望まない妊娠で生まれた児と母親の精神保健に関する研究

望まない妊娠で生まれた児と母親の精神保健に関する研究
上林靖子(国立精神・神経センター精神保健研究所)
1要約 首都圏の市部の住宅地区で2−3才児を持つ母親を対象に児と母親の精神保健について郵送
法により調査を行い、726人(66%〉からの回答を得た。妊娠時の子どもを持つことについて
の意識.により、u酬aoUd群、mislim図群、into且“群に分けて、人口統計学的変数、妊娠中のケア
から現在までの児と母親の心身の健康について分析した。その結果以下の所見を得た。①unw猟εd
群5%、mlsti瞬d20%で4人に一人は望まない妊娠の結果生まれていた。前者は主として第3子
’一
子高年の母親で、後者は第1子で若年の母親であった。②これらの群は妊娠中の検診や母観学
級の利用が少なく、飲酒・喫煙の経験多く、心理的なストレスを多く体験していた。.③面、s t i蹴d群
は.育児に不安≧負担感を強く感じて郭り、u旺w且ated群は児との関係が希薄である傾向があっ為。
④両群は出生後にもストレスとなる体験が多かった。⑤これらの母親は調査時点で、神経症的な訴
えを多く有しており、児は攻撃的・破壊的な問題行動を示しているというものが多かった。これら
の結果を基に、望まない妊娠で生まれた児と母親の家族と精神保健的なリスクについて考察した。
keywords:unintendedpτeg丑a皿cy,i皿faRllle/mater回almentaiheanh,.ger魅e【al
P咽latioHurvey,
1.はじめに
生殖をめぐる科学が急速に進歩したにもかかわらず、現代社会では、児の誕生が父母に
望まれないことが少なくない。子どもにとって、両親に祝福され生をうけることはこの上
ない幸福のあかしである。しかしながら、近年わグ国では、両親が健在でありな歩ら乳児
院・養護施設に措置される子どもたちや、家庭内で親によって虐待さμる子どもたち炉増
えている。.望.》ない妊娠での出生であることがこれらの重要な背景要甲としてしばしば
指摘されてきた。この問題は精神保健意関連する重要な間題であ.る。しかしながら、これ
らの子どもたちとその両親の精神保健の実態は、これまで我が国ではほとんど報告されて
こなかった。
この研究は、次の点を明らかにするために企画された。①望まない妊娠で生まれる子ど
もの出現率を明らかにする。望まない妊娠は②妊娠中のケアーと関連にどのような彰響が
あるか。③乳児期の保育と成長発達にどのような関連が見られるか。④2−3才孝)、う幼
児期早期の情緒と行動の間題にどのような影響を及ぼしているか。⑤母親の精神保健とど
のような関連があるか。これらの結果は、望まない妊娠で生まれた子どもとその母親への
援助のあり方について重要な基礎的資料になるであろう。
H. 「望.まない妊娠」の定義とそのとらえ方
子どもの妊娠が親によって望まれたものであるか否かを捉えるには、いくっがの困難が
ある。第1に、回顧的にとらえざるを得ないことである、。、第2には、妊娠に対.する気持ち
一219一
は変化し・ときにはアンビバレントなことがあるQ出産時点でとらえるのか・婿娠の初期
にとらえるのか、その間のいずれかなどによって異なった態度が見られることもあり得る。
ついで、誰が望んでいたか、・母親か父親か、あるいは両者か。もし望んでいたとしたら、
それはどのような動機からか。ここでは、合衆国のNatioHal Sロ【ve”f Fami!y G【owth(N
SFG)にならって、受胎時に妊娠が期待されていたか否かをもとに、操作的に次のとおり規
定した。
①望まない妊娠(u氏wanled prenancy)は、受胎したと分かったとき、あるいはその前に
妊娠を望んでいなかったもの。②早すぎた妊娠(mi、st im£d greg皿a翠蔓y〉、いつかは子ども
を持ちたいと思ってはいたが、時期が早すぎたもの。③望んだ妊娠(i皿tended
pre8島anc了)
子どもをほしいと思っており{ちょうど望んでいた時期であったかそれよりも遅かった、1
あるいは時期にはこだわっていなかったもの。この研究では望む望まないの主体は母親と
した。
田.研究の方法
調査票の作成:この調査のために調査票「幼児の精神保健に関する調査」を作成した。
このおもな内容は、A.対象児とその家族人口統計学的事項、B.子どもの妊娠・妊娠中
のこと、C.出生時のこと、D.生後3ヶ月まで、既往歴、気質、母親の気持ち、E.4
ヶ月以降のこと、発達歴、既往歴、F,生活環境、G.GHQ短縮版、H.夫婦問の会話、
1.2年間のライフイベントについて、’などである。これに加えて、Acheabacbに1よるCB
CL日本語版(CHiLDBEHAVIORICHECKLIST2−3AGES』=日本語版精神保健研究所)をもちいて
児の精神健康を測定した。
調査対象:首都圏の一市の住宅地を選び、住民基本台帳から、調査開始時,に2歳0ヶ月
から3歳11ヶ月の幼児を抽出した。調査期日は、1995年8−9月である。調査は郵
送法によった。
w.結果
1.調査票の回収:
配布された調査票は、1075部、回収された調査票は738部であった。うち、調査
対象年齢外の子ども、.キー項目に無回答であった12例をのぞき、有効回答は726部
(回収率66%)であった。男児376人女児348人(不明2〉である。
2.u皿wanted pτeg丑a且oy,皿lstimed preg丑aロcvで生まれた子どもの出現率(表1)
ide且ded pregEanCyとUnWa丑ted、mlSHmed pτegnanCyを区溺する質間は、rつぎの2つであ
る。1−1妊娠がわかったとき、赤ちゃんをほしいと思っていましたか。この質問に、「はい」
と解答した方に、4−2お子さんの妊娠は①予定より早かった、②ちょうどだった、③遅かっ
一220一
た、④気にとめていなかった。4−1に「いいえ」と回答したものを、〃加胃a皿ted”1、4−1に「は.
