2 0 1 1 S P R I N G E D I T I O N the EIL Quarterly IF A THING IS WORTH DOING, IT'S WORTH DOING WELL. ––––EILクォータリー z卒業生インタビューz 去る3月14日(月)に卒業式が行われました。平成19 年度入学生のみなさんが英米文学科(現在の国際英語学科)で どんな4年間を過ごされたのかインタビューしました。 !卒業生代表 窪田安希さん 山本典子さん !インタビュアー 藤澤良行先生(国際英語学科) Friday 19 March, 2011 at the Self-Access Center !印象に残ったのは卒論でした! 藤澤先生: ご卒業おめでとうございます。 窪田さん・山本さん: 有り難うございます!! 藤澤先生: お二人ともたいへん優秀な成績で卒業されました。 窪田さんは大阪府立桜塚高校,山本さんは樟蔭高校の出身で すね。高校から大学に来たとき戸惑いがありましたか? 窪田さん: 共学の高校から女子大に来てみると,やっぱり共学 の女子の方が自己主張が激しい感じで,女子大の方がおとな しい印象が最初はありました。入学式で隣の新入生(内部進 学者)が校歌を歌い出したのにはびっくりしました(笑)。 藤澤先生: 共学の大学は考えませんでしたか? 山本さん: 女子高が楽しかったので,女子大しか考えませんで した。女子大の方が礼儀が正しくて,男子がいないので落ち 着きがある。卒業式もきちんと礼儀正しくできたのではない でしょうか。また,他大学だと規模が大きすぎて,人間関係 が希薄なような気がします。ゼミもあまり大人数だと話す内 容も変わってしまう。樟蔭をとても気に入っています。 窪田さん: 先生との距離が近いのがすごくよくて,他大学だと 先生が学生の名前を覚えていないのが普通ですが,樟蔭だと そんなことはなくて,廊下で会っても挨拶しますし,質問も しやすいです。 藤澤先生: 四年間の大学生活はいか がでしたか? 窪田さん: 今振り返っても充実した四 年間でした。いろんなことに積極的に 参加できたと思います。 山本さん: あっという間の四年間で したが,友達ともワイワイできたし, いろんな授業にも参加できてすごく充 実してよかったと思います。 !"#$ 藤澤先生: 学生生活でいちばん印象 VOL 26. に残ったことは何ですか。 山本さん: 卒業論文です。昨年行われ た平城遷都1300年祭を通して奈良 の歴史を調べ,英語のビデオ作品を 制作しました。映像作品の制作は3 回生からの小森道彦先生のゼミで新 たに始まったプロジェクトです。最 初はMacの使い方を勉強することか ら始まり,4回生で自分で企画を考 え,ビデオを撮影し,編集したりし %&'( ました。Self-access Center (SAC)に来てゼ ミ生みんなでワーッとがんばって作業したのでとても印象的 でした。 藤 澤 先 生 : 山 本 さ ん は 最 後 ま で が ん ばって 取 り 組 んで い て,iMovieの使い方もいちばんうまくなって,他のメンバー に教えたりしていました。ビデオ制作だけでなく論文も並行 して書いていたので大変でしたね。 山本さん: パソコンの前で独り言が多くなりました(笑)。 藤澤先生: 卒業論文発表会で,みんなに見てもらったのはどう でしたか。 山本さん: 一人で満足するのではなく,精一杯作った作品をみ んなに見てもらえてとてもよかったです。 藤澤先生: 窪田さんはいかがですか? 窪田さん: ヨネダ・ボニー先生のゼミだったので,卒論は英語 で自分のオリジナルの物語を考えようと思っていました。し かし,就職活動などで時間がとれず,ピーターラビットの作 者であるBeatrix Potterとアメリカの絵本作家Tasha Tudorを 比較して共通点や相違点を考察しました。アメリカの友達に もアンケートを採ったりしながら進めました。 藤澤先生: ゼミの選択時から英語で卒論を書く覚悟はしていた でしょうが,実際大変でしたか? 窪田さん: とても大変でした。最初 は日本語で書いたものを英語に直 そうと思っていましたが途中から 面倒になって,日本語ではなく, そのまま英語で考えるようにした ら効率が上がりました。ヨネダ先 生には文法や表現を何回も丁寧に 直していただきました。 藤澤先生: TOEICなどの選択方式の 問題をやるよりもはるかに英語が )*'( 身につくでしょうね。 窪田さん: 卒論は英語で提出したいと思っていたので,ヨネダ 先生のゼミを選択してよかったと思います。最初は完成でき るかどうか心配でしたが,完成したときには「この長い英文 を書き上げたのは自分なんだ」と思えてとてもうれしかった です。