薄膜ウォームキャリ ア赤外レーザー光検出素子の試作

(284)
薄膜ウォームキャリァ赤外レーザー検出素子の試作
昭和60年3月
レーザーオリジナル
薄膜ウォームキャリア赤外レーザー光検出素子の試作
原川健一*・安岡義純*・蒲生健次**・難波 進**
(1985年2月7日受理)
Fabrication of Thin−Film Warm−Carrier Infrared Laser
Detectors
Ken−lchi HARAKAWA*,Yoshizumi YASUOKA*,Kenli GAMO**
and Susumu NAMBA**
(Received February7,1985)
The thin−film warm carrier device which has a O、1μm−diam pinhole electric contact was魚bricated by
electron beam Iithographic methodassociated with ion−beams。
Thedetectedpropertiesfヒ)rCO21aserradiationweremeasured.Averyclearantennapattemwasobtained
fbr an electric field polarized in the plane ofincidence,akhough the detected vokage was small compared with
that of point contact warm carrier device。
いる。しかし,これらの素子はいずれも先端を
1.はじめに
波長1μmから10μmをもつ赤外領域のレー
尖らせた直径10μm程度のタングステン線を半
導体もしくは金属表面に接触させた構造となっ
ザー光に対する超高速,室温動作の検出器とし
ているため,機械的振動に非常に弱く寿命が短
て注目されているものに,アンテナ結合素子が
いという欠点を有している。 これらの問題点
ある。この素子はダイオードのリード線をアン
を解決するために,最近発達の著しい微細構造
テナとし,電磁波の電界に相当した電流をこの
素子製作技術を用いてアンテナを含めた素子全
アンテナ上に誘起し,これをダイオードの電流
体を薄膜化する試みがなされている。しかし,ア
一電圧特性の非線形性によって直接検波する検
ンテナと半導体(もしくは金属)との接触面を
出器であり,赤外光検出器の中で電磁波直接検
タングステンによる点接触機造に匹適するよう
波型として分類されている素子である%
な小さな構造にするのは困難であり,未だアン
このアンテナ結合素子は検波機構によって,
テナ結合素子として十分な特性を有した素子は
MoM(Metal−Oxide−Meta1)トンネルダイオー
製造されていない。1978年,Heiblumらは金属
ド2’3),ショットキーダイオード4’51,ウォームキ
薄膜の膜厚を利用した“Edge”MOMを発表し8),
ャリア素子劇等に分類され,プラズマ診断や
光混合用検出器として欠かせないものとなって
翌1979年,118μmCH30Hレーザー光のアンテ
ナパターンの観測に成功している9)。しかし,
* 防衛大学校電気工学教室(〒239横須賀市走水1−10−20)
**大阪大学基礎工学部(〒560豊中市待兼山1−1)
* Department of Electrical Engineering,National Defense Academy
**Facalty of Engineering Science,Osaka University
一68一
第13巻第3号
ザ 研究
レ
(285)
この素子では10.6μm CO2レーザー光に対し
W Whisker Antenna 10μm
ては検出感度を得ることはできなかった。
本研究では,絶縁層(Sio2)に開けられたピ
舎
ンホールを通してアンテナと半導体が接合する
新しい構造の薄膜ウォームキャリア素子を製作
し,薄膜素子としてはじめで10.6μm CO,レ
Meta難Post P−type Germanium
ーザー光に対するアンテナパターンの観察に成
功したので,その新しい素子の製作法および,
CO2レーザー光の検出特性にっいて述べる。
2.素子の製作
Fig.i Schematic configuration of the point
上述の3っの点接触アンテナ結合素子を比較
contact warm−carrier device.
