Brain attack から脳を守るための研究

Brain attackか ら脳 を守 るための研究
I
これ ら今までに存在 しなか った全 く新 たな脳 へ対す る新 た
試 験 研 究 の 全体 計 画
な治療法 の開発 に関す る基礎研究 とともに脳血管 の特殊性
1.研 究の趣 旨
これまで,脳 の血管異常 に基 づ き発症す る脳 の突発性 な
疾患 ,脳 卒中 (脳 梗塞,脳 出血 )に 対 しては代謝を妨げる
性期診断法 の開発 も重要である。 これ らブ レイ ンア タック
非生理的 な循環環境 の改善 こそが急性期治療戦略 のすべて
クか ら脳 を守 るための新 たな予防・ 診断/治 療・ 再生を含
であると考 え られ,そ のためには循環器病制圧 という基本
的概念 に基 づ く治療戦略が進め られてきた。しか しながら
めた総合的な対抗戦略を確立 させ ることが本研究課題 の 目
標である。社会か らブ レイ ンア タックによる “
寝 たきり患
長 い問 ,動 脈硬化を促進するといわれている リスクフ ァク
ターの回避 とい う予防的治療手段が最 も有効 であ り,そ れ
者"を な くす ことが本研究 の 目指す ところである。
に勝 る画期的 な急性期治療法が出現 して こなかった。すな
2.研 究概要
1.脳 機能及び脳 の病態生理 に関す る研究
,
わち,発 症後 の脳卒中 はその殆 どが回避不可能 な脳 の永久
に基 づ く病態 の解明,お よび先端技術を用 いた脳疾患 の急
に関わる各先端研究分野を強力 に推進 し, ブレイ ンアタッ
的な傷害 として帰結 していた。
脳 の血流障害 に起因す る脳障害 か ら脳を守 るため,(1断
しか しなが ら近年 ,薬 剤を用 いた血栓溶解療法 の有効性
たな脳機能 の画像化,(2)脳 神経細胞 の生存能調節機構 の解
が欧米 にて示 され,長 い問不可能 と考え られてきた脳卒中
急性期治療 へ の第一歩 が示 された。 それに伴 い,高 血圧性
(1)新 たな脳機能 と脳病態 の画像化 に関す る研究
頭蓋内出血や破裂脳動脈瘤 によるクモ膜下出血 という一部
の疾患以外 ,今 までは急性期治療 が軽視 されてきたともい
① 脳 の高次機能画像化 に関す る研究 (明 治鍼灸大学 MR
セ ンター)
明,中 枢神経再生能 の解明 に関す る研究を行 う。
える脳卒中 という疾患 において,急 性期 の治療 こそが予後
今まで評価が困難であ った脳 の高次機能 の変化 や脳病態
を大 きく左右 させ るものであ り,発 症直後よりの適切な診
像を新 たな画像技術を用 いて明 らかにす るための研究を行
断 と治療 ,す なわち,心 臓で知 られて い るところのハー ト
う。
アタックに対す る対抗手段 の如 きに脳に於 いて もブレイン
アタ ックに対す る専門的な診断 と治療 が欠かせないとい う
ア.MRSI法 を用 いた脳代謝 マ ッピング技術 の確立。
イ.fMRI技 術を用 いた言語や視覚刺激に対す る脳 高次機
社会的な新 たな認識 が求 め られる様になった。脳卒中 は
今やハ ー トアタックに匹敵す る プレイ ンヘ のアタックであ
能 の応答性あるいは局所賦活状態 の解析。
り,一 刻 も早 く診断 し,そ してより有効 な治療を開始 しな
態 の画像評価 による脳活動 に伴 う局所脳循環 の変化 の解析。
ければな らな い疾患である。
この ブレイ ンアタ ックとは,言 うまで もな く脳 と血 管 の
