2016年10月~2016年12月 - 三井住友トラスト・アセットマネジメント

2017年1月24日
J-REIT市場の動向と今後の⾒通し
(2016年10⽉〜2016年12⽉)
J-REIT市場の振り返り
(図1)東証REIT指数と米国REIT指数の推移
2016年夏以降、米国中心に長期金利が上昇し、
世界的にREIT市場が下落する中、J-REIT市場も軟
調な展開となりました。米国大統領選挙を控えて世
界的に積極的な投資を手控える動きも見られまし
たが、日本は日銀が2016年9月に導入したイールド
カーブ*1・コントロールにより金利上昇は限定的で
あったことから、米国REIT等と比べ下落は小幅に留
まりました。
95
90
85
80
16/7
16/8
16/9
16/10
16/11
16/12
(年/月)
※2016年7月29日を100として指数化、現地通貨ベース
(出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスおよびBloombergのデータを基に
三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
*1イールドカーブとは
縦軸に利回り、横軸に残存期間をとって作られる債券の「利回り
曲線」のこと。
J-REIT市場は、銀行や投資信託を通じた個人投
資家が、主要な買い手となってきました。投資信託
を通じた資金流出入では、海外REITファンド*2が20
16年11月に約2年振りに流出超となったのに対し、
国内REITファンド*2は、12月に大幅な流入超となり
ました。低金利による運用難の中、海外REITファン
ドと比較して分配金の安定性と円建といった側面
が評価され、個人投資家を中心とした資金がJ-RE
IT市場に流入したものと考えられます(図2参照)。
東証REIT指数
S&P米国REIT指数
100
11月上旬以降は、トランプ次期米大統領による政
策への期待感から、日米等の株式市場が大きく上
昇し、REIT市場も上昇に転じました(図1参照)。
投資信託を通じた資⾦が流⼊
(2016年7月29日~2016年12月30日、日次)
105
(図2)国内REITファンドおよび
海外REITファンドへの資金純流出入額の推移
(2016年4月末~2016年12月末、月次)
(億円)
4,000
*2 国内REITファンドは国内不動産投資信託、海外REITファンドは
海外不動産投資信託(Fundmark分類)
国内REITファンド
海外REITファンド
3,000
2,000
1,000
0
-1,000
-2,000
16/4
16/6
16/8
16/10
16/12 (年/月)
※2016年12月末は推計値
(出所)Fundmarkのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
J-REITの魅⼒4つのポイント
⾦融政策
〜「⻑短⾦利操作付き量的・質的⾦融緩和」で⾦融緩和継続〜
堅調な業績
〜空室率、賃料、1⼝当たり利益 2017年も増益の⾒込み〜
良好な不動産ファンダメンタルズ
割安感が続くJ-REIT
〜地価上昇、含み益の拡⼤〜
〜海外REITとの⽐較、過去のインフレ期との⽐較〜
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、
証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
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ご参考資料
金融政策 ~「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で金融緩和継続~
⽇銀による⻑期⾦利の上昇抑制で、J-REIT投資に安⼼感
日銀は、2016年9月の金融政策決定会合で新たな金融政策の枠組みの1つとして「長短金利操作(イールドカー
ブ・コントロール)」を導入し(図3参照)、10年国債利回りを概ねゼロ%程度で推移するよう調整する政策を採用し
ました。2016年11月17日には新たなオペレーション手法である「指し値オペ」を実施して、金利上昇を抑える調整
の意志を市場に対して明確に示しました。このため、2016年夏以降、米国中心に長期金利が上昇する中で、日本
の長期金利の上昇は米国等に比べてかなり小幅なものに抑えられています(図4参照)。日銀は、物価上昇が安
定的に目標の2%を超えるまでこの金融政策を継続するオーバーシュート型コミットメント*を表明しています。現状
の物価上昇率を考えると、今後も日銀による現在の政策は当面継続され、日本の長期金利上昇は抑制されるも
のと考えられることから、J-REITの金利上昇リスクの影響は米国等に比べ小さいものと考えられます。
(図3)「イールドカーブ・コントロール」のイメージ
(2016年12月末現在)
(%)
0.8
0.7
(図4)日本と米国の10年国債利回りの推移
(2016年7月29日~2016年12月30日、日次)
(%)
3.0
米国
2.5
0.6
0.5
2.44%
日本
1.45%
2.0
0.4
1.5
0.3
0.2
長期金利操作目標
0%程度
政策金利
▲0.1%
0.1
1.0
0.5
0.0
-0.1
0.04%
▲0.20%
0.0
-0.2
-0.3
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
15 20 30
(残存年数)
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント
作成
-0.5
16/7
16/12
(年/月)
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