)f」かつ4−2に・『阜かった」と回答した者を”mistimed”、Hに「はい」、4−2に「ちょう
どだった」、 「遅かった」、 「気にと1めていなかρた」というものをinle皿dedとした。
有効回答者726人のうち、54・1人(75%)はinle皿ded pτeg皿a皿cy(以下τnte且ded
群)、149人(21%)がmlslimedpreεoa甦cr(以下mist1med群〉・36人(5%)が
紐nwaoled p【egnaPCY(以下u曲anted群)であった。
表1 望まない妊娠で生まれた子ども
妊娠とわかったとき
子どもをほしいと
思っていた
妊娠の時期は
1舗IE髄OED
ちょうどだった
遅かっ・た
541
気にしていなかった
、(75%〉
妊娠の時期は
MIST糊ED
早かった
149 (21%)
U旧旧E踊DED
妊 娠がわかったとき
U麗WA肘TEO
子どもをほしいとは
128
(25%1
思っていなかった
36 (5%)
3.家族について(表2〉
3つの群に6いて、父親母親の年齢・学歴・出生順位を表2に示した。以下統計処理は
ワークステーション上でS P S Sv6,0により行った。単親家庭は、16人(2%)、3群間
に有意な差は認められなかった。父親の年齢は、UEwanted群は、41歳以上が25%、1mi
stimed群7%、iMeRded群14%であった。30歳以下がunwanted群12%、misしimed群
’34%、inte且ded群14%であった。UnWaBted群は41歳以上の高年齢者、mi’Stimed群は30
歳以下の若年者の占める割合が大きく、3群の年齢分布の差は統計学的に有意であった
(X2検定=P〈0,川)。母親では、・36才以上が・眼且酬e4群3 9%・mlstlmed群4%・
inte且ded群20%であった。3群の年齢分布には有意な差が認められた(Z2検定:P〈O.0
0D。父母の学歴は3群には有意な差が認められなかった・
出生順位=u皿w鵠ted群は第3子31%、第4子17%、mistlmed群は第1子25%が多
一221一
く、3群に有意な差が認め
られた(Z2 p<0,00D。
4,妊娠中のケァー(表
3〉
表2
家族について
父親の年齢unwantedmist imed intended total chi−squar
21−25
26−30
31−35
36−40
41−45
46一
6% 6% ’幌 2%榊
8% 28% 賃% 14%
33鬼 42% 43% 43κ
28% 17% 31% 28%
17% 4% 10% 9%
8% 3% 4% 4%
母親の年齢
妊婦検診の回数:賦n盟nt
ed群は7回以下が17%、
i回tended群は8回以上が9
一20
21−25
26−30
31−35
36−40
41−45
0% 1% 0% 0%纏零
6% 16% 3% 6%
19% 38% 24% 27%
36% 41% 52% 49%
28鑑 4鑑 17% 15%
8毘 0鬼 3% 3%
7%をしめていた(X2=p
46一
3% 0% 0% 0%・
<0,011母親学級について
中学
高校
33% 28% 22% 24%
も、腿剛aated群は不参加者
が71%と3群の間に有意
な差が認められた(X2:p
〈0,051。妊娠中の喫煙、飲
酒では、U醐a蝦ed群で、喫
煙者28%、飲酒47%で
父:学歴
専門学校
8% 7% 4% 4%
6% 5% 了% 6%・
大学
不明
44% 54% 62% 59%
母:学歴
・中学
6% 5% 3% 3%
高校
50% 32% 31% 32%
大学
無回答
28% 38% 47% 44%
専門学校
8% 7% 5% 6%
8% 19% 15% 16%
8% 5% 5% 5%
家族構成!
