平成26年度事業計画書

平成25年度事業計画
Ⅰ.基本方針
訪問販売に係る消費者相談は、法令整備と事業者の自主努力によって近年、減少傾向を辿
っているものの高齢者との取引には問題事例が生じているという指摘が一部相談機関から
指摘されている。一方、政府は、高齢者の安全・安心な暮らしを推進する観点から、平成
24 年9月、
「消費者安心アクションプラン(原案)∼食品と放射能に関するコミュニケーショ
ンの強化と高齢者の消費者トラブルの防止∼」を策定した。これを受け経済産業省は平成
24 年 11 月 29 日付、消費経済企画室長名の文書をもって、同アクションプランの訪問販売
の分野(通信販売は通信販売協会)については、当協会へ次に掲げる活動の強化を要請した。
・高齢者の消費者トラブル事例及び対応策に関する広報・セミナー等の充実
・会員企業への高齢消費者に配慮した取組の促進
・問題のある事業者の活動に対しての改善指導の強化
当協会は、訪問販売取引の適正化に寄与するため、本年度はとくに高齢消費者の啓発及び
販売員教育事業を重点事業として実施する。また、これら事業の充実強化を期すため役員の
増員等組織の拡充に努める。
Ⅱ.具体的事業
1.訪問販売取引適正化事業
(1)事業者向教育啓発事業
1)各種教育啓発
①自主規制関係
適正な訪問販売取引を推進するため本会の倫理綱領・自主行動基準・過量には当たらな
いと考えられる分量の目安・個人情報保護ガイドラインなど各種の行動指針の充実を図り、
正会員への周知徹底を図るとともに、ホームページや季刊誌等を通じてこれらの指針につ
いて広く業界全体に情報を提供する。
本年度はとくに次に掲げる活動を重点施策として実施する。
・訪問販売企業の自主行動基準のうち、とくに高齢者等弱者保護の取組については、前年
度に実施した正会員の実態調査の結果をふまえ、ベストプラクテイスを提案するなど業界
全体の水準の向上に努める。
・正会員における基本方針の作成及び実践を促進するため、協会で訪問販売企業の自主行
動基準の基本方針の標本を作成する。
②各種セミナー及び研修等関係
企業担当者を対象に法令知識等を教育啓発する場として下記のセミナー等を開催する。
・特定商取引法セミナー(東京・大阪・名古屋・福岡各1回)
・消費者相談担当者向講習会(東京4回)
・電話法律相談会(東京2回)
・東北地区コンプライアンスセミナー(仙台1回)
③特定の商品等への対応関係
消費者相談室の相談受付データや、行政、国民生活センター等の関係機関からの指導要
請などをもとに、取引適正化のための啓発等が必要と考えられる特定の商品・役務等につ
いて関係事業者を対象とした懇談会等を開催し取引適正化のための啓発を実施する。
本年度は太陽光発電の懇談会の定例開催(年3回)の定着に努めつつ必要に応じ他の商
品等の懇談会を開催する。また、特定商取引法の各取引形態をテーマに、法の理解を深め
ること等を趣旨とする懇談会等(年2回)を開催する。
④適正取引推進啓発関係
収集した苦情相談の情報等を基に、問題性の高い事例等を発生させている企業に対し注
意喚起・早期啓発を行う。
⑤社内体制整備関係
協会が定める消費者志向チェックリストを用いての事業者への消費者志向経営のための
体制整備等に係る指導・助言を行う。
本年度も特定商取引法等法令に抵触するような事例を発生させている企業を対象にとく
に教育・苦情対応・再発防止の三体制をチェックし整備強化を推進する。
⑥各種刊行物の作成頒布関係
販売員教育用法令の各解説書、相談解決マニュアル、モデル契約書面、消費者志向経営
に関するテキストなど訪問販売取引の適正化に資する各種書籍類を作成頒布する。
⑦講師派遣関係
会員や業界紙誌等が開催するセミナーや研修会等において、関係法令の解説、自主規制
事項の解説、トラブル事例の解説などを行う講師として協会職員を派遣する。
⑧事業活動に係る広報関係
協会の自主規制事業や行政動向などを業界内に広く周知徹底させることを目的に、訪問
販売事業者などを対象に「季刊誌・ダイレクトセリング」(年4回)を作成頒布する。
2)訪問販売員教育指導者資格制度
社内における販売員教育体制の中核となる指導管理者に対する資格認定制度を実施する。
具体的には、協会が主催する講座(「法令」「指導管理者に必要な事項」などを学ぶ講座)
を受講し、講座を受講した日の最後に筆記試験を実施する。試験合格者には「訪問販売員
教育指導者資格証」を交付する。合格基準(100点満点中70点以上を取得し、かつ、特定商
取引法に関する問題について誤答が2問以内。)に基づき協会事務局で採点のうえ合否を判
定する。
本年度も前年度と同様に東京2回、大阪及び福岡は各1回実施。また、再受講は東京・
大阪・福岡で各1回実施する。
3)訪問販売員登録制度
訪問販売員に対する教育啓発を通じて取引の公正・適正化を図ることを目的に、協会が
正会員に標準教育カリキュラムに準拠した社内教育の内容をまとめた教育計画書の提出を
求め、事務局が確認後、当該正会員が当該計画書に沿って販売員教育を実施し、評価試験
に合格した販売員を協会に登録する制度を実施する。登録者には正会員を通じて「JDSA認
定教育登録証」を交付する。
本年度は昨年度に改定した訪問販売員登録制度に基づく教育の普及促進を図り、より多
くの正会員が登録制度に参加するように努める。
(2)不当な訪問販売に係る審査事業
正会員が協会の定める倫理綱領・自主行動基準・各種ガイドライン等に違反した場合に、