毎日外国の友達と英語でメール交換をしているのです Shoin EiL Quarterly vol.26 2011. 4.26 (2) が,卒論を英語で書くことによって英文が早く思い浮かぶよ うになったと思います。 藤澤先生: 一生でいちばんたくさんの英語を書いたのかもしれ ませんね(笑)。それだけの英文を書くことを通して,日本 語から英語にわざわざ直すより,直接英語で考えるところに 到達したのは大きな意味があります。 !フレズノ留学は楽しかった! 藤澤先生: 二人は一緒に2回生の春休みにフレズノの短期語学 研修に参加されていますが,いかがでしたか? 窪田さん・山本さん:楽しかったです! 窪田さん: 初日は学生寮で現地の学生が2人と私という状態 だったので緊張しました。でもアイスクリーム・パーティー があったり歓迎を受けました。ただ,水が硬水で日本の軟水 とは違い食物の面では適応するのが大変でした。 山本さん: サンフランシスコに行く時に車の中にいっぱいお菓 子やバナナが積んであって,それが旅行に行く時の朝食でし た(笑)。Golden Gate Bridge を見たときは感動しました。 窪田さん: 私は留学が終わった5日後に,所属しているギ ター・マンドリンクラブの演奏会を控えていました。でも留 学中は練習できず,寮のルームメイトにギターを借りて練習 しました。それで人の輪が広がって,他の寮の学生も呼んで 小さな演奏会をしたのを覚えています。 藤澤先生: フレズノ留学は現地の学生とふれあえるのがいい点 ですね。他のプログラムにはない特徴です。「1ヶ月で英語 が話せるでしょうか」「1年行かないとだめでしょうか」と 聞く人がいますがどう思いますか? 窪田さん: 1年間留学しても話せない人は話せないだろうし (笑),自分次第だと思います。自分から話しかけたら,も し間違っていても相手が笑いながら訂正してくれるし,「英 語が通じた!」という経験は4週間でも得られると思いま す。時期的にも2年生の終わりで行ったのが大きかったで す。 !124単位をはるかにこえて 藤澤先生: 二人は卒業に必要な124単位をはるかに超える単位 数を取得されました(笑)。4回生になっても大学には頻繁 に来ていましたか? 山本さん: 来ていましたね。何はなくともSACに来る!という 感じで(笑)。後輩とも話せるし大切な居場所でした。それ でも1回生の時はSACはいつも満員で,たいてい食堂に行か なくてはいけませんでした。 藤澤先生: 印象に残っている授業はありますか? 窪田さん: 資格系では今村先生の「イングリッシュ・ワーク ショップ」(英検対策)や,宮崎章先生の「イギリス研究」 が面白かったです。教養教育では萩原雅也先生の「社会教育 実習」で,実際にキッズプラザ大阪に行って実習をしまし た。 山本さん: 苦労した授業としては,松永あゆみ先生の「通訳法 入門」ですね。英文を前から訳していく緊張感が・・・それ にヘッドフォン越しにクラス全員に自分の発音を聞かれるん ですよ。でもリスニング・スピーキングの力はとてもつきま した。柏野健次先生の『Back to the future』『プラダを着た 悪魔』などのDVDを見ながら文法を学ぶ「英語学概論」もた めになりました。川合春路先生の「教養ゼミナール」では, ある本について全員発表するのですが,少人数ですし,みん なの輪が広がり,つきあいも広がって他学科の学生とも出会 えました。学芸員の資格を取っていたので国文学科の学生と 話す機会も多かったです。お寺も回りましたし・・・(笑) 窪田さん: ヨネダ先生の「上級オーラル・コミュニケーショ ン」では,Snoopyの映像を見てそれを英語で要約しまし た。Snoopyというと簡単そうに聞こえますが英語は意外と難 しくて,それを要約するのはとても難しかったけど力がつき ました。平井愛先生の「エッセイ・ライティング」でのプレ ゼンテーションも印象に残っています。 藤澤先生: 二人は他学科の授業も受講していますね。他の学科 の人に交じって授業を受けるのはどうですか? 窪田さん: 他学科の人と友達になれるのはとても楽しいです。 考え方も全然違いますし。野中亮先生(ライフプランニング 学科)の子育て支援の授業なども面白かったです。 山本さん:学芸員の授業の中で大阪城での実習があって,大阪 城の周囲を回るのですが,とても寒くて寒くて・・・ (笑)。また樟徳館で,発掘した瓦を水で洗って何が書いて あるかを読み取るとか・・・ 藤澤先生: それだけたくさんの科目を履修して,よく時間割が 組めましたね(笑)。(卒業時のアンケートを見ながら)山 本さんの「入学時に考えていた目標の達成度」が10点中9 点なんですよ。 山本さん:「しっかり勉強しよう」と思っていたことは達成で きたと思います。 藤澤先生: 窪田さんは5点でした。 