したとき,ウォームキャリア素子はショットキ
ーダイオードに比しCO2レーザー光に対して
対して負となる起電力が半導体内部に発生する。
感度がよく,MOMダイオードに比べて素子特
この起電力は外部電界の方向(電極問の印加電
性が安定である71ので,著者らはアンテナ結合
圧の極1生)が異なっていても同じ方向であるた
素子の中でウォームキャリア素子を取り上げて
め,点電極側に正の電圧が印加された場合に順
その薄膜化を行なった。
方向となるような,非線形の1−V特性が得ら
点接触ウォームキャリア素子の構造をFig.1
れる10)。 そして,この1−V特性の非線形性に
に示している。同素子は半導体上に金属細線が
よって得られる検出電圧は下式のようになる10)。
バネの力で点接触(オーム性接触)された構造
臨一彫訟屡知・
をしており,半導体の裏面には平面電極をもっ
ている。そして点接触された金属細線が赤外レ
(1)
ーザー光に対してアンテナとして動作し鋤,電
流をアンテナ上へ誘起し,誘起された電流が素
ここで,E∫はフェ』ルミエネ・ルギー,κはボル
子の電流一電圧(1−V)特性の非線形性によ
ツマン定数,T。は半導体の格子温度,τeはエ
って整流(検波)されて検出電圧が得られると
ネルギー緩和時間,μはキャリア移動度,ρは
考えられている7}。この1−V特性の非線形性
半導体の抵抗率,71は点電極の接触半経そして
についてはつぎのように考えられている。すな
PINは半導体への入射電力である。式(1)からわ
わち,半導体をはさむ2つの電極の大きさが,
かるように,検出電圧y・hは点接触電極の半径
Fig.1のように,際立って違う場合でそれら
がオーム性の接触をしている場合,両電極間に
外部より電圧が印加されると,半導体内の電界
素子を薄膜構造とする場合,点電極の接触半径
は点接触電極近傍で大きく平面電極側で小くな
解できる。
7、の3乗に反比例一しており,ウォームキャリア
7・を小さくすることがいかに重要であるかが理
る。その結果,点接触電極近傍のキヤリアは加
点接触部を小さくするために,現在まで,例
速,散乱されて温度が高くなり,平面電極側の
えば2本の細線を交差させる方法11・12》や絶縁層
キャリア温度との聞に差が生ずる。このため,
の間にはさまれた金属薄膜の側面にアンテナと
キャリア分布はキャリア温度分布に応じて多少
なる金属を接触させる方法81等いくつかの方法
変位し,点接触電極近傍では多数キャリアが不
が提案されているが,これらはいずれもMOM
構造のトンネルダイオードを製作するときに用
いられた方法であり,ウォームキャリア素子の
足し反対側では過剰となる。このため,p形半
導体を用いたときは点接触電極側が平面電極に
一69一
(286)
薄膜ウォームキャリァ赤外レーザー検出素子の試作
昭和60年3月
10.6.μm
CO2しaser beam(TEMoo)
E“
95擁轍廟t麟__
3μm (・hmicc・ntact)
Antenna
腕勘轡溢黙聴・・
\・一/ 。H・rce
Point contact
(φ亀0ユμm:。hmicc。ntact)
Fig.2Configuration of the fabricated thin−film warm−carrier device.
ように半導体を用いた場合には適さない。そこ
電極に対応している。このようにして点対面の
で,本研究では半導体上の絶縁層に近年発達の
電極対が構成されている。アンテナ長は950μm
著しい集束イオンビームをスポット照射し,そ
であり,その幅は3μmである。
の部分をスパッタエッチングすることによりピ
同素子はFig.3に示す工程で製作された。(a)
ンホールを形成する方法で点接触部の構造を製
まず,鏡面研磨したGeq59−cm p形)上に200
作することとした。このピンホールに接続する
nmのSio2スパッター膜と1μm厚のフォトレ
薄膜アンテナにはδoω漉アンテナや記o彦アン
ジスト(AZ−1350J〉を有する試料を準備した。
テナ等14)を使用することも考えられるが,本研
(b)Geとオーム性接触する平面電極となるレジ
究ではウィスカーアンテナを単純に薄膜化した
スト部分を紫外線露光した後,・現像を行なって
ロングワイヤーアンテナを採用することとした。
取り除いた。さらに残ったレジストをマスクと
