第1節 1 地球環境保全をめざす社会の実現 地球温暖化対策の推進 ①温室効果ガスの排出抑制 (エネルギー) 現 状 【環境の現状】 我が国における平成 20 年度(確定値)の温室効果ガスの総排出量は 12 億 8,200 万 t-CO2(二酸化炭素換算)で、京都議定書の規定による基準年(平成 2 年)の排出量(12 億 6,100 万 t-CO2)と比較して約 1.6%の増加となっています。 このうち、二酸化炭素排出量は、12 億 1,400 万 t-CO2で基準年と比較して 6.1%の増加とな っています。 本県における二酸化炭素排出量は、平成 19 年度 897 万 t-CO2で、基準年(平成 2 年度) の排出量(835 万 t-CO2)と比較して約 7.4%の増加となっています。(表Ⅰ-1) 【主な再生可能エネルギーの状況】 <太陽光発電> 平成 20 年度末現在、県下 89 事業所で計約 4.1MW(メガワット)分の設備が稼働しており、 一般住宅用としては、9,827 軒に設置されています。 <風力発電> 平成 20 年度末現在、10kW 以上の風力発電設備は県下 11 市町に、風車台数で 60 基 設置され、総出力は約 67.3MW となっています。 <ごみ発電> 平成 21 年度末現在、県下 5 つの一般廃棄物焼却施設でサーマルリサイクルが行われ ており、平成 20 年度の発電量は 6,657 万 kWh となっています。 課 題 ○二酸化炭素の排出が少ない再生可能エネルギーの利用、導入促進 ○再生可能エネルギーの導入を通した地域の活性化 ○風力発電、太陽光発電に係る電力供給の安定化 施 策 ○太陽光発電設備や高効率給湯器、複層ガラス等複合的に省エネ設備を設置した住宅や 省エネ設備を設置する市町施設の設置経費に対し補助を実施します。(環境部) -8- ○「長崎県ごみ処理広域化計画」に基づき、サーマルリサイクル、マテリアルリサイクルの推 進に努めます。(環境部) ○国内版クレジット制度(※1)(CDM(※2))の普及・拡大を図り、CDM 市場拡大時に県内企業が 参入できるモデルケースを県内で創出します。(産業労働部) ○太陽光発電設備と省エネ設備を複合的に設置する県内中小企業等に対して助成します。 (産業労働部) ○民間事業者等による大規模太陽光発電設備の設置を推進します。(産業労働部) ○バイオマスエネルギーの農林業用施設・機械等への利用を促進します。(農林部) ○木質バイオマスエネルギーの利用や林地残材等未利用間伐材の活用を推進します。 (農林部) ○バイオディーゼル燃料に関する各法規制の説明や各製造者の事例発表による情報交換を 行う研究会を組織するとともに、品質確認分析により助言を行います。研究会で得られた 情報を基に、長崎県版の普及促進マニュアルを策定します。(科学技術振興局) ○再生可能(自然)エネルギーを活用した環境負荷の低い省エネ養殖について、研究開発を 行います。(科学技術振興局) ○長崎大学、長崎総合科学大学、東京大学等の知見を活用し、陶磁器製造における省エネ 評価技術を確立します。(科学技術振興局) ○エネルギーの地産地消を実現するため、国のプロジェクトや企業の資金等を活用した実証 事業の実施を目的として、県内における候補地、候補事業を調査します。(産業労働部) ○地域の自然的社会的条件に応じた総合的かつ計画的な地球温暖化対策実行計画の進行 管理のため、長崎県環境審議会等を活用した評価・検証を行います。(環境部) ※1:大企業の技術・資金等を活用して中小企業等が取り組んだ温室効果ガス排出削減量を認証し、大企業等が自主 行動計画の目標達成等のために活用する制度。 ※2:Clean Development Mechanism の略。クリーン開発メカニズムと訳され、先進国が途上国において実施された温 室効果ガスの排出削減事業から生じた削減分を獲得することを認める制度。 (事業者の活動促進) 現 状 【事業者由来の二酸化炭素排出量の現状】 本県の平成 19 年度の産業部門における二酸化炭素排出量は 133.1 万 t-CO2で全体の 14.8%を占めており、基準年から 5.3%減少しています。