市場調査部レポート - マネースクウェア・ジャパン

2017 年 3 月 3 日(金)発行 No.033
市場調査部レポート
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マンスリー・アウトルック(2017/3)
2017 年 3 月の為替相場展望
「3.15」にご用心!
<相場環境>
トランプ米大統領の議会演説を無事(?)通過。今後は、議会の予算編成の中で経済政策がどのように実
現するかに注目。他方、FRB は追加利上げに向けて前進。3 月 15 日には、FOMC の結果判明、オランダ総
選挙の開票、米デットシーリング(債務上限)の復活などイベントが重なるため、相場変動に要注意!
<主要通貨の動向>
・【全体観・米ドル】 「3 月 15 日には気を付けろ!」
・【ユーロ】 ユーロ/円、下抜けブレークのメドは?
・【ポンド】 英ポンド/円、上方硬直性相場が継続しそう
<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】 鉄鉱石価格の動向や米 FOMC に影響を受ける!?
・【NZ ドル】 RBNZ が 16 日に政策会合。声明の内容に注目!!
・【加ドル】 BOC は当面据え置き!? 加ドルは原油価格の影響を受けそう
・【トルコリラ】 短期市場金利の高め誘導が下支えか
・【南アフリカランド】 プラチナ等の資源価格の上昇が支援材料?
◆主要経済指標・イベント
◆OIS(翌日物金利スワップ)に基づく金融政策見通し
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≪相場環境≫
米予算編成は長期化も
2 月 28 日の議会演説で、トランプ大統領は「大統領らしく」振る舞い、政府や共和党の関係者だけでなく、
市場にも安心感を与えたようです(ほとんどの民主党議員はシラケていましたが)。ただし、減税やインフラ投
資などの予算や、医療保険制度改革(オバマケア廃止)などについて、大統領は具体的な内容には触れま
せんでした。
今後、トランプ大統領が、議会での立法措置が必要なそれらの政策をどのように具体化していくかに市場
の関心はシフトしそうです。
3 月 16 日には、トランプ政権から予算案の概要が議会に伝えられるとのこと。ただ、詳細を明らかにした
包括的な予算案(=従来の予算教書に該当?)の提示は、遅れて 5 月ごろになるようです。また、トランプ
大統領が医療保険制度改革を優先する姿勢を鮮明にしているため、景気刺激につながるような予算編成
は長引く可能性があり、10 月 1 日の年度開始後まで続くかもしれません。
高まる 3 月利上げの観測
次回 FOMC(3/14-15)での利上げ観測が急速に高まってきました。利上げに慎重な「ハト派」とみられる
ダドリーNY 連銀総裁や複数の理事らが 3 月利上げに前向きの発言をしたからです。3 月 2 日時点で、FF レ
ート(政策金利)先物から判断する市場のメインシナリオは、「3 月、6 月、12 月と今年 3 回利上げ」です。
今後の状況によって、市場の利上げ観測がどう変化するか、注目したいところです。また、市場の関心は、
年内利上げの回数から来年以降も利上げが続くかに徐々にシフトするかもしれません。そして、利上げ継続
の観測が高まるようであれば、米ドルに一段の上昇余地が生まれそうです。
重要な 3 月 15 日!!
