熊 毛 地 域 雇 用 開 発 計 画 - 鹿児島県

熊 毛 地 域 雇 用 開 発 計 画
鹿
児
島
県
熊 毛 地 域 雇 用 開 発 計 画
はじめに
雇用情勢の地域差を是正するため,国においては,地域雇用開発促進法に
基づき,雇用情勢が特に厳しい地域と雇用創造に向けた意欲が特に高い地域
に重点的な支援を行っており,熊毛地域については,平成 22 年 10 月1日
から3年間を計画期間とした地域雇用開発計画を策定し,厚生労働大臣の同
意を得たところである。
また,県においては,「新雇用創出プラン」が 24 年度で推進期間を終了
することに伴い,25 年度以降の雇用施策の基本的方向を示した「雇用創出
プラン2013」を平成 25 年3月に策定し,「ふるさと鹿児島において,
各世代すべての働く人々の『仕事の安心』を実現するために,新規雇用の創
出と雇用の確保を図る」を基本目標に掲げ,全庁的な取組のもとに,国や関
係機関とも緊密な連携を図りながら,雇用対策を推進している。
しかしながら,グローバル化の急速な進展などにより,地域の雇用を支え
てきた工場等の閉鎖・縮小が相次ぐなど,本県雇用情勢は依然として厳しい
状況が続いている。熊毛地域の最近の雇用情勢については,有効求人倍率は
依然として全国と比べて低水準で推移するなど厳しい状況にある。
このような情勢の中で,現行計画の計画期間が終了するが,本地域におい
ては,依然として雇用機会が不足しており,雇用基盤が脆弱なことから,地
域雇用開発促進法第5条第1項に基づき,国が策定した地域雇用開発指針を
踏まえて,引き続き地域雇用開発計画を策定し,今後,この計画に沿って,
地域における安定的な雇用機会の増大を促進するための各般の施策を推進し
ていくこととする。
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熊毛雇用開発促進地域の区域
「熊毛地域雇用開発計画」の区域は,鹿児島公共職業安定所管内の西之表
市,熊毛郡中種子町,南種子町,屋久島町の1市3町とする。
(1) 地域の概況
本地域は,県本土の南に位置し,面積は 994.96k ㎡と県全体の
10.8 %,人口は 45,454 人と県全体の 2.7 %を占めており,自然的一体
性を有した土地である。
温暖な気候や豊かな自然を活用して,種子島においては,さとうきびや
さつまいも,畜産を組み合わせた複合経営が盛んで,屋久島においては,
たんかん,ポンカンを主体とした経営が営まれている。さらに,シキミ等
の特用林産物の生産やトビウオ,サバ等を対象とした多様な漁業が盛んで
ある。
また,世界自然遺産としての屋久島,ラムサール条約の登録湿地となっ
た世界有数のウミガメ産卵上陸地の永田浜,種子島における宇宙開発関連
施設や鉄砲伝来の史跡など,「本物」の素材に恵まれている。
本地域は,これまで,離島振興開発計画等に基づく各般の施策が実施さ
れ,交通基盤や生活環境の整備,産業の振興など定住条件の向上が図られ
てきたが,今なお若者を中心とする人口の流出が続き,過疎化・高齢化が
進行している地域もみられる。
表1.地域の概況
地
域
面
積
人
口
県全体に対する
(k㎡)
熊
毛
994.96
県 全 体
9,188.78
*資料
割合
県全体に対する
(%)
(人)
10.8
45,454
-
1,706,242
割合
(%)
2.7
-
面積:H22国土地理院,人口:H22国勢調査
(2) 求人・求職状況
本地域の最近3年間における一般有効求職者数は月平均 794 人であり,
労働力人口に占める割合は 3.3 %と全国平均の 2/3 の 2.7 %を上回ってい
る。
また,本地域の最近3年間及び1年間における常用有効求人倍率の月平均
値は,それぞれ 0.45 倍及び 0.49 倍で,要件である 0.50 倍を下回ってい
ることから,雇用開発促進地域の要件を満たしている。
2
表2.一般有効求人倍率の推移
熊
毛
地
域
全
国
22 年度
23 年度
24 年度
3 年平均
24 年度
有効求人数(人)
390
516
474
460
0.82
0.69
有効求職者数(人)
799
808
774
794
3 分の 2
3 分の 2
有効求人倍率
0.49
0.64
0.61
0.58
(0.55)
(0.46)
(雇用開発促進地域対象要件) 0.55以下
*資料
3 年平均
0.50以下
鹿児島労働局
表3.常用有効求人倍率の推移
熊
毛
地
域
全
国
22 年度
23 年度
24 年度