業務その他部門における二酸化炭 素排出量は 201 万 t-CO2で全体の 22.4%を占めており、基準年から 13%増加しています。 (表Ⅰ-1) 課 題 ○省エネ設備に対する投資を促すための経済的支援が必要 ○物流における環境負荷の低減 -9- 施 策 ○漁船、漁具等の省エネに係る検討開発等の支援、燃費に優れたエンジン(主機関)を漁船 に設置する場合の無利子融資、及び省エネ・省コスト等による漁船漁業の収益性向上対 策に対する助成を行います。(水産部) ○農業用施設への太陽光発電利用の普及を推進します。(農林部) ○「長崎県EV・PHVタウン」構想を推進するため、市町・民間事業者における電気自動車 (EV)・プラグインハイブリッド自動車(PHV)及び充電設備の導入経費の一部を補助しま す。(産業労働部) ○世界遺産登録を目指す地域資源を持つ五島地域に対し、二酸化炭素の排出が少ない低 炭素社会における次世代交通である電気自動車を集中的に導入し、次世代交通システム の各種技術を活用した社会インフラの整備による観光振興や地域の活性化を図り、県内 産業の振興に取り組みます。(産業労働部) ○内航海運への船舶建造・改造等に要する資金に対する融資やトラック等の輸送力確保及 び輸送コストの上昇抑制のため、低公害車導入への助成等を行います。(地域振興部) ○事業者に対し、省エネ診断を活用したエネルギー使用量や二酸化炭素排出量の「見える 化」と効果的な設備更新や施設改修等を促進します。(環境部) ○太陽光発電等の再生可能エネルギーを利用した施設整備や省エネ型空調設備等の環境 に配慮したエコスクールを推進します。(教育庁) ○大型駐車場の設置者等に対して、駐車時のアイドリング・ストップの周知を求め、自動車に よる温室効果ガス排出削減対策を進めます。(環境部) ○冷媒としてフロン類が充填されているエアコン、冷蔵・冷凍機器、自動車用カーエアコンか らの大気中への排出を抑制し、適正な回収・処理を推進します。(環境部) ○温室効果ガスを多量に排出する事業者に対して温室効果ガス排出削減計画書及び報告 書の提出を求めるなど、事業活動に伴う温室効果ガス排出削減対策の促進を図ります。 (環境部) ○「環境物品等調達方針」を作成するとともに、自ら燃料や電気の使用量削減を図るため県 庁エコオフィスプランの推進と進行管理を行います。(環境部) ○事業者が自主的・主体的に取り組む環境管理システムの導入を促進します。 (環境部) (県民の活動促進) 現 状 【家庭由来の二酸化炭素排出量の状況】 本県の平成 19 年度の家庭部門における二酸化炭素排出量は 137.1 万 t-CO2で全体の 15.3%を占めており、基準年から 8.2%増加しています。マイカー等を含む運輸部門における 二酸化炭素排出量は 260.7 万 t-CO2で全体の 29.1%を占めており、基準年から 11.3%増加 しています。(表Ⅰ-1) - 10 - 課 題 ○各家庭での省エネ意識の向上や取り組みの促進 ○家庭部門における省エネ住宅や省エネ家電の普及 ○都市部におけるマイカー使用の自粛、公共交通機関への転換 施 策 ○家庭での二酸化炭素排出削減の取り組みを推進するため、県民の意識の醸成及び参加 型の普及啓発事業を展開します。(環境部) ○県及び市町の地球温暖化対策協議会、長崎県地球温暖化防止活動推進センター、長崎 県地球温暖化防止活動推進員、関係団体等の協働によるイベント開催やキャンペーンを 行います。(環境部) ○長崎県地球温暖化対策協議会と連携し、県下一斉ノーマイカーデー及び県下一斉ノーマ イカーウィークを設け、マイカー利用の自粛、公共交通機関の利用促進を図ります。 (環境部) ○ゴールデンウィーク中のマイカー自粛及び公共交通機関利用促進の呼びかけを実施しま す。(地域振興部) ○エコドライブの普及のため、県民、事業者等を対象としたエコドライブ講習会等を行います。 (環境部) (環境に配慮したまちづくり) 現 状 【まちづくりの取り組みの状況】 道路交通による二酸化炭素排出量の削減を図るため、インフラ整備・システム等の面から、 交通の流れの円滑化を図っています。 課 題 ○交通渋滞の解消 ○地域特性を活かした取り組み 施 策 ○地域の環境産業の活性化、環境負荷削減技術の展開等を行う市町を「環境実践モデル都 市」に選定し、その取り組みを支援します。(環境部) ○鉄道の高架化による道路交通の円滑化と一体型の市街地整備を進めるとともに、交通の 分散化やボトルネックの解消等による交通の流れの円滑化を図り、二酸化炭素の発生を - 11 - 削減します。(土木部) ○マイカー自粛と公共交通機関の利用推進のためのチラシの配布やパークアンドライド等の 取り組みへ協力することにより、公共交通機関の利用を促進します。(再掲)(地域振興部) (県民・団体等との連携・協働) 現 状 【連携協働の取り組みの状況】 県民総参加の温暖化防止対策を展開するため、長崎県地球温暖化対策ネットワーク会議、 長崎県地球温暖化対策地方自治体協議会を設置し、情報の交換や活動の支援・連携に取り 組んでいます。 課 題 ○県民等の直接参加や各種団体等の活動に対する支援意識の醸成 ○ネットワークの円滑な運営と効果的な活用 施 策 ○各種団体の活動を支援するとともに、活動の連携を図ります。(環境部) ・長崎県地球温暖化対策協議会の活動を支援します。 ・長崎県地球温暖化防止活動推進センターとの連携を図ります。 ・長崎県地球温暖化防止活動推進員の活動を支援します。 ・長崎県地球温暖化対策ネットワーク会議、長崎県地球温暖化対策地方自治体協議 会を活用し、市町協議会や市町との連携を図ります。 - 12 - 温室効果ガス排出量 ごみ発電量 基準年 平成2年度 基準年の値 − 達成年次 「地球温暖化対策実 平成27年度 達成目標値 行計画」における目 標 基準年 平成20年度 基準年の値 6,657万kWh 達成年次 平成27年度 達成目標値 6,987万kWh 低炭素化・グリーン化に関する技術開 基準年 発件数 達成年次 平成21年度 基準年の値 − 平成26年度 達成目標値 2件 EV(電気自動車)及びPHV(プラグイン 基準年 ハイブリッド自動車)の導入台数 達成年次 平成25年度 達成目標値 500台 − 基準年 数値目標 県立学校の太陽光発電システム導入 校数 達成年次 平成21年度 基準年の値 8校 平成27年度 達成目標値 20校 基準年 環境管理システムの新規認証登録件 数(累計) 達成年次 エコドライブ講習会参加者数 平成21年度 基準年の値 3件 平成27年度 達成目標値 80件 (平成23∼27年度) 基準年 平成21年度 基準年の値 15人 達成年次 平成24年度 達成目標値 1,440人 交通の分散化、ボトルネックの解消等 基準年 による道路交通の二酸化炭素排出削 達成年次 減量 環境実践モデル都市成果事例集 基準年の値 − 平成21年度 基準年の値 − 平成27年度 達成目標値 77,000t-CO2/年 基準年 平成21年度 基準年の値 − 達成年次 平成26年度 達成目標値 3事例集 表Ⅰ-1 二酸化炭素排出量の推移 H2 H13 基準年 産 業 部 門 業務その他 部 門 家 庭 部 門 運 輸 部 門 エネルギー 転換部門 廃棄物 部 門 水 道 部 門 合 計 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H21 構成比(%) 目標値 H19年度 増減率 基準年比 (H19/H2) 増減率 前年比 (H19/H18) 140.5 125.6 116.2 111.7 118.9 118.8 128.4 133.1 132.1 14.8% -5.3% 3.7% 177.9 182.3 179.9 170.8 179.2 190.7 185.5 201.0 167.2 22.4% 13.0% 8.4% 126.7 130.7 128.3 120.1 133.8 139.4 133.0 137.1 119.1 15.3% 