以上のことを考慮して設計した素子の構造を
し,CHF3ガスを用いてリアクテイブイオンエ
Fig.2に示す。図には2つのウォームキャリア
素子を並べて示してある。手前の素子はアンテ
ナの中心を通る断面で切ったものを示したもの
ッチングを行ない基板面を露出させた(このと
きの条件は,イオン電流0.27mA,加速電圧1
で,奥の素子は上部から見た図で素子に対する
分である)。(c)Allをスパッタ蒸着した後, ア
CO2レーザー光照射実験の様子を示している。
セトンによりフォトレジストを取り除き平面電
素子の構造は15Ω一cmのp形ゲルマニウム(Ge)
極部のみにAuを残した。その後300℃∼350℃
基板の上に200nmの厚さにスパッタ蒸着された
Sio,を有し,そのSio2上に素子のアンテナと
得た。(d)電子ビームレジスト(PMMA)を1μm
その端子電極が配置されている。そしてアンテ
の厚さにスピンコートした後, マーカを基準
ナの先端部は直径約0.1μmのピンホールを通し
としてアンテナ部とその端子電極および対向す
kV,ガス圧6×10−5Torr,エッチング1時間30
に加熱し,AuとGeの良好なオーミック接触を
てGe基板とオーミック接触している。 また,
る平面電極部(図(b)で製作した電極部)を電
アンテナ先端の50μm先にはSio2を貫通して基
板とオーミックに接触した平面電極(1mm×1
子ビームにより露光,現像してレジストパター
mm)が配置され,この電極が点接触構造の裏面
したアンテナの根本部分と先端部のレジストパ
ンを得た。Fig.4(a),(b)にこのようにして製作
一70一
第13巻第3号
ザ 研究
レ
(287)
SIO2
リV、 S
UV−resist
_綱趨
Sio2
Ge
(a)
Ge
(a)
(b)
Au
Sio2
(c)
Gざ
EB−reslst
(d)
Pinhole
惹
(b)
Fig.4SIM image of PMMA pattem:(a)base
(e)
‘e、
Thin。film antenna
o{the antenna(magnification:1000),
(b)top of the antenna(magnificaton:
10000).
Fig.3Fabrication process of the thin−film
Warm−Carrier deViCe.
ターンを示している。このレジストパターン上
作法についてもう少し詳しく述べる。当初,ピ
へCrを5∼10nm蒸着した。Crの蒸着は後の
ンホールの製作は電子ビーム露光技術とイオン
工程で蒸着するAuとSio2の密着性を改善す
シャワーによるリアクティブイオンエッチング
る上で非常に重要である。次に集束イオンビー
を組み合わせた方法で行なった。しかし,電子
ムを用いてアンテナの先端部にSio2を貫通し
ビーム露光でPMMAに直径0.2μm以下の穴を
たピンホールを形成した。イオンとしてGaを
開けることは困難であった。さらにそのPMMA
用いることは,GaがGeに対してアクセプタと
をレジストとしてリアクティブエッチングによ
して働き,オーミックな接触を得る上で有利であ
る。(e)以上の試料にAuを80∼100nmスパッ
ってSio,に穴を開けるためには穴の直径に比
してSio2とレジストを合わせた厚さが薄い場
タ蒸着し,トリクロルエチレンを用いてPMMA
合でなければむずかしく,著者らの技術では200
を除去することによって素子が完成した。
nmの厚さのSio2膜に直径0.6μmの穴を開け
るのが限界であった。また,この工程では製作
上記の素子製作において最も重要な工程は,
アンテナとGeを接触させるためにアンテナの
先端に製作するピンホールであるので,その製
したピンホールの上に位置合わせを行なってア
ンテナを露光しなければならず,マーカを用い
一71一
(288)
昭和60年3月
薄膜ウォームキャリア赤外レーザー検出素子の試作
た電子ビームによる多重露光が必要で,工程数
が多くなってしまった。この問題点を解決した
きた。また,集束イオンビームを使うことによ
って,薄膜ウォームキャリア素子の製作工程を
のは集束イオンビームの使用によってである。
前述の電子ビーム露光とリアクティブイオンエ
ごの装置は液体金属イオン源から放出される金
ッチングを組み合わせた方法による27工程から