倫理審査委員会等において当該正会員に対する措置等を審議し、総会に対し必要な措置等
(「改善勧告」「権利の停止」「除名」)を勧告する。また、特定商取引法に反する行為
をした正会員に対しては、理事会の決議に基づき定款及び規則に規定する過怠金を徴収す
る。
(3)消費者向啓発事業
1)消費者啓発用パンフレット・リーフレット等の作成配布
訪問販売トラブルの防止や協会が実施する自主規制活動の紹介等を目的に、消費者啓発
用の印刷物を作成し消費者センター等を通じて消費者に配布する。
本年度は、高齢者啓発リーフレット(15万部)を作成、配布する。
また、ホームページに高齢者の契約トラブルの防止に資する啓発情報ページを設けると
ともに、より見やすいホームページにするため情報を全体的に整理する。
2)啓発会議や講座等への参加・講師派遣
①地方自治体や消費者センター或いは老人大学等の地域団体が主催する消費者向啓発会議
等へ参加する。
②行政機関等が主催する消費者向講座や担当職員等の研修等に協会職員を講師ちして派遣
する。
※①②を合わせて10地区で開催を予定。
2.消費者苦情等問題解決及び被害救済事業
1)消費者相談受付・解決(「訪問販売110番」)事業
①東京のほか全国7地区(札幌・仙台・名古屋・大阪・広島・高松・福岡)に転送電話を設置
し、訪問販売に関する消費者からの苦情相談等を協会事務局(東京)で一元的に受け付け、あ
っせん解決を図る。
本年度も円滑な相談対応に資するため正会員の消費者相談担当窓口の名称、担当役員・責任
者・担当者の氏名及び役職等の協会への届出を実施する。
次に掲げる活動を重点施策として実施する。
ア.東北を中心に震災の便乗商法トラブルを防止するため、仙台市内で2日間臨時電話を設置
し相談を受け付ける。受けた相談は解決のためのアドバイスを行うとともに情報を分析し啓発
情報としてホームページ等に掲載し注意喚起を図る。
イ.協会消費者相談室を一般社会に広く周知し、正会員の訪問販売業務に係る苦情相談の円滑
かつ適切な解決に資するため、正会員が使用する契約書面(特定商取引法第4条・第5条の書
面)に、協会の加盟企業である旨及び協会相談ダイヤルの掲載を促進する。
具体的には、次の活動を実施する。
・正会員に対し使用する契約書面への協会名称等の掲載の要請
・前述の7地区の転送電話番号を「0570」のナビダイヤルへ一本化
・協会名称に付すキャッチフレーズの公募事業(採用作品の作成者には賞金
等を授与)
・平成26年度の実施を目指し「訪問販売の月間(又は日)」(適正取引推進を趣旨に
苦情件数減少を図る)を制定する等事業内容の検討
②協会が受け付けた苦情相談等の解決に係る情報を整理し、年4回程度、報告書・レポートを
纏め業界内外に周知し類似苦情等の発生の防止を図る。
※①②の業務は特定商法第29条に規定する当会が行う業務である。
2)訪問販売業界ADR制度
協会の消費者相談室で解決が困難な、紛争化した案件について、「消費者取引紛争処理
機構」による迅速かつ公平な解決を図る。当該機構における具体的な紛争処理の運用は、
まず協会消費者相談室が従来通り消費者苦情の受付・解決等の業務を行う。そして、解決
困難な苦情を「消費者苦情検討会」にかける。検討会は、協会事務局と学識経験者1名で
構成され、契約両当事者の事情聴取を行い解決のためのあっせんを行う。やむなく不調と
なった場合は、両当事者の同意のもとに「消費者取引紛争処理委員会」にかける。紛争処
理委員会は、3名の学識経験者等の委員で構成し、紛争案件の解決策を作成し案件の解決
を図る。本年度は前年度に変更した規則に基づき制度の適切な運用に努める。
3)訪問販売消費者救済基金事業
当会会員事業者との間で締結された訪問販売契約に関し、契約の解除等を行い、既払金
の返還を請求した消費者に対し、正当な理由なくその金銭が返還されない場合に、当該消
費者に当会が一定の金銭を救済給付することで消費者被害の救済を行う。
※この業務は、特定商取引法第29条の2に規定する当会が行う業務である。
3.関係機関との連絡調整及び業界実態の調査統計事業
1)行政、内外関係機関等との連絡調整及び施策研究事業
訪問販売取引の適正化を通じて国民生活の向上安定に資するため、審議会や懇談会等の
機会を通じて行政や消費者関係機関、(社)日本クレジット協会や訪販協会世界連盟等と
の情報交流・連絡調整を行い、必要な施策等に係る研究及び提言、連携業務などを行う。
また、訪問販売取引の適正化及び消費者利益の増進を目的に業界及び協会に関係する各種
情報を収集し整理する。
本年度は、当協会の自主規制制度のより効果的な運用等に資するため、学識者や消費者
団体等を構成員とする懇談会(倫理審査委員会及び消費者救済に係る委員会のメンバーを
中心とする。)を開催し意見・提言等を聞く機会をもつ。
また、東北地区のNPO法人等関係団体と連携し震災被災地に対する支援活動を行う。
2)業界基礎データ収集・提供及び調査事業
①訪問販売取引の適正化や消費者保護に係る施策を検討するうえで必要となる業界基礎資
料の収集・提供を行う。
本年度は、特商法や各自治体の消費生活条例の改正及び運用等に関連する情報を収集す
るとともに、企業の考えや意見を吸い上げ分析・整理する。
②会員概要(売上高・販売員数・雇用形態・給与形態等各種データ)を収集し、当該デー
タ等を基にした売上高等の推計、また当該データ等を基にした業種別数値の整備等を行う。