第 1 日目 - 全国教職員互助団体協議会(全教互)

2012(平成 24)年 9 月 13 日~14 日
宮城県 フォレスト仙台
まだ残暑の厳しい 9 月の中旬、全国各地から 100 名を超える職員の皆さんがフォレスト仙
台(宮城県教育会館)に参集し、職員研修会が開催されました。
開会にあたっては、全教互の久保田会長、宮城県教職員互助会の德能事務局次長、宮城県
教育会館・厚生部の高橋理事長からご挨拶を頂戴しました。その後、関口税理士による「法人
移行に係る事務手続きの留意事項」、仙田専務による「全教互の現状と課題」、東北福祉大
学の園田教授による「若者の雇用事情について」の講演がありました。また 2 日目には、宮
城県教育会館・厚生部の全面協力のもと、石巻・女川方面と松島方面への「視察研修」を行
いました。
当日配付した資料については、全教互ホームページ(http://www.zenkyogo.jp/)に掲載して
いますので併せてご確認ください。
○● 研修会日程 ●○
9 月 13 日(木)
【第 1 日目】
(参加者101名)
●開会挨拶
全国教職員互助団体協議会 会 長 久保田 柾博
(財)宮城県教職員互助会 事務局次長 德能 勝彦
(財)宮城県教育会館・厚生部 理事長
高橋 達郎
●講 演「法人移行に係る事務手続きの留意事項」
全教互 顧問税理士/元新公益法人制度普及・啓発員
関口邦興税理士事務所
関口 邦興
●報 告「全教互の現状と課題」
全国教職員互助団体協議会
専務理事
仙田 隆宜
●講 演「若者の雇用事情について」
全教互 生活設計専門委員
東北福祉大学 教授
園田
洋一
☜ 有志による「交流会」☞
(18:30~)
9 月 14 日(金)
【第 2 日目】
●視察研修 ①「石巻・女川コース」(参加者37名)
●視察研修 ②「松島コース」
(参加者41名)
(敬称略)
1
2012(平成 24)年度 職員研修会
法人移行に係る事務手続きの留意事項
全教互 顧問税理士 元新公益法人制度普及・啓発員
関口邦興税理士事務所 関口 邦興
○新公益法人制度における全国申請状況
○一般財団法人移行認可スケジュール(案)
○公益法人会計基準の変遷
第1.移行申請作業に係る事務手続き
1.移行認可の基準
2.定款の変更の案作成
○<参考>新しい公益法人制度施行後の法人の体系に
ついて
○<非営利型法人の要件> 法人税法第 2 条(定義)第 1 項 9 の 2 号
法人税法施行令第 3 条(非営利型法人の範囲)
3.公益目的支出計画の作成
4.移行認可申請書の作成:電子申請
第2.移行認定、移行認可後に係る事務手続き
1.移行登記の留意点
2.移行後の提出書類
3.立入検査の考え方
○別紙「平成 21 年 12 月 24 日 内閣府「立入検査の考え方」
」
4.税務上の取扱い等
○別紙「異動届出書」
○参照「新たな公益法人関係税制の手引」平成 23 年 11 月 国税庁
○参照「新たな公益法人制度の創設に係る印紙税法の取扱い」
*事前質問への回答
Q1 法人移行認可申請にあたり、申請様式作成の重要なポイントを具体的にご教示くださ
い。
A1 特例民法法人が一般法人に移行するには、次の 2 つの移行認可基準を満たす必要があり
ます。
①定款の変更(整備法第 117 条第 1 号)
定款の変更の案の内容が法人法(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)及び
これに基づく命令の規定に適合するものであること。
(注)財団法人の寄附行為は定款とみなす(整備法第 40 条第 2 号)。
②公益目的支出計画の作成(整備法第 117 条第 2 項)
公益目的支出計画が適正であり、かつ、確実に実施すると見込まれるものであること。
特に公益目的支出計画の作成における公益目的財産額の算出、実施事業等の選定は、
重要なポイントとなります。
申請様式作成の詳細につきましては、公益法人 information「申請の手引き移行認可
編(特例民法法人が一般法人への移行認可を申請する場合)」を参照願います。
Q2 移行認可申請、公益認定等審議会への諮問・答申、認可処分、移行登記申請の一連の流れ
の中で、特に注意を要すると思われる事例を、具体的にご教示ください。(例:旧主務官