②
,
ウ。MR脳 潅流画像法/拡 散係数画像法を用 いた脳潅流状
月
出血管障害超急性期診断法 と病態画像 に関す る研究
(国 立循環器病 セ ンター)
病気 であ り,新 たな治療法開発 のために は,血 管 と脳 の双
方 へ働 きかける ことが重要である。近年 ,動 脈硬化性血管
の臨床応用を行 うとともに,animal PETを 用 いた急性期
病変 に関す る研究成果ばか りではな く,脳 に関す る科学分
病態画像 の解析 を行 う。
野 は目覚 ま しい発展を遂げている。中枢神経 の再生 と機能
ア.Diffusion MRIと harmonic imaging法 を (神 経超
再建 という全 く新 たな科学領域 が生 まれ,不 可能 と思われ
音波技術 による脳循環画像化 )に よる超急性期脳血管障害
た神経回路網 の再生 に関す る研究あるいは,成 熟神経細胞
へ の分化を示す ことの可能な神経幹細胞に関す る基礎的研
病態迅速評価法 の検討
究 が始 め られて い る。また一方 ,神 経細胞 に内在す る生あ
るいは死 へ の制御 に関 わる細胞内 カスケー ドの実態 が明 ら
depression(SD)の 発生確認 とその虚血脳 に及 ぼす影響
か とされつつある。さらに脳虚血等 の様 々なス トレスに対
ウ.PET,SPECT,3T―
す る脳 という臓器 の抵抗性 の増強現象 が明 らかとなりつつ
と知 的機能初期傷害 の評価
あ り,現 在 では,脳 の生存能を如何に高めるかという基礎
(2
実験が行われて い る。また近年注 目されるようにな った低
脳温療法 において も脳血管障害性疾患 に対す る有効性や治
① 外因子 による脳保護機能 の評価 と脳神経生存能強化機
構 に関する研究 (国 立循環器病 センター,下 記 ア.イ .担
療適応 は今 後明 らかにされねばな らない重要 な課題 である。
当)(京 都大学 ウイルス研究所,下 記 ウ.担 当))
急性期診断技術 の開発 に資す るため,DiffusiOn MRI
イ.Animal
PETに
よ る霊 長 類 大 脳 で の spreading
の検討。
―-596-―
fMRIを 用 い た潜 在 的 脳 循 環 傷 害
脳神経細胞生 存能調節機構 の解 明 に関 す る研 究
ア.神 経系幹細胞 の 自己複製 と分化 に関す る分子機構 の解
脳血流障害 に起因す る脳障害 に対す る新 たな神経防御技
術開発 のため,脳 神経細胞,ア ス トロサイ ト,あ るいはそ
析
れ らを取 りま く情報伝達系 に内在すると考え られて い る神
イ.神 経系幹細胞 を虚血脳へ移植 した際 の移動・ 分化 の解
経細胞生存能調節機構解明 に関す る研究を行 う。
ア.脳 梗塞耐性機能発現動物 モデルの確立
析
③
イ。神経栄養因子 および脳低温状態 の有す る脳保護効果 の
よる治療法 の開発 に関す る研究
解析。
ア.損 傷神経 の生存・ 再生促進因子 の遺伝子検索
ウ.TRX super family等 生体内防御因子 の脳神経細胞保
イ。遺伝子導入 による損傷神経 の生存・ 再生促進 の評価
護効果 の評価。
2.脳 神経障害 の原因 となる脳血管障害発生機構 の解明 に
② 低脳温 の果 たす神経保護効果 の至適条件解明 と臨床応
用技術開発 に関す る研究 (国 立循環器病 センター,下 記 ア
イ.担 当 )(秋 田県立脳血管研究 セ ンター,下 記 ウ.担 当 )
.
