16.12.02 OPEC(石油輸出国機構)8年ぶりの減産合意

2016年12月2日
投資情報室
臨時レポート
(審査確認番号H28-TB231)
OPEC(石油輸出国機構)8年ぶりの減産合意
○○○○○○○○
原油市場の需給改善ペースを速め、原油価格の回復を目指す
 2008年11月の総会以来、8年ぶりに減産合意に至る。原油市場の需給改善ペースを速め、
原油価格の回復を目指す。OPECは12月上旬に会合を開き、ロシア等非加盟国とも減産に
向けた協議を行う予定。
 減産合意を受け11月30日のWTI原油先物価格(引け値)は前日比約9%上昇し、1バレル
50米ドルに接近。
∼
減産合意内容
∼
 OPECは30日にウィーンの本部で開いた総
会で、減産を巡り全加盟国に減産を求めるサ
ウジアラビアと減産の適用除外を求めるイラ
ンが互いに譲歩し、8年ぶりの減産で合意し
ました。一部では合意困難との見方もありま
したが、土壇場で歩み寄りをみせたようです。
 2017 年 1 月 か ら 適 用 さ れ る 生 産 枠 は 日 量
3,250万バレル(図表1)で、増産を続ける多
くの加盟国(図表2)に一律で減産を求める一
方、欧米による経済制裁前の生産量への回復
を目指すイランには特別措置を講じ、現状の
生産量を上回る生産量(日量約380万バレ
ル)を割当てました。OPECは12月上旬に会
合を開き、ロシア等非加盟国とも減産に向け
て協議を行う予定です。
 当生産枠の適用期間は6ヵ月間で、2017年5
月の次期総会で延長の是非を判断する方針で
す。
図表1:OPEC生産枠と推定生産量(日量)
(千バレル/日)
36,000
データ期間:1995年1月∼2016年11月(月次)
32,500千バレル
(合意枠)
OPEC生産枠
34,000
OPEC推定生産量(※)
32,000
30,000
28,000
26,000
24,000
22,000
(※)2016年10月まで
20,000
95/1
99/1
03/1
07/1
11/1
15/1 (年/月)
図表2:OPEC主要国の原油生産量比較(日量)
サウジアラビア
イラク
イラン
 尚、過去の生産枠と生産量(実績)を見ると、
生産枠が守られた時期は比較的少ないようで
す(図表1)。
2015年1月∼8月(平均)
2016年1月∼8月(平均)
UAE
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
図表3:WTI原油先物価格推移
∼
原油価格動向
∼
 総会決裂との見通しから11月29日に前日比約
4%下落していた反動や今回の減産により原油
市場の需給が2017年に均衡に向かうとの予測
等から、30日のWTI原油先物価格(引け値)
は前日比約9%上昇し、1バレル50米ドルに接
近しました(図表3)。
出所)図表1はブルームバーグとOPEC、図表2は米国エネルギー省、
図表3はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
(米ドル/ バレル)
60
12,000
(千バレル/日)
データ期間:2016年1月4日∼2016年11月30日(日次)
50
40
30
20
16/1
16/4
16/7
16/10
(年/月)
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的と
するものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作
成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資
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●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。●投
資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商
品を勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
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○○○○○○○○
原油価格の今後の見通しと金利等への影響
 減産協議決裂の場合に想定されたリスク回避に伴う混乱は回避。
 減産が順守されるかは不透明。足元の高水準の米国原油在庫や、原油価格上昇に伴う米国
シェールオイル増産の可能性等を考慮すると、原油価格の上値は限られるものとみられる。
∼
リスク回避の懸念は後退
∼
図表4:米国石油リグ稼働数と原油生産量(日量)
 市場では、減産協議決裂の場合は原油価格や
他の資源価格が下落し、資源国経済不安等か
らリスク回避の動きが本格化するとの見方も
ありました。
(基)
2,500
9,000
 合意がどの程度順守されるかは不透明ですが、
減産合意にこぎ着けたことから、リスク回避
の動きが本格化する懸念はひとまず後退した
ものと思われます。
2,000
8,000
1,500
7,000
1,000
6,000
(千バレル/日)
データ期間:2013年1月4日∼2016年11月18日(週次)
10,000
3,000
石油リグ(掘削装置)稼働数(左軸)
500
5,000
米国原油生産量(右軸)
∼
原油価格の上値は当面限定的か
∼
 今回の減産合意による原油価格上昇がインフ
レ(物価高騰)を招くとの見通しから11月
30日の米国債券市場では同国金利が大きく上
昇(価格下落)しました。その動きは豪州等
にも広がっています。
 足元の米国石油リグ(石油掘削装置)稼働数
は2014年末頃の3分の1程度に留まっていま
す。今後原油価格が一段と上昇すれば、リグ
稼働増により原油生産が活発化するものと思
われます(図表4)。現在、米国の原油在庫
(戦略備蓄除く)は過去(1985年∼2013
年)平均の1.6倍程度の水準に達しています
(図表5)が、原油価格が上昇すれば市場に
放出される可能性もあります。リグ稼働増・
原油増産とともに原油需給緩和の要因になる
ものと考えます。
 一部ヘッジファンドは減産合意を見越して、
WTI原油を対象とする先物等の買い持ち高を
増やしてきました。今後の手仕舞い売りが原
油価格の上値を抑えることも考えれます(図
表6)。
 上記を勘案すると、原油価格の上値は限られ
るものと思われ、インフレ懸念によって上昇
した米金利は落ち着きを取り戻すものと思わ
れます。
4,000
0
13/1
14/1
15/1
16/1
(年/月)
図表5:米国原油在庫(戦略備蓄除く)
(億バレル)
データ期間:2014年1月3日∼2016年11月18日(週次)
6
5
4
3
2
14/1
14/7
15/1
15/7
16/7(年/月)
16/1
図表6:ヘッジファンドの買い持ち残高(※)
50
データ期間:2016年1月1日∼2016年11月25日(週次)(千枚)
400
ヘッジファンド買建て玉(右軸)
WTI原油先物価格(左軸)
360
40
320
30
280
(米ドル/バレル)
60
20
(※)WTI原油を対象とする
先物とオプション買い持ち高の合計
240
200
10
16/1
16/4
16/7
16/10 (年/月)
出所)図表4∼5はブルームバーグ、図表6はCFTC(米国商品先物取引委員会)及びブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的と
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