97%
あり、3群間の差は有意で
lntact
broken
無回答
あった(喫煙X2:p<0、0
核家族
83%
拡大家族
14%
不明
3%
5、飲酒X21pく0,01)。
97% 98% 98%
3% 2% 2%
0% O% 0%
3%
0鑑
家族構成2
88% 89% 88%
12% t1% 1幌
0% 1% 幌
出生順位
いて(表4)
28%
64% 53% 54%料‡
25%
27% 35% 33%
31%
5.妊娠中の精神保健につ
1
2
3
4
6% 9% 9%
0% 1累 1翼
17%
零p〈0.05
纏P(0,01
これに関しては6項目の
‡‡‡Pく0.00
質問を用いた。このうち、
しかったという設問に、踊
wanted群の25%、mistlm
ed群の56%は「はい」と
表3 妊娠中のケア
妊婦検診unwantedmisti鵬dinte㎡dedt・talchi−squar
15回以上
8−14回
7回以下
不明
母親教室
idended群は94%が肯定
O回
子どものことが楽しみだっ
たという児への期待は、un
群814%、inte皿ded群98
不明
喫煙
非喫煙者
妊娠中喫煙せず
喫煙したことがある
毎日喫煙していた
飲酒
非飲酒者
妊娠中飲酒せず
飲酒したことあり
毎遇飲酒した
31%材
63%
63%
7%
2%
4%
3%
3%
3κ
10%
9%
9か
49%
53%
35%
0%
2%
73%
83%
38%
2%
30%*
!5%
9%
10%
9%
6%
7%
3%.
2%
3%
30%
45%
26%
36%
28%
34%
1%
1%
42㍗雰
26%
31%
wanted群79%、mistlmed
1−4回
33盟
64%
51%
5回以上
26%
41%
肯定的な回答をしていた。
的であった。生まれてくる
縦肇磁騒驚羅蹴.叢侃
妊娠したとわかった時うれ
1%
‡p〈0.05
纏Pく0.01
桝Pく0.00
一222一
84%、1皿tend.ld群98%11
であった。前群の多くは出
産までに、児を受けいれる
ようになっていると推定さ
表4 妊娠中の気持ち
壬娠とわかってうれしかったunwantedmisU鵬dintended total
ch卜squa【
はい
どちらでもない
いいえ
無回答
自分のことで
0% 0%
はい
47% 33%
17% 26%
いいえ
無回答
36累 38%
はい
既 !4%
いいえ
無回答
8幌 76%
はい
67% 83%
22% 13%
いいえ
無回答
8% 3%
3% 2%
はい
39% 26%
33% 15%
28% 57%
どちらでもない
るものが、それぞれ8%、
病気をして心配だった
であった。
妊娠中のスト』レスについ
ては、u碑a且ted群,mistime
d群は、自分のことで(4
7%、33%)』、あるいは
家庭内の問題で(39%、
26%)ストレスや気苦労
があったと回答し、.i麟e品
ed群より高率であっだ。3
群に有意な差を認めた(κ
2:9くolOl、P〈0,001〉。
6.出産について
2500グラム以下の低
出生体重児は1全体で7
%、3雄の差は有意とはい
えなかった(表5)。
3% 1%
くトレスがあって大変だった
れる。しかし、否定的であ
2%あり、3群の差は有意
22% 58%
39% 28%
36% 13%
どちらでもない
0% 3%
8% 7%
3% 3匿
’子どもが楽しみだった
どちらでもない
94% 83%***
5% 隻幌
0%
5%
0% 1%
0%翻亙UEl
16% 2瑞**
26端 .25%
57% 52%
1% 1%
、15% 14%
8% 8%
77% 77%
幌 1%
98% 93鬼**『*1
1% 5%
0% 1%
0% 1%一.
家庭内に気苦労が多かった
どちらでもない
、・いい兀
10% 15% * * *
17% 18%
72% 66%
1% 1%
無回答
0% 2%
はい
19% 19%
31% 30%
50% 49%
13% 15%
26% 27%
60%・ 58%
0%、 2鬼
1% 1%
妊娠は[;苦しくっらかった
どちらでもない
いいえ
無回答
表5 出生時の体重
unwantedmistimedlnte“ded tσtal ch卜ε口uar
1001」1500
O% 2% 1% 1%腿.∫
1501−2000
0% 2% 罵 1%
3% 4毘 6% 6%
2001−2500
2501−3000
44% 34% 33%1、33%.