8.2% 3.1% 234.2 312.0 303.9 307.2 288.7 268.0 268.7 260.7 220.1 29.1% 11.3% -3.0% 131.8 147.0 135.4 137.9 127.4 138.7 129.3 131.2 123.9 14.6% -0.5% 1.5% 18.8 31.7 31.7 31.6 29.7 29.5 29.2 28.8 17.7 3.2% 53.2% -1.4% 5.3 4.4 4.1 3.8 4.1 4.6 4.7 5.0 5.0 0.6% -5.7% 6.4% 835.2 933.7 899.5 883.1 881.8 889.7 878.8 896.9 785.1 100.0% 7.4% 2.1% (単位:万t-CO 2) ※H21目標値は、平成 16 年度に策定した長崎県環境基本計画における数値目標値。 - 13 - ②温室効果ガスの吸収作用の保全と強化 現 状 【森林環境の状況】 本県の森林面積は、242,888ha(平成 21年度末)で、県土の約 60%を占めています。 【吸収作用の強化のための取り組みの現状】 森林の公益的機能の維持・発揮のため、平成 20 年度から 24 年度までの 5 カ年間で 18,500 haの間伐を実施する計画であり、平成 21 年度までに 6,375haの整備を行っています。 課 題 ○間伐の推進等健全な森林の整備 ○木材及び間伐材の有効利用と木質バイオマス利用の推進 施 策 ○温室効果ガスを吸収するなどの森林の持つ公益的機能を維持・発揮させるため、間伐等 の森林整備を行います。(農林部) ○木質バイオマスエネルギーの利用や林地残材等未利用間伐材の活用を推進します。 (再掲)(農林部) ○漁場環境を浄化するとともに、魚介類の産卵、幼稚仔魚の成育の場としても重要な藻場を 回復・拡大するため、着定基質の設置等により藻場を造成します。(水産部) ○藻場づくりに取り組むグループの育成・磯焼け回復活動を支援します。また国の「環境・生 態系保全活動支援事業」により藻場等の維持・管理等の環境・生態系の保全活動を行う 組織に対し支援します。(水産部) 間伐面積 数値目標 森林バイオマスエネルギー利用施設 基準年 平成20年度 基準年の値 2,956ha 達成年次 18,500ha 平成24年度 達成目標値 (平成20∼24年度 累計) 基準年 平成21年度 基準年の値 2施設 達成年次 平成27年度 達成目標値 5施設 - 14 - ③地球温暖化への適応策 現 状 【環境の状況】 九州・山口県では、1980 年代末以降は月平均気温や日最高気温の異常高温が、夏を中 心に少なくとも過去 50 年間になかった頻度で出現しており、真夏日や猛暑日の極端な高温、 熱帯夜等の日数も大幅に増加し、逆に冬日は大幅に減少していることが認められました。 九州・山口県平均の最近数十年における変化傾向には、都市化よりも地球温暖化や数十 年周期の自然変動といった地域全体の気温上昇の影響が大きいと考えられます。(異常気 象レポート九州・山口県・沖縄版 2009 九州・山口県・沖縄の異常気象と気候変動 ∼その 実態と見通し∼ 福岡管区気象台・長崎海洋気象台・沖縄気象台 ) 課 題 ○農業技術の確立、品種の改良 ○土砂災害危険箇所における整備率の向上 ○防除適期、防除の要否などを考慮した効率的な病害虫の防除 施 策 ○地球温暖化の悪影響による農産物被害の抑制技術の確立及び温室効果ガス発生低減の ため、将来にむけて対応技術を確立します。(農林部) ○異常気象による土石流、地すべり、がけ崩れ等の土砂災害から生命財産を守るため、土 砂災害防止施設の整備を推進します。(土木部) ○主要作目の病害虫の発生状況、気象、農作物の生育状況等を定期的に調査し、病害虫に よる損害の発生を予測し、防除に必要な発生予察情報を提供し、適時適切な防除を推進 します。