3 月 15 日は重要な相場材料が集中するため、とりわけ注意が必要でしょう。
まず、上述した FOMC の結果が判明し、参加者の政策金利見通し(「FOMC のドット」)なども公表されます。
直後にはイエレン議長の会見も予定されています。
その後、オランダ総選挙の開票速報が始まります。極右の自由党(PVV)が政権を手にする可能性はかな
り低そうですが、予想以上の議席数を獲得するなどして、第一党に躍り出れば、反 EU、反ユーロの運動が
勢いを得るかもしれません。その場合は、とりわけフランス大統領選挙への影響が懸念されることになりそう
です。
そして、米デットシーリング(債務上限)の無効措置が 15 日をもって期限切れとなり、16 日にデットシーリ
ングが復活します。議会がデットシーリングの引き上げや新たな無効化で対応しなければ、政府は債務を増
やすことができなくなり、いずれ政府機能の停止やデフォルト(債務不履行)につながります。
米財務省が裏技を使って債務増加余地を捻り出すことは可能なので、すぐさま危機的状況になるわけで
はありませんが、市場は神経質になるかもしれません(=リスクオフの強まり)。
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<3 月 15 日のイベントについては、3 月 8 日ごろ配信予定のシナリオレポートをご参照ください>
**************
来週は米雇用統計に注目
10 日に発表される 2 月の米雇用統計は 14-15 日の FOMC 前の最後の重要指標であり、FOMC の結果
に影響を与えるかもしれません。1 日に発表されたベージュブック(地区連銀経済報告)では、労働市場が
引き続きひっ迫しており、いくつかの地区では人手不足が拡大していると報告されました。また、賃金は総じ
て緩やかに上昇しており、賃金上昇率の加速を報告する地区もあったとのことでした。
人手不足が広がっているのであれば、NFP(非農業部門雇用者数)はこれまでのようなペース(2016 年は
+18.7 万人/月)では増えないかもしれません。かわりに、失業率の一層の低下や賃金上昇率の加速がみら
えるようであれば、FRB は利上げを一段と積極化しそうです。
欧州では、9 日に ECB 理事会が開催されます。現状維持が決定されそうですが、将来的な利上げや量的
緩和縮小(テーパリング)に関するヒントが出るか等が注目されます。英国では、メイ首相に EU 離脱を宣言
する権限を付与する法案の審議が長引きそうです。離脱宣言の先送りは先行きの暗雲を予想させ、英ポン
ドの弱気材料になるかもしれません。また、9-10 日には EU サミット(首脳会議)が開催されます。景気、安
全保障、移民・難民など様々な課題が討議されるようです。
中国では、5 日に全国人民代表大会(全人代)が開幕。10 日間程度の会期で、1 年間の施政方針や予
算などが討議・採択されます。経済政策や人民元、あるいは対外(対米)関係に関して何らかのメッセージ
が出されるでしょうか。
5 日の自民党大会では、総裁任期をこれまでの「連続 2 期 6 年まで」から「連続 3 期 9 年まで」に延長す
る予定です。その結果、安倍政権の長期化の可能性が出てきます。<チーフエコノミスト 西田明弘>
【全体観・米ドル】 「3 月 15 日には気を付けろ!」
≪相場環境≫にもある通り、2 月 28 日に行われたトランプ大統領による初の米上下両院合同本会議で
の施政方針演説は、大手メディア記者を前にした会見で見せるような“高圧的”ないしは“エキセントリック”
な発言や態度を微塵も見せることなく、まさに大統領然とした余裕や貫禄を見せ、総括すると適温を表す<
ゴルディロックス演説>に終始したと表現していいのかもしれません。
裏を返せば、トランプ大統領のエキセントリックな発言を警戒(期待?)していた一部マーケット参加者にと
っては、「拍子抜け」「肩透かし」といった内容に映ったこともあり、“トランプノリスク”の予防線として布陣させ
ていたショートポジションを買い戻す“踏み上げ”が加勢する形となったのも、リスク選好フローが押し上げられ
た一つの要因と言えそうです。
今回のトランプ大統領による施政方針演説の中で、特にウォール街を中心に好感したのが 1 兆ドル(約
113 兆円)に上るインフラ投資と「歴史的な税制改革」に関する言及。
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ただし、その具体的な中身や時期は示されず、これから問題となり得るのは、その財源をどうやって捻出
するのかどうか、また議会とどのような折衝をしていくのかに絞られます。
そもそも、マンデル・フレミングの法則に従うと、大型財政出動を伴うインフラ投資や減税を実施すると、早
晩クラウディング・アウト効果と呼ばれる民間投資の減少→株安をもたらすとされており、また、実質金利の
上昇が続けば、「悪いドル高」が起因する株安へとつながるとされています。以下、マンデル・フレミングの法
則を単純化したフローをご覧ください。
このフロー図から勘案すると、現時点(3/3 時点)における米ドル高・円安フローは、上図 A の進展を予想