庁への届出事務、法務局への一般財団法人設立登記申請)
2
2012(平成 24)年度 職員研修会
A2 移行認可申請(電子申請)後、留意する事項は次のとおりです。
(1)法務局事前相談の活用
各法務局により対応が異なることも想定されます。
早期に司法書士等と連携し、移行登記の申請前に、必ず窓口登記相談を受けて準備を
進めてください。
平成 24 年 5 月 18 日○○県の移行登記説明会資料より
移行登記申請の準備は、遅くても県に移行認定・認可申請を提出するまでには、始め
てください。
(2)移行登記の申請
特例民法法人が一般法人への認可を受けたときは、主たる事務所の所在地においては
2 週間以内に、従たる事務所の所在地においては 3 週間以内に、特例民法法人の「解散
の登記」と名称変更後の一般法人の「設立の登記」をすることが必要となります(登記
には一定の書面を添付する)。
(3)登記の年月日
法務局において、登記の申請を受付した年月日が登記の年月日となります。
なお、分かち決算を避けるため等により特定の日(平成 25 年 4 月 1 日など)に移行
登記を希望する場合には、申請時、その旨を申し出てください。
(4)移行登記完了の届出書
「解散の登記」および「設立の登記」をした後、遅滞なく、次の届出先に設立の登記
に係る登記事項証明書(履歴事項全部証明書)添付して届出します。
①行政庁(内閣府、都道府県)へ電子で提出する(「公益法人 information」)。
②旧主務官庁へ書類で提出する。
Q3 平成25年11月末までに認可申請し、平成26年4月1日の法人移行を目指す場合の
注意点について、ご教示ください。
A3
移行申請書の提出件数は、平成 24 年 8 月 31 日現在 11,857 件(約 49%)です。
今後、短期間に多数の申請がありますので、早期の移行申請書提出に努めるとともに
提出後は、法務局事前相談を活用し移行登記の申請準備を進めてください。
また、認可が遅れて平成 26 年 4 月 1 日に登記ができないことに備え、分かち決算の
検討も必要と思われます。
Q4 公益目的財産額、引当金の算出、公益目的支出計画の策定にあたり、各県の公益認定等
審議会において問題になった事例(2000 年計画等)について説明して下さい。
A4 担当官から次の指導を受けたとの情報を得ております。
公益目的財産額の算出において、時価評価が必要ないと思われる出資金について、時
価評価で算出するよう指導を受けた。
また、公益目的支出計画の期間について、できたら 2 桁以内との指導を受けた。
しかし、最近では、着実に実行できる年数と指導が変わった。
Q5 公益法人として認定された事例についてご教示ください。各県公益認定等審議会におい
て、公益認定基準について従来の基準からどのような変更があるのでしょうか。
A5
認定された事例の一つとして、平成 23 年 4 月に勤労者の福祉の向上を基軸とした調
査研究、くらしや老後に役立つセミナーの開催、何でも相談等行っている公益財団法人
があります。
平成 24 年 6 月に事業報告等の提出書類を提出しましたが、認定申請時と同じボリュ
ームの書類作成があり、慣れるまで時間を要するとのことです。
なお、公益認定基準に変更はありませんが、認定作業を進める中で解釈等が柔軟にな
ってきているとの情報もあります。
3
2012(平成 24)年度 職員研修会
Q6 各県の公益認定等審議会(事務局を含む)の動き、特徴についての情報があったら、ご
教示ください。
A6
前記「A4」に記載のとおり、県の担当官により指導が異なるところも見受けられま
す。
申請法人に責任者の異動があるように、主務官庁等にも人事異動があります。申請期
限が近付いてきており、個別相談の活用等により、申請作業を着実に進めてください。
Q7 法人法120条2項や123条4項には「会計帳簿、計算書類及びこれらの附属明細書
は10年間保存しなければならない」とあります。これらの10年間保存義務のある書
類の範囲は具体的にどのようになっているのでしょうか。
会員からの見舞金、医療費補助金、祝金等の申請書等は、保険法の消滅時効の年数が3
年と規定されていることから3年の保存で十分だと考えていますがどうでしょうか。
