乗客の着用率の向上を図る。
(4)危機管理対策の徹底
バスジャック、テロ対策等危機管理対策に万全を期するため、日本バス協会が作成
した「バスジャック統一対応マニュアル」及びテロ対策通達による対応を周知し、ま
た、警察等との連携の強化を図る。加えて、緊急連絡手段(防犯灯、非常事態発生を
表す電光表示等)、運転席の防護アクリル板、GPS等を利用した運行管理システム
等の整備を促進し対応力を強化する。
大規模な地震災害等への対処については、日本バス協会が作成した「大規模災害基
本対応マニュアル」を活用し、国、地方自治体とも協力して、平素から危機管理・安
全防災対策の強化に努め、災害発生時の乗客の安全と輸送力の確保に万全を期する。
5.バス運賃に関する適切な対応等
(1)運賃制度等について
運賃制度の弾力化及び運賃改定申請手続きの簡素化、迅速化等について関係行政機
関に要請する。また、平成 29 年度からの消費税引上げ(8%→10%)に伴い 28 年度中
に予定されている運賃改定について調査検討を進める。
(2)運賃制度や経営状況の把握と情報の提供
バスの利用促進を図るため、各種運賃制度導入状況の情報を収集し、会員事業者及
び利用者等に提供する。また、国が行う乗合バスの経営状況等の調査に協力するとと
もに、貸切バスの経営状況の把握に努め、運賃改定等に生かし、また、バス事業の振
興方策等検討の参考に供する。
6.人と環境にやさしいバス事業の推進
(1)交通バリアフリー対策の推進
平成 18 年 12 月に施行されたバリアフリー新法に基づき、移動円滑化基準に適合し
たバス車両への代替促進とあわせて、国の認定した標準仕様ノンステップバスの普及
を促進する。その際、道路整備(停留所)との連携を図る。また、より改良されたノ
ンステップバス等、次世代型「人にやさしいバス」の実現に向け国及び関係団体の各
種検討会等に積極的に参加する。
(2)環境対策の推進
① 地球温暖化ガスの削減及び大気環境の改善に資するため、次の諸活動を行う。
・「バス事業における低炭素社会実行計画」に基づく諸対策の推進
・「バスの環境対策強化期間」等の実施によるエコドライブの推進や国の「ディー
ゼルクリーン・キャンペーン」への協力
・バス事業のグリーン経営認証制度及びISO14001の普及
② NOx・PM法に基づく重点対策地区(対策地域内で大気汚染が特に著しい地区
(局所)を指定)の状況について、情報収集及び周知を行う。
③ 電気バス等環境対応型のバスシステムの実用化について、情報収集及び調査研究
を行う。
7.バスに係る技術面の向上
(1)中央技術委員会等の活動
バス事業における技術の向上、安全や環境等の車両性能の向上、保守費の軽減、整
備性の向上等を図るため、中央技術委員会の全国大会及びバス改善要望全国会議にお
いて、優良技術の発表・普及、各種技術情報の共有化、事業者間の意見交換等を行い、
また、自動車メーカーに対する改善要望、情報交換を進める。
(2)バス車両の技術開発の推進
① 車両の安全やバリアフリー、環境対策に係る新技術について、情報収集及び調査
研究を行う。
② 運転者の健康に起因する事故の防止を図るため、運転者が運転操作不能となった
場合に安全に停車することのできる車両の開発について、引き続き国及び自動車
メーカーに要請するとともに情報収集を行う。
8.バス事業に対する予算、税制措置の充実
(1)バス関係予算の充実
① 交通政策基本計画及び地域公共交通活性化再生法の趣旨を踏まえ、予算、税制措
置の充実に努める。
② 地域公共交通確保維持改善事業の予算の拡充、補助制度の見直し改善を進め、乗
合バス路線の維持、再編、バリアフリー化の推進、ICカード導入等を図る。ま
た、東日本大震災被災地のバス交通等に対する柔軟な支援措置の延長に努める。
③ バスに係る環境対策についての予算、デジタルタコグラフ、ドライブレコーダー
や衝突被害軽減ブレーキの装着の促進等のため安全対策予算の確保に努める。