属イオンから所望のイオンを選択し,これを100
17工程まで減少できた。
kVで加速した後,レンズ系で集束して試料に
集束イオンビームを用いてピンホールを製作
照射する装置で,現在イオンビームを直径180
する際,再現性をもたせるということは素子特
nmまで集束することができ、る13)。その上,イオ
性のばらっきを抑えるという点で重要なことで
ンビームで試料表面を走査することによって,
ある。特に,素子をアレイに配置する場合には,
その際発生する2次電子をとらえて,電子顕微
素子特性をそろえる必要がある。著者らは,吸
鏡でSEM像を見るようにSIM(Scanninglon
収電流をモニタしながらイオンビーム照射を制
Microscopy)像をとらえることができる。また
御する方法でピンホールを製作した。吸収電流
走査している集束イオンビームをスポット照射
とは,プローブ電流(イオンビームの電流),2
に切り替えると一点がスパッタエッチングされ
次電子電流(イオンが照射されたときに発生
る。このように集束イオンビーム装置は,試料
する2次電子による電流で,正イオンの場合に
を見ることと加工することが同時に行なえるた
はプローブ電流と同じ方向に流れる〉等を加え
め,マーカを用いることなく仕意の場所に穴を
合わせたものであり,材料の違い,ピンホール
開けることができる利点をもっている。本実験
の深さ等によりイオンによる2次電子のイール
では,Fig.4(a)に示すようにジ1000倍の倍率
ドが変化するため,これによる吸収電流の変化
でアンテナ部のレジストパターンを探し出し,
をモニタすればSio2膜が貫通してGeが現われ
次にアンテナを追ってアンテナ先端部を探し出
たかどうかがわかるはずである。Fig.6に,Ge
した後,IOOOO倍の倍率にしてFig.4(b〉に示すよ
うにアンテナ先端をCRT中央にセットして,
上に厚さ90nmのSiO2をもった試料に100keV
のGaイオンを照射したときの吸収電流と照射
走査している集束イオンビームをスポット照射
時問の関係を示している。図から,吸収電流は
に切り替えることによってピンホールを製作し
た。製作したピンホールのSIM像をFig.5に示
ロ
Sio2(900A)/Ge
80
!p :22pA
パ
く
しているが,集束イオンビーちを使うことによ
8
って直径0.1μmのピンホールが容易に製作で
10
芒60
豊
ヨ
↑
Absorption
current
リ
40
⊂
o
■;二
B
820
Resistance
建
!
パ
q
Σ
ロ
1 Φ
り
⊂
φ
ツ
辺
O.1ω
Φ
α
O 0 50 100σ01
!rradiation time(sec.)
Fig.6Changes of the absorption current and the
res量stance of the device with t三me when
Fig.5SIM image of the fabricated pinho壼e.
the Ga ion beams are三rradia、ted on S iO2
film.
一72一
第13巻 第3号
レ
ザー 研究
照射時間とともに増加し,最高値を経て徐々に
(289)
(
<
㊦0 3
減少することがわかる。この吸収電流一Gaイ
癖蓮
ォン照射時問プロファイルのどの時点でSiO2
が貫通するのかを確認する●ため,次の実験を行
30 0 ㊦
、。盆
δ
なった。Gaイオン照射開始後,吸収電流一Ga
イオン照射時間プロファイルの特徴的な所で照
10
射を止め,図2(e)の処理を行なった4個の試
一〇.3 輌0,2 −O.1
料を作り,各々の試料の抵抗値を測定した。そ
0 0.1 02、 Q3
の結果をFig.6に“○”印で示している。Fig。
司oVdtage(V)
6の吸収電流の変化と素子抵抗の変化を比較す
ると,吸収電流が最高点を通過した直後で素子
抵抗が急減することがわかる・ 同様な実験を
一20
一30
SiO2膜厚180nm,270nm,360nm,450nmの各
試料について行なった結果,吸収電流とイオン
Fig。7 1−V characterist ic of the thin−fi至m
照射時間の関係はSiO・膜厚,プローブ電流に
よって多少異なるが,すべての試料で吸収電流
Warm−Carrier(ieViCe.