A7 文書の整理及び保存は、各法人の文書保存規程に基づき管理されますが、法人法の定め
に基づき次のとおりとなります。
(1)10 年間保存義務のある書類の範囲(法人法第 120 条、第 123 条)
①会計帳簿及びその事業に関する重要な資料
②貸借対照表、損益計算書、事業報告並びにこれらの附属明細書
(2)会員からの見舞金、医療費補助金、祝金等の申請書等(保険法)
保険法の消滅時効年数を根拠に 3 年とする考え方があります。
一方、法人法で定める「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」と捉えるかの判
断となります。
給付金支払いの手続き、会計監査等を含め、後日、申請者とのトラブルが生じること
がない管理体制が基本となります。
Q8 移行法人の計算書類について、ここで明らかになった点をご教示ください。
A8
移行認可申請書の作業を先行し、その後、会計業務の作業を行う場合には、計算書類
(貸借対照表および損益計算書)の作成等を含め負担となると聞いています。
また、共済事業の会計区分をどうするかが課題となります。
公益法人会計基準 4.会計区分では「公益法人は、法令の要請等により、必要と認めた場
合には会計区分を設けなければならない。」と定められています。
共済事業の会計区分を「独立」または「その他会計」の一事業区分にするのか、検討
が必要となります。
公益法人会計基準における公益法人について
公益目的支出計画の実施中の一般社団・財団法人が含まれます(整備法第 123 条第 1
項移行法人の義務等)。
Q9 一般財団法人(非営利型)に移行する場合、特例民法法人と大きく異なるのは利子配当
の源泉徴収があることですが、その他税制の面で変わってくることはどんなことがあり
ますか(例:支部交付金の取扱)。
また、そのために管轄の税務署等へどのような手続きを進めたらいいでしょうか。
A9 特例民法法人から一般財団法人(非営利型法人)へ移行することにより税制上の取扱い
は、次のとおり変更となります。
所轄税務署には「異動届出書」を提出します(名称の変更、法人区分の変更)。
(1)源泉所得税、利子割住民税の徴収
①預金利子所得税 15%、利子割住民税 5%
②配当所得所得税 20%
(注)平成 25 年 1 月から平成 49 年 12 月まで、復興特別所得税 2.1%が加算されます。
(2)法人税
①収益事業課税(34 業種)に変更ありません。
②ただし、みなし寄付金の適用はありません。
(注)「新たな公益法人関係税制の手引」(平成 23 年 11 月国税庁)」参照
4
2012(平成 24)年度 職員研修会
(3)法人住民税均等割
①法人道府県民税 2 万円(標準税率)
②法人市町村民税 5 万円(標準税率)
(4)印紙税
受取書(領収書)は、現行どおり非課税となります。
(注)「新たな公益法人制度の創設に係る印紙税法の取扱い」国税庁参照
(5)登録免許税
①設立登記 6 万円
②役員変更登記1万円
(6)固定資産税
内閣府の研修会では、移行時に非課税(減免)扱いであった固定資産は、平成 25 年
度まで継続すると説明されてましたが、市町村により、取扱いが異なることも想定され
ます。
(支部交付金の取扱い)
制度・会計・税制は、それぞれ目的が異なりますので、取扱いが異なる部分も生じま
す。
非営利型法人の定めは、一般法人へ移行した場合の税制上の取扱いとなります。
支部交付金の取扱いについては、税制上、法人組織との一体性(法的一体性と実質的一
体性)を総合的に勘案し、一体性があれば内部取引、一体性なければ外部取引と判断さ
れるものと思われます。
*当日質問への回答
Q1 公益目的支出財産額は、今後ずっと塩漬けにする必要がありますか?例えば財産額が 1
億円として、今後、単年度で赤字が見込まれるようであれば流用しても構わないです
か?(福島県 半谷氏)
A1 3 月末で公益目的財産額が 1 億円だとすると、1 億円に達するまで皆さんは赤字の事業
を実施する必要があります。その財源は、預貯金、会費収入を充当して、単年度赤字が
100 万円なら、1 億円に達するまで 100 年間実施することになります。
資金繰りについて、現在ある預貯金の中から使ってよいかということですが、それは問