3 年平均
24 年度
有効求人数(人)
208
249
231
229
0.66
0.55
有効求職者数(人)
532
518
473
508
3 分の 2
3 分の 2
有効求人倍率
0.39
0.48
0.49
0.45
(0.44)
(0.37)
(雇用開発促進地域対象要件) 0.50以下
*資料
3 年平均
0.50以下
鹿児島労働局
※雇用開発促進地域の要件は,最近3年間及び最近1年間における地域の一般有効求人倍率又は常用有効求人倍率の月平均値が共に全国の月平均値の 2/3 以下。
ただし,月平均値の 2/3 が 0.5 未満である場合は 0.5,月平均値が 0.5 未満である場合には,月平均値。
表4.有効求職者数の割合
労働力人口 一般有効求職者数
平成 22 年度
熊
全
毛
国
割 合
平均(2/3)
799
3.3
808
3.3
平成 24 年度
774
3.2
平成 22 年度
2,663,064
4.2
2,561,342
4.0
4.0
2,410,620
3.8
(2.7)
平成 23 年度
平成 23 年度
24,453
63,699,101
平成 24 年度
*資料
3.3
鹿児島労働局,労働力人口:H22 国勢調査
※雇用開発促進地域の要件は,地域の労働力人口に対する最近3年間における一般有効求職者数割合の月平均値が,同期間における全国の月平均値以上。
ただし,最近3年間及び最近1年間における一般有効求人倍率又は常用有効求人倍率の月平均値が共に 0.5 以下の地域については,全国の月平均値の 2/3。
3
2
労働力の需給状況その他雇用の動向
(1) 労働力人口
平成 22 年の国勢調査によると,当地域の労働力人口は 24,453 人で平成
17 年の同調査に比べ 1,480 人の減少となっており,県全体に占める割合
も平成 17 年の 2.98 %から,平成 22 年の 2.93 %と減少している。
また,地域内の労働力人口のうち,55 歳以上の占める割合は,平成 17
年の 37.8 %から平成 22 年の 41.8 %と増加している。
表5.労働力人口の推移
地
域
平成17年
平成22年
うち55歳以上 構成比
増減差
うち55歳以上 構成比
(人)
(人) (%)
(人)
25,933
9,795
24,453
10,211
県 全 体 869,589
253,036
29.1 834,101
273,342
熊
毛
37.8
(人) (%)
41.8
うち55歳以上 構成比
(人)
(人) (%)
▲ 1,480
416
4.0
32.8 ▲35,488
20,306
3.7
* 資料 H17・H22国勢調査
4
(2) 就業構造
平成 22 年の国勢調査によると,産業別就業者数の割合は,第1次産業
26.1 %(県全体 10.0 %),第2次産業 12.8 %(同 18.8 %),第3次産業
60.6 %(同 67.2 %)となっている。大分類別にみると,農業(23.7 %),
卸売業,小売業(12.6 %),医療,福祉(10.8 %)の順となっている。
表6.産業別就業者数
産
業
熊毛地域
県 全 体
構成比
(人)
総
(%)
県全体に対
構成比 する割合
(人)
(%)
(%)
23,230
100.0
776,993
100.0
3.0
6,066
26.1
77,967
10.0
7.8
農業,林業
5,652
24.3
72,086
9.3
7.8
うち農業
5,494
23.7
70,028
9.0
7.8
414
1.8
5,881
0.8
7.0
2,966
12.8
146,393
18.8
2.0
12
0.1
659
0.1
1.8
建設業
1,946
8.4
63,467
8.2
3.1
製造業
1,008
4.3
82,267
10.6
1.2
14,086
60.6
522,291
67.2
2.7
105
0.5
3,664
0.5
2.9
50
0.2
6,983
0.9
0.7
運輸業,郵便業
829
3.6
35,973
4.6
2.3
卸売業,小売業
2,928
12.6
129,557
16.7
2.3
金融業,保険業
290
1.2
15,863
2.0
1.8
不動産業,物品賃貸業
146
0.6
8,747
1.1
1.7
学術研究,専門・技術サービス業
395
1.7
16,632
2.1
2.4
1,958
8.4
46,843
6.0
4.2
849
3.7
28,388
3.7
3.0
教育,学習支援業
1,057
4.6