3001−3500
42% 48% 46% 46%
3501−4000
3毘 8% 12% 10%
8% 1% 2% 2%
4001一
表6
出産の経済的負担unwanted mist i鵬dintended total chi−squaf
53% 38% 23% 27%**
負担と思う
負担とは思わない
47% 61% 77% 72%
0% 薯% 1% 1%
無回答
狛く0.05
婁零Pく0.01
‡‡ホPく0.OO
なお異常分娩、児の異常
につい.ても有意な差が認められなかった。出産に伴う費用が経済的に負担であるというも
のが、unwa丑led群{53%)、mistimed群(38%}に多く、iBtended群(23%)との間に
有意な差が認められた(表6)。
7.3ヶ月までの育児
生後3カ月までの罹病については3群に差がありませんでした。・この時期の育児につい
ての質問では、mislm面群は、 「手がかからない」 「比較的楽に育てられた」にいいえと回
答したもの(71%) (37%〉、寝付きが悪い(38%)と育児に困難を感じているも
のが多く見砂た・一tl翻よあやすとよく笑うにはいいえと》’うもの〔22%1が多い・
いずれも差は有意であった(表7)。
一223一
ed群が育児への不安〔48
%)、,育児の大変さ〔60
いい兀
無回答
%}、家族内のもめごとが
寝つきがわるい
は』’
あった(25%)、U騨aロmte
いいえ
無回答
d群は家庭内のもめ事があ
手がかからない
は㌧’
った117%)と回答し七い
いい兀
無回答
るものが多く認められた。
あやすとよく笑う
は㌧’
差は統計学的に有意であっ
いい兀
無回答
.病気がち
は㌧’
いい兀
無回答
8・4ケ月以降の育児と生
活
発達についての質問では
両群に有意な差が認められ
いい兀
無回答
去く声を出していた
は㌧’
いい兀
無回答
いいえ
無回答
どちらでもない
仕事のことで悩みがあった
はい
どちらでもない
いいえ
無回答
話
話、相談する人など日常生
活をめぐる状況についての
を認めなかった。ただし夫
婦で話し合うこどの主題と
1%
93%*,*
6%、
2%
6%
93%
1%
75%**
23%
1%
87%
12%
はい
どちらでもない
家族でもめ事があった
はい
どちらでもない
いいえ
無回答
轟ちゃんの輿話が大変だった
はい
rどちらでもない
いいえ
無回答
48%
30%
23%
53%
30器
家族の育児への
協力に満足だった
はい
33%.
いいえ
無回答
28鬼
どちらでもない
36%
3%
艦
16%
1%
C
ホ
S Ua
*
51%
質問では、3群に有意な差
42鬼
ωゐツ海毘醒ん
夫の役割、夫婦間の会
57%*・*
Ψん田んαん% %%飯ん% 赤ちゃんがかわいかった
いいえ
無回答
9.生活環境、夫婦間の会
1%
曽 * * *
に、自分によくなついでい
であった(表9〉。
7幌
q * * はい
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
%
12
5 3 1 3
02
34
5 1 5 49
0 1 8
9 8 2 1 71
18
2 1 3
43
03
4%
1
7
育児への不安があった
%%%% %%%% %%%% 毘%%% %%%醒ん %%%%
43
0 6 0 4
81
93
3 0 1
− 38
6 0 8
51
3 2 0 2
51
16
4 0 0
6
62
27
10
とするもの{14%、1つ
いいえ
無回答
%〕カ{、巳且晋a丑ted群はさら
く、いずれもその差が有意
28%**
逢成感があったunwanted甜sUmedinteaded total
はい
どちらでもない
ξ回答したもの(6%)が多
1%
h * * 出産直後の気持ち
は離乳が順調ではなかった
るという質問に「いいえ」
13%
86%
①ゐ%四ゐωゐ %ωゐ%ωん %%%ωん 表8
偶
1%
%
鑑%
% %%
%%
%
%%
% %器
%%
%
%%
% %%
%%
8
56
36
0
8
28
4
60
6
6
9
80
5
72
20
3
7
15
28
50
9
32
26
33
qowad.ed群、mistimed群
は隻’
12%
87%
1
a9
67
24
1
4
32
24
41
6
4
9
81
r 8
80
−2
1
1
12
17
71
0
48
21
31
た項目はなかった。.