題ありません。3 月 31 日現在の預貯金を確定して、それを使ってはいけないということ
ではございません。
Q2 支部交付金について、内部取引と外部取引の場合、税金面にどういった違いがでてくる
のでしょうか?(福島退 佐藤氏)
A2 実態的に、支部が一法人であるところは問題がありません。人格なき社団として存在し
ている場合については、別法人ですから、取り引きが全く第3者と行われているという
ことで、人格なき社団は人格なき社団として、一般財団法人は一般財団法人として税法
上の取扱いを受けることになります。
Q3 支部交付金の件について、退職者支部を持っている場合、本部から支部に助成金や人数
に応じた交付金を渡し、会計については支部の裁量でという団体も多いのでは思われま
す。その場合、利益供与とみなされますか。(秋田県 桑村氏)
A3 非営利性が徹底された法人の3つめの要件に「特定の個人又は団体に特別の利益を与え
ない」とあります。これは税の世界ですから、税務署が判断します。税務署は全国で5
24ありますので、判断が異なる可能性があります。
退職された方が、独立した団体で、会計が別ということですので、考え方としては人格
なき社団に当たると思われます。
5
2012(平成 24)年度 職員研修会
全教互の現状と課題
(1) 各団体のスケジュール
~保険業法・貸金業法の適用除外と一般法人
移行の動向~
全国教職員互助団体協議会
専務理事
仙田 隆宜
1
(2) 引当金の各団体の動向
ア アクチュアリーが算出した引当金を
負債として認めた・・・東北の市町職員
互助組合
イ アクチュアリーが算出した引当金を
負債として認めない
ウ 公認会計士(団体の経理を見ており、
県の認定当委員会の委員でもある。
)
「鹿児島方式」(現職)を使って計算さ
れたものであってもアクチュアリーが
検証したもの(印鑑があれば)であれば、
引当金として認めるという見解
東北への思い
(1) 津波・地震・原発事故
(2) 東北と南島
(3) 陸奥・蝦夷・阿弖流為のこと
(4) 忘れないこと …「東北地方太平洋沖を震源
とする地震と津波。そして、フクシマ」
2
保険業法・貸金業法適用除外に向けて
(3) 公益目的支出計画について
(1) 定款の変更案について
ア 公益目的財産額の確定と各団体の計画
イ 公益目的支出計画の期間と各団体の
計画
・兵庫県の事例…公益法人協会の記事
ウ その他
(2) 配偶者の規定について
【団体が財務局から指摘された特徴的な点】
・配偶者会員は、会員ではなく、給付の権利
だけが残されるという規程にした場合に
は、保険業法の施行令第一条の 4 項の「一
の地方公務員共済組合の組合員がその構
成員又はその親族を相手方として行うも
の」に該当し、適用除外に該当すると判断
される。
・ここでいう「親族」は施行令第一条の二に
おいて、「親族とは配偶者並びに二親等以
内の血族及び姻族に限る」となっており、
事実婚や三親等は親族に該当しないので
注意する必要がある。・・・このことを規
程などに書き込む必要はない。
【配偶者会員取り扱いにおける団体の対応】
《例 1》配偶者を退職互助組合員から組合員
の親族という位置付けにし、その権利に一
定の制限をした。
制限した内容
①本部役員・理事に立候補すること
②総会代議員・評議員に立候補すること
《例 2》会員規定から除外し、
「退職会員の配
偶者で45歳以上の者は、退職会員と相当
額の拠出金を納付すれば、共済事業、その
他の福利厚生事業を受ける権利を有す
る。」という規定を設ける。
(4) 他団体の動向
4
共済組合の「短期給付に関する付加給付
の給付水準等の見直しについて」
(1) 見直しの内容
・一部負担金払戻金(家族療養費附加金、
家族訪問介護療養費附加金)
給料月額 424,000 以上⇒50,000 給料月
額 424,000 円未満⇒25,000 円
・合算高額療養費附加金
給料月額 424,000 以上⇒100,000 円 給
料月額 424,000 円未満⇒50,000 円
・傷病手当金附加金⇒法廷給付期間経過後
6 月以内(附加給付を行っていない場合、
新たな給付を行うこととしない。)
・弔慰金付加金、災害見舞金付加金、結婚
