米国リート市場動向と見通し(2016年10月号)

2016年10月7日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB167)
REITレポート
米国リート市場動向と見通し(2016年10月号)
市場動向

9月の米国リート(FTSE NAREIT All-Equity Reit指数、配当除き、米ドルベース)は、9月の米利上
げは見送られたものの、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が会見で年内利上げに引き
続き意欲を示したこと等を嫌気し、前月比約2.0%下落しました。8月1日直近高値から9月末までの
下落率は約6.0%となります【図表1、2】 。ガソリン価格上昇による旅行手控え観測等から、9月
はホテル・リゾートセクターの下落が目立ちました【図表3、4】。

9月末時点の米国リート(同上)のイールド・スプレッド(予想配当利回り−10年国債金利)は
2.57%と、前月末(2.45%)より拡大しました【図表1、5】。
図表1:米国リートと株式の騰落率(2016年9月末時点)
(%)
当月
年初来
米国リート
-2.0
9.4
米国株式
-0.1
6.1
き
差
-1.9
3.3
配
米国リート
-1.5
12.3
米国株式
0.0
7.8
差
-1.5
4.5
配
当
除
当
込
み
円/米ドル
2.0% 円高
15.7% 円高
図表2:米国リートと株式の推移(配当除き)
120
データ期間:2014年12月末∼2016年9月末(日次)
115
米国リート
110
105
100
95
米国株式
(%)
当月末
前月末比
参
米10年国債金利
1.60
0.01
考
米国リート予想配当利回り
4.16
0.13
主要セクター
当月
※2014年12月末を100として指数化
14/12
15/4
(%)
180
15/12
16/4
16/8
データ期間:2014年12月末∼2016年9月末(日次)
小売り
多角
オフィス
ヘルスケア
ホテル/リゾート
産業
住宅
個人用倉庫
年初来
-2.7
13.1
多角
-1.4
18.8
オフィス
-3.1
11.9
ヘルスケア
-2.1
19.1
ホテル/リゾート
-9.1
3.3
産業
1.2
29.9
住宅
1.4
2.9
0.1
15/8
図表4:米国リートのセクター別指数の推移
小売り
個人用倉庫
85
(年/月)
図表3:主要セクター別騰落率(配当除き)
(2016年9月末時点)
90
-8.6
160
140
120
100
80
※2014年12月末を100として指数化
60
14/12
15/4
15/8
15/12
出所)図表1∼4はブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
※米国リート:FTSE NAREIT All-Equity Reit指数(米ドル)ベース、米国株式:S&P500種指数(米ドル)ベース
16/4
16/8
(年/月)
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするも
のではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりま
すが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは
保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●投資する有価証券の価格
の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないの
で、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
1/2
図表5:米国リートのイールド・スプレッド推移
(%)
6
データ期間:2010年1月末∼2016年9月末(月次)
図表6:米国リートのNAVとのかい離率推移
データ期間:2001年1月末∼2016年9月末(月次)
50%
イールド・スプレッド
NAVとのかい離率
米国リート予想配当利回り
5
30%
米国10年国債利回り
4
10%
3
-10%
2
-30%
1
-50%
過去平均値:3.7%
(2016年9月末時点)
注1)NAV(純資産額)とのかい離率
=(株価/純資産額−1)×100(%)
注2)過去平均=2001年1月∼2016年9月
-70%
0
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1
16/1(年/月)
※1)NAV(純資産額)にはリートが保有する物件の評価損益も
含まれる ※2)Green Street Advisors算出のデータ
図表8: 米国リートのLTV(有利子負債比率)推移
図表7:米国リートと移動平均の推移
750
データ期間:2014年1月1日∼2016年9月30日(日次)
(%)
80
700
データ期間:2008年3月∼2016年6月(四半期)
All-Equity Reit指数ベースは2008年12月以降のデータ
米国リート
60日(約3ヵ月)移動平均線
売られ過ぎ
01/1 03/1 05/1 07/1 09/1 11/1 13/1 15/1 (年/月)
※FTSE NAREIT All-Equity Reit指数ベース
(ポイント)
買われ過ぎ
平均
All-Equity Reit指数ベース
70
Equity Reit指数ベース(※)
※ FTSE NAREIT All-Equity Reit指数から
インフラと森林セクターを除いた指数
60
650
50
600
40
550
30
500
20
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
16/7
※FTSE NAREIT All-Equity Reit指数(米ドル)ベース (年/月)
08/3
10/3
12/3
14/3
16/3
(年/月)
注)LTV(有利子負債比率)=有利子負債額/総資産額(%)
総資産額に対する有利子負債額(借入金等)の大きさを示す
出所)図表5、7はブルームバーグ、図表6はGreen Street Advisors、AEW、図表8はNAREITデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
今後の見通しについて

9月に利上げが決定されれば、年内の利上げは終了との見方等から投資家は動きやすくなると考えて
いました。しかし、先送りされたことで、米国リート市場は引き続き利上げを巡るFRB高官の発
言や経済指標等を受けた金利の動向に左右される展開が続きそうです。良好な経済指標が相次ぐ場
合は、利上げの幅が大きくなるとの観測が台頭し、金利上昇を嫌気して米国リートは一時的に調整
色を強める可能性があります。

好調な不動産市況等を背景に米国リートは業績拡大を続けています(9月末時点の指数ベースの配当
額は前年同月比約10%増加)。株価(指数)のNAV(純資産額)からのかい離【図表6】や移動平
均とのかい離状況【図表7】等も勘案すると、更に下落する場合には割安感を強めそうです。米国
リートのLTV(有利子負債比率)はリーマン・ショック前後頃に比べて低く抑えられています
【図表8】。金利上昇による影響は、その分軽減されるものと思われます。
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするも
のではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりま
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商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
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