低脳温 を脳保護治療 として確立 し,新 たな医療技術開発
損傷神経 の生存・ 再生促進因子 の同定 と遺 伝子導入 に
関す る研究
脳 の血管障害 に起因す る脳神経障害か ら脳を守 るため
脳神経障害 の原因 となる脳血管障害発生機構 の解明 に関す
,
る研究を行 う。
のため,低 脳温 の神経 な らびに脳血管保護効果発現機構を
(1)脳 血管 の病態成立機構 に関す る研究
解明す るとともに薬剤を用 いた新 たな治療方法 の評価
ア.MRSを 用 いた虚血巣温度測定技術 の評価 と虚血後高
①
脳温 の検討。
(京 都大学,下 記 イ.担 当)
脳血管障害 に於 ける炎症性内因子 の病態成立 に果 たす
役割 に関す る研究 (国 立循環器病 センター,下記 ア.担 当),
新 たな脳血管保護治療技術 の開発 に資す るため,脳 血管
イ.低 脳温 の脳保護機構 の解明及 び低脳温療法 の有効性 と
安全性 の評価
の障害成立 における炎症性内因子 の関与 を解明す る。
ウ。重症脳血管障害患者 の低脳温療法時 における PETに
ア.モ ノサイ ト系細胞 の活性化 と血管収縮能 の獲得 に関す
よる脳循環代謝の評価。
る作用機序 の解明 を行 う
イ.脳 血管障害 の成因 において細胞外 マ トリックスの果 た
虚血 の神経細胞 における死および生 存へ の シグナル伝
達機構 の解明 (国 立循環器病 セ ンター)(下 記 ア.担 当),
③
す役害1の 評価を行 う
閉塞性脳血管障害 の病態解明 と新 たな治療技術開発 に
関す る研究 (国 立循環器病 セ ンター)閉 塞性脳血管障害 の
東京大学 (下 記 イ。担当 )
ア.神 経細胞 アポ トーシス解析 による神経細胞死 の分子機
②
構 の解明
治療を目的 とした脳 および血管障害治療技術 の発展 に資す
イ。神経細胞 の生存能促進 による脳保護効果 の検討
④ 神経栄養因子様低分子化合物 の開発 と創薬 へ の応用
るため,閉 塞性脳血管障害成立 に果 たす脳血管保護 (障害)
(大 阪 パ イオサイエ ンス研究所 )
因子お よび血管壁増殖 (修 復 )因 子 の役割 を解明す る。
ア.閉 塞性血管病変 に於 ける脳血管保護 (傷 害 )因 子 の解
ア.神 経栄養因子様化合物 の細胞 および個体 レベルでの評
明 と新 たな治療法基礎技術 の開発
価。
イ.脳 血管壁傷害 に於 ける増殖 (修 復 )機 構 に関す る研究
イ.神 経栄養因子様化合物 の細胞内受容体 の探索。
3.年 次計画
13)中 枢神経再生能解明 に関す る研究
①
本 プ ロジェク トでは,Brain attackか ら脳 を守 るため
機能的神経伝導路 の再構築機構解明 に関す る研究 (京
の新 しい治療,予 防戦略を確立す ることを目標 とす る。
都大学医学部 )
めの研究を行 う。
第 I期 (前 期 3年 間 )で は脳機能 と脳病態 の画像化 に関
す る研究 として,脳 機能画像技術 の高度化 ,脳 の可塑的変
ア.神 経突起 マーカーを用 いた神経再生至適 グ リア環境 の
化 の画像化 による評価,脳 血管障害超急性期診断法 の高度
解析
イ.神 経線維 の離断後 の新 たな架橋及 び神経 シナプス形成
化 を進めた。脳神経細胞生存能調節機構 の解明 に関す る研
究 としては,神 経栄養因子活性 の脳保護機能 の評価及 び脳
の解析
神経生存能強化機構 に関す る検討を行 い,低 脳温治療技術
ウ.神 経移植 を用 いた神経線維再生誘導実験及 び機能的回
の高度化 を進めた。中枢神経再生能 の解明 に関す る研究 と
復 の証明
しては,中 枢神経伝導路再構築 の証明を行 った。脳神経 と
脳血管 との相互作用 に関す る研究 としては,血 管作動性 ペ
損傷 を受 けた神経伝導路 の再構築機構 を明 らかとす るた
②
神経幹細胞 を用 いた中枢神経機能再生 に関す る研究
プチ ドの脳血管修復機能 の評価,単 球系細胞あ るいは酸化
(京 都大学医学部 )