36,596
4.7
2.9
医療,福祉
2,516
10.8
111,597
14.4
2.3
476
2.0
9,143
1.2
5.2
サービス業(他に分類されないもの)
1,138
4.9
35,822
4.6
3.2
公務(他に分類されるものを除く)
1,349
5.8
36,483
4.7
3.7
112
0.5
30,342
3.9
0.4
計
第1次産業計
漁業
第2次産業計
鉱業,採石業,砂利採取業
第3次産業計
電気・ガス・熱供給・水道業
情報通信業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
複合サービス業
分類不能の産業
*資料
5
H22国勢調査
(3) 労働力の需給状況
① 有効求人倍率(パートを含む)の動向
平成 20 年終盤からの景気の悪化により全国と同様に低下し,21 年中
盤を底に 23 年度までは上昇傾向にあったが,24 年度は低下しており,
依然として全国との格差は解消されておらず,厳しい状況が続いている。
図1 有効求人倍率の推移
熊毛地域
全 国
1.00
0.82
0.90
0.79
0.80
0.81
0.80
0.81
0.81
0.86
0.81
0.82
0.71
0.81
0.77
0.70
0.75
0.82
0.83 0.85
0.68
0.55
倍 0.60
0.49
0.50
0.78
0.89
0.78
0.85
0.77
0.62
0.560.64
0.67
0.61
0.43
0.45
0.56
0.40
0.45
0.43
0.30
0.41
0.47
4月
3月
2月
1月
月
年
月
25
12
月
11
10
9月
24
8月
7月
6月
年
5月
4月
度
度
24
年
成
平
年
23
平
成
22
平
成
21
20
平
成
成
平
②
度
度
年
年
度
0.20
職業別新規求人倍率・充足状況(平成24年度:パートを除く常用)
専門・技術職,農林漁業,サービスについて,新規求人倍率が1倍を超
えており,職業全体の新規求人倍率を大きく上回っている一方,運搬・清
掃・包装等,事務については大きく下回っている。充足率については,事
務で6割を超えるが,専門・技術職,建設・採掘,農林漁業,販売につい
ては,3割を下回っている。
表7.職業別新規求人倍率・充足状況
職業別
専門・技術職
常用新規求人 常用新規求職 新規求人倍率
充足数
充足率
296
126
2.35
47
15.9
事
務
92
301
0.31
58
63.0
販
売
58
100
0.58
16
27.6
サービス
235
204
1.15
108
46.0
農林漁業
95
63
1.51
26
27.4
生産工程
67
69
0.97
31
46.3
輸送・機械運転
58
59
0.98
19
32.8
建設・採掘
85
111
0.77
14
16.5
運搬・清掃・包装等
49
279
0.18
21
42.9
1,035
1,312
0.79
340
32.9
職業計
※求人数,求職数,充足数は年度計,主要職業のみ掲載
6
*資料
鹿児島労働局
③
年齢別有効求人倍率・求職状況(平成24年度:パートを除く常用)
有効求職者のうち,年齢別の占める割合は中高年齢者 49.4 %,高年
齢者 27.1 %,65 歳以上 1.7 %となっている。
表8.年齢別有効求職状況
年齢別
全
有効求職者数
数
473
100.0%
44歳以下
232
48.9%
45歳~64歳(中高年齢者)
234
49.4%
128
27.1%
8
1.7%
55歳~64歳(高年齢者)
65歳以上
*資料
3
割合
鹿児島労働局
地域雇用開発の目標
本地域は,農林水産業が盛んであり,また,特色ある伝統技術・特産品等の
ほか,多くの観光資源にも恵まれた地域であるものの,産業の集積が弱く,雇
用機会の確保が十分でないことに加え,景気の変動等による雇用情勢の変化に
も適切に対応する必要がある。
このため,県の産業施策や国の雇用施策などと連携を図りながら,地域の実
情に応じた雇用開発を推進する。
具体的には,空と海と陸の交通ネットワークの充実,若者が地元に定着する
魅力ある産業おこし,人と自然が調和する地球にやさしい地域社会づくり,地
域特性を生かした快適で活力ある地域づくりを進めながら,
①
②
③
④
⑤
⑥
企業誘致活動の推進,地域資源を生かした産業の育成
農林水産業における新規就業者の確保・育成
観光産業の振興
医療・福祉・介護分野における人材の確保・育成