・比較的楽に育てられた
18 18 27 54 9 9 72 8唾
いい兀
無回答
幌畷幌眺眺幌眺嬬幌胱眺幌嬬雅幌跳嬬秘跳磯銑鷹跳幌
は㌧’
よくむずかる
はセ’
た(表8〉。
畿胱隅機識幌畿幌驚幌叢桃騒醍蹴犠
健を問う質問では、mistim・
畿銚畿錫薇跳蹴藻瀦驚■羨胱瀦儲跳藪訓
.この時期の母親の精利1保1
表7、 生後3ヶ月まで
授乳し1こくいunwa“tedmisti面int endedt。talchl卿squa「
30%
18%
1%
‡p〈0.05
料Pく0,01
榊Pく0.00
一一
24一
して、u且wanted群で子ども1
2群に比べ少なく.、その差
は有意であった’
表10、
11、12)。
麦9 4ヶ月以降の育児と生活
離窺棚にすすんだunwante占misti而dintendedt。talchi−Squar
儲磯眺議畿剛鍛餌響護.羅暁.暁蹴畿銚籔誰藩護
のことをあげたものが他の
はい
どちらでもない
いいえ
無回答
亡のしつけが順鯛にすすんだ
はい
どちらでもない
10.母親の精神健康(表
いいえ
無回答
齢によくなついている
13)
はい
GHQ短縮版は、12項
いいえ
無回答
どちらでもない
目からなり、総合点を求め
父親によくなついている
その平均を比較した。u.駐隅
どちらでもない
はい
nte虐群は平均3.56点、
いいえ
無回答
misHmed群は3.02点、
はい
ioteo⑪d群は2.18点で
どちらでもない
あった。AHOVAにより3群
の平均点の差は有意である
lP〈0,001}。
、子供中心の生活である
いいえ
無回答
自分の時間を持っている
はい
どちらでもない
いいえ
無回答
育児への家族の協力に満足
11.CBCL=2−3歳
はい
用の結果
いいえ
無回答
生活が楽しい
はい
CBCLの標準化が我が
国ではまだなされていない
ので、ここでは、3群の平
、.どちらでもない
どちらでもない
いいえ
無回答
45% 52%、 50%
・13% 11% 12%
11% 8% 9%
0% 1% 1%
69% 68%樽
67%’
銚 2% 2%
1% 0% 1%
0% 幌 0%
60% 6器 6跳
7%・.8%㌧ 8%
1% 1% 1%
r1% 1%1r幌
50% 153% 52%
18% 15% 15%
銑 3毘 3%.
0% 1%『 1%「
23% 26鬼 26%
27% 22% ’23%
19% 23% 22%
0% 幌 1%
40鬼 36% 37%
17% 24% 23%
12% 11% 11%
0% 幌.. 1%
44% 49% 48%.
25% 20% 2f%
1% 1%、. 1%
‡‡p〈0.01
料‡Pく0.00
εD群は、平均30.84
表10育児のサポート
夫の役割u臼waΩtedmistimedintended total
.ch卜squaI
決まっている
いない
無回答
2)、mistimed群は、3
6.13点(SD18.4
5)でしあった。3群の差
は0。01の水準で有意であっ
た。
..CBCLの下位項目別の
得点では、,両群間に有意な
一225一
﹄碍4
いる
いない
夫
父母
友人
兄弟
祖父母
先生
医師
近所の人
その他
47%
48%
与2%
.3%・
2%
91%
相談する人
49%
91%
00点(SD22.9
蹴
議幌畿嬬薩談眺畿
3RU 81 U醐a d e d』群は、平均36.
0% 幌 0%
0% 1% 1%
舶く0.05
均得点を比較した。!MEND
点、 (SD17.45)、
50% 60% 57%*
9% 6% 7%
10% 5% 7%
46%ns
、52毘
2鑑
go%
7%
9%
9%
3%
・5%
5%
39%
3眺
40%
55%
56%
56%
9%
16%
14%
2%.