における解析 とヒト由来幹細胞 の分離・ 培養 とその解析 を
LDLの 脳血管障害機構 の解明 を進 めた。血管壁障害機構
の解明 に関す る研究 としては,脳 血管壁障害成立 に果 たす
行 う。
局所性 ス トレスの機序 の解明を進 めた。
ラッ ト海馬由来神経系幹細胞 の in vitroお よび in vivO
―-597-―
第 Ⅱ期 (後 期 2年 間)で は脳機能 と脳病態の画像化に関
する研究として,① 臨床応用可能な高次脳機能の画像評価
技術の開発を目指 し,②新 たな脳機能障害の評価法の確立
を行う。脳神経細胞生存能調節機構の解明に関する研究と
しては,①脳神経生存能強化に関わる制御因子の解明,②
薬物による新たな脳保護療法の開発 と低脳温療法の脳血管
障害患者における有効性の解明,③ 虚血後の神経細胞にお
ける生あるいは死への情報伝達機構の解明,お よび④神経
栄養因子様低分子化合物の虚血性神経細胞死抑制効果の有
究
研
項
無とその機構 の検討を行 う。中枢神経再生能 の解明に関す
る研究 としては,① 機能的回復 を伴 う中枢神経伝導路再構
築の証明を行 う。②神経系幹細胞 の自己複製 と分化 に関す
る遺伝子 の単離および神経系幹細胞移植 による中枢神経機
能改善 の証明を行 う。③遺伝子導入 によ り損傷神経細胞 の
生存や再生の促進 を試み,新 たな治療法の可能性 を検討す
る。低脳神経障害の原因 となる脳血管障害発生機構 の解明
に関する研究では,①新 たな脳血管障害因子 の解明,②閉
塞性血管障害 に対す る新 たな治療技術 の開発 を行 う。
9年 度
目
H年 度
10年 度
13年 度
12年 度
脳機能 および脳 の病態生理 に関する研究
(1)新 たな脳機能 と脳病態 の画像化 に関す る研究
①
脳 の高次機能画像化 の技術開発
ア。MRSI法 を用 いた脳代謝 マ ッピング技術 の確立
脳代謝 マ ッピ グ技術 の確立
脳高次機能 の新 たな画像化技術 の開発
イ.fMRI技 術 を用 いた脳高次機能 の解析
脳潅流や拡散強調画像 の高度化
ウ.MR脳 潅流画像法を用 いた脳潅流状態 の画像評
価
② 脳血管障害超急性期診断法 と病態画像 に関す る研
1
nal PETに
ウ.PET,SPECTを 用 いた潜在的脳循環傷 と知 的
,
澄血脳 に及 ぼ
PETを 用 い た spreadingdepression
(SD)の 検討
な影
イ .Animal
超急性1期 病態評価法 の検討
l
nの
Aそ
究
ア.Diffusion MRIを 用 いた超急性期脳病態評価
の検討
1 の SD発1生 曜認 と
1で
1
PET` SPECT, 3T fMRIを 用 い ヒ脳診断技術 α)高 度化
機能初期傷害 の評価
(a
①
脳神経細胞生存能調節機構 の解明 に関す る研究
外因子 による脳保護機能 の評価 と脳神経生存能強
化機構 に関す る研究
脳梗塞耐t 機能発現 モ
ア.脳 梗塞耐性機能発現動物 モデルの確立
イ.神 経栄養因活性及 び脳低温状態 の虚血性脳傷害
抑制能 の評価
神経栄養因子活性及び脳低温状態の虚血性脳神経傷害抑制能の評価
│
ウ.ADF等 生体内防御因子 の脳神経細胞保護効果
ルの確立
AD
│
│
等生体内防御因子 の神経細胞保護効果 の評価
発現 に関す る研究
②
低脳温 の果 たす神経保護効果 の至適条件解明 と臨
床技術開発 に関す る研究
に よ る低 脳 洒l療法 技 術 の高
ア.MRSを 用 いた虚血巣温度測定技術 の検討
イ.脳 梗塞 に対す る低脳温 の有効性 と安全性 の評価
ウ.脳 血管障害重症例 に対す る PETに よる循環代
催1脳 温による脳保護機構及 び至適条件 の解明
IPETに よる低脳温療法中の脳循環代謝の解nJl
謝 に関す る研究
③
虚血後 の神経細胞 における死および生存 へ の シグ
ナル伝達機構 の解明
ア.神 経細胞 アポ トーシス解析 による神経細胞死 の
分子機構 の解明
イ。 内在性神経生存 シグナル促進 による脳保護効果
の検討