④ 道路整備、ターミナル整備、交差点改良等バスの走行環境の改善や高速道路整
備・補修に係る予算の確保に努める。
(2)バス関係税制の充実
① バス関係税制について、営自格差等現行税制特例の維持、拡充に努めるとともに、
車体課税や軽油引取税に関し、自動車関係団体と連携し負担軽減に努める。
② 平成 29 年度からの消費税引上げへの対応
消費税の再引上げに際し、他の公共交通機関と連携協力して、バス輸送サービ
スが軽減税率の対象となるよう検討し、対応する。
また、再引上げの際廃止することとされている自動車取得税の確実な廃止と、
その際導入が検討されている環境性能課税については、バス事業について負担軽
減が図られるよう努める。
9.運輸事業振興助成交付金事業(中央事業)によるバス事業者支援の充実
(1)運輸事業振興助成交付金事業(中央事業)の実施
運輸事業振興助成交付金事業(中央事業)については、次の事業を効果的に実施す
る。また、実施に当たっては、運輸事業振興助成交付金審議評価委員会を開催し、日
本バス協会の施策に反映する。
① バス輸送改善推進事業の実施
・利用者ニーズに対応した輸送環境の改善に資するため、「バス利用者施設等整備
事業」としてバスロケーションシステム整備、ICカードシステム導入等に対し
支援する。
・環境対策を推進するとともに高齢者等を含めた利用者の利便及び安全性の向上を
促進するため「人と環境にやさしいバス普及事業」として車両購入等に対し支援
する。
・厳しい経営状況下にある地方路線バス事業及び貸切バス事業のための「車両更新
(中古車購入)支援事業」として支援を実施する。
・バス利用の促進、バス事業についての広報活動として、バスの日(9 月 20 日)を
中心にバスフェスティバルを開催する。その他、輸送改善に資する事業を行う。
② 融資斡旋・利子補給事業の実施、改善
バス事業者の経営安定化に資するため「融資斡旋・利子補給事業」を実施する。
本年度は、昨年に続き公募により申請を受け付ける。融資枠 200 億円を年 2 回に
分けて公募することとし、この融資枠を都道府県バス協会に割り当て、各バス協
会で枠の管理を行う。なお、一事業者当たりの融資残高は昨年に引き続き 1 億円
減額し、4 億円までとする。
融資斡旋・利子補給の対象は、バス車両購入資金、施設整備資金、退職金資金、
運転資金、災害復旧事業等に要する資金であり、利子補給率は、資金の目的に応
じ、0.4%から 1.0%(災害復旧)としている。なお、極低利の借り入れについて
は利子補給の対象から外す方針の下、本年度は金利 0.6%以下の借り入れを利子
補給対象から外すこととする。
(2)運輸事業振興助成交付金事業(中央事業)に係る資金の見直し
運輸事業振興助成交付金事業(中央事業)は、従来から融資斡旋事業特別基金の運
用利息及び「バス輸送改善推進対策引当資産」を取崩した資金を充当している。この
バス輸送改善推進対策引当資産(基金から平成 23 年度に 10 億円を引き当てて、毎年
取り崩しによりバス輸送改善推進事業を実施)が平成 26 年度までで枯渇する見込み
なので、本年度予算において融資斡旋事業特別基金の一部を引当資産に振替える必要
がある。振替額は、今後 5 年程度現行と同様の規模で交付金事業を行うことを前提に、
また一方で、特別基金の運用利息が運用先である国債等の大量償還に伴い今後大きく
減少することから、20 億円とする。
(注)バス輸送改善推進対策引当資産平成 26 年度期末(見込み) 1.0 億円
(3)本年度の融資斡旋事業特別基金運用管理方針について
平成 26 年度末と本年度は、特別基金の運用先である国債等が大量に償還される時
期に当たっており、償還された資金について新たな運用管理が求められる。運用対象
は 57 億円であるが、現在の国債利回りが 10 年物でも 0.4%程度であり、償還される
国債の利回り(平均 1.6%)を大きく下回ることから、昨年の理事会で日本バス協会
