9. 擁壁の繰り返し微小変位と背面土圧に関する模型実験 技術部 研究区分:技術指導支援 住吉 卓、山村 博孝 研究費区分: キーワード:擁壁、土圧、繰り返し載荷、微小ひずみ、模型実験、砂 中期計画との関連:開発研究課題3−1−(1)−① 1. 経緯と目的 半地下道路のU型擁壁において、完成当初 x (d) レーザ変位計 本文は、上記の事例及び平成 14 年に報告 地表面 WLC1 WLC2 z=115 WLC8 WLC9 (a) アーム部ロードセル 前面側 背面側 擁壁下端 z=505 鋼製枠 内寸幅(奥行)400 z … と推定した。 [ 延長単位: mm] (e) レーザ変位計×5 z=45 モータ ジャッキ の主要因を、日々の温度変化による側壁の繰 り返し微小変位に伴う背面土圧の増加である 500 (c) 分割ロードセル(*) 9@50= 450 模型地盤 ( 豊浦砂) 505 形が進行した事例がある。種々の調査からこ 350 85 から約 3 年間にわたって側壁の前面側への変 30 0 100 200 擁壁 高510×幅( 奥行) 390 1,295 (*) 分割ロードセルは幅130mmで、 擁壁幅390mmの 中央1/3を占める。 (b) 台座部ロードセル した実験の結果を踏まえて、背面土の挙動を 確認するために実施した室内模型実験の結果 図−1 模型の概要 を報告するものである。 し微小変位を与える実験を行った。 計測項目は(a)アームが擁壁から受ける水平力、(b) (2) B PTY ( D, PT)の 経路 ( 未知) サイクル数 ① DA から受ける水平力、(d)擁壁の変位(初期地表面の下 45mm の位置) 、 (e)地表面沈下であり、ほかに土槽側壁 3. 新C 新PTY 台座が擁壁から受ける水平力、(c)擁壁の各高さで地盤 付近の土粒子の移動状況も観測した。 B’ 荷重(=土圧) PT 弾 ΔD 性域 /Δ (*) PT =W S 図−1 に示すような模型装置を用い、擁壁に繰り返 (1 ) ③ 実験方法 荷重(=土圧) PT 2. 図−2 B’ 新C’ C C’ ( D, PT)の経路 ( 未知) ① DA (*) WS=WSY=0の場合、 左図のよう 6.7 に擁壁が「 剛体」 の条件となる A’ 擁壁の変位 D A 新A A’ 新A’ A B ) Y 域(* =WS 塑性 D/ΔPT ④Δ 擁壁の変位 D 制御方法 (1)壁体が「剛体」 (2)壁体が「弾塑性体」 結果 種類を実施したところ(図−2)、合計水平土圧の極大 値は増加し、極小値も若干増加することがわかった。 0 3 サイクル数 1 10 (1) 初期地表高さにおける擁壁の変位 100 2 長期変位が進行 1 102 面側への長期変位が進行しつつも、その進行がない「剛 体」の場合と同様に全水平土圧が増加傾向を示したこ 103 104 105 106 時間 (sec) 8 (2) 合計水平土圧 土圧 (kN/㎡) 的な変化、位置によって形態の異なる土粒子の移動状 特に壁体を「弾塑性体」と仮定した場合、擁壁の前 500 1000 0 また、繰り返し変位に伴う擁壁背面の土圧分布の特徴 況と、そのときの地表面沈下状況を確認した。 前面側 た実験1、および「弾塑性体」と仮定した実験2の2 変位 (mm) 土圧に応じた壁体の変位の仕方を「剛体」と仮定し 6.2 極大値増加 4.2 6 5.0 3.1 4 1.9 2 0.7 0 0.3 102 103 0.6 0.4 104 0.8 極小値増加 105 1.1 106 時間 (sec) とは(図−3) 、現場において擁壁が一見背面土圧を減 (*) 土圧は、アーム部ロードセルでの荷重を擁壁面積(2,020cm2)で除した値である じる方向(前面側)に変形しても、実際の土圧は増加 する可能性があることを示唆する。 図−3 合計水平土圧と擁壁変位の経時変化(実験2)
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