⽇銀の買い⼊れは2017年も継続
日銀は、量的・質的金融緩和のもと、J-REITの買い
入れを実施しており、市場の下支え役となっていま
す。また、日銀はオーバーシュート型コミットメントを表
明しましたが、J-REITの資産買い入れ方針に変更は
なく、これまで通り年間900億円ペースでの買い入れ
は継続されるものと考えられます。2017年に入ってか
らも買い入れは継続しており、引き続きJ-REIT市場の
下支え役として期待されます(図5参照)。
*オーバーシュート型コミットメントとは
オーバーシュートは「行き過ぎ」、コミットメントは「約束」を意味し、日銀
は物価上昇率が仮に一時的に2%上回っても安定的に2%になるまで
異次元緩和をやめないことを約束するものです。日銀が異次元緩和
を続けると明言することにより金融緩和が当面継続されるという安心
感を示す時間軸政策です。
16/8
16/9
16/10
16/11
(図5)日銀のJ-REITの
保有残高実績および見通し
(2012年末~2016年末、年次)
(億円)
5,000
約4,500
4,000
3,568
2,696
3,000
2,000
1,108
1,401
1,778
1,000
0
資産買入等の 量的・質的
基金
金融緩和
(~2013.4.4) (2013.4.4~)
量的・質的
金融緩和の拡大
(2014.10.31~)
年間
+900億円
ペース
補完措置の
導入
(2015.12.18~)
2012年末 2013年末 2014年末 2015年末 2016年末 2017年末
(⾒通し)
(実績)
(実績)
(実績)
(実績)
(実績)
(出所)日銀の発表資料を基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、
証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
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ご参考資料
堅調な業績 ~空室率、賃料、1口当たり利益 2017年も増益の見込み~
オフィス空室率が低位で推移する中、賃料⽔準は上昇基調
東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率(三鬼商事発表)は、2015年7月以降、5%を下
回る水準で推移しています。不動産賃貸市場では一般に空室率が5%を下回ると価格交渉で貸し手側が優位に
なるとされ、足もとの賃料水準は着実に上昇しており、J-REITの増益基調の要因となっています(図6参照)。
2018年以降は、オフィスビルの新規供給の増加が見込まれますが、日本不動産研究所による東京都心5区の
空室率と賃料指数予測によると、2018年以降、空室率は若干上昇するものの5%を下回る状況が続き、賃料も
2020年の水準は115ポイントと2016年の111ポイントを上回る水準で推移すると予測されており、良好な状況が
続く見通しです(図7参照)。
(図7)東京都心5区の空室率と賃料予測の推移
(図6)東京都心5区のオフィス空室率と賃料の推移
(円/坪)
25,000
(2002年1月~2016年12月、月次)
(2010年~2020年、年次)
(%)
10
130
23,000
8
120
10
21,000
6
110
8
19,000
4
100
6
17,000
2
90
4
賃料(左軸)
空室率(右軸)
賃料指数(左軸)
空室率(右軸)
(%)
12
予測値
※賃料指数は2010年を100で指数化
15,000
0
16/1
(年/月)
(出所)三鬼商事のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
02/1
04/1
06/1
08/1
10/1
12/1
80
14/1
J-REITの増益基調は今後も続く⾒込み
堅調なオフィス需要や借入コストの低下により、JREITの業績は増益(増配)基調で推移しています。
J-REITが手がける不動産賃貸ビジネスは、通常、
数年単位で契約を結ぶため賃料は安定的であり、
一般企業に比べて売上の変動が小さくなる傾向が
あります。また保有物件のほとんどが国内に所在す
るため、海外経済の影響を受けづらいという特性が
あります。
このため、2017年も賃料上昇や、堅調なオフィス
需要などに支えられ、J-REITの業績は増益(増配)
基調が続くものと考えられます(図8参照)。
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
2
20 (年)
(出所)日本不動産研究所「東京・大阪・名古屋のオフィス賃料予測」の
データを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
(図8)EPS(1口当たり利益)の推移
(円)
70
(2016年~2019年、年次)
予測値
65.2
65
60
66.0
63.5
58.4
55
50
2016
2017
2018
2019
(年)
※2017年以降は当資料作成時点でのBloomberg予測値
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント
作成
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、
証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
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ご参考資料
良好な不動産ファンダメンタルズ ~地価上昇、含み益の拡大~
(図9)東京圏・大阪圏・名古屋圏の商業地