―-598-―
雌 神経細胞死 アポトーシス依
…
神経細胞生存シグナル促進
による脳保護効果の検討
研
究
項
9年 度
目
H年 度
10年 度
13年 度
12年 度
④ 神経栄養因子様低分子化合物 の開発 と創薬 へ の応
用 に関す る研究
ア.神 経栄養因子様化合物 の細胞および個体 レベル
合 物 の神経
評価
の
,
新規低分子化合物の細胞
内受容体の探索
での評価
イ.神 経栄養因子様化合物 の細胞内受容体の探索
0)中 枢神経再生能解明に関す る研究
① 機能的神経伝導路 の再構築機構解明に関する研究
における
ア.神 経突起 マーカーを用 いた神経再生至適 グ リア
環境 の解析
グ リア
神経修復機構 の1解 明
イ。神経線維 の離断後 の新 たな架橋および神経 シナ
プス形成 の解析
の証明
神経移│直による神経再生・
ウ.神 経移植 を用 いた神経線維再生誘導実験及 び機
能的回復 の証明
神経系幹細胞 を用いた中枢神経機能再生 に関す る
②
研究
自己複製
ア.神 経系幹細胞 の 自己複製 と分化 に関す る分子機
構 の解析
分化関連因 子の単離
:
こよ る
イ.神 経系幹細胞 を虚血脳 へ移植 した際 の移動・ 分
化 の解析
③
損傷神経 の生存・ 再生促進因子 の遺伝子検索
ア.損 傷神経 の生存・ 再生促進因子 の遺伝子 の検索
の
1子 導入 による損傷
存・ 再生促進 の評
イ.遺 伝子導入 による損傷神経 の生存・ 再生促進 の
評価
脳神経障害 の原因 となる血管障害発生機構 の解明 に関
す る研究
(1)脳 血管 の病態成立機構 に関す る研究
①
脳血管障害 に於 ける炎症性内因子 の病態成立 に果
モ ノサ ´
イ ト系細胞 のた
ξ性化 と血管晰〔
縮能 の獲得 に関す る
卜る研究
作用機 亨の解析 に関」
たす役害1に 関す る研究
に関す る作用機序 の解析
‐
脳血管障害の細胞外マ トリックスの果 たサ役割の解明
│
イ.脳 血管障害 の成因 において細胞外 マ トリックス
②
│
,
ア.モ ノサイ ト系細胞 の活性化 と血管収縮能 の獲得
│
の果 たす役割 の評価
閉塞性脳血管障害 の病態解明 と新 たな治療技術開
閉塞性血管病i変 に於ける脳IL管 保護 (障 是 )因 子の
解明 と新 たな治療法の開発 │
発 に関す る研究
ア.閉 塞性血管病変 に於 ける脳血管保護 (障 害 )因
子 の解明 と新 たな治療法 の開発
イ.脳 血管障害 に於 ける増殖 (修 復 )機 構 に関す る
│
│
│
脳血管障害 に於ける増殖 (修 復 )機 オ
韓の解明
研究
所 要 経 費 (合
計)
165百 万円
―-599-―
167百 万円
181百 万円
180百 万 円
4.平 成 12年 度 における達成 目標
とアデノウイルスを用 いたマ ウス局所脳虚血 モ デルヘ の
4.1
導入 および脳梗塞抑制効果 の検討。
脳機能および脳 の病態生理 に関す る研究
(1)新 たな脳機能 と脳病態 の画像化 に関す る研究
①
④
脳 の高次機能画像化 に関す る研究
神経栄養因子様低分子化合物 の開発 と創薬 へ の応用 に
関す る研究
_
013Cに よる MRSI法 を ラ ッ トに用 いた脳代謝 マ ッ ピン
・ 細胞及び個体 レベルでの虚血性神経細胞死抑制手段 とし
グ技術 の検討。 lHを 用 いた脳血管障害患者 の グル タ ミ
ての神経栄養因子様低分子化合物 の評価 ,及 び神経栄養
因子様化合物 の科学構造 の最適化を細胞 レベルの実験系
ンー グル タ ミン酸比 および糖 の測定。fMRIを 用 いて
,
一次運動野 と補足運動野を画像化 し,脳 血管障害による
運動野領域 の障害 と比較検討す る。および実験的脳虚血
中心部 (core)へ のカルシウムの流入過程を Mn造 影法
を用 いた画像化 にて解析す る。
を用 いて行 う。
13)中 枢神経再生能解明 に関す る研究
① 機能的神経伝導路 の再構築機構解明に関す る研究
・ 再生性軸索周囲環境 のタンパ クおよび遺伝子発現変化の
