米国リート市場動向と見通し(2016年12月号)

2016年12月9日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB241)
REITレポート
米国リート市場動向と見通し(2016年12月号)
市場動向

11月の米国リート(FTSE NAREIT All-Equity Reit指数、配当除き、米ドルベース)は、トランプ次
期大統領が掲げる財政拡張的な政策等を巡る金利の急上昇を嫌気し下落しました【図表1、2】 。次
期政権下でのオバマケア(オバマ政権が推進する米国の包括的な医療保険制度改革)の取扱いを巡
る不透明感等からヘルスケアが9%近くの下げとなりました。半面、雇用者の増加や宿泊需要の拡大
期待等からオフィスやホテル/リゾートが堅調でした【図表3】。11月末時点の米国リート(同上)
のイールド・スプレッド(予想配当利回り−10年国債金利)は1.97%と、前月末(2.44%)より縮
小しました【図表1、5】。

米国リートが投資家(株主)に支払った配当額が増加を続けています。2016年は第3四半期末時点
で2015年年間の9割を超える金額となっています【図表4】。
図表1:米国リートと株式の騰落率(2016年11月末時点)
(%)
年初来
当月
米国リート
-2.6
0.9
米国株式
3.4
7.6
き
差
-6.0
-6.7
配
米国リート
-2.4
4.0
米国株式
3.7
9.8
差
-6.1
-5.8
配
当
除
当
込
み
円/米ドル
9.2% 円安
120
データ期間:2014年12月末∼2016年11月末(日次)
115
米国リート
110
105
100
4.8% 円高
(%)
当月末
図表2:米国リートと株式の推移(配当除き)
昨年末
参
米10年国債金利
2.38
2.27
考
米国リート予想配当利回り
4.35
3.83
95
米国株式
90
※2014年12月末を100として指数化
85
14/12
図表3:主要セクター別騰落率(配当除き)
(2016年11月末時点)
主要セクター
小売り
多角
当月
(%)
-0.2
(百万米ドル)
40,000
35,000
9.2
2.2
8.4
25,000
-8.8
1.3
20,000
13.2
14.7
15,000
産業
-1.1
23.9
10,000
住宅
-3.1
-3.0
5,000
個人用倉庫
-2.5
-15.6
0
ヘルスケア
ホテル/リゾート
15/12
16/4
16/8(年/月)
データ期間:2005年∼2016年(※)(年次)
(※)2016年は第1∼3四半期の合計
30,000
-2.1
オフィス
15/8
図表4:米国リートの支払い配当額
年初来
-2.8
15/4
2005
2007
2009
2011
2013
2015(年)
出所)図表1∼3はブルームバーグ、図表4はNAREITのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
※米国リート:FTSE NAREIT All-Equity Reit指数(米ドル)ベース、米国株式:S&P500種指数(米ドル)ベース
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的と
するものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作
成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資
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●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。●投
資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商
品を勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
1/2
図表5:米国リートのイールド・スプレッド推移
(%)
6
データ期間:2010年1月末∼2016年11 月末( 月次)
図表6:米国リートのNAVとのかい離率推移
データ期間:2001年1月末∼2016年11月末(月次)
50%
イールド・スプレッド
NAV(※1)とのかい離率
米国リート予想配当利回り
5
4
10%
3
-10%
2
-30%
1
-50%
-70%
0
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1
16/1 (年/月)
データ期間:2014年1月1日∼2016年1 1月30 日(日 次)
(※1)NAV:保有不動産の含みも考慮した純資産額
(※2)平均:2001年1月末∼2016年11月末が対象
2016年11月末時点で3.6%
図表8: 米国オフィスの需要と供給(都市部)
図表7:米国リートと移動平均の推移
750
2016年11月末時点
−10.0%
01/1 03/1 05/1 07/1 09/1 11/1 13/1 15/1 (年/月)
※FTSE NAREIT All-Equity Reit指数ベース
(ポイント)
平均(※2)
30%
米国10年国債利回り
(万 Square feet)
4,000
米国リート
60日(約3ヵ月)移動平均線
700
データ期間:2007年3月∼2016年9月(四半期)
需要
供給
需要−供給
※1Square feet=0.093㎡
3,000
2,000
1,000
650
0
600
-1,000
-2,000
550
(注)供給はマイナス表示、需要はプラス
表示(需要のマイナスはテナントの退
去が入居を上回ったことを示す)
-3,000
500
-4,000
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
16/7 (年/月)
※FTSE NAREIT All-Equity Reit指数(米ドル)ベース
07/3
09/9
12/3
14/9 (年/月)
出所)図表5、7、8はブルームバーグ、図表6はGreen Street Advisors、AEWデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
今後の見通しについて

トランプ氏勝利後の米国金利上昇は思惑が先行しているものと思われます。12月13∼14日のFO
MC(米連邦公開市場委員会)で仮に利上げが決定されれば、当面の不透明感が後退したとの判断
から米金利は安定化に向かうとみています。現在の米国リートは、イールド・スプレッドやNAV
(純資産額)からのかい離率等から判断して、売られ過ぎの状況にあるものと思われます【図表5∼
7】。米金利上昇に一服感が出れば、米国リートは回復相場入りするものと考えます。

今後金利が上昇傾向をたどるとしても、経済拡大を伴うものであれば不動産市況にとって追い風に
なるものと思われます。また、トランプ次期大統領が選挙期間中に掲げた減税や10年間で1兆米ド
ルのインフラ投資が実行されて経済成長が促されれば、オフィス需要や消費拡大による商業施設需
要等が高まり、米国リートの収益増をもたらす可能性もあります。足元(2016年第3四半期時点)
の米国都市部のオフィス需給は需要が供給(新規物件の竣工による貸出床面積の増加等)を上回っ
ています【図表8】。トランプ氏の政策で経済成長が勢いを増せば、不動産の需給は更に引き締まり、
米国リートが賃料の引上げを行いやすい環境になるものと考えます。
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的と
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金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
2/2
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