4%
1%
2%
0%
銚
錫
0%
領5%
12%
13%
7%
3%
4毘
差が認められたのは、withl
dra髄、aEgressive、destr
であった。
表11生活環境
住宅unwantedmisU鵬dintendedt・talchi齢squar
19% 17% 18%
1戸建て
3% 6% 2%
1戸建て2世帯住宅
共同住宅
78% 76% 80%
1
2
3
4
22% 23% 18%
50% 44% 46%
6% 9鬼 .13%
3% 4% 7%
40平米以下
17% 11% 12%
4跳 、45% 47%
22% rl7% 25%
17% 13% 10%
住居の階数
12.ライフイベントにつ
いて(表15)
、2年間に体験した総ライ
フイベント数について検討
した。3群の体験ライフイ
ペント数の差は、0,ωの水
準で有意であった。ごれに
ついては乳児期の家族のラ
隅議臨機眺昭籔犠鷺繍難職犠
ucUve behavioτについて
住居の広さ
40−66
67−99
1.OO以上
不明
子どもの遊び場
歩いていける
歩いていけない
外遊び
必ず毎日
イフイベントの児への影響
4−5回/週
2−3回/週
の視点から、さらに詳細に
不明
検討する必要があるように
いる
1回以下/週
近所の友逢
いない
3% 15% 6%
92% 94% 95%
8% 5% 5%
28% 29% 34%
22% 29% 28%
36% 28% 26%
14% 13% 10%
0% 挑 1%
了5% 瀦 82%
25% 20% 18%
思われる。
V,考察
表12夫婦関係について
妊娠の結果生まれていた。
この調査では、 「望まな
い妊娠」で生まれてきた子
どもの割合は、25%であ
った。カナダのHahl邸で
の調査では、16,2%1
の1、アメリカ合衆国の1
99・0年の調査では44%
が、uniatendepregpa
ncyからの出産であると報
告されている。
58% 6雅 64%
17% 2了% 25%
8% 4% 5%
11% 5% 4%
0% 1% 0%『
6% 1% 3%
25% 28毘 0%
83% 9跳 95%
63%
「25%
5%
4%
0%
3%
7%
93%*
25% 21%. 24%
24%
8% 20% 15%
16%
25% 22% 23%
11% 10% 12%
6% 5% 8%
71%
イギリスの報告では、3分
日回回いい答 ととと計とと他 れ的的的る答感いえい答
毎23なな回 こここ設ここの 流互方方す回足はいな回
二どく無 ののの活ののそ の相一一立無満 いも無
12ん全 計も一生上会 話 がが対 の で
週月と 家どヤ・業社 会 分夫が へ ら
ほ 子ジ来職域 自 見 話 ち
1.4人に1人は望まない
レ将 地 意 会 ど
夫婦間の会話unwantedmist imedInte“ded total l、chl−squa‘
23%
12%
7%
69%
58汚
65%
25%
22%
18%
19%
6%
3%
2%
3%
6%
8%
5%
6%
6%
2%
4%
4冗
39%
47%
22%
19%
47%
17%
46%
17%
33%
32%
34%
33%1
6%
3鬼
3%
3%
‡pく0.05
料Pく0.Ol
ヰ纏P〈0.00
出生児にしめる望まない
妊娠で生まれた児の割合
一226一
は、意図しない妊娠に対す1
表13母親の糖神鍵療
集中力unwantedmlsti面lntendedtotalch卜squa鑑
0
1
81% 85%
19% 14%
88% 87%
12% 13%
0
1
58% 77%
42% 23%
80% 78%
19% 21%
0
1
81% 81%
19% 19鬼
86% 85%
13% 14%
92% 96%一』
94% 94%
絶に終わっていた。ちなみ
0
1
8% 4%
5% 5%
に、この調査では全妊娠の
0
42% 42%
58毘 58%
54% 51%.
0
1
56% 7祝
44% 28%
19冗 22%
0
1
86% 87%
91% 90%
14鑑 13%
8% 9%
0
1
1気が重い・ゆううつ
86% 89%
94箔 93%r
14% .亀0%.
錫 7%
0
1
69% 59%
31% 41%
71% 68%
0
1
50% 68%
77% 74%*.
22% 25%
0
1
83% 85冗
17% 15毘
92% 90%
0
1
61% 55%
66% 63% ・
る中絶の選択と関連する問
題である。1988年の合衆国
におけるNational SUlvey o
fFamibGrowthでは、皿in
tended pτegMncyの51%が中
57%が意図しない妊娠で
あった。我が国では、意図
しなかった妊娠の実態につ
いては∼信頼できるデータ
を持っていない。中絶の実
態が把握できないことがそ
の大きな障壁となってい
る。かりにNSFGの意図
しない妊娠の5i%が中絶に終
わるという状況をそのま
ま、我が国の意図しない妊
不眠
生きがい
決断力
ストレス
1r
間趣解沃
楽しむ
積極的解決
自信喪失
役に立たない
幸せ
50% 32%
39% 45%
娠での出生が25%である状況
に当てはめると、全妊娠の
40%が意図しない妊娠で
あると推定する事ができ
45% 48%