が最高点を通過した直後で試料抵抗が急減する
に順方向となっていて,ショットー接合による
というFig.6と同様の結果を得た。このことは,
1−V特性とは順方向の極性が逆である。このこ
Gaイオン照射による吸収電流が最大となった
点で,ピンホールがGeまで達していることを
示している。そこで,本研究では吸収電流をモ
ニターし,それが最高点を通過した直後に集束
とは,製作した素子が当初の設計どおりウォー
ている。また,零バイァス時の素子抵抗は23k
Ωで,タングステンウィスカーを点接触させた
イオンビームの照射を止める方法で穴開けを行
ウォームキャリア素子とほぼ同程度の抵抗であ
なった。この方法で素子を製作することにより,
る。このことは,集束イオンビームにより点接
素子間の抵抗値の差が非常に小さくなり,再現
触並みの接触が薄膜でも実現できたことを示し
性よくピンホールを作れるようになった。
ている。
ムキャリア素子として動作していることを示し
次に,Fig.7の1−V特性を示した素子でCO2
3.素子の特性
レーザー光に対する検出特性を測定した。測定
上記のようにして製作された素子は,点接触
系をFig.8に示す。ブリュースタウィンドウに
構造素子でタングステン線をp形Geに接触し
た直後の素子と同様に抵抗値が高く,また素子
チョップされて試料に照射されている。レーザ
間の抵抗値のばらつきも大きかった・しかし,
ー光パワーはチョッピングブレードで反射され
これらの素子に5Vの直流電圧で1∼2回のボ
るCO2レーザー光をモニタして調整されている。
ンディングを行なうことにより素子抵抗が小さ
試料台は,レーザー光を軸として90。回転させ
くなり,素子間の抵抗値のばらつきも少なくな
ることができ,試料を固定している板をレーザ
った(Fig.6の抵抗は,このようにボンデイン
ー光の偏波面に対して水平および垂直にさせる
グを加えたあとの値である)。Fig.7にボンデ
ことができる。また,試料を固定している板は
イング後の薄膜ウォームキャリア素子の1−V
特性を示す。同特性は,前述のウォームキャリ
ことができ,レーザー光に対する入射角依存性
より水平偏波されたCO2レーザー光は機械的に
レーザー光入射方向に対して角度を変化させる
ア素子の理論10)から予想されるように,点接触
(アンテナパターン)が測定できるようにして
側(アンテナ側)に正の電圧が印加されたとき
ある。検出信号はロックインアンプを介してシン
一73一
(290)
薄膜ウォームキャリア赤外レーザー検出素子の試作
昭和60年3月
ReferenceSigna1
Oscilloscope
イ『’・、
/
Power
Brewster Window 図onitor
顯廻
レ瓢
ず
6
’Focusing
8 ノ
O Lens
O
O
O
.讐1圃
、、
CO Laser
2
グ
on 図ovable
ノ
Stage pen−Rec・rder
Chopping
Blade
F量g.8Exper圭mental setup employed to abserve the antenna characteristics.
分
u10
ハ
霞
Eお
ε
塁α5
評o.5
E〃
CO2Laser
一
o
>
Φ
beam E⊥
畢薫
、
、(
で
Φ
e
1 ハ
ゲ
リ
覧 ’、
Φ
E⊥
、 ’1 へ
ツ
Φ
o
ツ
Φ
o 0
∼
、
∼
8
9
Φ
ボ
り
x、
Eδ
E〃
5
Φ
、 一一一一一Theoretical
而
σ
u
Measured
Φ1.0
.製
’
0
5 10 15 20
!ncident Angしe(deg.)
V\パ〈へへ爪
5 10 15 20
1ncident Angte(deg.)
Fig.91ncident angle dependence of the detected
Fig.100bserved antenna pattern and theoretical
voltage.
curvesfor10.6μmCO21aserradiation.
クロスコープおよびペンレコーダで測定してい1
垂直な場合には検出電圧も小さく,入射角の増
る。
加とともに単調増加していることがわかる。こ
F三g.9にこのようにして測定した検出電圧の
のことは,検出電圧が薄膜アンテナを介して得
入射角依存性を示す。図の“○”印はレーザー
られたものであることを示している。
光が入射面に平行に偏波された場合で, “②”
アンテナ特性をさらに検討するために,Fig.