したマーケット参加者が、足もとで日米金利差が拡大するであろうと予測したことも一因と言えます。
しかしながら、このまま「債券安」「金利高」が継続すると、前述の通り、クラウディング・アウト効果による株
安(上図 B)になってしまうこと、また結果的には「悪いドル高」(上図 C)をもたらしてしまうことが想定されます。
(※ 理論上、「悪いドル高」は結局「株安」[上図 D]へとつながるとされています。)
直近では、クリストファー・シムズ氏(マクロ経済学者、プリンストン大教授)が提唱する「シムズ理論」により、
「将来的に増税をしない」との条件下での財政出動は、金融政策とのポリシー・ミックスを行うことによって景
気回復をもたらすとされており、一概に「財政出動=株安・米ドル高」とはならないことにも留意する必要があ
りますが、やはり今後のトランプ政権による財政出動に関する動きからは目が離せそうにありません。
トランプ大統領の施政方針演説を終えた今(3/3 時点)、次のボールはイエレン FRB 議長に渡されたと見
てもよく、その意味でも 3 月 14-15 日に開催される米 FOMC 会合には大いに注目が必要でしょう。
その 3 月 15 日は、≪相場環境≫にもある通り、米 FOMC 会合のみならず、米国の債務上限問題(デット
シーリング)期限日ともなっており、またオランダの総選挙も予定されています。
マーケットに大きな影響を与える可能性のある材料が 3 月 15 日に集中していることもあり、今月は【3.15】
という日柄に留意すべきと考えます。
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以下余談ながら、アストロロジー(西洋占星学)分析において重要とされる『金星逆行現象』が 3 月 5 日か
らスタートします。(※ 期間は約 42 日間[-4 月 15 日]。18 ヶ月に 1 回のペースで当該現象が発生すると
言われています。)
『金星逆行現象』時のマーケットは、過去の事例から予想変動率(ボラティリティ)や不確実性が上昇する
とされており、その現象が発生する最中の【3.15】にこれだけの材料が集中していることからも、特に今月は
日柄を重要視した方がいいのかもしれません。
ちなみに、3 月 15 日と言えば、シェイクスピアによって書かれた『ジュリアス・シーザー』(1599 年)の劇の
中に現れる占い師がシーザーに向かって放つ台詞、「3 月 15 日には気を付けろ!」(The ides of March are
come.)が思い起こされます。
結局、シーザーは予言通り 3 月 15 日に暗殺されるという悲劇的なストーリーも相まって、いやが上にも
【3.15】が意識されますが、これらの話はあくまでも付録的な意味として頭の片隅に入れていただければ幸
いです。
ただし、「3 月はマーケットのボラティリティ(変動率)が高くなる傾向がある。」というのは、過去の事例でも
示されている通りということもあり、特に今月は「治療より予防」の観点で、リスクマネジメント重視の投資姿勢
を取っていただければと思います。
閑話休題。以下、米ドル/円・週足・一目均衡表+パラボリック+フィボナッチ+DMI につき、ご確認ください。
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上記米ドル/円・週足・一目均衡表を見てみると、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の上方にあ
ること、2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置していること、そして 3) 転換線が基準線の上方に位置し
ていることから、【三役好転】サイン、つまり上昇基調が継続しています。
一方で、方向性を示唆するパラボリックと DMI(方向性指数)を見てみると、4) SAR(ストップ・アンド・リバー
ス)がローソク足の上方で点灯していること、5) –DI が+DI の上方に位置していることから、上方硬直性相場が
継続中となっています。
つまり、上記複合チャートのメルクマールを総合してみると、上昇基調の中での下押し期間が続いている
と捉えていのかもしれません。
現時点(3/3 時点)の米ドル/円は、2015 年 6 月時高値(125.86 円、上図 A)と 2016 年 6 月時安値
(98.76 円、上図 B)を結んだフィボナッチ・50.0%ラインと同 61.8%ラインの間のゾーン(≒112.31-115.51
円)を意識する展開となっています。
今月のポイントは、繰り返しながら「日柄」。縦軸の「レート」や「テクニカル・メルクマール」とともに、横軸の
「日柄」を意識しつつ、米ドル/円の上値メドは前回高値付近の 118 円台前後、下値メドはフィボナッチ・
38.2%ライン付近である 109.11 円前後といった、ワイドレンジを主戦場と見た方がいいのかもしれません。
<チーフアナリスト 津田隆光>
【ユーロ】 ユーロ/円、下抜けブレークのメドは?