窪田さん: どうして5点にしたんだろう・・・満足度は9なん ですが(笑)。ネイティブの先生とスラスラと話せるように なることと,英検準1級取得が目標でした。私の勉強不足だ と思うのですが,やっぱり英語の日常会話は難しくて,英語 のメールだと考える時間がありますが,会話では「これ,英 語で何て言うんやろ」と思うこともまだまだ多く,今後その 力を磨きたいので5にしました。 藤澤先生: 常に英語にさらされている環境でないと,その反応 の早さは身につかないかもしれません。でもそれは慣れの問 題なので,今の窪田さんの英語力をキープすれば大丈夫だと 思います。 窪田さん: 私の感じたことですが,今の学生は自己主張が少な いと感じます。自分の考え方や意見を言って下さいといわれ ても黙っていることが多いので,授業では意見を発表する機 会を増やすほうがいいのではないかと思います。英語もそう ですが,日本語でも発表できない人も多いですね。先ほどの 「社会教育実習」の授業で家庭内暴力の社会的背景を調べて Shoin EiL Quarterly vol.26 2011. 4.26 (3) 発表したのですが,その授業を受けたことでプレゼンテー ション能力もつきました。まず日本語での発表の機会が多い ことが大切だと思いました。 !経済状況の悪い中での就職活動 藤澤先生: 一般に3回生秋期頃から就職活動がはじまります が,みなさんの頃は日本の経済状況も悪く,就職については 明るい話題のなかった時代です。決まるまでに時間はかかり ましたか? 窪田さん: 時間はかかりました。私は3回生の5∼6月から活 動をはじめて,4回生の7月中旬にやっと内定をもらいまし た。 山本さん: 会社によって面接の内容が全く違うので大変でし た。今考えると,みんながやっているのでそれに流されて自 分も就職活動をしていた部分もありました。就職活動はもっ と遅くスタートして,大学で勉強していればよかったと思い ます。 藤澤先生: 就職活動には明確なスタートラインがないので,余 計にあせりますね。 山本さん: 活動の最中に不合格通知がきたりして,精神的にど んどん落ち込みます。そういうときには大学に来て友達と話 すのがいちばん和みます。 藤澤先生: 合格・不合格は会社との相性もあります。面接者 も,目立っているとか積極性だけを見ているだけではないと 思います。見かけの能力の高さだけがポイントではありませ ん。 !大学をフル活用していますね! 藤澤先生: 在学生にアドバイスをお願いします。 窪田さん: 本当は「学生の本分は学業」で学業をしたいけど, 就職活動もきびしいし,学業だけともいっていられない時代 です。大学に入ったときはテンションも高くて遊びたい気持 ちもわかりますが,両立できるようにするためには1∼2回 生のうちに単位も早くたくさん取得して,すべてにおいて早 め早めの行動が大切かなと私は思います。 藤澤先生: 大学生活は忙しかったですか? 窪田さん: 私は単位をたくさん取りたかったので,クラブの演 奏会前は家に帰るのも夜11時過ぎになったりしましたが,翌 日の小テストのために電車の中で単語帳を見たりしていたの で忙しかったです。バイトは1∼3回生の間はせずに,就職 が決まってから始めました。バイトをしていたらもっと忙し かったと思います。 山本さん: 私も1,2回生は忙しかったです。英米文学科の授 業と資格の授業を組み合わせるのが大変で,時間割と格闘し ていました。モスバーガーでバイトをして,大学のクラブ活 動もしていました。 藤澤先生: クラブ活動もしていたのですか? 山本さん: はい,それ以外にもエレクトーンも習っていて,一 年 生 の 終 わ り に と う と う 爆 発 して ク ラ ブ を や め ま し た (笑)。アルバイトは4年間やっていました。最初は覚える ことも多くて慣れるまで大変だったのですが,先輩方や店長 もいい人だったのでやってこれたと思います。 藤澤先生: 大学生になると,バイト中心の生活になってしまう 人がいます。バイトの時に元気で,朝大学に来ると疲れてい るというような・・・。。お二人はどう両立しましたか? 窪田さん: 勉強においては自分のモチベーションを上げるしか ないですね。「とりあえず卒業できたらいい」「単位はぎり ぎりでいい」と思っている人も多いと思いますが,「いい成 績をとりたい」と思っていたら,どんなに忙しくても小テス トで悪い点をとれないと思います。 山本さん:私は小学校の時から学校へ行って友達と話すことが 大好きで(笑),中学校・高校は皆勤に近くてその気持ちで 大学にも来ていました。 藤澤先生: 学園祭には参加されましたか? 山本さん: 私は3回生のゼミでホットケーキを売りましたが, 場所がイマイチであまり売れませんでした(笑)。 