手当金、入院附加金⇒廃止
(2) 見直しの時期
(3) 各互助団体の対策と役割
5 「時効」の規定について(保険法上の問題)
(資料)
(3) 財務局に照会した結果について
保険法と互助団体の規定との関係について
(4) その他
3
1 新「保険法」改正の経緯
(1)新「保険法」の公布…2008 年 6 月 6 日
(100 余年ぶりの本格的改正)
法人移行の取り組みについて
*2012 年 5 月実施「法人移行問題にかかわる実態調査」結果参照
6
2012(平成 24)年度 職員研修会
業者の事業活動のきめ細かい規制あるいは事
業者の自主規制というものが複合的に相まっ
て、我が国の保険、共済に関する消費者保護
が実現されるべきものと考えております
(2)改正の意義・・・山下友信東大教授(保
険法部会長)の衆議院法務委員会での答弁
・この保険法案の意義というのは次に申し上
げます五点に整理することができ、これらの
五点から考えて、保険法案は保険契約に関す
る民事基本法として適切な内容となっている
ものと考えるものでございます。
・第五点でございますが、保険契約と共済契
約の一元的な規律でございます。
商法は、営利を目的とする保険者の行う保
険契約が本来的な適用対象でございまして、
ただ、制定当時から営利を目的とするもので
はございませんが、相互保険会社の行う相互
保険にもこれを準用するものとしておりま
す。しかし、共済というのは非営利の制度で
ございますから、共済契約について法律規定
は従来存在しない、例外を除きまして存在し
ないということになっておりました。もっと
も、商法の学説といたしましては、共済も保
険と同じような大数の法則などの保険技術を
用いて運営され、契約内容も保険契約と実質
的に変わらないものについては、解釈上、商
法の規定が原則的には類推適用されるのが一
般的であります。
保険法案は、保険そのものの定義は明文化
しておらず、解釈にゆだねておりますが、実
質が保険に当たるものを契約として行う限り
では、保険契約であれ、共済契約であれ、一
元的に適用されるものとしております。これ
は、実質が保険契約である限り同じルールを
適用して契約者の保護などを図る必要がある
ということ、それから、共済が今日非常に盛
んに行われるようになり、これについての契
約法がないということは適切でないという判
断によるものでございます。
共済事業サイドからは、非営利主義で運営
されることや、組合員自治が行われているこ
となどの特質がよく挙げられますが、このよ
うな特質に基づく契約上の規律を必要以上に
制約することにはなっていない、そういうの
が保険法案の内容であるというふうに考えて
おります。また、共済事業に関する行政的な
監督につきましては、保険法案の適用とは別
問題であるという整理がされているところで
ございます。
以上の五点が、私が保険法案の意義として
考えているところでございますが、保険法案
が保険及び共済に関する消費者保護などの課
題をすべて解決できるものかといえば、そう
ではないと思います。保険法案は、民事の基
本法としての性格から、すべての保険・共済
契約に適用される契約ルールを規定すること
になるのでございまして、そのような保険法
案と、保険業者及び共済事業者の行政的監督
を行う保険業法や、各種協同組合法による事
2
新「保険法」の規定
(趣旨)
第一条 保険に係る契約の成立、効力、
履行及び終了については、他の法令に定
めるもののほか、この法律の定めるとこ
ろによる。
(消滅時効)
第九十五条 保険給付を請求する権利、
保険料の返還を請求する権利及び第六
十三条又は第九十二条に規定する保険
料積立金の払戻しを請求する権利は、三
年間行わないときは、時効によって消滅
する。
2 保険料を請求する権利は、一年間行
わないときは、時効によって消滅する。
3
新「保険法」の効力
保険法は「任意規定」「絶対的強行規定」
「片面的強行規定」で構成されています。
任意規定はそれに反する約款の条文があっ
ても契約は無効とならない。絶対的強行規定
はそれに反する条文の約款は無効。一方、片
面的強行規定とは契約者・被保険者に有利な
内容であれば保険法の条文に反する内容でも
約款は無効とならないものです。
