インド株式市場の動向と見通し - ニッセイ アセットマネジメント

2016年9月20日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB147)
新興国レポート
インド株式市場の動向と見通し
市場動向:一時、約1年5ヵ月ぶりに29,000台を回復
 9月8日、インド株式市場(SENSEX指数)が約1年5ヵ月ぶりに終値で29,000台を回復。予想
PER(株価収益率)は約18倍まで上昇。海外機関投資家は9月(12日時点)まで7ヵ月連続
買い越し。
 金利低下、モディノミクスの進展、業績拡大予想等が背景か。
(1)SENSEX指数が一時29,000台回復
【図表1】インド株式市場の推移
(ポイント)
30,000
データ期間:2016年1月1日∼2016年9月16日(日次) (倍)
20
 9月8日、SENSEX指数が2015年4月13日以来約1年
5ヵ月ぶりに終値ベースで29,000台を回復。その後、 28,000
米利上げ観測等を嫌気して下落したものの、9月16
26,000
日時点では28,000台半ばを維持し、底堅く推移して
います。
24,000
 予想PER(株価収益率)は約18倍と、2016年業
績予想の上方修正により大きく低下する前の3月末頃
の水準近くまで上昇しています。一旦、3月末に上方
修正された業績予想の変化をほぼ織り込んだ形と
なっています。
S&P・BSEセンセックス(左軸)
予想PER(右軸)
18
17
22,000
16
業績予想
上方修正
20,000
1/1
3/1
5/1
15
9/1 (月/日)
7/1
【図表2】海外機関投資家のインド株式への投資
(百万米ドル)
5,000
(2)海外機関投資家が連続買い越し
 海外機関投資家はインド株式を2016年1∼2月連続
で売り越した後、3月には大幅買い越しに転換。その
後9月(12日時点)まで7ヵ月連続買い越しを続けて
います。
 インド株式市場は、海外機関投資家が買い越しに転
じた3月頃を境に上昇基調へと変化しています。
データ期間:2016年1月∼9月(9月は12日時点)(月次)
4,000
3,000
買い越し
2,000
1,000
0
-1,000
売り越し
-2,000
1
(3)株価支援材料①:10年国債金利低下
 9月に入り10年国債金利が7%を下回る水準まで低
下しています。モディ首相や9月4日付で就任したイ
ンド準備銀行(RBI)のウルジット・パテル新総
裁に対する信認の高まり、追加利下げ期待等が背景
にあるものと思われます。
 金利の低下が、景気や企業業績の拡大を刺激すると
の期待感が株価上昇を支えているものとみています。
(出所)図表1∼3はブルームバーグデータを基に
ニッセイアセットマネジメントが作成
19
2
3
4
5
6
7
8
9 (月)
【図表3】インド政策金利と10年国債金利推移
(%)
8.0
データ期間:2016年1月1日∼2016年9月16日(日次)
(%)
7.0
10年国債金利(左軸)
7.8
政策金利(右軸)
6.8
7.6
6.6
7.4
6.4
7.2
6.2
7.0
6.0
6.8
5.8
1/1
3/1
5/1
7/1
9/1 (月/日)
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とする
ものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成して
おりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示
唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●投資する
有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を
勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
1/2
加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
(4)株価支援材料②:モディノミクスの進展
【図表4】GST法施行を巡る動き
 長らく懸案事項とされてきたGST(財・サービス
(2016年9月12日時点)
税)法施行のための憲法修正案が野党が多数を占め
る上院で可決され、国会を通過しました。GST法
は、州毎に設定されていた物品販売等にかかる間接
税を統一することを目的としています。事務コスト
の低下等を通じた競争力の強化や海外企業の進出加
速を促す等の効果が期待されています。2017年4月
1日施行に向け、インド政府は取組みを加速させる
としています。
 今年に入り、モディ政権は銀行の不良債権の処理を
加速させるため、破産処理の方法等を定めた破産法
も制定させています。こうした成果が投資家の買い
意欲を高めている可能性があります。
8月3日、GST法施行の憲法修正案、野党が多数
を占める上院で可決(下院は可決済み)
施行に向けての行動開始
全29州の過半(15州)の憲法修正法案の承認取り
付け→19州の承認取り付け済み(当要件クリア)
モデルとなるGST法作成等のためのGST委員会
設置→9月22,23日に第1回会合予定
インフラ整備や実務訓練→インフラ整備開始済み
今冬季国会(11月中旬∼12月中旬開催予定)や、
全州でのGST法の可決と批准
GST法施行開始:政府目標2017年4月1日
【図表5】EPS(1株当り利益)推移
(ポイント)
(5)株価支援材料③:企業業績の拡大期待
2,000
 2016年4∼6月期まで5四半期連続で7%(前年同
期比)を超える実質GDP(国内総生産)の成長、モ
ディノミクスの進展期待等を背景に、企業業績の拡
大期待が高まっているようです。
1,800
 ブルームバーグ集計(9月14日時点)によると、予
想1株当り利益(EPS)(SENSEXベース)の伸び率
( 前 年 比 ) は 、 2016 年 が 22.5 % 、 2017 年 は
18.6%となっています。
データ期間:2012年∼2017年(年次)
(%)
30
EPS(左軸)
20
前年比(右軸)
(予想)
1,600
10
1,400
0
1,200
-10
-20
1,000
2012
2013
2014
2015
2016
2017(年)
(※)SENSEXベース、ブルームバーグ予想(9月14日時点)
今後の見通し:スピード調整後、30,000台回復をうかがう展開に
 9月8日に終値ベースで一時29,000台を回復したインド株式市場(SENSEX指数)ですが、①予
想PERが18倍近辺(2016年EPSベース)まで上昇し、2016年企業業績の拡大期待をほぼ織り
込んだと思われること、②年初来安値をつけた2月11日から9月8日までに約27%上昇しており、
過熱感が強くなっていると思われること等の理由から、当面は28,000台半ばを中心にもみ合い
の展開になるものとみています。
 戻り待ちの売り等を消化しながらもみ合った後は、以下の支援材料等を受けて上昇基調を取り
戻し、30,000台回復をうかがう展開になるものと考えています。GST法の2017年4月1日施行
が現実味を帯びるにつれて、株価上昇の勢いが増す可能性もありそうです。
① パテル新総裁の下、RBIがより緩和的な金融政策を行うとの期待
② 7%台の経済成長や低金利等を背景とする、2016年、17年企業業績の上方修正期待
③ 一時懸念されたCPI(消費者物価)(前年同月比)の落ち着き(2016年7月に2014年8月以来
の水準となる6.07%に上昇したCPIは、食料品の値下がり等により8月には5.05%に低下)
(出所)図表4はインド政府広報等、図表5はブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
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金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
2/2
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