6監 22%*
28% 3幌・
7% 9%
33%、 β6%
‡pく0.05
‡‡pく0。01
榊Pく0.00
GHq−score
.2.42桝(anova
MEAN 3.56 3.02 2.18
2.54pく0、00唾
SD 2.83 2。69 2,43
表14
子どもの情緒と行動の悶題
る。我が国と合衆国では、
中絶の利用に対する国民の
意識には大きな違いがあ
り、我が国の方が中絶を選・
択する傾向が強いと予測さ
れる。したがって、中絶が
ANOVA・
CBCLunwahted飢isUmedintend∈total
丁0一蒐SCORE(証AN)
36 36.13
30.84
32.18料
(SD)
22.92 18.45
1マ.45
18.08・
燃10US/DEPR[SSED
4.03 4.75
4.13
3、45 3.31
3.11
刷THDRA楢
3.78 3.08
4.04 』 2.89
2.39
2.66
SLEEPPROBLE鵬
2.92 2.76
2.50.,
2.14 1.84
.SO撚llC PROBLE綱
2.83 2・65
1.89 2,6
2.11
2.31
2.4
2.05’
・2。17
AGGRESSIVEBEHAVlOR
意図しない妊娠の約半数と
いう数値は相当に控えめの
予測値であり、実際はこれ
をかなり上回っているとい
6.72 5、48
、DESTRUCTIVEBEHAVlOR
4.06 3.92
困IE蹴IZING
2.99 2.36
7.82 7.77
E灯E鮒想ZiNG
7.14 5.57
12.86 13.14
9.1−7.15’
7.86
4.89
3.38
2.43
6.50
5.15
11.26
6』74
3.22
2.6纏
2.81
2.57
2.06r
8.18‡
5.t4
2.43零『
2.4・
6.81零
5。37
11.71專
6.99
舶く0,05
3舶く0.01
零纏Pく0.00
うことができる。・
われわれのデータは、首
8.8 9.25
4.31
表15ライフイベントun胃antedmisti㎎dintended total
5.89 5.75 4.92 5.32纏
3.23 3.31 3.10 3,17pく0.01
一227一
都圏の1ρの市部での調査で得倦れた者である。中絶の選択・男女関係についての社会的
許容は、都市部と郡部など地域によろ違いが予測される。したがって、望まな吟妊娠で生
まれる子どもの割合は弛域差参存在すると予測される。これにつ匹ては、いくつかの地方
都市との違い、郡部の町村を対象に今律さらに調査を行う予定で準備を進めている。
2。 「華まな)、妊娠で生まれ準児」.を持った家族について
さてこの調査結果では、16人〔2.2%),炉単親家犀であった。単親家庭の割合は3群の間
に有意な葦が認められなかづた。このことは、2−3才のときに単親であること.と、望ま
ない妊娠で生ま.れたということには統計学的に関連があるということはできないことを意
味している。疵究協力者野田が妊産婦を対象に調査した結果では1、mis巨m⑳群では妊娠と
分かっでから婚姻届けを出す例が多かった。この結果は婚姻関係が成立しない場合には我
が国では出産を選んでいない可能性が高いヒとを意味している。 多くの研究で、婚姻状態
はのぞまない妊娠の関連要因であること奪示している。
児の串、生順位についてみる’と、子どもを持つことを望んでいなかったものの、約半数は
第3子以上で、・mi s i t imed群は3分の2が第1子であった。すなわち、それぞれの群の特徴
は、2人の子どもを持っていた家族「に,予定外の子が一人加わった、’あるいはまだ子どもを
持つには早すぎると思っているうちに妊娠したという図式で表すごとができ、る。.一方、こ
の図式には該当しないもの、つまりuo’舶且ted群で約4分の1をしめる第1子は、子どもの
いない生活を望んでいた中での出生であり、異なった問題である可能性があろうずこの点
・にっ1いてはさらに対象数を増やし、検討を加えることが必要であるる・
r.騨・・父親の年齢について騒と・URwaaled群は高齢群・mi甑te…med群は逆に2・代とい
う若年の親が多かった』これは上に述べた出生順位と強く関連しているとい,える。またあ
らゆる年齢群でu皿wa且ted,mistimedの児を持つものはおり、それぞれが意図しない妊娠で
あったという意味が異な.ると推定される。これらについてはさらに分析を加えることが必
要である。
3.意図しない妊娠がもつリスクにつレ・七:不十分な妊娠中のケァから生後に引き続く精
神保健へrの影響』
妊娠中のケァ:意図しない妊娠は、妊娠中のケァの欠如、妊娠中のリスクとなる生活行
動、低体重出生、乳児死亡、児の成長発達の遅れなど悪影響が生じるこ、とが指摘されてい
る。また父親や母親にも心身の健康、経済状態をどのマイナスの影響を与えがちであると
いわれている。
意図しない妊娠に直面した母親が十分な妊娠中のケァを受けない理由にはいくつかの理
由がある。妊娠の継続に両価的である、妊娠の徴候に気づかない、経済的な理由など.が考
えられる。
一228一
意図しない妊娠と不十分な妊娠中のケアに関連があると多くの報告がなされていrる・・子
どもを持つことを望んでいなかったり、予定していたより早す』ぎた妊娠をし牽女性は、一.産