消滅時効は「絶対的強行規定」となってお
り、従って、この規定より短い消滅時効の年
数は無効ということになります。
6
役員賠償責任保険について
(1) 制度の趣旨
平成 20 年 12 月 1 日に施行された「一般
社団法人及び一般財団法人に関する法律」
の施行により、財団法人・社団法人の役員
の法律上の賠償責任が明確化されていま
す。このことにより法人の役員が訴訟され
た場合のリスクをカバーする「財団法人・
社団法人向け」役員賠償責任保険の団体制
度(全教互プラン)を整える必要があるた
め。
(2) 制度の特色
①財団法人(社団法人)専用でシンプルな
補償内容とする。
②全教互加盟団体専用の加入しやすい保
険料水準とする。
(金額については協議中)
③団体契約のため手続きは簡便にする。
7
2012(平成 24)年度 職員研修会
(3) 制度の仕組み
義務等に違反し、法人に損害を与えた場
合に、法人が損害賠償を求める訴えを提
起するもの。
①保険契約者
全国教職員互助団体協議会
②加入者
会員法人(※退会された場合には、退
会翌年度からは団体制度には加入でき
ず一般契約に移行することとする。
)
③被保険者
加入者(記名子法人がある場合はその
子法人)の全ての役員(一般社団・財団
法人法に規定される理事・監事および評
議員)※会計監査人は含みません
④てん補限度額 5,000 万・1 億円・3 億円
の 3 パターンから選択
⑤免責金額
なし
⑥縮小支払割合 100%
⑦付帯特約
訴訟対応費用担保特約条項・先行行為
担保特約条項
<財団法人>訴訟対応費用担保特約条
項・財団法人特約
<社団法人>株主代表訴訟担保特約条
項・社団法人特約・会社訴訟一部担保特
約条項(社団法人用)・損害賠償請求時
点の解釈に関する特約条項
※「会社訴訟一部担保特約条項(社団法人
用)」の付帯により、社員の提訴請求に基
づく法人訴訟は対象となりますが、社員か
らの提訴請求に基づかない法人訴訟は免
責となりますので注意する必要がある。
7
その他
(1) 明治安田生命との覚書の件(資料⑤)
・現職の責任準備金計算について、団体が
「鹿児島方式」で算出した額を検証する
場合の費用について覚書を交わした。
(2) 指定旅館連盟への理解と協力について
・入会金を 15,000 円から 0 円。年会費を
30,000 円から 25,000 円に減額
・各ブロック、各団体で独自の制度があっ
ても各施設に対して、「全教互指定旅館
制度」の紹介をお願いしたい。(2012 年
4 月現在 156 館)
・・・ブロック・団体
以外の会員の利用にメリットがある。
(3) 2012 年度人事院勧告
(4) 補償内容の説明
(4) 国家公務員の退職手当の支給水準引下げ
等について
法人の役員が、役員としての業務につき行
った行為(不作為を含みます)に起因して、保
険期間中に損害賠償請求を提起された場合
において、法律上の損害賠償責任・争訟費用
を負担することによって被る損害に対して
保険金を支払う。
*役員の第三者に対する責任
(財団法人・社団法人共通)
・第三者訴訟
社団法人や財団法人の役員が第三者(取
引先等)に損害を与えた場合に、第三者
が民法第 709 条や一般社団・財団法人法
第 117 条を根拠として損害賠償を求める
訴えを提起するものです。
*役員の法人に対する責任
(社団法人のみ対象)
・社員代表訴訟
社団法人の役員が善管注意義務や忠実
義務等に違反し、法人に損害を与えた場
合に、社員が法人に代わって役員に対し
て損害賠償を求める訴えを提起するも
の。
・法人訴訟
社団法人の役員が善管注意義務や忠実
若者の雇用事情について
全教互 生活設計専門委員
東北福祉大学 教授 園田
洋一
はじめに
1.社会経済構造の変容と
雇用システムの変遷
①日本的雇用慣行の動揺
②就業形態の多様化
③非正規労働者の増加
2.若者の働き方と就労意識の変化
①フリーターと二―トの出現
②若者の雇用危機の顕在化と広がる不安
③学校から職場に移行する過程での諸問題
3.若者の雇用問題に対する対策と展望
①若年者雇用の不安定化と社会問題の深刻化
②行政の対策と企業の動き
③若者の中に見られる「働く」をめぐる胎動
おわりに
8
2012(平成 24)年度 職員研修会