窪田さん: 私はクラブとゼミの両方で参加しました。ヨネダゼ ミは4回生ではチヂミを焼いて sold outでした。ちなみに, 1回生はクラブでフリーマーケット,2回生は演奏会,3年 生も演奏会とマシュマロサンド。 藤澤先生: 授業といい課外活動といい,ホントに大学をフル活 用しましたね。 窪田さん: 学校が好きだったので。忙しい方がいいですね。家 でだらけていると体調が崩れるんですよ。 山本さん: 夏休みもあったのですが,インターンシップや実習 などの行事があったので「休んだのだろうか??」という感 じでした。 藤澤先生: インターンシップにも参加したのですか?! 山本さん: 奈良ロイヤルホテルでお仕事をさせていただいたの ですが,清掃の仕事もあって。朝から10室お風呂を磨いて, 昼からまた10室磨いてクタクタでした。ヒールでフロントに 立っていると足が痛くなってくるし。 窪田さん: 私は東大阪市役所で市長の秘書をやっていて,お客 様にお茶を出したり,随行役として市長の外回りにも同行 し,橋本知事と市長との対談にも同席する機会があって楽し かったです。 藤澤先生: それはよかったですね。受け入れ先はどのように決 めるのですか? 山本さん: 私の場合は天理大学にある奈良インターンシップで 企業がたくさんブースを出していて,第5希望のうち第3希望 で決まりました。 窪田さん: 一応希望を出すのですが,日程が合わない場合もあ るので「インターンシップ」の授業の先生が決めて下さいま した。 藤澤先生: 樟蔭では円形ホールで「インターンシップ報告会」 もありますし,そういう場面でプレゼンの技術もさらに磨か れます。山本さんはWindowsのPowerPointとMacのKeynote の両方ができるようになってよかったですね。 お二人にとって4月からまた新しい日々が始まります。学ぶ チャンスはこれからもたくさんあります。みなさんは樟蔭で 「学び方」を学ばれたので,これからは与えられた勉強では なく,自分でやるべきことを選んでそこからスタートです。 お二人なら大丈夫でしょう。10年後にはお二人はどうなって いるでしょうね。樟蔭での学びを忘れず,これからもがん ばって下さい。今日はどうも有り難うございました。 窪田さん・山本さん: 有り難うございました。( 終わり) みなさん,お元気で! Shoin EiL Quarterly vol.26 2011. 4.26 (4) EIL Photo Gallery 2011 平成22年度 大阪樟蔭女子大学 国際英語学科・樟蔭英語学会 公開シンポジウム「多言語文化社会と日本語」 ▶1月29日(土),216教室。2009年現 在、日本語や日本文化を学んだ人々,こ れから学びたいと思っている人々が世界 各国から日本を訪れています。日本は今や 多言語文化社会です。最近では,経済連携 協定に基づき,インドネシア人やフィリピ ン人の看護婦・介護福祉士候補者が日本 で研修を受けています。このシンポジウム では,国内・海外で活躍する日本語教師 像について考えました。 平成22年度「英米文学科卒業論文発表会」 ▶2月9日(水)に英米文学科4回生の卒業 論 文 発 表 会 が 円 形 ホ ール で 行 わ れ ま し た。午前中は,英語のナレーションが 入った卒業制作のビデオ作品を上映しま した。熊野古道(世界遺産)や奈良の歴 史,自分の大学生活を振り返るものなど テーマは様々でした。午後は,英語学, 英米文化・文学の発表。英語学は,洋楽 の歌詞やスラングなどの研究が中心でし た。英米文化・文学では,Beatrix Potter(ピーターラビットの絵本の作者)の 研究や『赤毛のアン (Anne of Green Gables)』『シャーロック・ホームズ (Sherlock Holmes)』などの英米文学作品を題 材にしたものがありました。また,日系 移民など,社会学的な視点からの研究も たくさんありました。 平成22年度「第4回英語落語発表会」 ▶2月12日(土)、「第4回英語落語発表 会」が開催されました。 樟蔭伝統の袴姿で華やかに着飾った学生 たちは、プロ顔負けのノリで巧みに何役 も演じ分けて英語落語を披露し、約180名 の観客の皆さんに「笑い」をプレゼント しました。まず、3名の学生が、英語での 小咄を演じました。続いて、3名の学生 が、それぞれ「時うどん (Time Noodles)」「寿限無 (Jugemu)」「子ほめ (Compliments)」の英語落語を演じまし た。表現力だけでなく、話し方も判りや すく、聞き取りやすかったと、参加者に とても好評で、講師の先生方も学生の英 語落語の出来を絶賛していました。
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