中小企業の新規創業や経営革新等の支援
地域の自主的な取組への支援
による新たな雇用を 40 人規模で創出する。
7
4
地域雇用開発を促進するための方策
(1) 地域雇用開発促進のための措置
イ
新たな雇用機会の開発の促進等に関する事項
助成金を活用することにより,新たな産業の雇用機会の開発に努める
ともに,農林水産業や宇宙開発関連産業等,地域の特性や民間の活力を
生かしつつ地域雇用開発の促進に努める。
そのため,雇用機会が特に不足している地域等において,事業所の設
置・整備を行うことに伴い,その地域内に居住する求職者等を雇用する事
業主に対して地域雇用開発奨励金や非正規労働者の正規雇用等への転換な
ど,企業内でのキャリアアップ等を促進するためのキャリアアップ助成
金,若年者や成長分野等の企業内での職業訓練などによる人材育成のた
めのキャリア形成促進助成金などの国の助成措置の効果的活用を図る。
ロ
職業能力開発の推進に関する事項
雇用情勢の変化に対応した職業能力開発支援体制の充実を図るために,
地域ニーズや在職労働者,事業主の多様な訓練ニーズに対応した職業訓
練を実施するとともに,障害者等の特別な配慮を必要とする人について
は,その特性に応じた効果的な職業訓練機会の提供に努める。
また,企業における職業能力開発への支援を積極的に推進するととも
に,キャリアアップや正規雇用への転換に対する各種制度の普及促進を
図る。
さらに,職業生涯を通じたキャリア形成支援のための職業能力評価の
基盤整備の推進や技能尊重の気運醸成に努め,職業能力開発に関する相
談体制の整備や情報提供体制の一層の充実を図る。
ハ 労働力需給の円滑な結合の促進に関する事項
・ 若者世代の雇用機会を確保するために,新規学卒者を対象とした就職
面接会等の開催や県内企業等への採用枠の拡大要請を実施するほか,働
く意欲の向上等を目的とした,勤労観・職業観の醸成のためのキャリア
教育の推進やインターンシップ,県内企業見学会等を実施するとともに,
学卒未就職者や早期離職者など若年失業者等に対するキャリア・コンサ
ルティング,各種セミナーなどを実施し,非正規労働者の正規雇用に向
けた職業訓練の実施など若年者の就業支援の強化に取り組む。
・
働き盛り世代の雇用環境の整備と雇用機会の確保のために,仕事と生
活の両立ができる雇用環境づくりに対する普及・啓発などに努めるほか,
再就職に向けた就職面接会や就職支援セミナーなどの実施に加え,事業
8
所閉鎖や縮小に伴う離職者に対しては,成長が見込める分野への再就職
支援に努めるとともに,子育てなどにより離職した人が復職しやすい環
境づくりを促進する。また,UIターン希望者へは,無料職業紹介や就
職面接会等を実施する。
・
高齢世代の雇用の確保のために,高年齢者雇用安定法や助成金制度の
周知に努め,高年齢者の就業を通じた社会参加を一層促進する。
・
障害者や特別な支援を必要とする方への雇用機会の確保のために,事
業主の障害者雇用に対する意識啓発や障害者雇用率制度の積極的な周知
や各種制度の活用により障害者に対する支援体制の充実・強化を図るほ
か,ひとり親家庭に対する就業相談や就職情報の提供など就労支援体制
の充実・強化を図る。
ニ
各種支援措置の周知徹底に関する事項
雇用対策に関係する法令・制度や支援策等について,広報誌やセミナ
ー等を活用して積極的な周知に努めるとともに,教育研修に係る情報提
供の充実など,県ホームページやテレビ,ラジオ,新聞などの広報媒体を
活用した普及啓発を一層推進する。
ホ
地域雇用開発の効果的な推進に関する事項
労使団体,関係行政機関等と連携を図りながら,地域雇用開発の方向性
について地域関係者と共通認識を形成し,本地域における地域雇用開発を
効果的に推進する。
(2) 地域雇用開発の促進に資する県の取組
地域資源を活用した飲・食料品製造業等の第二次産業,雄大な自然や,
特色のある歴史,文化,産業等の観光資源を生かした魅力ある観光地づく
り等による観光産業などの振興等により,新たな雇用の創出を図る。
また,地域ごとに特徴ある農林水産業,高齢化の進行等に伴い人材確保
が課題となっている医療・福祉・介護事業など,今後,雇用の受け皿とし
ての役割拡大が期待できる分野において,雇用の機会の創出を図る。
さらに,雇用創造に向けた意欲が高い地域における自発的な取組に対
する支援など,地域の特性を生かした雇用創出を促進する。
5
計画期間
計画期間は,平成 25 年 10 月1日から平成 28 年 9 月 30 日までとする。
9