印はレーザー光が入射面に垂直に偏波された場
10にFig.9の入射面と平行に偏波されたレーザ
ー光に対する検出電圧入射角依存性を実線で示
合である。図は偏波面が入射面に対して平行な
ときの第1ローブのピーク値で正規化されてい
している。 また,薄膜アンテナ (アンテナ長
る。図から,入射面と平行に偏波されているレ
950μm)が10.6μmレーザー光に対して進行波
ーザー光に対しては,検出電圧は入射角度依存
アンテナとして動作すると仮定したときの検出
性を有しているが,入射光の偏波面が入射面と
電圧の理論値を破線で示している。実験値は,
一74一
第13巻 第3号
(291)
レ ザ 研究
3
た薄膜ウォームキャリア素子を製作した。この
素子は,アンテナと半導体の接触半径がO.05μm
以下であり,従来報告された薄膜素子の中では
最も小さい接触半径をもった素子である。
ハ
>
4
)
2
Φ
次に,試作した素子を使ってCO2レーザー光
o
可
に対する検出実験を行ない,薄膜素子として初
ご
o
めて10.6μmCO2レーザー光に対するアンテナ
指向性の観測に成功した。このことは,Sio、
>
で
Φ
も
Φ1
上の薄膜細線が点接触構造のタングステンウィ
葛
o
スカーと同様CO2レーザー光に対してアンテナ
として動作し得ることを示している。しかし,
検出感度の値は点接触構造の素子に比べ3∼4
桁小さく,今後感度向上のための素子製作条件
O α1 02
CO2Laser Power(W)
の検討が必要である。
Fig.111nput power dependence of the detected
voltage.
おわりに,薄膜ウォームキャリア素子を製作
谷の部分が零にはなっておらず,熱起電力等の
重な御助言をいただいた理化学研究所の塩川高
アンテナに依存しないと思われる成分が含まれ
雄氏に感謝の意を表する。
するに当り,集束イオンビーム装置について貴
ているものの,第1ローブから第5ローブまで
参考文献
そのピークの位置が理論値と一致している。こ
のことは,薄膜ウォームキャリア素子の薄膜細
1)安岡,井上:赤外線技術9(1984)36.
線が点接触構造のタングステンウィスカーと同
2)A.Sanchez,C.F,Davis,Jr.,K.C.Liu and A.Javan=
様10.6μm CO2レーザー光に対して進行波アン
J.Appl。Phys。49(i978)5270.
3)Y.Yasuoka, T.Sakurada, D.P.Siu and T.K.
テナとして動作することを示している。しかし,
アンテナを介さないと考えられる信号が非常に
大きく,特性そのものに関しては今後の改善が
Gustafson:J,Appl.Phys.50(1978)5860.
4)Dah−Wen Tsang and S.E Schw&rz:Appl.Phys.
Lett.30(1977)263.
5)N。Inoue,K.Harakawaand Y。Yasuoka:AppL Phys,
必要である。
Lett.42(1983)268.
CO2レーザー光の入射角をFig.10の第1ロ
ーブに固定し,CO2レーザー光の入射パワーを
178.
変化したときの検出電圧の変化をFig.11に示し
ている。図から入射パワー0.25Wまでは検出電
圧は入射パワーに比例することがわかる。しか
6)L.W,Aukerman and J。W,Erler:Opt.Lett.1(1977)
7)安岡,原川=レーザー研究10(1982)200.
8)M,Heiblum,S.Y.Wang,J.R.Whinnery and T。K.
Gustafson:IEEE J.Quantum Electron.QE。14(1978)
159,
9)Y,Yasuoka、M,Heiblum and T.K。Gusta飴on:Appl.
し,検出電圧は,O.2WのCO2レーザー入力に
対して2.3μVとタングステンウィスカーを用
いた点接触構造素子に比べて3∼4桁低く,感
Phys,Lett.34(し979)823、
度向上のための研究が今後必要である。
F、J。Bachner and D、L Smythe:AppL Phys,Lett.24
10)R。L Harrison and J.Zucker:Proc.IEEE54d966)
588.
ll)J。G。Small,G.M.Elchinger,A.Javan,A.Sanchez、
(1974)275。
4.結 論
12)E.Weisendanger and F.KneubOhi:Appl,Phys.13
(1977)343.
電子ビーム,集束イオンビーム等を用いた微
細加工技術により,Si o、上のアンテナをピン
ホールを通して基板のGeと接触する構造をし
B)T.Shiokawa,Y.Aoyagi,P.H.Kim、K.Toyoda and
S.Namba:Jpn.J.AppL Phys.23(1984)L232.
14)水野:信学誌67(1984)896.
一75一