(農林部) 数値目標 病害虫予察情報提供率 基準年 平成21年度 基準年の値 100% 達成年次 平成27年度 達成目標値 100% - 15 - 2 広域的な環境汚染対策の推進 ①光化学オキシダント等に関する対策の推進 現 状 【環境の現状】 <光化学オキシダント> 季節別、地域別にみると、3∼6 月の春期、9∼10 月の秋期の 2 期に濃度が高くなる傾向に あり、超過時間数の多い測定局は、西彼杵半島地区、県北地区及び離島地区に多く見られ ます。 注意報発令基準である 0.12ppm以上を観測したのは、平成 19 年度は 3 日間、延べ 14 測 定局で、12 市に注意報を発令しました。平成 20 年度は、他県では注意報が発令されました が、本県では 5 月に高い濃度を観測したものの、注意報発令基準以上には至りませんでした。 平成 21 年度は 5 月 8 日に 10 市 8 町、翌 9 日には 4 市 4 町と観測史上初めて 2 日連続で 注意報を発令しました。 <浮遊粒子状物質> 本県では黄砂の影響で濃度が高くなる傾向が見られます。 ○浮遊粒子状物質短期的評価 平成 21 年度に測定した 45 測定局のうち、43 局(一般大気測定局 40 局、自動車排出 ガス測定局 3 局)において環境基準を達成できませんでした。 ○浮遊粒子状物質長期的評価 平成 21 年度に測定した 45 測定局のうち 29 局(一般大気測定局 28 局、自動車排出 ガス測定局 1 局)において環境基準を達成できませんでした。 課 題 ○光化学オキシダントに係る的確な監視体制の維持及び注意報発令時の迅速な対応 ○大陸からの移流が示唆される光化学オキシダントに係る国際的な視野での対策の検討 施 策 ○県内の測定局 47 局(県設置局 11、長崎市 6 局、佐世保市 7 局、企業局 23 局)をネットワ ーク化して、大気汚染の常時監視を行います。また、緊急時の場合には、「長崎県大気汚 染緊急時対策実施要綱」及び「オキシダント注意報発令実施要領」に基づき迅速に対応し ます。(環境部) - 16 - ②オゾン層の保護対策の推進 現 状 【環境の現状】 成層圏オゾンは、太陽からの有害な紫外線の多くを吸収し、地上の生態系を保護していま す。世界気象機関(WMO)と国連の科学アセスメントによると、中緯度地方の地上から大気上 端までのオゾン全量は、昭和 55 年以前に比べて、最近(平成 12 年頃)では、北半球中緯度 で 3%、南半球中緯度で 6%減っているのが確認されています。 オゾン層の保護を図るため、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が 昭和 62 年に採択され、国内においては、「家電リサイクル法」、「フロン回収破壊法」、「自動 車リサイクル法」が施行され、フロン回収が義務づけられています。 課 題 ○フロン類回収事業者等によるフロン類回収・破壊処理の徹底 ○所有者への費用負担等に関する周知 施 策 ○冷媒としてフロン類が充填されているエアコン、冷蔵・冷凍機器、自動車用カーエアコンか らの大気中への排出を抑制し、適正な回収・処理を推進します。(再掲)(環境部) 数値目標 第一種フロン類回収業者の立入検査 基準年 件数 達成年次 - 17 - − 基準年の値 − − 達成目標値 50件/年 ③酸性雨対策の推進 現 状 【環境の現状】 酸性雨は、工場、自動車、火山等から大気中に放出された二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化 物(NOx)等を起源とする酸性物質が、雨・雪・霧等に溶け込んで降ってくる現象です。この結 果、河川・湖沼・土壌が酸性化し、私たちの生活への悪影響が懸念されています。本県では、 3 市 3 地点で調査を実施しました。平成 21 年度の1降雨の pH の年平均値は 4.58∼4.79 の 範囲にあり、環境省が全国 30 地点で実施した酸性雨対策調査結果(平成 20 年度)の範囲内 (4.48∼5.07)でした。 