科医に受診し、妊娠のケァを開始するのが遅くなり、適切なケアをしないことが多い。計
画的な妊娠の女性にくらべこれらの女性は妊娠の4ヶ月以降にはじめて受診するものが、
1,1から2,6倍に上ると報告されている。妊娠中のケァが適切で.あるというために畳ま、早期
に妊娠のケァを開始するだけでなく、出産までの全期間を通じて継続して検診を受けるこ
とが必要である。意図しない妊娠では妊娠中の検診を受ける回数が少ないことを示した報
告は多い。この調査においても、7回以下の検診回数である者が多いことが示された.。こ
れは先の初診開始の遅ればかりでなく、家族あるいは地域のサポ【トが関連していそとの
指摘がなされているd
喫煙・飲酒:妊娠中の喫煙・飲酒が胎児の発育に有害な影響を与えることは広く知られ
ている。意図しない妊娠の場合、妊娠中の喫煙・飲酒経験は予定の妊娠である..も爾よりも
30%高いという報告ボなされている。この調査では、犠awa艮led群、において妊娠中の喫煙
経験のあった者が有意に多いという結果がえられたが、mislteimed群では1且t、e掴el群 との
間に喫煙件県に差が認められなかった。これは日常から喫煙習慣のないものについてのみ
検討しても変わらなかった。飲酒については、・日常飲酒するものに?Ψてのみ検討す薗と・
妊娠中の飲酒者は曲waa!ed群が7循であり、・ml5tlmed群は55%、wa且ted群で旨3%と.やはり・高率
であった。冒且wa羅短d群は妊娠に気づくことが遅れることも飲酒や喫煙経験が高いことに関
連するのかもしれない。
低体重出生児:意図しない妊娠が低出生体重児を出生する危険率を検討した研究では、
」致して1・意図した妊娠での出生率を1とするとに対し{L2から1.4の比であうと報告し
ている。また、NSFGの調査から意図しない妊娠をのぞくと、低体重出生児の発現が.4
から7%減少させることが出来ると言及している。この調査では、意図しをい妊娠での出
生と意図した妊娠での出生児との間に低体重出生児の出現の違いが見ら.れなかっ蓼一。この
要因についてはさらに検討を加えなければならない。
妊娠中の疾患や服薬、出産時の合併症:妊娠中の罹病、服薬、あるいは出産時合併痺の
有無について検討したところでは3群に有意な差を認めなかったρ「・
.3群に、とつて意味のある重要な違v)が認め拠た卿・妊娠中の気彬啄樋部分で
あった。妊娠中自分のことで、あるいは家庭内に気苦労が多くて大変だったという』ものが
uo盟nled群と皿lstimed群では約3人に1入、から2人に1人が該当すると回答していた・
misl imed群は、意図しない妊娠であったとはいえ、妊娠と分かったとき、うれしかったも
のが約半数、生まれてくる子どものことが楽しみだった80%、囲糊nte虚群は6筋みられ、時
問の経過とともに、児を受け入れる感情が明らかになっていた。そして生後3ヶ月の間に、
それぞれ75%、85%が赤ちゃんがとてもかわいいと感じたといえるまでに変化していく。
一方、u皿麗nted群では、乳児期から幼児期早期に母親と児の間に相互的な交流の乏しさ、
.r229一
愛着関係の希薄さを伺わせられた。unwa回ted群では、GHQ得点から調査時点での母親の
精神健康の問題と、家族が体験したライフイベント数の多くスドレスフルな状況が続いて
いることが明らかになった。また子どもは、2−3才時点で情緒行動問題、とくにひきこ
も1り、攻撃性、破壊性行動が多数見られていた。これらのことは、母子の精神保健に与え
ている影響の重大さを示唆している。
VI.今後の課題
乳幼児を含めたリプロダクテ・イブヘルスの研究は、おそらくはじめてのものである。、こ
の調査は、望まない妊娠で生まれた子どもとその母親についての我が国でははじめての体
系的な調査である。この結果は、該当する児は、4人に1人という予期した以上の高い割
合であることを示している。2−3才という幼児期早期においてこれらの子どもは、より
多くの攻撃的・破壊的な行動を示しており、母親は精神健康に関する訴えをより多∼持っ
・ていることが示された。これらの背景に、母親が多くのストレスフルな出来事にさらされ
ている状況もうきぼりになっている。
今後の課題としては:
①これらの事実をふまえた、母子保健活動を推進することが、急務である。望まな’・妊
娠から出産・1育児の中での解決されなければならない問題は、出産に至るまでの心理1宝ス
トレス・育児への不安・育児への関心の低下などがあり、出産育児の経済的負担がこ君を
一層深刻にしていると思われる。
②望まない妊娠で出産を選ぶに至るまでのプロセスを明らかにし、これを支える.ため0
手がかりを得る。このプロセスでは、母親の意識だけではなく、父親の意識、両者の洪1
1
について明確にすることが必要であろう。
③望まない妊娠で出生した児を含む家族の形成を縦断的に調査し、安定した家族関孫の
成立を促進する要因と、阻害する要因を明らかにする。
参考文献
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上林靖子:望まない妊娠で生まれた子どもと母親一研究への視点一厚生省心身障害研究望
まない妊娠等の防止に関す多研究、.平咳6年度報告書,r75−194,1駐95.
一23・