以下、ユーロ/円・週足・一目均衡表+パラボリック+DMI をご覧ください。
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上記チャートより、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の中に入り込んでいること、2) パラボリック・
SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、3) DMI(方向性指数)において、-DI>
+DI となっていることから、上方硬直性相場の継続が想定できます。
足もとでコアとなるレンジは、週足・一目均衡表の基準線および転換線の間のゾーン(≒118.00-121.00
円)と予想され、概ね当該ゾーンが主戦場となりそうです。
一方で、パラボリックおよび DMI といった方向性を示唆するテクニカル・メルクマールが「売り」サインとなっ
ていることから、仮にユーロ/円が基準線である 118.00 円を下抜けブレークした場合は、下降トレンドが強ま
る可能性もありそうです。<津田>
【ポンド】 英ポンド/円、上方硬直性相場が継続しそう
以下、ポンド/円・週足・一目均衡表+パラボリック+DMI をご覧ください。
上記チャートより、1)ローソク足の上方に先行スパン(いわゆる“雲”)があること、2) 遅行スパンがローソク
足と絡み合っている状態であること、3) 転換線が基準線の上方に位置していること、さらには 4) パラボリッ
ク・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していることから、上方硬直性を伴うレンジ相場
となることが予想されます。
足もとでコアとなるレンジは、週足・一目均衡表の基準線および転換線の間のゾーン(≒136.60-141.00
円)と予想され、概ね当該ゾーンを主戦場とするレンジワークの展開となりそうです。
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一方で、パラボリックおよび DMI といった方向性を示唆するテクニカル・メルクマールが「売り」サインとなっ
ていることから、仮に英ポンド/円が基準線である 136.60 円を下抜けブレークした場合は、下降トレンドが強
まる可能性もありそうです。<津田>
<資源国・新興国通貨の動向>
【豪ドル】 鉄鉱石価格の動向や米 FOMC に影響を受ける!?
3 月の豪ドルは、鉄鉱石価格や米 FOMC の決定に影響を受けやすいとみられます。7 日に RBA(豪中銀)
の政策会合があります。政策金利は 1.50%に据え置かれ、声明も先行きの金融政策について言及されな
いなど前回から大きく変化しない可能性が高そうです。その場合、RBA の会合はあまり材料視されないとみ
られます。
2 月は鉄鉱石価格が一段と上昇しました。中国の青島に荷揚げされる鉄鉱石(鉄分 62%)価格は、一時
94 米ドル台へと上昇し、約 2 年半ぶりの高値をつけました。豪州最大の輸出品である鉄鉱石の価格上昇は、
豪ドルにとってプラス材料です。
ただし、鉄鉱石価格上昇の背景には、中国の輸入増もあるものの、投機マネーが先物市場へと流入する
ことで現物価格を押し上げているとの見方もあります。原材料である鉄鉱石の価格上昇は景気に悪影響を
与えるおそれがあるため、中国政府が今後、投機の抑制に向けて先物市場への規制強化に動くことも考え
られるため、注意しておく必要はあります。
また、米 FRB が 3 月 14-15 日に金融政策を決める FOMC を開催します。その結果に豪ドル、とりわけ対
米ドル(豪ドル/米ドル)が大きく影響を受ける可能性があります。<アナリスト 八代和也>
*鉄鉱石価格=中国の青島に荷揚げされる鉄鉱石(鉄分 62%)
出所:Bloomberg より作成
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【NZ ドル】 RBNZ が 16 日に政策会合。声明の内容に注目!!