基準地価変動率の推移
都市部中⼼の地価上昇は継続
2016年9月発表の都道府県地価調査(基準地価)では、
三大都市圏(東京、大阪、名古屋)中心とした商業地の地
価上昇が顕著となりました(図9参照)。
(2005年~2016年、年次)
(%)
15
また2016年11月発表の「主要都市の高度利用地地価動
向報告~地価LOOKレポート*~」でも都市部の地価上昇
の継続が見られました。東京圏は横ばい地点数が約2割
となったものの、大阪圏、名古屋圏は、いずれも上昇地点
数が8割を超える状態が継続しています(図10参照)。
東京圏
大阪圏
名古屋圏
10
5
0
*地価LOOKレポートとは
-5
全国の高度利用地(細分化された土地を集約して一体的な再開発を
行うことで、土地の合理的で健全な高度利用と、都市機能の更新を
目的として指定される地区)の地価動向がいち早く分かる速報的な
指標で、主要都市の先行的な地価動向を把握しやすいデータと言わ
れています。
-10
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(出所)国土交通省のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジ
メント作成
(図10)高度利用地の地価動向推移(三大都市圏)
(平成24年第1四半期~平成28年第3四半期、四半期)
上昇地点数
24年
25年
26年
27年
28年
24年
25年
26年
27年
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
<名古屋圏>
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
横ばい地点数
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
<大阪圏>
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
下落地点数
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
<東京圏>
24年
28年
25年
26年
27年
28年
※各期間は以下の通りです。1Q:第1四半期(1/1~4/1)、2Q:第2四半期(4/1~7/1)、3Q:第3四半期(7/1~10/1)、4Q:第4四半期(10/1~1/1)
(出所)国土交通省のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
J-REIT含み益は過去最⾼更新
この地価上昇の動きは、J-REITの保有資産の含
み益を増加させています。三井住友トラスト基礎研
究所が2016年12月時点で算出した2016年10月期
のJ-REITの含み益は過去最高の1兆8,000億円を
突破しました。この背景の1つとして、人口が増加
し利便性が高く、不動産の需要が旺盛な東京の物
件を中心に不動産鑑定評価額が上昇を続けたも
のと思われます。
一方、含み益率は13.1%と過去最高であった
2008年2月期の15.7%を下回っています。不動産
価格は引き続き上昇トレンドが予想されていること
から、J-REITの含み益のさらなる増加が期待され
ます(図11参照)。
(図11)J-REIT保有不動産の含み損益(率)の推移
(2002年8月期~2016年10月期、月次)
(兆円)
(%)
25
2.0
含み損益(左軸)
1.6
含み損益率(右軸)
20
1.2
15
0.8
10
0.4
5
0.0
0
-0.4
02/8
04/6
06/4
08/2
09/12
11/10
13/8
15/6
-5
(年/月)
※過去6ヵ月間に決算発表した銘柄の含み損益の合計値の推移を示しています。
※含み損益=不動産鑑定評価額-不動産帳簿価額、含み損益率=含み損益÷
不動産帳簿価額
(出所)三井住友トラスト基礎研究所のデータを基に三井住友トラスト・アセットマ
ネジメント作成
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、
証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
4/7
ご参考資料
割安感が続くJ-REIT ~海外REITとの比較、過去のインフレ期との比較~
海外REITとの⽐較
J-REITの価格水準の割安・割高評価を行う際の
尺度の1つに「国債との利回り差=リスクプレミア
ム」があります。
(図12)主要国のREITと国債の利回り比較
(2016年12月末現在)
(%)
6
REIT配当利回り
10年国債利回り
5
これはJ-REITの配当利回りから10年国債の利
回りを差引いたもので、J-REITは国債に比べて価
格変動リスクが大きい分、高い利回り、すなわちリ
スクプレミアムが求められるという考え方に基づく
指標です。
4
4.7
過去のインフレ期との⽐較
3.9
3.9
3.3
2.8
3
このリスクプレミアムが大きければ割安、小さけ
れば割高と判断されますが、この方法で海外REIT
との比較を行うと主要5ヵ国ではJ-REITは相対的
に割安であると考えられます(図12参照)。
4.8
2.4
2
1.2
0.0
1
0.7
利回り差
利回り差
利回り差
利回り差
利回り差
3.3%
1.5%
2.0%
2.7%
4.1%
日本
米国
英国
フランス
0
オーストラリア
※日本は東証REIT指数、その他はS&PグローバルREIT指数の各国イン
デックスの実績配当利回り、小数点以下第2位を四捨五入
(出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスおよびBloombergのデータを基に