②・ AnimalPETを 用 い,サ ル大脳皮質に脳虚血下あ るい
は非虚血下 に SDが 発生す るか否 かの検討。 harmonic
imaging法 (神 経超音波技術 による脳循環画像化)の
制度 の検定および DiffuslonMRIと の比較。深部白質病
変を有する無症候性脳梗塞例 の潜在的脳循環不全と高次
脳機能障害 に関す る登録追跡調査を行 う。また,fMRI
解析。成熟 ラットの脊髄完全切断後胎仔脊髄組織移植時
の局所至適環境 の検索。 ブタ胎仔を用 いてグ リオーシス
に影響を与える脊髄伝導路 の再生誘導因子の解析を行 う。
② 神経系幹細胞を用 いた中枢神経機能再生 に関す る研究
・ シグナルシークエンス トラップ法で得 られたクローンの
法による前頭葉機能障害の初期変化を捕 らえる方法を検
解析,全 長 cDNAの 決定 ,抗 体 の精製。虚血 モ デ ルの
脳内へ の幹細胞移植 な らびに移植細胞 の生着・ 移動・ 分
索す る。
化 の検討。 ヒト脳由来幹細胞 の分離・ 培養 とその解析。
(2)脳 神経細胞生存能調節機構 の解明に関す る研究
③
① 外因子 による脳保護機能の評価 と脳神経生存能強化機
構 に関する研究
の開発 に関す る研究
・ 新 たなマ ウス脳皮質型脳梗塞 モ デ ルの作成。 Spreading
Depression性 ス トレス後 のマウス脳 の脳梗塞抵抗性 の
②
・ 損傷神経特異的 cDNAラ イ プラ リー を用 い,生 存・ 再
生に関わる新規分子の探索 を行 う。また, ウイ ルスベ ク
ターを用い,得 られた候補遺伝子 を実験動物 に導入 し
,
有無 の検討。 ラッ ト脳梗塞耐性 モデルでのス トレスタン
パ クおよび神経栄養因子発現変化 の解析。 ラッ ト局所永
4 2
久脳虚血 に対す る低脳温療法 の検討。市而に於ける TRX
super familyの 神経幹細胞活性化あるいは抗動脈硬化
明 に関す る研究
(1)脳 血管 の病態成立機構 に関す る研究
作用 の解析。
①
低脳温 の果 たす神経保護効果 の至適条件解明 と臨床応
用技術開発 に関す る研究
損傷後 の生存・ 再生 における効果 を評価す る。
脳神経障害 の原因 とな る脳血管障害発生機構 の解
脳血管障害 に於 ける炎症性内因子 の病態成立 に果 たす
役割 に関す る研究
●マ クロファージか ら遊離 される血 管収縮物質 の単離・ 精
製・ cDNAク ローニ ング。 モノサイ トを分化 させ る内因
性物質 の単離・ 精製・ cDNAク ローニ ング。脳動脈瘤形
・ 神経 ,内 皮 , グリア混合培養系 において低温お よび高温
の細胞生存能 に与 える影響 の検討 , ラット視床下部限局
性虚血 モデルの体温 と神経症状 との関連 の検討 ,心 原性
梗塞以外 の脳血管障害患者 の体温変化 の解析 ,MRSを
(MMP-2,
MMP-9)活 性 の測定お よびその抑制因子 であ る TIMP
用 いた脳梗塞患者 における脳局所温度 の経時的変化 の解
-2を アデノウイルスによる遺伝子導入 を用 いて過剰発
析 ,脳 梗塞患者 における低脳温療法 の全国多施設共同無
現 させる試みを行 う。
作為対照試験 の開始。 および脳梗塞,脳 出血, クモ膜下
③
生存・ 再生促進因子 の同定 と遺伝子導入 による治療法
成過程 における細胞外 マ トリックス分解酵素
閉塞性脳血管障害 の治療法基礎技術 の開発 に関す る研
②
出血重症例 に対 す る低脳温療法時 の脳循環代謝測定 によ
究
る脳保護機構 の解明。
・ クモ膜下出血後 の脳血管攣縮 モデルの作製 および選択的
虚血後 の神経細胞 に於 ける生 と死 へ のシグナル伝達機
構 の解明 に関す る研究
・ 各種 MAPキ ナーゼ阻害剤 およびカスパ ーゼ阻害剤 の虚
血 に対す る神経保護作用 の検討 。 MEKl選 択的阻害剤
の ERK活 性化 と虚血性脳障害 に及 ぼす影響 を調 べ る。