RBNZ(NZ 中銀)のウィーラー総裁は 3 月 2 日、オークランドで講演し、政策金利を今後 2 年間据え置く
と表明するとともに、「次の OCR(オフィシャル・キャッシュ・レート、政策金利)の調整が上下どちらになるかに
ついての確率は等しい」と発言。RBNZ の次の一手は“利上げ”と“利下げ”のいずれもあり得るとの見解を示
しました。
ウィーラー総裁は、「国内経済は生産の伸びに上振れの可能性があるものの、インフレをめぐるリスクは均
衡しているように見える」と述べ、「このことは、OCR が今後 2 年間現在の水準にとどまることを意味する」と表
明しました。
RBNZ は 3 月 23 日に政策会合を開きます。政策金利は 1.75%に据え置かれるとみられ、声明の内容が
焦点になりそうです。
声明では、先行きの金融政策や NZ ドルに関する文言に注目です。前回 2 月会合時は、以下のとおりでし
た。
<先行きの金融政策>
・「かなりの期間、緩和的になる」
・「とりわけ国際的な見通しに多くの不確実性が残っており、それに応じて政策の調整が必要になる可
能性がある」
<NZ ドル>
・「バランスのとれた成長を持続可能にするには依然として高い」
・「為替レートの下落が必要だ」
声明の内容が前回から大きく変化すれば、NZ ドルが反応しそうです。
また、豪ドルと同様、NZ ドルも 3 月 14-15 日の米 FOMC に影響を受ける可能性があります。FOMC の結
果に注意が必要です。<八代>
【加ドル】 BOC は当面据え置き!? 加ドルは原油価格の影響を受けそう
BOC(カナダ中銀)は 3 月 1 日の会合で、政策金利を 0.50%に据え置きました。
カナダの 1 月 CPI(消費者物価指数)上昇率は前年比+2.1%と、昨年 12 月の同+1.5%から加速し、BOC
のインフレ目標(+1 から 3%)の中央値である+2%に達しました。BOC はそのことについて声明で、「エネル
ギー価格の上昇などの一時的な影響を反映したもの」と、慎重な見方を示しました。
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声明では、「世界やカナダ経済に関する最近のデータは、BOC が 1 月の金融政策報告で示した予測と一
致している」と指摘。「消費や住宅指標は昨年 10-12 月期の成長率が予測を若干上回った可能性がある
ことを示す」とする一方、「輸出は引き続き競争力の問題に直面している」としました。
BOC は「見通しの重石となる著しい不確実性の影響に注意を払うとともに、リスクを引き続き注視する」と
強調。そのうえで「現在の金融政策スタンスは依然として適切だと判断した」としました。
BOC のポロズ総裁は前回 1 月の会合時の会見(総裁会見は今回実施されず)で、「(カナダをめぐる)下
方リスクが現実のものとなって、インフレ目標の達成がリスクにさらされた場合、BOC は行動を起こす余地が
ある」と強調、「下方リスクが存在している限り、利下げは検討事項であり続ける」と述べました
BOC の追加利下げの可能性は残っているとみられるものの、今回 3 月 1 日の声明をみる限り、その必要
性は低いように感じられます。政策金利は当面、据え置かれそうです。
サプライズがなかったことで、BOC の会合は市場であまり材料視されませんでした。3 月のカナダドルは米
FOMC の結果や原油価格の動向に左右される展開になりそうです。ただし、クロス円である加ドル/円は、米
ドル/円の影響も受けます。米ドル/円の動向にも注意が必要です。<八代>
【トルコリラ】 短期市場金利の高め誘導が下支えか
トルコリラは 2 月、対米ドルや対円で反発しました。その背景には、トルコリラにとって新たなネガティブ材料
があまり出なかったことや、TCMB(トルコ中銀)が市場金利を高めに誘導したことが挙げられます。
TCMB の金融政策はコリドー方式を採用しています。通常は、1 週間物レポ金利(主要政策金利)を中心
に、翌日物借入金利を下限、翌日物貸出金利を上限として、その範囲内に市場金利を誘導します。ただ、
TCMB は今年 1 月半ば頃から、1 週間物レポ金利や翌日物貸出金利での資金供給を絞り、短期市場金利
を「後期流動性貸出金利」へと誘導。それにより、1 月上旬に 8.5%前後だった短期市場金利(翌日物銀行
間金利)が上昇、足もと 11%前後で推移しています。後期流動性貸出金利は本来、金融機関が資金不足
を回避するための最終手段として用意されている例外的な資金供給金利です。
トルコリラ安が進むなか、TCMB は前回 1 月の政策会合で、3 つの政策金利のうち、翌日物貸出金利の
みを 0.75%引き上げて、1 週間物レポ金利と翌日物借入金利は据え置きました。その裏で、短期市場金利
を後期流動性貸出金利付近へと上昇させることで、翌日物貸出金利の利上げ幅以上の効果をもたらした
とみられます。
TCMB は 3 月 16 日に政策会合を開きます。前回会合以降、トルコリラ安が一服したことや、4 月 16 日に
憲法改正の是非を問う国民投票が実施されることを踏まえると、TCMB は金融政策の現状維持を決める可
能性があります。
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TCMB による市場金利の高め誘導が引き続き、トルコリラを下支えしそうです。ただ、3 月 14-15 日の米
FOMC の結果にトルコリラが影響を受ける可能性があります。対米ドル(米ドル/トルコリラ)だけでなく、対円(ト
ルコリラ/円)が影響を受けることも考えられます。<八代>
出所:Bloomberg より作成
【南アフリカランド】 プラチナ等の資源価格の上昇が支援材料?