三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
国債との利回り差(リスクプレミアム)に関して、足も
との水準(12月末3.3%)を過去の実績と比較すると、
インフレ傾向であった2005年から2007年の平均1.7%と比べて相対的に割安感があるといえます(図13参照)。
また、デフレ脱却への期待感が膨らんだ2012年12月以降のリスクプレミアムの平均値2.9%と比較しても、現在
の価格水準は割安と考えられます。
なお、日本の10年国債利回りについては日銀がゼロ%程度にコントロールすると表明しており、当面、J-REITの
リスクプレミアムが国債利回りの上昇によって縮小するリスクは低くなっています。
(図13)J-REIT配当利回りと10年国債利回りの格差(リスクプレミアム)の推移
12
(2005年1月末~2016年12月末、月次)
(%)
J-REIT配当利回り
リスクプレミアム
10
10年国債利回り
(2016年12⽉末現在)
8
インフレ時
リスクプレミアム
平均 1.7%
6
J-REIT
配当利回り
3.3%
デフレ脱却期待
(アベノミクス)以降
平均 2.9%
リスクプレミアム
3.3%
4
2
10年国債利回り
0.0%
0
-2
05/1
06/1
07/1
08/1
09/1
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1
16/1
(年/月)
※J-REIT配当利回り:東証REIT指数の実績配当利回り
※本ページにおけるインフレ時とは、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、全国、年平均)が対前年比でマイナスを記録しなかった2005年~2007年
の期間を三井住友トラスト・アセットマネジメントが独自に定義するもので、一般的なインフレ時の定義とは異なります。デフレ脱却期待(アベノミクス)
以降は2012年12月末以降。
※データは小数点以下第2位を四捨五入
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、
証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
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ご参考資料
<コラム> マイナス金利政策導入発表から約1年、J-REITはメリット享受
マイナス⾦利政策導⼊後、借⼊コストは
さらに低下
J-REITの有利子負債の平均利率は、 2016年に入っ
て日銀によってマイナス金利政策が導入されたことに
より、2015年12月末時点の0.94%から2016年12月末現
在で0.83%まで低下しました。2016年6月末と比較して
も若干ながら低下(▲0.03%)しており、借入コストの低
下基調は継続しているものとみられます。
またJ-REITによる不動産取得も引き続き活発であ
り、2016年12月末の保有不動産総額は2015年12月末
比+11%の15.5兆円に拡大しています(図14参照)。
このようにマイナス金利政策は、J-REITの業績にプ
ラスに働くとともに、新たな物件購入により、さらなる成
長に寄与していると考えられます。
財務健全性は維持、将来の⾦利上昇
にも配慮
(図14)J-REITの有利子負債の平均利率と
保有不動産総額の推移
15
(2010年6月末~2016年12月末、半期)
(%)
1.8
保有不動産総額(取得価格)(左軸)
15.5兆円
1.6
12
1.4
(兆円)
18
2016年1⽉末
マイナス⾦利
政策導⼊発表
9
6
1.0
3
平均利率(右軸)
0.83%
0
LTV(有利⼦負債⽐率とは)
Loan To Valueの略で、不動産価格に対する借
入金の割合(資産価値に対する負債比率)。不動
産投資信託の投資尺度として利用され、LTVが大
きいほど金利変動に対するリスクが高いことにな
ります。負債には有利子負債の残高、投資法人が
発行した債券の発行残高、敷金や保証金が含ま
れます。
0.8
0.6
10/6
11/6
12/6
13/6
14/6
15/6
16/6
(年/月)
※平均利率は東証上場のREITの加重平均
(出所)三井住友トラスト基礎研究所のデータを基に三井住友トラスト・
アセットマネジメント作成
低金利を背景にJ-REITは借入を増加させているも
のの、併せて公募増資等も行っていることから、財務
健全性を測る指標であるLTV(有利子負債比率)水準
に大きな変化はありません。
また、将来の金利上昇への備えとして、借入金の平
均残存年数の長期化(2016年6月末4.0年→2016年12
月末4.1年)や、固定金利比率の引き上げ(2016年6月
末86.5%→2016年12月末88.2%)により、金利上昇へ
の抵抗力を高めています(図15参照)。
1.2
(図15)J-REITの有利子負債の固定金利比率、
LTVおよび平均残存年数の推移
(2010年6月末~2016年12月末、半期)
(%)
100
固定⾦利⽐率(左軸) 88.2%
(年)
5.0
90
4.5
80
4.0
70
平均残存年数(右軸) 3.5
4.1年
60
3.0
50
2.5
LTV(左軸)
40
46.9%
2.0
1.5
30
1.0
20
10/6
11/6
12/6
13/6
14/6
15/6
16/6
(年/月)
※LTVは有利子負債/(有利子負債+出資総額+出資剰余金)×100%
で算出、平均残存年数は全銘柄加重平均
(出所)三井住友トラスト基礎研究所のデータを基に三井住友トラスト・
アセットマネジメント作成
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