財産管理規程を改定し、安全な運用を前提に社債等も運用対象にし得ることとした。
本年度は、この改訂された財産管理規程による初めての運用となるが、交付金運用
特別委員会での検討では積極運用に慎重な意見が多かったことから、本年度は運用対
象の約 8 割の 47 億円を従来通りの国債等による運用とし、残りの 10 億円は安全性等
を十分配慮しながら社債等による運用を行うこととする。なお、新宿高速バスターミ
ナル株式会社の施設整備等については、出資者がターミナル会社に融資する方針が決
まっており、日本バス協会もその一端を担うこととなっているが、この融資も 10 億
円の中から実施することとする。
(4)都道府県バス協会における地方事業の効果的実施について
平成 24 年度からの中央出捐中止に伴う地方事業の充実を図るため、事業が適切か
つ効果的に行われるよう積極的に情報提供等の支援を行う。
また、交付金事業の実施の財源となる運輸事業振興助成交付金については、法制度
に基づいた確実な交付がなされるよう、都道府県バス協会と協力して引き続き取組を
進める。
10.労務問題への対応
(1)春闘等に対する対応と労務実態調査、情報提供
春闘について、経済界や連合、私鉄総連等の情報を収集し、これらを踏まえて労務
委員会において春闘に対する事業者側のスタンスについて審議し、基本方針を策定す
る。また、春闘関係情報の収集と提供を行う。
最賃問題研究会において最低賃金について審議し、私鉄総連と対応する。この他、
労務問題について関係労働組合と意見交換を行い、相互理解を深める。
バス運転者等の賃金、労働時間、退職金等についての実態を調査し、適切な労務管
理の実施や労使交渉に資する情報の提供に努める。
(2)バス運転者不足問題への対応
労務委員会での検討及び国土交通省の「バスの運転者の確保及び育成に向けた検討
会」の報告等を踏まえ、効果的な対策を検討、推進する。特に、厚生労働省のキャリ
アアップ助成金の活用について取組を進める。また、大型二種免許の取得条件の緩和
等について、トラックやタクシーとの整合性に配慮しつつ、また、安全確保を大前提
に検討を進める。
(3)その他
労働基準法、労働安全衛生法等の労働法制やその具体的運用、また、睡眠時無呼吸
症候群やメンタルヘルス等労働管理に係る新たな課題について調査等を進め、講習会
の開催等により周知を図る。
11.その他
(1)広報活動の推進等
・ 日本バス協会ホームページにより、会員事業者及び広く一般の方々に対し、当
協会の活動状況やバス事業の現状等について情報提供を行う。特に、バス事業者
の取組及び営業案内等について、わかり易く利用者へ情報提供を行う。
・ 全会員事業者等に対し、機関誌「バス月報」を発行するとともに、随時「メー
ルマガジン」を発信し、その内容をホームページの会員専用ページに掲載する等
迅速な情報提供に努める。また、冊子「会員名簿」を作成し配布する。
・ 9 月 20 日の「バスの日」にちなみ、バスフェスティバルの実施等により広く一
般にバスについての理解を深め、一層の利用促進を図る。また、都道府県バス協
会及びバス事業者の諸事業とタイアップして積極的に広報を進める。
・ 「日本のバス事業」や「日本のバス事業と日本バス協会の概要」の冊子を作成し、
バス事業の最新の現状と課題や取組等を分かり易く紹介する。また、その内容を
ホームページに掲載し広く情報提供に努める。
(2)バス事業関係表彰の実施
・ 優良バス運転者等に対する会長表彰
・ 観光バスガイドに対する会長褒賞
・ 技術に関する発明考案功労者に対する会長表彰
(3)オリンピック・パラリンピックへの対応
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会等と連携し、貸切バス確保
等について検討する。また、多言語対応を進める。
以上、平成 27 年度事業計画の実施にあたり、資金の借り入れ及び設備投資の予定は
ない。