南アフリカランドは 2 月に対米ドルで 1 年半、対円で 1 年 4 か月ぶりの高値をつけるなど、堅調に推移し
ました。プラチナなど南アフリカの主力輸出商品価格の上昇が、ランドの支援材料となりました。
3 月のランド独自材料としては、30 日の SARB(南アフリカ中銀)の政策会合が挙げられます。
SARB は前回 1 月の会合で、政策金利を 7.00%に据え置きました。クガニャゴ総裁はその時の会見で、
インフレ見通しについて「短期的に警戒を要する」と述べ、リスク判断を昨年 11 月の「わずかに上向き」から
「上向き」へと若干修正しました。
南アフリカの 1 月 CPI(消費者物価指数)は前年比+6.6%と、昨年 12 月の+6.7%から上昇率が若干鈍
化したものの、SARB のインフレ目標の上限である+6%を 5 か月連続で上回りました。
ただ、SARB は CPI 上昇率が今後鈍化すると予想しています。また、前回会合以降、ランドが対米ドルで
上昇しました。それを踏まえると、3 月 30 日の会合では政策金利の据え置きが決定されそうです。
市場では、SARB が政策金利を年内据え置くとの見方が有力です。会合後に行われるクガニャゴ総裁の
会見を受けて、その見方が変化するかどうかに注目です。会見後も見方に大きな変化がなければ、ランドは
プラチナなどの資源価格や、米 FOMC の結果に左右される可能性があります。<八代>
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<執筆者>
西田 明弘(にしだ あきひろ)
市場調査部 チーフエコノミスト マクロ経済・マーケット全般
1984 年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを
経て、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテ
ジストとして高い評価を得る。2012 年 9 月、マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。市
場調査部チーフアナリストに就任。現在、M2J の WEB サイトで「市場調査部レポート」、
「市場調査部エクスプレス」、「今月の特集」など多数のレポートを配信する他、TV・雑
誌など様々なメディアに出演し、活躍中。
津田 隆光(つだ たかみつ)
市場調査部 チーフアナリスト マーケット全般、米ドル担当
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。主に国際商品市況の
マーケット業務に従事し、2008 年 1 月マネースクウェア・ジャパン入社。シニアテクニカ
ルアナリストとして独自のアレンジを取り入れた各種テクニカル分析レポートを執筆する
傍ら、セミナー講師やラジオ NIKKEI 番組コメンテーターなどを務める。2016 年 4 月、
市場調査部チーフアナリストに就任。
八代 和也(やしろ かずや)
市場調査部 アナリスト 豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アランド担当
2001 年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レ
ポートの執筆など FX 業務に携わる。2011 年 12 月、マネースクウェア・ジャパンに入
社。市場調査部に所属し、豪ドルや NZ ドルといったオセアニア通貨にフォーカスした
「オセアニア・レポート」を執筆している。FX に携わり 14 年。
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の必要証拠金額は変動いたします。
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ダン®』は取引の利益を保証するものではありません。投資判断はお客様ご自身にて行っていただきますよ
うお願いいたします。また、同一金融商品で複数の『ダブルリピートイフダン®』を入れる、またはすでにポジ
ションを保有する金融商品で新たに『ダブルリピートイフダン®』を注文すると両建て取引となることがありま
す。
■ライセンサーに関する注意事項
「日経平均株価」は日本経済新聞社が、「ダウ・ジョーンズ工業株平均株価(NY ダウ)」は S & P DOW
JONES INDICES が、「DAX®」はドイツ取引所が、「FTSE 100」は FTSE が、知的所有権等一切の権利を有
します。各ライセンサーは本商品のスポンサー、保証、販売促進を行っておらず、東京金融取引所の株価
指数証拠金取引に一切の義務ないし責任を負うものではありません。
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金融商品取引業
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【加入協会】 日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会
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