pHについて 酸性 0 1 2 中性 3 4 5 6 7 アルカリ性 8 9 10 11 12 13 14 強酸性雨 酸性雨 pH5.6 課 題 ○酸性雨調査の長期的継続 ○酸性雨調査の広域的・国際的な連携・協力 ○酸性雨の形成に寄与の大きい化石燃料の使用の抑制 施 策 ○酸性雨測定局において、雨水を採取し、分析を行い、その結果を国や全国の都道府県と 共有することにより、生活への影響等を科学的に検証するデータとして蓄積します。 (環境部) ○ばい煙発生施設を有する事業所への立入検査を行い、排出基準の遵守状況を把握します。 (環境部) ○自動車排出ガス抑制対策を更に推進します。(環境部) 強酸性雨の出現防止 基準年 数値目標 国設局を除く3地点での1降雨のpHの 達成年次 平均値の範囲 - 18 - − 基準年の値 − − 達成目標値 4.0以上 ④漂着ごみ・漂流油対策の推進 現 状 【環境の現状】 本県の海岸においては、約 80,000m3(※3)のごみが漂着しており、回収しても毎年多くのご みが漂着することから、景観、自然環境、水産資源等への影響が深刻な問題となっていま す。 なお、環境省の平成 19∼20 年度「漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査」による と、ペットボトルの約 80%、ライターの約 75%が外国由来の漂着物(※4)とされています。 ※3:平成 22 年 1 月∼3 月の実態調査結果に基づく推計 ※4:国籍不明のものを除く 課 題 ○ごみの投棄防止等の環境保全に対する県民の意識の高揚とモラルの向上 ○外国由来の漂着ごみの削減 ○海洋汚染防止のための横断的な監視・防除体制等の確立 ○漂流油による汚染対策の推進 施 策 ○「長崎県海岸漂着物対策推進計画」に基づき、国、市町、民間団体等と連携を図りながら 海岸漂着物(漂着ごみ)の回収処理や発生抑制対策等、総合的な海岸の環境の保全を図 ります。(環境部) ○漂流油等による汚染の恐れがある場合「漂流油等による長崎県沿岸汚染対策要綱」に基 づく関係機関への情報伝達や指示、自衛隊への派遣要請、市町間調整への助言等を行 います。(防災危機管理監) ○油濁事故発生時の被害漁業者の救済と漁場被害の拡大防止を図るための負担金を拠出 します。(水産部) ○離島の漁業集落において、海岸清掃活動に対して助成を行います。(水産部) 数値目標 海岸漂着物の発生抑制対策、国際協 基準年 力事業の実施回数 達成年次 - 19 - 平成21年度 基準年の値 3回/年 平成27年度 達成目標値 6回以上(毎年度) ⑤環境保全のための国際的協力の推進 現 状 【取り組みの現状】 平成 3 年 8 月に開催された「日韓海峡沿岸県市道交流知事会議」において日韓の環境技 術の交流が提案、採択され、平成 5 年 5 月に北部九州 3 県による「日韓海岸沿岸環境技術 交流協議会」が設立されました。 現在、両地域間の友好と相互理解を深めるとともに環境に関する共同事業の展開を図る ことを目的に、環境問題や環境行政施策等に関する事業を実施しています。 平成 20 年度から 21 年度にかけては、「黄砂現象時の大気汚染物質特性及び分布調査」 を実施しました。 ○過去の調査内容 ・日韓海峡沿岸酸性雨共同調査 ・河川水質生物検定共同調査 ・陸水及びその集水域の窒素流動調査 ・日韓都市間大気汚染度比較評価調査 ・集水域の地質・植生が異なる河川水調査 ・光化学オキシダント広域濃度分布特性調査 また、平成 22 年度から新たに「日韓海峡沿岸県市道交流知事会議」において、日韓海峡 海岸漂着ごみ一斉清掃を実施することとなりました。 課 題 ○施策につながる共同調査研究の企画・立案 ○県民や民間団体等が参加する共同事業の推進 施 策 ○九州北部 3 県、山口県及び韓国南岸 1 市 3 道の環境行政・研究所の関係者等による「日 韓海峡沿岸環境技術交流協議会」を開催し、両地域間における環境に関する共同事業を 展開します。(環境部) 数値目標 日韓海峡沿岸環境技術交流協議会 会議の年間開催回数 基準年 − 基準年の値 − 達成年次 − 達成目標値 2回/年 - 20 -
© Copyright 2024 ExpyDoc