また,生 存増強型 シグナル伝達分子 の細胞内機構 の解明
-600-―
Thrombin inhibitorの 血管撃縮抑制効果 の検討 , アデ
ノウイルスを用 い た bFGFの 脳槽 内投与 によ る脳血流
量 の変化 の検討,各 種神経 ペプチ ドの血管壁で の NOお
よび各種 サイ トカイ ン産生 へ の影響および これ らペプチ
ドの分泌動態 の解析。
Ⅱ 平成 12年 度 における実施体制
研
究
項
目
担
当
機
関
研究担当者
1.脳 機能および脳 の病態生理 に関す る研究
(1)新 たな脳機能 と脳病態 の画像化 に関す る研
究
明治鍼灸大学 MRセ ンター
① 脳の高次機能画像化の技術開発
② 脳血管障害超急性期診断法 と病態画像に 厚生省国立循環器病 セ ンター
関する研究
田
中 忠
蔵
峰
松
一
夫
(21 脳神経細胞生 存能調節機構 の解明 に関す る
二 司 章 之 武 軒 実
広 淳 博 信 尚 由 託
秋田県立脳血管障害研究 セ ンター
③ 虚血後の神経細胞における生と死のシグ 厚生省国立循環器病 セ ンター
東京大学分子細胞生物学研究所
ナル伝達機構の解明に関する研究
神経栄養因子様低分子化合物の開発 と創 働大阪バ イオサイエ ンス研究所
解 明 と臨床応用技 術開発 に関す る研究
本 井 冨 井 村 藤 藤
① 外因子による脳保護機能の評価と脳神経 厚生省国立循環器病 セ ンター
京都大学 ウイルス研究所
生存能強化機構に関する研究
② 低脳温の果たす神経保護効果の至適条件 厚生省国立循環器病 セ ンター
柳 淀 成 安 名 後 佐
研究
④
薬 へ の応用に関す る研究
G)中 枢神経再生能解明 に関す る研究
① 機能的神経伝導路 の再構築機構解明に関 京都大学大学院医学研究科・ 医学部
川
口 二
郎
高
橋
淳
木
山 博
資
する研究
② 神経系幹細胞 を用 いた中枢神経機能再生 京都大学大学院医学研究科・ 医学部
に関す る研究
③
損傷神経 の生存・ 再生促進因子 の遺伝的 旭川医科大学解剖学第一
検索
2.脳 神経障害 の原因 となる血管障害発生機構 の
生 夫 泉 治
―-601-―
知 信 賢
療技術開発 に関す る研究
崎 本 田 川
① 脳血管障害に於ける炎症性内因子の病態 厚生省国立循環器病 セ ンター
京都大学大学院医学研究科
成立 に果 たす役割 に関す る研究
② 閉塞性脳血管障害の病態解明 と新 たな治 厚生省国立循環器病 セ ンター
員 橋 永 寒
解明 に関す る研究
(1)脳 血管 の病態成立機構 に関す る研究
リエ ゾン会議
Ⅲ
委
○菊
員
池
晴
所
属
国立循環器病 セ ンター名誉総長
彦 厚生省
川
回 二
寒
サ
‖ 賢 治
厚生省
東京大学
郎 京都大学
大学院医学研究科・ 医学部認知行動脳科学講座教授
国立循環器病 セ ンター研究所生化学部部長
後
藤
佐
藤 託
実 働大阪バ イオサイエ ンス研究所 神経科学部門研究員
高
橋
淳
京都大学
田
中 忠
蔵
明治鍼灸大学
永
田
泉
厚生省
名
村
尚 武
厚生省
国立循環器病 セ ンター脳血管外科部門部長
国立循環器病 セ ンター研究所放射線医学部室長
成
冨
博
厚生省
国立循環器病 セ ンター内科脳血管部門部長
橋
本
信
員
崎 知
峰
松
一
夫 厚生省
安
井
信
由季子
章
夫 京都大学
生
厚生省
分子細胞生物学研究所細胞工学研究分野助教授 (PRESTさ きがけ研究員 )
大学院医学研究科・ 医学部脳神経外科学講座助手
MRセ
ンター長
大学院医学研究科・ 医学部脳神経外科学講座教授
国立循環器病 セ ンター研究所前所長
国立循環器病 セ ンター内科脳血管部門部長
柳
本
広
之 秋田県立脳血管研究 セ ンター 脳神経外科研究部部長
二 厚生省 国立循環器病 セ ンター研究所脳血管障害研究室長
淀
井
淳
司 京都大学
ウイルス研究所生体応答学研究部 門教授
(注 :○ は研究管理統括者)
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